財団は艦娘を収容しました   作:ジェリコ

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はい ようやく艦娘登場です。それと、今回かなり長めです。

7月7日 改稿しました。


3話 別の異変

 20██年██月██日

 SCP-████発生より2ヶ月

 

 全世界の財団研究員が現在の状況を打破できる何かを発見しようとSCP-████の研究に励んでいるこの時、日本では新たな異常存在が現れていた。

 

 日本国 神奈川県 横須賀市 在日米軍横須賀基地

 

 本来ならここは米海軍第七艦隊の事実上の母港であり普段から賑わっているはずなのだが、現在はどんよりとした空気が基地中に広まっていた。

 なぜなら、彼らは本国アメリカに帰国することが出来なくなってしまったからである。幸い、まだ規律は乱れていないものの今後どうなるか不安はつのるばかりであった。

 

 そんな在日米海軍司令部庁舎(旧大日本帝国海軍横須賀鎮守府庁舎)正面玄関前に突然閃光が走った。

 

 光が収まるとそこには背中に煙突とマスト、吸気管が複合した機械を背負い、手には連装砲、太ももには魚雷発射管を着けた15歳前後のセーラー服を着た少女が敬礼をして立っていた。

 

「はじめまして、吹雪です。よろしくお願いしま・・・え? 何で白人がここに?」

 

 狼狽える米兵達、しかし、衛兵は冷静に謎の少女に対して銃を突きつけた。

 

『武器を置いて手を頭の後ろにつけろ!』

「へっ!? あっはい!」

 

 素直に手に持っていた武器と太ももの魚雷発射管を置く少女。

 

『とりあえず連行する。変なマネはするなよ』

『は、はい』

 

 吹雪と名乗った少女は横須賀海軍病院の一室に連れてこられた。

 

『上から処遇が降りてくるまでしばらくここで待ってろ。いいな』

 

  そう言って衛兵は鍵をかけた。

 

 少し落ち着いた吹雪は脱出しようと考えることもなく、冷静?に今の状況を考えていた。

 

(えっとまず私は吹雪。それはわかる。ここはどこ? 多分横須賀鎮守府。なんで白人、多分アメリカ人がここにいるのかはわからない。私はなぜここに来た? 深海棲艦を倒すため。なぜ人の姿? わからない……ダメだ~考えれば考えるほど混乱する~)

 

 それから30分ほどしただろうか、日本人の男が部屋に入ってきた。

 

「こんにちは、でいいのかな?」

「はい あの……」

「君をまた別の場所に移送したい。心配しなくてもいい。君の所持品もあの機械も含めすべて持っていく」

「わ、分かりました」

 

 男は部屋から出るとドアに立っていた衛兵に告げた。

 

『この件はこちらで引き継ぎます。今日起こったことは全て上から指示が来ると思うのでそれに従ってください』

『……分かりました。しかし、あなたのような一般人がなぜこのようなことを?』

『世の中知らないほうがいいことはたくさんあるのですよ。では』

 

 

 話は30分ほどさかのぼる。

 

 SCP財団日本支部所属のフィールドエージェント、広瀬は今日この時、在日米海軍横須賀基地に一般には身分を隠して潜入し在日米海軍上層部とSCP-████について情報交換を行っていたところだった。

 その会談が終わり帰ろうとするなか、付近が光ったと同時に彼のもつ簡易計測器がアラートを告げた。

 

(なんだ! 空間転移反応が検出された? この100m圏内でか?!)

 

 通信機にも連絡が入る。

 

「エージェント広瀬、聞こえますか? こちらは財団日本支部関東異常監視局です。あなたがいる米海軍横須賀基地にて空間転移反応が検出されました。強さから人間1人分ほどだと推測できます。あなたは初期収容として目撃者と接触、事情を聴取し、可能ならば転移してきた対象を確保してください。既に横須賀基地上層部には連絡し基地にいる人員には箝口令を敷くように通達しています。質問は?」

「まず1つ、目撃者に記憶処理は? あいにく手持ちに6人分しかない」

「パニックを起こしている場合や認識災害を起こしている場合、また、確保する為に必要だと判断した場合は使用を許可します。それ以外は、後程記憶処理班が到着するのでそれに任せてください。」

「了解した。もう1つだが、確保した対象は擬装トラックの荷台に仮収容すればいいか?」

「はい 確保後は最寄りのサイト-81██に向かってください。こちらからも即応部隊を向かわせています。通信は常時開いているように。では、健闘を祈ります」

「感謝する」

 

 さっそくエージェント広瀬は反応があった場所まで急いで向かった。そこでは既に4人程が集まって話していた。

 

『何かあったのですか?』

『あなたは……?』

『ああ、"シグマ・クリエイティブプロダクツ"の社員です。今日は荷物を届けに来たのですが、何か光ったようなので』

『ああ、あの会社ですか。いつもお世話になっています。信じてもらえるか分かりませんが急に武器を持った少女が現れたのです。で、その武器をここに置いていったのでまあ監視をしているところです。』

 

(ここにいる4人は箝口令が敷かれていることを知らないようだ。都合がいい。)

 

『目撃者はここにいる人達で全員ですか?』

『さあ? そこまでは分かりません。この4人が見ていたのは事実ですが』

『その少女はどこに行きましたか?』

『衛兵が海軍病院に連れていきましたよ。……失礼、緊急メールが………… すいません、このことは箝口令が敷かれたようなのでこうそ………』

 

「すいませんね。こちらも仕事なので」

 

 エージェント広瀬は素早く4人を気絶させると記憶処理を行った。そしてトラックを玄関前に着けその武器を荷台の収容ボックスに入れた。

 途中、何か小人のようなものが見えたような気がしたが、別に身体に異常がみられない為、本体と思われる少女を確保することを優先することにした。

 

 その後、海軍病院にて少女を発見し今に至る。

 

 エージェント広瀬は少女を駐車場に停めてある中型トラックまで案内する。荷台には“シグマ・クリエイティブプロダクツ”と書いてあった。

 

「あの、私の艤装は……」

「あの機械ならトラックの荷台に積んである。すまないが君も荷台に乗ってもらう。窮屈かもしれないが我慢してくれ。あと、あの機械は厳重に箱の中に入っているので、乗っている最中は君が触ることは出来ない。いいね?」

「……はい」

 

 エージェント広瀬は少女が荷台に乗ったことを確認すると、ロックをかけた。そして男は運転席に座り通信を開いた。もちろん少女の様子は車内カメラで確認している。

 

「こちらエージェント広瀬、目標の確保に成功、これより最寄りのサイト-81██に向かいます」

「了解した。こちらも記憶処理班と情報改竄班、護送班をそちらに向かわせている。到着次第出発せよ」

「了解」

「その少女が所持していた機械も確保し、荷台に収容しているな?」

「はい、万が一のため、SRA(スクラントン現実錨)も起動しています」

「分かった。引き続き監視を続行せよ」

「了解、交信終了」

 

 

 それから3分ほどして車両が到着したのを確認したエージェント広瀬はトラックを発進させ、サイト-81██に向かった。

 

 

 

 サイト-81██に着いたトラックは通常人型収容セル区画に行き、そこで少女を降ろし部屋に収容した。機械は解析室に送られた。

 

 少女は多少混乱していたが抵抗する素振りを見せず、インタビューにすぐに応じた。

 

 

インタビュー記録01 20██/██/██

 

対象:在日米海軍横須賀基地に突如現れた少女(以下、少女が名乗った"吹雪"とする)

 

インタビュアー:██博士

 

 

<録音開始>

 

 

██博士:「こんにちは、まずは君の名前を教えてほしい」

 

吹雪:「えっと、だいぶ長くなりますけどいいですか?」

 

██博士:「……構わない。」

 

吹雪:「では、大日本帝国海軍所属 特型駆逐艦1番艦 吹雪と言います。……ほとんど所属名ですね。すみません」

 

██博士:「……君は今、駆逐艦 吹雪と言ったが、あれは船のはずだ。なぜ人間の君がそれだというのだね?」

 

吹雪:「自分でも自分がどういう存在かはよく分かりません。ですが、艦船に宿る魂?が実体化したものだと思います。実際に船の私が建造されてから沈むまでの記憶もありますし」

 

██博士:「ふむ……。君は君が沈んだ後の歴史は知っているのかね?」

 

吹雪:「いえ、知りません。なのでなぜ横須賀鎮守府にアメリカ人が居たのか知りたいのですが」

 

██博士:「なぜそれを知りたいのかい?」

 

吹雪:「一つは単純に興味があることと、もう一つはあなた達この時代の人と共通認識を持ちたいからです」

 

██博士:「私達と同じ認識を持ってどうするつもりだね?」

 

吹雪:「……今この世界は深海棲艦によって危機的状況にあるはずです。私達は深海棲艦を倒す力を持っています。しかし、私達だけでは状況に対応しきれません。なので、あなた達人間との協力関係を築きたいのです。そのために共通認識を持っておきたいと判断しました」

 

[██博士が椅子から勢いよく立つ音と同時に監視している職員が吹雪に銃を向ける音]

 

██博士:「深海棲艦?とはSCP-████のことか?! それを倒せる力だと?! …………すまない、取り乱した。君達は銃を降ろしたまえ。続けて」

 

吹雪:「SCP?が何かよく分かりませんが、多分その認識であっていると思います。あと深海棲艦を倒すためには私が持っていたあの艤装が必要なんです」

 

██博士:「SCPについては忘れてく…… いや、やつらを倒せるかは今後実際にやってもらうとして、その後協力関係を築くことができたらSCPや我々の組織について、先の歴史の件も教えよう。あの機械についてはしばらくは我々の管理下に置かれると思うが我慢してくれ」

 

吹雪:「分かりました。それで構いません。あなた方のことなどを教えてくれる件についてはありがとうございます」

 

██博士:「うむ。こちらからの質問をもう少しいいかな?」

 

吹雪:「はい」

 

██博士:「君はさっき沈んだ後の歴史は知らないと言ったが、なぜ君はSCP-████、君の言う深海棲艦か?の事を知っている?」

 

吹雪:「……分かりません。私達が戦うべき相手は深海棲艦ということは自覚できますが、なぜ知っているのか、なぜ戦うべきなのかは全く分かりません。あと、なぜ私が横須賀鎮守府に現れたのか、なぜ横須賀鎮守府と理解できたのか、そしてなぜ私がこの姿なのかということも分かりません」

 

██博士:「ふむ。では次の質問だ。君は会話に"私達"と言っている部分があるが、君以外の存在がいるのかね?」

 

吹雪:「はい、この姿で会ったことは無いですが、船の魂?として姉妹艦などと会話したことがありますし、他の艦娘……私達の事を総称して"艦娘"と言いますが、艦娘を建造……出現させる方法も知っています」

 

██博士:「……分かった。この事も後々確かめよう。次の質問だ。君、君達はどのようにSCP-████、深海棲艦と戦うのかね?具体的に教えてほしい」

 

吹雪:「えっと、私が着けていた機械、私達は"艤装"と呼んでます。あれを着けると私達は海に浮かべるので、水上を滑るように動きます。それで私が持っていた連装砲や魚雷で攻撃します。……多分、私の艤装は私以外使えないと思います。他の艦娘なら使えるかもしれませんが、少なくとも普通の人間には無理だと思います」

 

██博士:「ふむ、大体分かった。その艤装の件については一度確認の為に実験するが装着者が死ぬようなことはないな?」

 

吹雪:「多分大丈夫だと思います。おそらく水上に浮かべないか、砲弾などが発射できないだけかと」

 

██博士:「分かった。報告書に書いておこう。最後の質問だ。君達は我々に何を望む? 我々の為にタダ働きしてくれるわけじゃないのだろう?」

 

吹雪:「……そうですね。ひとまず私達を指揮してくれる司令官、提督の手配を頼みたいです。私達はあくまで兵器であり兵隊だからです。他には、資材や私達を運用するための土地、人員。それと衣食住と娯楽がある環境ですかね」

 

██博士:「分かった。これからの事はひとまず君が言っていることが本当のことかどうか実証されてから決めよう。別に君を疑っているわけじゃない。我々の組織として実際に確認されない限り本当のことだと認められないからね」

 

吹雪:「分かりました。それまで私は何をすればいいのですか?」

 

██博士:「まあ明日から実験やこのようなインタビューが続くと思うから今のうちに休んでおいたほうがいい。欲しいものがあったらある程度の範囲内なら融通しよう。ああそうだ。君、食事はするかい?」

 

吹雪:「ええ、もちろん普通の人間と同じ食事もします。出撃などしたら別に燃料や弾薬などが必要となりますが」

 

██博士:「……分かった。その事についても明日以降詳しく聞こう」

 

吹雪:「分かりました。あのもしよければお名前を……」

 

██博士:「すまないが今はただ"博士"とだけ呼んでくれればいい。いろいろとこの組織にもあるのでね」

 

吹雪:「分かりました!今日はありがとうございました!博士!」

 

██博士:「こちらも感謝するよ。今日はもう休んだほうがいい」

 

吹雪:「はい!」

 

 

 

<録音終了>

 

 

 このインタビューの結果、彼女がSCP-████と同類のものと推測されたため、彼女をSCP-████-B-1と指定、同時にこれまでのSCP-████をSCP-████-Aと再指定した。実験については急ピッチでその準備を進めている。

 

 

 

 我々の危機をあのような少女が救うかもしれないということに一筋の光が見えたと同時に、この状況で我々を混乱させるために要注意団体が派遣した戦闘員であることを否定できない我々がいる。とにかく、あの少女は異常存在だ。オブジェクトだ。我々財団は彼女を収容し続ける義務がある。彼女が本当にやつらを倒せるのなら我々は彼女の要求を受け入れ協力を惜しまないだろう。もしそれが嘘でも我々は彼女を収容しなければならない。それに変わりはないだろう。

 

 ………………仮にもオブジェクトに情がわくとは博士失格だな私は。一連の事件で亡くした娘の面影を見るとは思わなかった……。とにかく実験をしない限りは今後の彼女のことを決められない。我々人類にとって良い結果となることを願おう。 -██博士の日記

 




というわけで初登場艦娘は吹雪でした。アニメでも主人公ですからね。

中型トラックの"シグマ・クリエイティブプロダクツ"というのはSCP財団日本支部のフロント企業です。(アルファベットの頭文字がSCPになる)
表側はインターネットを利用した物流、資材管理などを展開していますが、裏側ではインターネットの監視、改竄やSCPオブジェクトの回収、輸送のための擬装車両の手配をしているらしいです。

それとストーリーの展開上、今後登場するSCPは日本に存在するものか、海で収容されていたものが中心となります。期待が外れてしまった読者の方には申し訳ないです。

SCPフロント-JP 作成:tsucchii0301様
協力:suzu様、boatOB様、to2to2様、azuki0912様
http://ja.scp-wiki.net/scp-front-jp

次回は艦娘(と妖精さん)の説明会かな?
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