SCP-████-B-1 "吹雪"が現れた翌日、早速実験が行われた。
実験記録████-B-1-001
日付20██/██/██
対象:SCP-████-B-1 吹雪
実施方法:対象にSCP-████-B-1-1~3(対象が身に着けていた機械、武装。対象のいう艤装)を装着させた状態で海上に立つよう指示。次に最大速力を出すよう指示する。その後、財団が設置したブイを出来るだけ速く周回するように指示する。
結果:対象はその重量[検閲済み]にもかかわらず海面に立った。その後、最大速力を出すよう指示すると対象はスケートで滑るような動作をしながら動きだした。およそ2分で対象は最大速力に達し、その速度は船の吹雪型と同じ時速38ノットであった。ブイを周回する際は30ノット程に落ちたものの、機動性は地上での通常の人間と同等であった。
補遺:同時に艤装を装着せず海上に立つよう指示した実験も行ったが対象は拒否。その後、自発的に海に入り通常の水泳をしてみせた。
実験終了後、吹雪は実験監督官に話しかけた。
「あの、いいですか?」
「どうぞ」
「えっと、補給がしたいのですが燃料はありますか?」
「補給とは?」
「私達は艤装を使った後は燃料などを補給しないといけないんです」
「燃料とはどの種類のものだね?」
「重油のことです。今回は200Lドラム缶で2本あれば大丈夫です」
「それを補給しないと不都合なことでも?」
「私達はこれでも兵器ですから、燃料を補給しないと艤装が使えなくなり海上で動けないのです」
「ちょっと待ってくれ。在庫を調べてくる」
「あいにく在庫に重油が無くてな、午後には手に入るよう手配した」
「ありがとうございます。その他にも武装を使用したら弾薬を補給したいので用意していただけますか? えっと、一般的な銃の弾薬ならなんでもいいです。かなりの量が必要になりますが……」
「銃の弾薬ならいくらでもある。またその時になったら手配しよう。……はい、分かりました。重油が到着するまで身体検査をすることになった。君の知っている者に案内させる」
「分かりました」
「なぜ私がSCP-████-B-1の世話を?」
そうエージェント広瀬はサイト-81██管理者に問いかけた。
「世話ではない。今後しばらくSCP-████-B-1がサイト内を移動する際の案内をしてほしいということだ。理由は君がSCP-████-B-1と初めて接触した職員であることだな。それにあの事についても君は知りたいはずだ」
「……SCP-████-B-1-1~3に見えたあの小型人型オブジェクトのことですか?」
「そうだ。あの艤装か?を解析した際、僅かながら霊的存在が複数いた証拠が確認された。しかし我々はその存在を収容してから確認できていない。君が最初にSCP-████-B-1-1~3を確保した際にその小型人型オブジェクトを確認したことが報告で上がってきている。なぜ君だけがその存在を確認できたのか知りたくないか?」
「それは██博士らの研究チームの仕事では?」
「その研究チームから君に依頼が入ってきているのだ。おそらく彼女はインタビューでも聞かれれば答えるはずだが、君が話せばまた別の答えがかえってくるかもしれないということでね」
「……分かりました。休暇はまた今度申請します」
「まあ正直、君くらいしか空いている職員がいなかったからなんだけど」
「始めからそう言ってください……ハァ」
エージェント広瀬は吹雪を身体検査が行われる部屋に案内していたが不意に前方が騒がしくなった。
「あの、何か騒がしいようですが……?」
「……ちっ おい! そこの君! 彼女を収容室に案内してやってくれ!」
「すまないが身体検査は延期だ。こちらから呼び出すまで君は部屋のなかでじっとしててくれ」
「は、はい」
エージェント広瀬はそう言い、駆け出していった。
エージェント広瀬が問題の場所へ駆けつけるとすでに拘束された見た目は普通の成人男性が喚き散らしていた。
「オマエらがニクイ憎いニクイ! ナゼ我々をシズメタ! 見殺しニシタ! イエ!」
「早く連れていけ! 決して傷をつけるなよ!」
「大丈夫ですか!」
「ああ、大丈夫だ。まさか突発的に起こるとは……」
「突発的に? 確か彼・・いやSCP-094-JPはセクター27にいて財団に協力的だったはずでは?」
「君は?」
「エージェント広瀬です。現在SCP-████-B-1の……警護を務めています」
「そうか、SCP-████に関係する者なら問題ないだろう。
今から2ヶ月前、SCP-████-Aが発生してすぐにSCP-094-JPが反抗的な態度を示し始めた。最初は少しイライラしている様子だったが、SCP-████-Aが増加していくのと比例してその態度は凶暴になっていったのだ。取り急ぎ彼の血液を採取し精密検査をしたのだが、そこには既存の魚類以外にSCP-████-Aと同種と思われるものが存在していたのだよ」
「ではその影響でSCP-094-JPが凶暴化したと?」
「そう推測している。幸いなことに通常の人格と凶暴化した人格はある程度の周期で入れ替わるようで予測はできていたのだが、今回は突発的に起こったようだ」
「ではなぜここサイト-81██に? ……ああ、セクター27は小島にありましたね」
「そうだ。SCP-████-Aが接近してきたのでやむなくセクター27を放棄し今はここに収容しているという訳だ」
「それにしても今のSCP-094-JPが話していた言葉は普通の日本語とは少し違うようでしたが?」
「そうなのだ。なぜか片言が大部分を占めるようになり、怒りの対象は常に人類全体に向かっているようだ。もしかしたらSCP-████-Aと関係があるかもしれないからすでに報告はしているがな」
「分かりました。貴重なお話ありがとうございます」
「いやいや こちらこそ感謝を述べさせてもらうよ。君も職務に励むといい」
「はい」
予定から30分遅れで身体検査は始まったが、その結果はある意味当然のものになった。SCP-████-B-1 吹雪の身体はあらゆる面で一般的な15歳頃の少女と変わりがないという結果がでたのだ。しかし、彼女が艤装を装着している場合、レントゲン写真は撮影出来なくなり、採血するのも不可能になった。代わりに筋力、体力などの身体能力の大幅な増加が見られた。
「これで身体検査は終了します。次はあなたの言う"補給"の観察実験をしますので、彼に案内してもらってください」
「分かりました」
再びエージェント広瀬が吹雪を案内している際、吹雪が口を開いた。
「あの、お名前をお聞きしてもいいですか?」
「……広瀬だ。名前は教えられない」
「分かりました。では、広瀬さんあなたはなぜ、毎回私の案内をしてくれるのですか?」
「単に上からの命令だ。それ以外に何もない」
「そうですか……」
ここで広瀬は彼女にあの事を話そうかどうか戸惑った。何か後戻りが出来なくなる予感がしたからである。
そんなことを考えているうちに実験場へ着いてしまった。
「今回はここで実験を行う。中で実験監督官の指示に従ってくれ。実験が終了したら昨日のようなインタビューを行う予定だ。あまり長引かせないでくれ」
「分かりました。案内してくれてありがとうございます」
「感謝されるようなことはしていない。実験が終了したら迎えにくる」
そう言って広瀬は休憩室へ向かったが頭は自分だけが見た小型人型オブジェクトのことばかり考えていた。
(……駄目だ。全く分からん。俺は財団に入る以外に特殊なことはしていないし、過去にSCP関係で汚染されたこともない。やはり聞いてみるしかないのか……)
その頃、吹雪は2回目の実験を行っていた。
実験記録████-B-1-002
日付20██/██/██
対象:SCP-████-B-1 吹雪
実施方法:対象に通常の200Lドラム缶2本の中に入った重油を"補給"させる。1本はSCP-████-B-1-1~3(以下、艤装)を装着させた状態で行い、もう1本を艤装を装着させずに行う。
結果:実験開始直後、対象は研究チーム(と財団)に対して重油を用意してくれたことについて感謝した後、"補給"を行った。対象は特に行動を見せなかったものの、0.01秒以下の時間で1本目のドラム缶の中から蓋を開けることなく重油が完全に消失した。ドラム缶の重量は重油分だけ変化したが、吹雪(艤装含む)の重量は変化しなかった。それ以外の観測機器も何も反応を示さなかった。なお、ドラム缶の中を検査した結果、完全な真空ではなく実験場と同じ気圧の空気が入っていたことが判明した。どこの場所の空気かは判明していない。
この結果を受け2本目には対象に秘密裏にGPS発信器とカメラを混入させたが、対象は「補給ができません」と発言し、同時に「何か異物が入っているようですが」と内容物を未知の手段で把握した。その後、混入させた機器を取り除いて再度実験を行うと、1本目と同じく瞬間的に重油のみ消失した。
特筆すべき点として、対象が「かなり質のいい重油でした」と重油の質を理解していることがあげられる。
「実験はこれで終了です。次回以降からは重油の補給の際は実験を行いません。また、この結果を受けインタビューでもこのことについて質問します。分かるところは説明してください」
吹雪は外で待機していた広瀬に連れられインタビュー室に向かった。
その途中、広瀬は吹雪に思いきってあの事を聞いてみることにした。
「SCP-██……いや、吹雪さん。少し質問いいですか?」
「はい 構いませんよ。何ですか?」
「君を横須賀基地で収容した時のことだ。私は君を確保する前に君の持っていた艤装をトラックに運んだのだが、その途中、艤装に小人のようなものが見えたんだ。しかし、それ以来、私以外の人間にその小人が見えたという報告が入っていない。いったいあれは何なんだ?私が見た幻覚か? 」
「ああ それは妖精さんですね! 人間で見える人はごくまれなのに!」
「妖精……さん?」
「はい! 私達、艦娘のサポートをしてくれる人……ではないですけど、そういう存在です」
「意思疎通はできるのか?」
「私達は普通にできますけど、人間には多分無理です。ほとんどの人は見ることすらできませんよ。あ、でも人の言葉は理解していると思います」
「なぜ分かるんだ?」
「実験?で私が艤装を着けましたよね。あの時妖精さんとお話ししたんです。その時に、白衣の人達が分解とか破壊とか言ってて怖かったって言ってたんです」
その言葉を聞いた瞬間、広瀬は顔を青ざめさせた。
「そ、その話の内容は外部に漏れることはないな?」
「大丈夫ですよ。妖精さん達で共有されるかもしれませんが、詳しいところまでは分かってないと思います。せいぜい、ここで怖い思いをしたという話が広がる程度かと。あと、そもそも妖精さんは人間と直接会話はできませんよ」
「そ、そうか、ならいいんだ。こちらで報告しておくから次のインタビューでもっと詳しくその妖精さん?についても話してくれ」
「分かりました」
そのうちインタビュー室に着き、吹雪は中へと入っていった。
今回は艦娘と補給についての説明会となりました。妖精さんは次回詳しく説明します。
それにしてもSCP財団の報告書風に書くのはいろいろと大変です。はい
あと、設定や解釈に無理矢理感がありますがそこは生暖かい目で見てもらえると幸いです。
何気に今回初めてオブジェクトを登場させました。
SCP-094-JP 海洋人間
見た目は普通の成人した日本人男性だが、血液内に多種多様なミクロサイズの魚類が泳いでいる。現実世界の海と彼の体調は同期していて、現実世界の海で異変が起こると彼の体調も崩れる。その逆も発生しているので、財団は彼の体調に特段の注意をはらっている。
SCP-094-JP-海洋人間
作成:mary0228様
http://ja.scp-wiki.net/scp-094-jp