前回から2ヶ月も空いてしまいましたね……
今回は予告した通りSCPとのクロステストです。
艦娘[SCP-████-B]建造記録
実験記録████-C-β-002
日付下記の理由により中止
資材配分:999/999/999/999(投入できる資材の最大値)
結果:下記の理由により中止
注:この実験は投入する資材の量が現段階であまりにも多すぎること、SCP-████-C-β-甲(現在SCP-████-B-1 吹雪が所有している特殊な書籍)では更に少ない資材の量で大型艦を建造できることが判明していることなどの理由によりこの実験は中止されました。
また、戦艦や空母のSCP-████-Bを運用する際にも大量の資材が必要になると推測されるため、SCP-████-Bの運用方法が確立されるまではそれらの建造実験を延期することが決定しました。
実験記録████-C-β-003
日付20██/██/██
資材配分:30/30/30/30
結果:睦月型駆逐艦 文月(SCP-████-B-3とナンバリング)
「オブジェクトとのクロステスト、ですか?」
「ああそうだ。君たちにも少しばかり関係するもので、危険なものでもないから安心してほしい」
広瀬に呼び出された吹雪は突然のことに驚いた。SCPオブジェクトについては必要最低限のことについてしか教えてもらえず、ましてやそれとの実験を行うことなど考えてもいなかったからだ。広瀬は続ける。
「詳細は実験の際に説明するが、新しく建造されたSCP-████-B-3 文月とSCP-████-B-2 時雨にも参加してもらう予定だ。君から説明しておいてくれ。実験の説明は明日午前9時から実験棟2階の小会議室で行い、説明終了後実験を開始する」
「わ、分かりました」
吹雪が慌てて退出した後、変わって三浦博士が入ってきた。
「実験の用意はどうだ?」
「ああ、問題ない。そろそろネタが到着するころだ。いったいどこから海鮮物を調達したのやら」
やれやれと三浦は両手を上げる。ネタというのは寿司ネタのことだ。スーパーから海鮮物が消えて久しい。干物は以前よりも非常に値が高くなっているが探せば一応売られている。沿岸部では少数ながら漁は行われているが、石油燃料の統制によって新鮮な魚介類を内陸部まで運ぶことができずほとんど地産地消しているようだ。
「そこは深く考えないほうがいいだろう。案外どこかの倉庫に残っていたのを高く買い付けただけかもしれないぞ」
「そういうことにしておこう。まったく、久しぶりに寿司が食べたくなってきてしまったよ」
「ああ、本当にそうだ。まあ、ここの食堂の味もなかなかいいじゃないか。いつも携行食ばかりだったからかもしれないがな」
「そうなのか? 私は普段研究室で食べているからな。気が向いたらお邪魔することにしよう」
どうやら二人ともあまり録な食事を取っていなかったようである。
そんなこんなで翌日になり、指定された会議室には広瀬提督と三浦博士他研究員数名、吹雪、時雨、文月の艦娘3名が集まった。照明が点いているものの薄暗い部屋には窓が無く、プロジェクターのスクリーンには財団のロゴマークが映っている。早速三浦博士が部屋の照明を消し、今回のクロステストについての説明を始めた。
「では今回初となるSCP-████-Bと他のオブジェクトとのクロステストですが…… SCP-389-JPを使用します」
スクリーンにイクラの軍艦巻きの写真が映された。6貫のイクラ軍艦が縦2:横3で密着して並んでいる。
「お寿司…… ですか?」
「まあ、そうだな。ちゃんと食べることもできる。詳細は手元の資料を見てほしい」
文月の言葉に三浦が返す。
資料によると、このオブジェクトの異常性は向かい合って売上競争をしていたとある回転寿司チェーン店のそれぞれに流れていた自店を自慢する内容の双方の音楽(オブジェクトとしてはそれが録音されたCDだが、CD自体はなんら異常性を持たない)、SCP-389-JP-1-A,Bにイクラ軍艦ほか一般的に[軍艦巻き]と称される寿司が1分以上暴露するとおよそ3分でSCP-389-JP-2-A,Bに変化して、まるで本物の軍艦のようにSCP-389-JP-2-AとSCP-389-JP-2-Bの間で戦闘を始めるのだそうだ。
ちなみにSCP-389-JP-2はこちらとの交信はできないものの打電や無線で通信を行っており、その内容はSCP-389-JP-2-A,Bとも日本語を使っているが、SCP-389-JP-A側は艦名が英語であり、SCP-389-JP-B側は艦名が日本語になっているそうだ。
また、SCP-389-JP-2は寿司のネタによって艦種と攻撃方法が異なるようで、イクラは戦艦、トビコは駆逐艦、シラウオは空母、イカは潜水艦、コーンはミサイル巡洋艦、からあげはイージス巡洋艦、ネギトロは補給艦、ツナは工作艦、ウニは情報収集艦の役割を持っており、それぞれ自らのネタを使った攻撃などを取るとのことだ。なお、シャリは共通して対空攻撃に使うようである。その他現実の艦船にない攻撃方法を取るネタのSCP-389-JP-2もあるらしい。
SCP-389-JP-2の性能は寿司の品質によって変わり、高級なものほど性能が良く、高度な戦術を取るようになるそうだ。今回の実験では、かなり頑張れば手に入る2級品を使うらしい。
そして、SCP-389-JP-2-AとSCP-389-JP-2-Bとの戦いはどちらかが完全に破壊されるまで続き、戦闘が終了したら勝った方のSCP-389-JP-2が近くの皿の上か無い場合は近くで最も清潔な場所に移動してその異常性を失うのだそうだ。その軍艦巻きを食べた人は原因は不明だが
「勝利の味がする」
と述べ、調べると脳でドーパミンの放出量が増えていたとのことだ。
「それで、なぜこれとの実験をするのですか?」
当然出てくる吹雪からの質問に三浦が返した。
「それは前々回と前回の東京湾沖での戦闘実験で、興味深いデータが得られたからだ」
遡ること5日前、SCP-████-B-2 時雨の能力調査も兼ねてSCP-████-B-1 吹雪と共に東京湾沖で戦闘を行った。その際、時雨はまだ戦闘に馴れていないのかSCP-████-A 深海棲艦への攻撃は正確とは言えず疲労によって被弾する回数も多かった。
しかし、同じ時間戦闘行動をし続けたにも関わらず吹雪には疲労の色が見えず、逆に戦意は高く命中率、回避率とも通常時より上昇していた。
時雨と吹雪で決定的に異なっていたことは、吹雪は深海棲艦をあまり被弾せず連続して倒していたことだ。このことについて吹雪に問いただすと、
「自分でもよく分かりませんが、敵を倒していると自分に自信がついてくるんです。私は深海棲艦を倒せるんだ、負けるわけにはいかない! というふうにです!」
との発言が得られた。
その状態のまま帰投し精密検査を行うと、アドレナリン等が通常のヒトの█倍多く分泌されていることが確認され、自然に下がることなく3日間高揚状態が続いたが、2日前の戦闘で普通のヒトの通常時まで下がり現在は安定している。
この結果を受け、財団はこの高揚状態を人為的に発生させることができないかと調査し、艦娘には秘密裏に食事に薬を混ぜるなどしたが効果は表れず、結果的にアドレナリンの前駆体(ある化学物質が生成される前の段階の物質)であるドーパミンを放出させる効果を持つSCP-389-JP-2を使用するに至ったというわけだ。
「さて、説明は以上だ。実験の性質上、どれだけSCP-389-JP-2が残るか分からん。今回はSCP-████-B-1 吹雪、SCP-████-B-2 時雨、SCP-████-B-3 文月の順に優先して摂食してもらう。また、2つ以上生成された場合は吹雪は艤装をつけて摂食し、それ以外は艤装をつけずに摂食するように。質問は? ……ないようだな。では地下2階の低レベル実験区画へ移動しよう」
最後に広瀬が締めくくると一同揃って地下2階へと移動した。
実験区画へと着いた一同、そこには既にSCP-389-JP-1-A,Bが挿入されたCDプレーヤー2機と軍艦巻き[イクラ軍艦3、トビコ軍艦4、シラウオ軍艦2、イカ軍艦3、コーン軍艦5、からあげ軍艦5]が2セット設置してあった。無論、万が一の事を考えて防弾ガラスの向こう側で実験は行われる。
実験記録████-B-002
日付20██/██/██
対象:SCP-████-B-1,2,3
実施方法:SCP-████-B-1,2,3にSCP-389-JP-2-A,B間での戦闘の結果発生する異常性を持った[軍艦巻き]を摂食させ、経過を観察する。実験の都合上、戦闘を速やかに終わらせる必要があるためSCP-389-JP-2-A,Bに変化させる軍艦巻きを遮音壁を中心とした10m以内に設置する。
戦闘記録389-█
日付20██/██/██
経過観察:実験はAM11:00より始まり軍艦巻きをSCP-389-JP-1-A,Bに遮音壁を隔ててそれぞれ暴露させる。およそ4分後、双方SCP-389-JP-2-A,Bに変化し所々列が乱れているが、どちらもイクラ軍艦、シラウオ軍艦を中心とした輪形陣をつくる。
AM11:10 遮音壁が上げられすぐに双方の存在を発見し、シラウオを発艦させるが、どちらも艦隊に到達する前にからあげ軍艦の攻撃により全滅する。この時点でSCP-389-JP-2-B側のイカ軍艦3貫はSCP-389-JP-2-A側の艦隊に接近を始めた。
AM11:30頃 SCP-389-JP-2-A側はコーン軍艦でミサイル攻撃を行いつつ距離をとり、イカ軍艦を艦隊から分離させSCP-389-JP-2-B側の艦隊へと差し向ける。SCP-389-JP-2-B側はミサイル攻撃の迎撃をからあげ軍艦全てとイクラ軍艦1貫に任せ、シラウオ軍艦はトビコ軍艦2貫とコーン軍艦2貫を伴って後方に下がりシラウオの発艦を行う。残ったトビコ軍艦2貫、イクラ軍艦2貫とコーン軍艦3貫は単縦陣をとってミサイル攻撃を行いながらSCP-389-JP-2-A側の艦隊へと突撃を開始する。
AM11:45頃 双方のミサイル攻撃によりSCP-389-JP-2-A側はトビコ軍艦1貫、コーン軍艦1貫、からあげ軍艦2貫が破壊され、SCP-389-JP-2-B側はからあげ軍艦4貫、イクラ軍艦1貫が破壊された。その後、SCP-389-JP-2-A側の艦隊の進路に先周りしていたSCP-389-JP-2-B側のイカ軍艦3貫が攻撃を行いトビコ軍艦2貫、シラウオ軍艦1貫、コーン軍艦1貫が破壊されるも残った軍艦巻きによってイカ軍艦は全て破壊される。また、SCP-389-JP-2-A側のイカ軍艦3貫もSCP-389-JP-2-B側の損傷した最後のからあげ軍艦1貫を攻撃、破壊したのちに、後退したシラウオ軍艦艦隊を発見し攻撃するもトビコ軍艦1貫、コーン軍艦1貫を破壊するにとどまり発艦したシラウオ艦載機及び残存した2貫により3貫とも破壊された。
AM12:05頃 単縦陣のSCP-389-JP-2-B側の艦隊がSCP-389-JP-2-A側の本隊に追い付き戦闘を始める。双方入り乱れた乱戦になり、SCP-389-JP-2-A側のイクラ軍艦2貫が損傷しながらも残った。しかし、直後に来襲したSCP-389-JP-2-B側のシラウオ艦載機がイクラ軍艦2貫を破壊しSCP-389-JP-2-B側が勝利した。残ったシラウオ軍艦2貫、トビコ軍艦1貫、コーン軍艦1貫が用意した皿の上に移動し、その異常性を失った。
結果:下記の映像記録を参照
広瀬:「え~、では、予想に反して4貫ものSCP-389-JP-2が残りましたので、SCP-████-Bは1貫ずつ、もう1貫は通常の人間である(はずの)三浦博士に摂食してもらうこととします」
三浦:「いや、君だって普通の人間じゃないか。
……SCP-████-Cが見えることを除いてはだが」
広瀬:「だからですよ。それで、食べるネタに希望はあるか? 一応聞いておく」
文月:「えっ~と、コーンがいいです~」
広瀬:「……他はいないようだな。あとは適当に選んで食べてくれ。こちらから食べるタイミングの指示はしない」
[全員の手元にSCP-389-JP-2が行き渡り、SCP-████-B-1 吹雪から食べ始める。その後、SCP-████-B-2 時雨、SCP-████-B-3 文月、三浦博士と続いた]
三浦:「ふむ。久しぶりに食べる寿司は美味いな。そして、うん、なんだ。確かに勝利の味がする」
吹雪:「あぁ! この感じ、この感じです!」
時雨:「うん。やる気が湧いてくる。すごいね、このお寿司」
文月:「これならすぐにでも深海棲艦を倒せそうです!」
広瀬:「どうやら成功したみたいだな。では記録を終了する」
[映像終了]
付記:実験後の精密検査及び、その後の戦闘でSCP-389-JP-2によってSCP-████-Bを人為的に高揚状態にできることが確認されました。ただし、現在の魚介類の稀少性等を鑑みて特に重要だと判断された場合以外のSCP-389-JP-2の摂食は禁止されます。
というわけで、今回登場したSCPはSCP-389-JPでした。
ちなみに中級の寿司ではせいぜい1回の出撃分のキラキラしかつけれません。(という設定)
低級だと1回の戦闘、高級だと…… いわゆる三重キラくらいかな?
登場したオブジェクト
SCP-389-JP ー WARSHIPS
作成:comit様
http://ja.scp-wiki.net/scp-389-jp