前の投稿からだいぶ間が空いてしまい申し訳ないです。
ただこの小説、今までより書きやすい印象があるので書くのが結構楽しいです。
この調子でいい感じに投稿が続けられたらなって思います。
レミリアと戦ってから次の日。
「あ、咲夜。ちょっと聞きたいことがある」
玄道が小指二本で逆立ちで歩いて咲夜を呼び止める。
「レースの白か、悪くない。それでだな、昨日人里がどうとか言っていたじゃないか。ここにも人間はいるのか?」
「えぇ、いるわよ。私も人間だけどね」
「あ、そういえばここ来る途中人里に立ち寄ったか、忘れてた」
逆立ちをやめて首を鳴らす。
「咲夜、人が少なくて妖怪が多い場所を教えてくれ」
「そうね、出られなくなってもいいと思うなら迷いの竹林、腕試しにもちょうどいいわ。そして生涯敵を作るつもりなら妖怪の山かしら?」
「ふーむ...竹林に行ってくる。場所は?」
「ここから南東に進めば見えると思うわ、気をつけてね」
「分かった、じゃあいってくる」
強く踏みこんで走り出す。
しばらく走っているとでっかい竹林が見えてくる。
「お、あそこか。結構デカいんだな。確かにこれなら迷うかもしれんな」
意気揚々と中に入ろうとするとモンペをはいた少女に止められる。
...ここ女多いな。
「永遠亭に用か?それなら私が案内しよう」
「いや、特に用はない。ただ紅魔館のメイドに妖怪が沢山いるところを聞いたらここだっていうから来ただけだ」
「じゃあ私も付いて行こう、帰り道分からなくなったら大変だろ?」
「あー、そうだな。お願いしよう」
「私は藤原妹紅だ、お前は?」
「俺は伊吹玄道。怪我とかはしないから見てるだけにしてくれよ」
「妖怪に武器無しで挑もうとする人間なんてお前ぐらいだろうなぁ。里の奴らもこれくらい威勢があったらいいんだけどなぁ」
「俺は元々武闘家だからな、血の気が多いのさ」
「じゃあ門番の拳法?みたいなの使うのか?」
「一応使えるぞ。ただ俺は拳一つで大体けりがつくからそんなものは必要ない」
「へぇ...じゃあ相当強いんだな」
「まぁ、そうだな。元々いた世界では地上最強の生物で通ってたくらいだしな、俺も自信はあるぞ」
二人で話しながら奥の方へ進んでいたら虎っぽいのが飛び出して来た。
「竹に虎か、絵になるじゃないか」
虎は高く跳ねて玄道に爪を振り下ろす。
それをかわして服を脱ぐ。
「妹紅、こいつ持っててくれ。着たままだと破れちまうんだよ、筋肉で」
「あ、あぁ...お前の背中...なんかおかしくないか?」
「こいつか?なんでだろうなぁ、ただ好きに戦場で楽しんでたらいつの間にか背中に鬼が住み着いちまったんだ。そして、喧嘩の最高潮とは...ただ相手を殴るだけのなんの変哲の無いパンチで相手が倒れた時の愉悦ッ!!」
虎の体に玄道の重く力強い拳が容赦なく捻じ込まれる。
その一撃で虎は最後に小さくうめき声をあげて息絶える。
「ふぅ...やっぱり相手が強くなきゃ勝負ってのは楽しくないもんだな」
「い、今の一撃を見るとここがとても平和なんだと気づかされるな...」
「なに、これくらい多少のセンスと莫大な努力で誰でもたどり着けるさ」
玄道は笑いながら服を受け取る。
「でも、これなら護衛とか妖怪退治でも職にして生活できるんじゃないか?」
「あー、そう言うのもあるのか。俺は何でもできるから基本何でも屋扱いの仕事がやりたいんだが...」
「なら私が仲介をしよう、里の方に知り合いがいない訳でもないんだ」
「おー、それは助かる。じゃあ仕事が依頼されたら俺に知らせてくれ、当分は竹林の近くで暮らすから」
「あぁ、わかった。任せてくれ」
彼女は自信ありげに自分の腕に手をおいて玄道に笑顔を見せた。
そして、その日から武闘家だった玄道は何でも屋に転職したのだ。
それから三日が経ちその昼に、筋トレ中の玄道に妹紅から連絡があった。
人里に住む人間の夫婦の息子が行方不明なのだそうで、これから話を聞きにいってくれとの事らしい。
「じゃあ、その夫婦の家まで案内頼む」
「わかった、じゃあとりあえず人里まで...うわぁ!?」
「ちゃんと掴まってろよ、落ちても知らんからな」
妹紅をお姫様抱っこして馬鹿みたいな速度で人里までひとっ走りする。
その間ずっと妹紅は悲鳴を上げていたのでそれが少し面白くて、もう少し速度を上げるとその日名はさらに激しい物へと変わった。
やはり面白いのでさらに速度を上げたら人里で地面に下ろそうとしてもその場にへたりこんでしまう。
「後で絶対殴る...」
「あー...悪かったよ」
「ダメだ許さないからな、絶対殴る」
涙目でこぶしを握り締めながらもやはり立ち上がれないで悔しそうにしている妹紅を前に、少々可愛いと思いながら首根っこを掴んで目的の家まで案内させる。
「やぁ、いらっしゃい。君が玄道さんだね?」
戸を叩いてからゆっくりと出てきた御大はやさし気に微笑んで中にいれてくる。
客人が来た時の為の部屋なのか結構広く調度品もよく揃えられていた。おそらくそこまで金に不自由しているわけではないのだろう。
また、その部屋で多少厳しい人の様な印象を受ける老婆が茶を淹れてくれた。
「これは失礼、頂こう」
茶を少し啜ってから本題を切り出す。
「それで、今回の依頼は行方不明の息子さんの捜索と聞いているのだが。少し詳しい話が聞きたいので、説明をお願いしたい」
「あぁ、今娘を呼ぶから待っておくれ...」
御大は重そうに体を持ち上げ、襖の奥へと消えていき、数分すると髪はボサボサで目を赤く腫らした状態で俺の前に正座した。
おそらく大事な息子が妖怪のうろつく場所へと消えてしまい気が気ではなかったのだろう。
無論、自分には生まれてこの方子供がいた事なんてないし、ましてや男女の関係すら一度もなかった。
「では、早速。息子さんがどこに行ったかは把握しているのか?」
「いえ...ですが一緒に行った息子の友達の一人が帰ってきてまして、その子が言うには妖怪の山の麓にある森でかくれんぼをしていたと...」
「わかった、では行ってくる。行くぞ妹紅。ありがとう婆さん、茶美味かったぞ」
少し残っていた茶を飲み干して妹紅と外に出る。
「さて、これからの計画だが。妖怪の山の麓の森と言ったな。そこに行こう」
「私も行くのか?」
「来たいなら来い」
「じゃあ...行こうかな」
「なら俺の背中に掴まれ、おぶって行った方が早い」
妹紅は少し悩んで、結局大人しく背中にしがみつく。
そこから20分程度で山の麓に到着する。
「ふぅ、結構な距離だが少し慣れてきたな」
「...お前みたいな人間は初めて見たよ。博麗の巫女も白黒の魔女も足でそこまで早い奴はいないからな」
呆れと驚きが半分ずつ混じった感じで言ってくる。
「頑張ればできるさ、でもな、今はそんな呑気にしている場合じゃないんだ。普通の人間なら妖怪なんて相手にできなさそうだからな。ましてや子供なら余計に心配だ」
能天気で他人の心配なんてまずしないような玄道がその子供を心配していることに妹紅はとても驚いていた。
「お前、俺の事他人を心配できない能天気な奴だとか思ってないか?」
「だって私が腰抜かした時だって笑ってたじゃないか!」
妹紅はそのことを結構根に持っているらしい、これからはなるべくそう言う事はしないようにとも思うが、妹紅の怒る顔が少し面白いので中々行動には移せないだろう。
玄道はぷんすか怒ってる妹紅を笑いながらなだめて森の中を歩き回っている。
「うーむ...流石に迷って同じ場所に居続けることも考えられないか...」
玄道が森を出ようとすると男の子が真っ黒な大きめの球体に追いかけられていた。
「おいあれじゃないのか?迷子の奴って。なんか襲われてる最中なんだが」
涙目で逃げ回ってる少年を指差して妹紅に確認する。
「あぁ、きっとそうだ。早く助けてやれよ」
「依頼だからな。さぁて、お仕事開始だっ」