今回はインタビューが多めです。
インタビュー室に入った吹雪が椅子に座ったあと、早速インタビューは始まった。
インタビュー記録02 20██/██/██
対象:SCP-████-B-1 吹雪
インタビュアー:██博士
<録音開始>
██博士:「さて、今回は主に2つのことについて君に質問させてもらう。1つは今日行われた実験と身体検査について、もう1つは先ほど報告された"妖精さん"のことについてだ。まずは実験の結果について質問しよう」
吹雪:「はい」
██博士:「今回の実験で君は重油を”補給”したわけだが、いったいその重油はどこに消えたのだね?君の重量もあの艤装の重量も変化していなかったというのに」
吹雪:「……分かりません。ただ私達は補給をしないと兵器として活動できないとしか」
██博士:「自身がどうやって補給をしているのかも?」
吹雪:「はい。人間が呼吸をするのと同じように意識してやっているわけではありません」
██博士:「ふむ。では今後、重油と弾薬以外に兵器として必要なものはあるかね?」
吹雪:「はい。私達が戦闘で損傷したときに妖精さんに艤装を修理してもらい、艦娘自身はドックに入渠……まあ艦娘専用のお風呂に入るわけですが、その時に鋼材と燃料が必要になります。鋼材は1kg単位で最低限鉄であればいいですが、基本的に鋼が一番いいです。あと、空母などの航空機を扱う艦娘は補給の際にボーキサイトが必要です」
██博士:「鋼といってもいろいろあるのだが……まあこちらで適当なものを判断しよう。そして、ボーキサイトかね? 加工したアルミやジュラルミンのほうがいいと思うのだが」
吹雪:「それは私もよく分かりません。先ほどの燃料や弾薬、鋼材についても妖精さんが私達に合うように加工してくれるので……」
██博士:「分かった。ではその妖精さん?の話に移ろう。ある程度は報告で分かっているが詳しく教えてくれないか? 例えば、種類はどれくらいいるのかね?」
吹雪:「そうですね……。妖精さんは大きく2種類に分けることができて、それぞれの艤装を担当する妖精さんと、それ以外を担当する妖精さんに分かれます。艤装を担当する妖精さんはそれぞれの艤装に1種類ずつ存在していて、同じ艤装がある場合、その数だけ同じ妖精さんが同じ数います。主にその艤装の整備をしてくれますが例外もあって、例えば航空機の妖精さんは航空機の操縦をしてくれます。ここまでいいですか?」
██博士:「ああ。質問は後からにしよう。続けて」
吹雪:「はい。その他の妖精さん達は艦娘の建造や羅針盤の制御などをしてくれます。なので種類もその数もはっきりとはしないのです」
██博士:「大体分かった。しかし、羅針盤の制御とはどういうことだ?」
吹雪:「えっと、私達の使う羅針盤は通常の羅針盤とは違い、専門の妖精さんが制御して行く方向を決めてくれて、帰るときは母港の方向を示してくれます。深海棲艦のいる海では普通の羅針盤が使えなくなるからです」
██博士:「それはこちらでも把握している。その羅針盤に従わなかった場合、どうなるのかね?」
吹雪:「どういうことですか?」
██博士:「いや、その羅針盤が指し示す方向とは別の方向に行ったらどうなるのかと聞いているのだ」
吹雪:「いや、あの、それは……」
[46秒間の沈黙]
吹雪:「あの、どうしました?」
██博士:「それはこちらが言いたい。どうしたのかね?」
吹雪:「いえ、あまりにも博士が話さないのでどうかしたのかなと」
██博士:「……直前まで何を話していたか覚えているかい?」
吹雪:「えっと、私達の使う羅針盤は普通の羅針盤とは違うという話です」
██博士:「……そうか。いや、いい。では次の質問に移ろう。先ほどの話にも関係するが、君たちや妖精さんは死ぬことがあるのかね?」
吹雪:「分かりません。私もこの身体になってそう日は経ってないので自分の身体も全部分かっているわけでもないですし、記憶にもありません」
██博士:「分かった。では今回のインタビューは終了する。最後に何か要望はあるかい?」
吹雪:「はい。あの、多分近いうちに私が深海棲艦を倒すことができるかの実験をするんですよね?」
██博士:「……そうだが」
吹雪:「その時に、もしかしたら私が損傷するかもしれないので、入渠ドックなどを作っておいて欲しいのです」
██博士:「私たちはそれを作る方法を知らないのにどうしろというのかね?」
吹雪:「すみません。それらは妖精さんが作ってくれるので土地と材料を用意して欲しいということです」
██博士:「ふむ。どのような場所に欲しいのかね?あと、どのようなものを作るのか教えて欲しい」
吹雪:「そうですね……。とりあえず海に面している海岸か島に作りたいです。内容は、入渠施設や艤装の修理、建造を行う工廠。将来艦娘が増えた時のための居住施設。あとは我々艦娘に関わる全体的なことをまとめる庁舎。ここには私達の指揮をとってもらう提督の執務室や食堂、通信室。もしよろしければ深海棲艦の研究施設を作ってもらっても構いません。その他には艤装の試験や訓練を行う施設などですかね」
██博士:「その建造物を作る期間はどれくらいかかるかね?」
吹雪:「全て完璧に作るとしておそらく2週間もいらないと思います」
██博士:「その規模でか……分かった。1週間後までには場所を確保するよう努力しよう」
吹雪:「ありがとうございます」
██博士:「しかしだ、実験前までに作るのは工廠の設備のみだ。それ以外は実験の結果で判断しよう。それならどれくらいで作れる?」
吹雪:「工廠の設備のみだけということは構いません。でも日数まではさすがに分かりません。妖精さんに聞いてみないと」
██博士:「分かった。今後その実験も行なおう。……広瀬君も同席させてよろしいな?」
吹雪:「はい。構いません」
██博士:「それとだ、君たちを指揮する提督か?それはこちらで決めていいのかね?」
吹雪:「別に構いません。しかし、私達のことを完全に兵器として扱わず、あくまで人間……に近いものとして接してくれる人がいいです。あと、できればで構いませんが妖精さんが見える人がいいです。妖精さんも自分たちが見えない人の下にあまり就きたくありませんから」
██博士:「現状それは広瀬君しか当てはまらないと思うのだが?」
吹雪:「はい。単刀直入に言うとそういうことです。私は私なりに彼を信用しています」
██博士:「……そうか。今すぐに私の権限で決めることはできないが、良い結果となることを期待しててくれ。本日のインタビューはこれで終了する」
吹雪:「はい。ありがとうございました」
<録音終了>
補意:インタビュー終了時より"妖精さん"の存在が明らかになったためこれをSCP-████-Cに分類します。
インタビューから新たに判明したこともいくつかあるが、一番はSCP-████-B-1が自らの異常行動を認識できていないことだろう。分からないという自覚もあるが、深く突き詰めると直前の記憶を失うようになっているようだ。もしかするとSCP-████-B-1は誰かに造られた存在ではないだろうか。しかし、それだとSCP-████-Cの存在が疑問に思われる。SCP-████-B-1がSCP-████-Cに造られたという仮説もできるが、なぜSCP-████-CがSCP-████-B-1を造ったのかが分からない。
……その異常を解明するのが我々の仕事なのだかな。
それから1週間でSCP-████-Bの運用施設の場所の選定が行われた。財団の機密性の観点からしても一般人の目につきやすい場所を避け、物資の搬入がしやすい場所を考慮した結果、神奈川県横須賀市の在日米軍倉庫がある吾妻島が選ばれた。吾妻島は全体が米海軍の燃料貯蔵庫となっており重油も豊富にあることも理由の1つとなった。これに際し、日本政府と自衛隊上層部、米政府と在日米軍の上層部に特定機密としてSCP-████-Bの存在を発表。協力を要請するとともに吾妻島を財団が接収することを了承させた。
その間、平行してSCP-████-B-1 吹雪並びにSCP-████-C 妖精さんの実験も行われた。実験の結果、新たに判明した点として、
・妖精さんがただいる場合、観測機器には何も記録されないが、吹雪と話しているときに限りごくわずかな電波が観測された。しかし内容は未知の暗号形式をとっていると思われるため不明。現在、解読の試みが進行している。
・エージェント広瀬と妖精さんの会話実験も行われた。妖精さんはエージェント広瀬の言葉を理解しているものの、エージェント広瀬は妖精さんの言葉を理解することができなかった。しかし、エージェント広瀬は「何か言葉らしきものを発しているのは分かる」と発言している。
・エージェント広瀬の精密検査も行われたが、すべての検査で通常の人間と変わりはないという結果となった。
・吹雪の武装の威力実験ではSCP-████-A 深海棲艦と同じように吹雪型駆逐艦の砲、魚雷のそれと同等という結果が得られた。また、発射された砲弾及び魚雷には特殊な現実改変能力が発生することが確認された。
その後、財団の管理下におかれた吾妻島にてどこからともなく現れた多数の妖精さんによる仮設工廠の建設が開始され、僅か2日で工事は完了した。
建設工事前、財団は事前に要請された建設資材を用意し、建設の様子を記録するため様々な観測装置を設置した。また、妖精さんの様子はエージェント広瀬によって記録されている。
建設を開始した妖精さんは自ら手を触れることなく未知の手法で資材を組み立て小規模な工場のようなものを建設した。なお内部の建設に関しては、あらかじめ設置しておいた観測装置の建設中の消失及び、入ろうとする人間、ロボットの入り口付近でのループという結果になり不明のまま建設は終了した。
建設終了後は通常の人間も内部への出入りが可能になり、内部の観測も出来るようになった。
工廠の内部は様々な既知、未知の機械が設置されている区画と、[(仮)入渠ドック]と書かれた看板が入り口にあり、内部には未知の液体で満たされている浴槽が1つある区画に別れていた。前者は艤装の修理を行う区画と見られている。
その後、再び消失した妖精さんもいたが一部の妖精さんが機械の点検などを行っている様子がエージェント広瀬によって報告されている。
仮設工廠の建設が終了した吾妻島にて広瀬と吹雪は会話をしていた。
「資材などを用意していただきありがとうございます」
「感謝されることはしていないさ。あくまで財団による実験用の一貫だからな。それよりも本当にSCP-██……深海棲艦を倒すことが出来るのか?」
「できます! いえ、やってみせます!」
「そうか。心強いな。……プレッシャーを掛けるようで悪いが、財団は今回の実験を非常に注目している。何せ我々人類の存亡がかかっているといっても過言ではないからな。実験の結果次第では財団は君、いや君たちに最大限協力しよう。良い結果を待っているよ」
「はい!」
今回執筆している最中に思ったのが、財団は吹雪にDクラスを撃たせる実験をするのかなと思いました。
人が撃てるかどうかは財団ならやりそう、というかやる。
ですが、今回は見送りました。一応人類の希望となりうる存在が人を撃った結果、精神が壊れましたなんてことになったらシャレにならないですからね。うん
……まあ後々話題には出そうと思いますが
しかし、SCPというコアなジャンルで、なおかつこんな堅い文章なせいか、なかなか続けて読んでくれる読者様が少ないようです。泣
もし改善点などがございましたら感想欄に書いていただけるとありがたいです。
7月6日追記 FAQをよく読んだところ、感想欄ではなく活動報告のほうでアンケートなどをとったほうがいいとのことでしたので、そちらのほうにお願いします。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
次回は戦闘の予定。