追って修正する予定です。
第一層、大広場。中央には噴水があり周囲には座席が扇状に広がっている。元々ベータテスター時代からこの広場は攻略会議の場としてよく使われていた。四十八人もの攻略集団が一堂に会するのに最も便利な場所がここだった。
初めの頃は、無謀にも一人で第一層を攻略しようとしたり、チームを組むようになっても初めは三四人程度だった。途中で攻略集団の認識が改まり、「損害を最小限にするためにも最大人数で攻略する」事が常識となってからフルレイドである四十八人で攻略に望むようになった。
デスゲームと化した今では勿論、誰も死なないように攻略する為にもフルレイドで攻略するしかない。記念すべき一回目の攻略会議である今日、何とかフルレイドに届きそうな人数が集ってくれたのは幸いだった。
私は広間の奥にある石塀の上に座る。位置的にギリギリ攻略会議に参加せずに見物しているだけの一般人に見える位置取り。顔はフードを深めに被って隠しているが、例えばキリトなら直感で気づいているだろうし、他にも私のことを知っているプレイヤーが何人かいるので逆に気づかれているだろう。
少し心が寒い。
いつかの光景を思い出す。アレはデスゲーム開始から一日後、無数の絶望したプレイヤー達が次々と自殺していった時――。
一人のプレイヤーに情報をいつものように売ったのだったか。
そのプレイヤーは情報を信じて前線へ赴き、そのすぐ後に連絡が取れなくなった。
そのプレイヤーの仲間も、情報から7人居たパーティーメンバー全員が、石碑の名前に横線が引かれていた。死んだ時刻はほぼ同じ。確認すれば、私の情報に小さな齟齬があった事が分かった。
当然、私は知っている。私の情報はベータテスト時のものであって正式に発売された正規版とは違いが生じる可能性がある。
それでも、こんな結果をもたらしてしまうだなんて、知らなかった。情報屋として自分は自覚が足りなかったのだ。また、デスゲームへの理解も頭が追いついていなかった。
私のせいで、何人ものプレイヤーが死んでしまった――。
それは許されない事だった。現実世界で罪に問われないとしても、それは明らかな罪。
私は、絶望した。
自分は知らなかった。私はただ、この世界が現実に近づいただけなんだと、ただこの世界で死ねば本当に死ぬだけなのだと思っていた。勘違いしていた。
二つの世界が、ただ単に一つになっただけかと勘違いしていたんだ――。
そんな自分がこのまま生きて、なんの意味があるんだ。
現実で罪に問われないなら、自分で自分を裁くまで。
まあ、そんな下らないことを考えていた自分を救った馬鹿な剣士が約一名いるのだが。
「ちょお、待ってんか!!」
攻略会議を観察しつつ物思いに耽っていると、一人の男が突然立ち上がった。空気を読まない似非っぽい雰囲気漂う大阪人。モーニングスターのような髪型に茶色い感じの上下装備。
誰であろう、そのお方の名はキバオウである!
ふむふむ。
私はそのキバオウの突きつけた事案――ベータテスター云々かんぬん――に対して無反応を貫いた。そして確信した。間違いなくキバオウの裏にディアベルがいる。
キバオウは私のことを多分ベータテスターだと知っている。それなのに私と関わっているのは本人以外の意志が介入しているから。裏でディアベルがキバオウを操っているのだとすればまあ、合点がいく。
現状でディアベルがキリトから主武装の買取を狙っているのは、ディアベルの歪んだ心情からだろう。キリトの名はLAボーナスハンターとしてそこそこ有名だった。
デスゲームとなりベータテスター時代の戦歴がリセットされた今、攻略集団のリーダーとして、キリトのライバルと成る為、LAボーナスを取りに行く腹積もりだろう。
ふと、ディアベルの語ったシナリオを思い出す。
確か攻略が無事に終了した暁には、ディアベルをリーダーに新しいギルドを設立するらしかった。
『ギルドの名前を何にするべきかなー、アルゴさん。神話とかそういうのに詳しいブレイン抱えているんだろう?何か無いかな?験担ぎ出来そうないい名前』
『それを取らぬ狸の皮算用と言うんだヨ。それよりディアベル』
私はふと疑問に思った。
『ベータテスト時との違いがキッカケか、あるいは他の要因でお前が死んだらどうするつもりだヨ。オネーサンは知っておきたいナ』
ディアベルの答えは確か……
「みんな、コレを見てくれ」
野太い男の声を聞いて我に返る。どうやら私の攻略本の存在が露呈したらしい。ディアベルからは念のため、会議はこっそり聞いていていいけど攻略本が話の内容に上がれば退出して欲しいと要請されていた。理由は元ベータテスターがアルゴの存在を露呈させた場合に、広場のメンバーが私の存在を認知するのを防ぐ為。
そんな馬鹿な事をする奴は居ないだろうが、まあ念のためという事で了承済みだ。キリトの驚く顔を是非見たかったのだが、仕方あるまい。
キリトの方をチラリと見る。
その隣には目を付けていた赤いフーデットケープを被った女性剣士が座っていた。
少し羨ましさが込み上げてきて、私は私に嘆息した。
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