財団は艦娘を収容しました   作:ジェリコ

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長らくお待たせいたしました。
まだ忙しいので次をいつ投稿できるのかは未定です…
今回は財団の説明会です。


7話 財団とは

観察記録████-B-1-01

日付20██/██/██

 

 艦隊の帰港後、SCP-████-B-1"吹雪"は入渠ドックに入っていった。財団はその様子を記録しようとしたが、入渠ドック入口でのループという結果に終わる。なお、エージェント広瀬も入ることができなかった。

 

 艤装の修理のほうは、工廠の区画に艤装を置いたところ修理が始まった。通常の人や記録した映像では破損した箇所が勝手に直っていくように見えるが、広瀬によると複数の妖精さんが小さな工具を持って作業し、時には未知の原理で鋼材を加工して修理しているように観察できたようだ。この際、工廠の資材庫に用意してあった重油と鋼材が一定量消失していることが確認されている。

 

 およそ10分後、吹雪が入渠ドックから出てきた際に着ていた服が元通りになっていた他、体に負っていた傷が消えていた。吹雪によると、服は妖精さんに直してもらい、体の傷は入渠することで消えるということだ。また疲労も回復すると発言しているが、その効果は不明である。

 

 その後のインタビューなどは重要性が低いため省略

 

 

 

 

 

 艦隊が横須賀に帰港し1週間、新たに設立された特殊サイト-81██"鎮守府"の管理者"提督"に任命された広瀬はこの間に造られた施設の見廻りをしていた。

 僅か1週間で工廠とドックは完成し、艦娘の居住施設は8割方、司令部庁舎も5割ほど工事は進んでいる。

 

「この前の仮ドックでもそうだったが、どのように建設しているのか全く分からん。保管庫から資材が消えたとたん加工された資材を持ったSCP-████-Cが現れる。

 他の人には見えないから記録係を押し付けられたが、見えていても分からないものは分からないんだよ……」

 

 広瀬は各施設を見て廻ったが、どの施設も妖精さんがせっせと働いていて数えただけでも150人?ほどが確認できた。しかも自分を上司として認識し始めたようで、慌てて敬礼したりお辞儀したりする姿には最初は驚いたものの、次第に気恥ずかしさとこのような立場になってしまった運命を嘆くのであった。

 

 

 

 その頃、吹雪はサイト-81██で財団についての説明を受けていた。

 

「それでは、まず始めに我々SCP財団とは何かを軽く説明しよう。これから説明することは財団の人員以外には決して話さないように」

「分かりました。よろしくお願いします」

「簡単に言うと、我々はこの世の中に存在する様々な異常な物体や生物、現象を確保、収容、保護する国際的な秘密組織だ。本部は安全性の観点からイギリスとアメリカの2ヵ所に存在し、その他各国に支部が存在する。SCPの名前はそれら異常存在を管理するための"特別収容プロトコル"を意味する英語、[Special Containment Procedures]の頭文字と、財団の理念である確保[Secure]、収容[Contain]、保護[Protect]、それぞれ3つの頭文字から取られている。また、異常存在のことは我々は総括して"オブジェクト"と呼称しているので財団が確認しているものは以降そう呼ぶように。ここまでのことで質問は?」

「そうですね…… まず1つはなぜ秘密組織として活動しているのか、もう1つはオブジェクトとは具体的にどのようなものなのでしょうか?」

「1つめの我々が秘密組織として活動している理由は一般人に異常存在があるということを知られてはいけないからだ。一般的な科学で説明できないものが現れたとき、一般人はパニックに陥るだろう。それを防ぐためにも我々は迅速に対象を確保し、収容し続けているのだ。その過程で知ってしまった一般人には記憶を書き換える処理を施しているがね」

「記憶を…… 書き換えるんですか……?」

「世の中知らないほうがいいこと、忘れたいことなんて山ほどあるだろう。オブジェクトが与える影響は世界を滅ぼしかねないものもある。そうでなくても少なからずその後の人生に影響を及ぼす。その為に記憶処理を施しているのだ。その方法などはまたの機会に教えよう」

「……分かりました」

「2つめのオブジェクトを具体的にか……あまりに多種多様すぎて何を説明してよいのか分からないな…………

 ああ、そうだ。先に君達の立場とセキュリティクリアランスレベルについて説明しておこう。まず君達は財団の機動部隊として運用されることとなった。財団における機動部隊とは、多種多様なオブジェクトを確保するためそれぞれの異常や場所に特化した専門家の部隊のことだ。ある異常に特化した専門家だけで構成された部隊もあれば、凶暴なオブジェクトや敵対組織に対応するための重武装の戦闘部隊も含まれる。君達は当初、本部か支部の海洋性オブジェクトを担当する機動部隊に配属する予定だったのだが、事態の規模を鑑みて新しく新設することにしたのだ。ただし、まだ人員も揃っていないし、実働部隊も君しかいないので正式に発足するのは先になる」

「そしてセキュリティクリアランスレベルというのは財団の機密にどれだけ深く関わることができるのかを示す階級だ。君達にはSCP-████-A 深海棲艦の情報のみレベル3、極秘に値する情報にアクセスできる権利が与えられる。また、SCP-████-Aが出現した際に我々の管理下から外れた海洋性のSCPに突発的に接触する可能性もあることから、先のもの以外のオブジェクトについてはレベル2、最低レベル機密に値する情報にアクセスできる権利も与えられる。あくまでも情報にアクセスできる権利を与えるのであって、基本的にこちらが最低限必要と判断した場合にしか情報は開示しない。それは留意してくれ」

「はい、分かりました」

「話を戻そう。オブジェクトについて具体的ということだったな。まず我々はオブジェクトを危険度順で大きく3種類に分類している。1つめは確実で安全な収容方法が永続的に確立されているSafe。3種類のなかでは一番危険度が低いが、安全な収容方法が確立されているのだけなので、故意に活性化させたり、一度収容違反すれば甚大な被害を及ぼすものも少なくない。2つめは未だにその性質を十分に解明できていないか、予測不能の行動を起こす可能性のあるEuclid。一応収容できてはいるものの安全とは言いがたいものや、自我や知性を持ったオブジェクトはこれに分類される」

「ということは、我々や深海せ……SCP-████-Aはゆ、ゆーくりっど?に分類されるのですか?」

「ああ、しっかりとした報告書や特定の実験以外ではSCP-████-Aを深海棲艦と呼称して構わない。我々はクセで番号で呼んでしまうがその方が分かりやすいからな。で、質問に答えると確かに現段階では君達艦娘、SCP-████-BをEuclidとして分類している。しかしSCP-████-Aはその上のクラスのKeter(ケテル)として扱っている。Keterは財団の職員に限らず、人類全てに敵対的で脅威と判断されたオブジェクトや、収容するために非常に複雑で高度な技術を要するもの、現在の財団の技術でも収容が不可能なものに分類される。SCP-████-Aは人類に敵対的でその規模が類を見ないほど大きいこと、そして現段階では君達の攻撃以外では効率的に撃破できないこと。これらのことからKeterに分類しているのだ。理解できたか?」

「まあ、大体はですが……」

「いやでも覚えていくことになるだろうさ。あとオブジェクトの具体例については教えられない。さっき言った通り我々も必要最低限のことしか知らされていないからな。ただし、その存在、言葉を知るだけで死ぬよりも辛い地獄を見る結果になるオブジェクトは数多く存在する。好奇心は猫を殺すというようにあまり知りたがらないことだ」

「肝に銘じておきます……」

「その他知っておくべき事として、我々以外に異常存在を保有、製造している組織があることを知っていてもらいたい。各団体の詳細は後で資料として渡すが、常に自分が狙われているかもしれないと思ってくれ。我々財団はオブジェクトを収容し、保護することを理念としているが、異常存在は全てこの世から無くすべきと考えている組織の他、異常存在を何に使用しているか分からない団体もある。そのような組織が君を狙わない保証はないので、万が一の時は自分の身は自分で守ってくれたまえ」

「……それは人を撃つかもしれないということですか!?そんなことしたくありません!」

「…………最後に話しておこう。我々財団は決して正義のヒーローではない。万を救うためなら百の犠牲もいとわない。オブジェクトを収容するために人の命がどうしても必要な場合もある。その時は、各国から集めた死刑囚をDクラス職員として雇用しその収容に使うのだ。また、オブジェクトが万が一脱走した際にも仲間を見捨てて収容所を封鎖しなければいけないこともある。我々はそのような危険と常に隣り合わせになっているのだ。ただし、財団は冷徹ではあるが冷酷ではない。必要な犠牲を必要な時に必要な分だけ払う。財団には倫理委員会も存在するからな、踏み越えてはならないラインを越えることはない。君も財団の一員となったからにはこのことを深く心に刻んでおいてくれ。その他のことについてはマニュアルを渡すのでよく読んでおくように。以上で説明を終了する。何か質問は?」

「……ないです。……ありがとうございました」

「……そう深く考えることはない。我々も出来る限り君達のサポートをしよう。しかし、最悪の状況はいつやって来るか分からない。その覚悟だけはしていて欲しい。財団の職員は皆その覚悟をしているからな。今日はもう休みたまえ」

「……はい。ありがとうございます」

 

 

 

注:SCP-████-B-1が人を攻撃することを拒絶するとは正直思っていなかった。本当にSCP-████-Bらが当時の駆逐艦に宿っていた魂だとしたら人を攻撃することに何の拒否感も示さないか割りきっていると思ったのがな。また、異常存在に対して何も知らないようだったのも予想外だった。軍に所属していたのなら蒐集院やIJAMEA(大日本帝国異常事例調査局)の情報も少なからず入ってきていたはずなのだが……

 

-サイト-81██説明官

 

 

 

 

 




今回、財団はSCPとしている艦娘に最大レベル3までのセキュリティクリアランスレベルを与えましたが、ストーリー上必要なのでこの作品ではこのようにやっていきます。
また、SCPのクラスにはあと3種類ありますが、そこまで重要ではないのと、O5しか知らない機密のものもあるので紹介しませんでした。興味がある方は調べてみてください。

蒐集院(しゅうしゅういん)とはSCP財団が日本に進出する前に、古来から日本の異常存在を収集していた組織です。異常存在を管理する際は、非科学的な儀式がほとんどを占めていたようですが、その中で有用なものは財団の特別収容プロトコルに引き継がれています。
1945年の終戦と同時に日本に進出した財団などにそのメンバーのほとんどを吸収されましたが、一部過激派が集めた異常存在を手放さず活動しているようです。

IJAMEA(大日本帝国異常事例調査局)とは、蒐集院が非科学的な方法で異常存在を管理していたのに対して、明治維新後に科学的な観点からアプローチしようと新設された組織です。この際、富国強兵の元、軍事的要素が強いものとなりました。
当初は財団などとも薄い協力関係を築いていましたが、昭和期に入り日本が戦争への道を歩んでいくのと同時に財団との協力関係を破棄し、更には蒐集院に変わって大日本帝国の中での異常存在に対する権威組織となりました。大戦中も様々な異常存在を戦争に利用しようと試みていたようです。
戦後は蒐集院同様解散し、他の組織にメンバーを吸収された他、その文書などはほとんど財団が押収しましたが、こちらも一部が残党として存在しています。

参考にさせてもらった説明文・登場した団体

About The SCP Foundation(財団とは)
作成:Aelanna様
http://www.scp-wiki.net/about-the-scp-foundation
(本家 英語)
http://ja.scp-wiki.net/about-the-scp-foundation
(翻訳)

Object Classes(オブジェクトクラス)
作成:Aelanna様
http://www.scp-wiki.net/object-classes
(本家 英語)
http://ja.scp-wiki.net/object-classes
(翻訳)

Security Clearance Levels
(セキュリティクリアランスレベル)
作成:Aelanna様
http://www.scp-wiki.net/security-clearance-levels
(本家 英語)
http://ja.scp-wiki.net/security-clearance-levels
(翻訳)

要注意団体-JP(蒐集院)
作成:合同
http://ja.scp-wiki.net/groups-of-interest-jp

IJAMEA(大日本帝国異常事例調査局)
作成:Dr Solo様
http://www.scp-wiki.net/ijamea-hub
(本家 英語)
http://ja.scp-wiki.net/ijamea-hub
(翻訳)
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