財団は艦娘を収容しました   作:ジェリコ

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長らくお待たせいたしました。
年末年始は何かと忙しくてですね……


今回はIF世界の話となりますので、本編の世界線とは違うものになります。ですが、基本的な設定は同じなので本編を読んでから読むことをオススメします。


IFストーリー
IF1話


20█@/0#/14

 

 その日、広瀬は数ある様々な書類に目を通し、その中の廃棄物の行き先が先週から変わっていることに気がついた。

 

「長野県、サイト-81██? こんな場所あったか?」

 

 気になった広瀬は財団のデータベースにアクセスし、そのサイトを調べることにした。

 

―財団データベースアクセス

 

―セキュリティナンバーを入力

 

―ようこそ、特殊サイト-81██管理者 広瀬

 

―検索 [長野県、サイト-81██]

 

―検索終了、2件の該当項目

 

―サイト-81██、基本情報を開きます

 

「ふむ、1つのオブジェクトを収容する専用のサイトか。半月前に建設されたのなら知らないわけだ。収容しているのは…… SCP-280-JP、Safeか」

 

―SCP-280-JP [注・項目の一部にセキュリティ管理者用の項目があります]

 

 そして広瀬はSCP-280-JPのページを開く。

 

「何々、長野県の██山近くの洞窟で発見された球状の時空間異常で、空気や電磁波などを含む接触したあらゆるものを消失させ、その物質の質量に応じて直径を縮小させると。発見時は直径2.6mだったのが今は0.7mねぇ。財団のことだから消滅させはしないだろうが……」

「まあ、他のオブジェクトはその担当に任せるとして自分の仕事を頑張りますか!」

 

―データベースへのアクセスを終了します

 

 そう言って広瀬はデータベースを閉じる。

 

 混乱の最中にあるささやかな日常は今日も変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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20█@/0#/14

 

 その日、広瀬は毎週運びこまれてくる資源の量が記載されている資料をにらんでいた。

 

「どう考えても最近運びこまれてくる資源の量が減っているんだよなぁ……」

 

 資源は3週間前から減り始めており、まだこの特殊サイト-81██"鎮守府"の規模が小さく運用に支障が出ない程度の減少だとしても看過できるものではない。

 

 減っているのは燃料と鋼材の2種類で、特に鋼材が大きく減らされている。

 

 なので広瀬は財団日本支部上層部に連絡をとり、なぜこのようなことになっているのか問いただすことにした。

 

 

『もしもし、サイト-81██"鎮守府"管理者の広瀬です。倫理委員か物流部門に話があります。どちらかでもいいのですぐに話をさせてください』

『……分かりました。現在は倫理委員、██博士のスケジュールが空いていますので呼び出しをします。……連絡が取れました。██博士に代わります』

 

 電話にでたのは女性オペレーターだったが、すぐにおそらく初老くらいの男性に代わる。

 

『██だ。はじめましてかな? 君のことはよく聞いているよ。なんでもエージェントからサイトの管理者へと異例の異動をしたそうじゃないか。それで、わざわざこちらに電話をかけてくるとは何用かね?』

 

(やけに馴れ馴れしいなこのおっさ…… 博士)

『はい、単刀直入に申し上げますと、このサイト-81██へと搬入される資源の量が以前よりも減っています。現在まだ規模が小さいとはいえ、SCP-████-Aに対抗しうる能力を持つこのサイトへの配分を減らしたのにはそれ相応の理由があるはずです。機密でなければその理由をお聞かせ願いたい』

 

 広瀬はやや声を荒げて訴えた。

 その言葉に博士は先程とは打って変わって真剣な声で返す。

 

『その事か。確かに君がいるサイト-81██の重要性は君と同じくらい理解している。それに2週間後には通常通りの資源を送れるようになるのだがまあいい。資源を減らしたのは長野県で新たに発見されたオブジェクトの収容施設の建設に君のサイトにまわす分の資源も使ったからだ』

 

 博士の説明によると、1ヶ月程前、長野県に位置する██山が突如崩壊し、現場から真っ黒な球状の時空間異常が発見されたそうだ。

 現在SCP-280-JPとしてナンバリングされたそれは、空気や電磁波などを含む接触したありとあらゆるものを消失させ、その分その直径を縮小させるのだそうだ。なお、消失したものの行方は分かっていないらしい。

 現在は財団の収容作業により直径0.7mまで小さくなっているが発見当初は80.4mもの大きさだったため、それを収容するための施設の建設に多くの資材を必要としていたほか、オブジェクトの直径を維持する為に収容施設内を真空、暗闇にし、電磁波などを遮断する必要があった。

 なので、やむなく広瀬のいるサイト-81██などに配分する資源の量を減らしたというわけだ。

 

 それを聞いては広瀬も納得するしかない。

 

『分かりました。そのような事情があったのなら仕方ありません。2週間後から通常の量に戻るということなので、今からこちらでの配分量を計画しておきます』

 

『ああ、よろしく頼むよ。我々はこれからも最大限のバックアップをとるから、精一杯頑張ってくれたまえ。くれぐれも体調は崩さないようにな』

 

『はい。ありがとうございます。では』

 

 そう言って電話を切る。

 

(なんなんだあの博士は、馴れ馴れしいと思ったら急に真剣になるし…… まあ、横流しとかされてるわけじゃなかったようだからひとまず安心か)

 

「さてと、頑張りますか!」

 

 他に誰もいない執務室で広瀬は伸びをし、配分の計画を立て始める。

 

 よくある1日の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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20█@/0#/14

 

 その日、広瀬は吹雪や三浦博士ほか数名と共に日本の中部地方を訪れていた。

 

「しかし、これが財団にオブジェクトとして認定されていたとはなぁ……」

 

 広瀬は施設の近隣にある記念館で資料を見ながらそう呟く。なお、記念館は貸し切りだ。

 

 それは古くから時空間の歪みとして日本国民に知られていたもので、19██年、政府が一大プロジェクトとしてその縮小作業を行い、今はそれがある施設は立ち入りが禁止されている場所として義務教育で習ったものだったからだ。

 

「世の中にはこんなものもあるんですね!びっくりしました!」

「……君はこれのことを知らなかったのか?」

 

 吹雪の言葉に三浦博士が反応する。

 

「はい。全く記憶にないですし、そもそもこの場所には██県に位置する██山脈があるはずだと思うんですけど……」

 

 その言葉に三浦博士はもちろん、広瀬や研究者、同伴する案内人も揃って顔を見合わせた。そして吹雪に聞こえないように静かに話し出す。

 

(おい、今の記録しておけよ)

(ええ、もちろん既にしていますよ)

(これは現実改変によるものでしょうか?)

(いや、もしくは……)

 

 などと静かに議論は紛糾する。

 

「ま、まあとにかく地下へ移動しましょう。そこなら説明も会議もしやすいですし」

 

 案内人がそう言い、一同は"関係者以外立ち入り禁止"と表示された扉から地下の財団管理室へと降りていった。

 

 そこで改めて説明された球状の時空間異常、SCP-280-JPの概要はこんなものだ。

 SCP-280-JPは、物質はもちろん、空気や電磁波など接触したありとあらゆるものを消失させる特性を持っており、消失したものの行方は分からないとのこと。

 そして、接触したものの質量に応じてその直径を縮小させるのだそうだ。

 いつから存在していたのか、出現時の直径は不明だが、収容作業を開始した時点で直径は118726.5mあり、現在は裏で財団が管理、指示した日本政府主導のプロジェクトにより直径0.7mまで小さくなっている。

 

 なお、これは広瀬らにも明らかにされていないことだが、このオブジェクトは現実改変能力を有していると財団上層部では推測されている。

 理由としては、これだけ巨大で特性や危険性が明らかになっていたにも関わらず、ほぼ放置されていたことについて説明が出来ないからだ。しかし、現実改変された証拠が未だ発見できていないため推測の域を出ていない。

 

 今回、吹雪をこの場所まで視察しに連れてきたのは、表向きは財団はこのような活動をしているとの説明なのだが、裏では古来より日本にある時空間異常の資料を見せることで、(おそらく)船として存在していた当時のSCP-280-JPの状況を把握しようとしていたのだ。

 しかし、当時の状況を知らないどころか存在していない県、山脈の名前を答えたことで財団上層部でも議論は紛糾しそうである。

 

 

 そんなことは全く知らない広瀬は吹雪に問いかけた。

 

「それで、我々財団がどのようなことをしているのか多少なりとも分かったか?」

「はい! ……やっぱり理解の及ばないところは数多くありましたが、財団がこの世界にはあってはならないものから一般の人を守っているということがよく分かりました。私もその一員となったからには誠心誠意頑張りたいです!」

「そうか。我々も協力は惜しまない。期待しているよ」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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20█@/0#/14

 

 その日も昨日と変わらない。

 

 アメリカの財団本部では、最近現れたSCP-████への研究が進んでいた。

 そんななか、興味深い報告が中国支部より寄せられる。

 

「なに? SCP-280-JPに流入させる海水路の入り口がSCP-████によって塞がれただと?」

「はい。なんでもジパング海側に設けた水路の入り口をSCP-████がどこからか運んできた船の残骸や岩などで塞いでいるようです。それに対し中国支部は本国から弾道ミサイルを発射して塞いでいる構造物を破壊すると通告してきています。周辺への被害を考慮して核弾頭ではなく通常弾頭を使用するようですが……」

 

 そもそもSCP-280-JPとは、空気や電磁波などを含む、接触したありとあらゆるものを消失させる球状の時空間異常で、未だ消失したものの行方は判明していない。

 そして、接触したものの質量に応じてその直径を縮小させるのだ。

 SCP-280-JPは中華人民共和国領ジパング列島中央付近高度██mに存在し、発見時は直径1712467.2mもの大きさだったものの、19██年に財団が島を掘削し海水を流入させることによって管理可能なサイズまで縮小させ、現在は直径0.7mまで小さくなっている。

 

「それで、SCP-280-JPの状況は? まさか大きくなってなどいないだろうな?」

「収容施設の破損報告などは入ってきていないので大丈夫でしょう。いずれにしろSCP-████が起こした特異な行動です」

「そうだな…… このことについては詳細な記録を残しておけ。あと、構造物の破壊要請は許可しておく。ただし、周辺住民への記憶処理は抜かりなく行うよう伝えてくれ」

「分かりました」

 

 

 

 

「……ところで、SCP-280-JPのJPってなんなんでしょう? 中国支部の管理番号はCNですよね?」

「そう言われればそうだな…… ジパングの綴りにしてもZipangだしな…… いったいなんなんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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████/██/██

 

 

 

 

 

183427529.5

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END




というわけで、今回はSCP-280-JPが出現(発見)された世界線でのお話でした。頭の中に?マークが浮かんだ読者の方は日本支部のサイトでお読みになってください。初めて読む時は絶対びっくりします。

なお、今回出てきた日付は全て同じ時間です。
(日本支部の記事をお読みになればきっと分かると思います)

また、4つ目の世界に登場したSCP-████は本編でのSCP-████-A"深海棲艦"のことです。この世界では艦娘が現れなかった(またはまだ現れていない)ので"-A"がついていません。

本編の方は現在(2018/02/05)、次章の内容を構想中ですので今しばらくお待ちください。



登場したオブジェクト

SCP-280-JPー縮小する時空間異常
作成:dr_toraya様
http://ja.scp-wiki.net/scp-280-jp
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