俺の/僕の/ 彼女は猫耳/犬耳!!   作:なにか。

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10話『昔話に花を咲かせましょう』

 私には、血の繋がってない姉がいた。

 私の両親が亡くなって、お母さんの所の祖母が引き取る話であったが、お葬式のときに、お母さんの友達の人が私の姿を見かねて、無理を言って引きとってくれたらしい、私にとっては、別にどこに行こうが良かった。大好きな、お父さんとお母さんが居なくなってしまったのは、小さいころの私にすれば凄く悲しかったし、今更どこに行こうと私の心境は変わらないと思っていた。

でも、お姉ちゃんは違った、そんな私に手を差し伸べて、私のことを一番に気にかけてくれて、とても優しかった事を今でも鮮明に覚えている。

 そんなお姉ちゃんに私も徐々に心を開いていき、本物のお姉ちゃんと思うようになっていた。今では、連絡はそこまでとってないし、一緒には住んでいないけど、昔はそれこそつきっきりだった。

私に、生きる希望を与えてくれ、一歩、一歩と道を歩かせてくれた人。

 

 何で姉の話を前置きに置いたかと言うと、莉音ちゃんと初めて会ったのは、その時だったから。いや、私が少し姉の話を聞いてもらいたいと思ったも事実、か。

 

◆◇

 

当時中学三年生になり、蝉が鳴きはめるうるさいころの話

 

「ゆいちゃーん!!」

「わっ!!?、どうしたの?」

 

 西雪莉音、私が転校してきて、最初にできた友達。

優しくて、明るい、少しお姉ちゃんに似ているからなのか、莉音ちゃんの前向きな性格に惹かれたのか、またそのどちらなのかもれしれないが、彼女が私の学校生活を送るたった一人の友達。

 

「結ちゃん、また寝癖ついてるよ?」

「え?…あ、本当だ、はは…」

 

 今朝はお姉ちゃんが早くに出て行ったので、多少寝坊をしてしまった。

いつもは、お姉ちゃんに起こしてもらっているので、寝坊はしないのだけれども、お姉ちゃんがいない時の私は、とても怠惰である。

 

「あ、結ちゃん~、今日お姉さんいなかったんでしょう~」

 

 ニヤニヤ。と手で顔を隠すが隠れきっていない顔に少々腹が立つ。

 

「うっ、うるさい」

 

 歩くスピードを上げ、莉音ちゃんよりも早く歩き出す。

「待ってよ~」と後を追いかけてくる。

 

 彼女に有って、私に無いもの、私たちにはあって、他の人に無いもの

何年前からかなのか、私たちが生まれるずっと前、ソレは生まれた。『毛耳動物人間細胞障病』少なくとも、私が生まれたころにはあったし、そもそも、私たちがソレだ。偉い、病院の先生でもなければ、そういった科学者でもない。

ただ、分かっているのは、私たちには皆にない耳と尻尾、それにその動物の感性が備わっているくらい。

 

「本当…嫌になるよね」

「えー?なにー?なんか言ったー?」

「なんでもないよ」

 

 一言、取り繕った笑顔で返事をする。

 

 

 学校と言うのはとても窮屈でとても苦痛なものだと感じる。

私がこういった体質なんだからなのか、屁理屈的な思考にすぐ頭がいってしまう。

 

学校内では、自分の容姿に視線を感じさせたくないので、白いパーカを制服の上に羽織パーカーのフードを被っていた。

 莉音ちゃんは、特にそういった耳を隠す等はしていなかった。

 軽蔑、差別されるのが嫌だ。たまたま偶然、普通の人間に生まれただけなのに、少しでも違っていれば、私と一緒なのに…。

考えると、涙がこみ上げそうになる。本当に嫌になる。

 

「結ちゃーん、いー!!!」

「…へぇ?」

 

 何かに気づいたのか、隣の席で彼女は左右の指を口に入れ、大きく口を広げる動作をし、こちらに見せてくる。これで、普通なら笑わないのだけども、今の私は、感情がおかしいのか。

 

「ふっ…なに、その顔っ…」

 

 涙と一緒に笑いがこみ上げて、声を出して笑ってしまう。

 

「やっと、今日笑ってくれたね!」

 

 本当、この子は

 

「いつも笑ってるでしょ」

「そんなことないよー、結ちゃん、いつもこんな顔だよ」

「そんな顔してない」

「こうか!」

「ったく…」

 

 

 出されたお茶を、一口飲む。

 

「なんか、あまり莉音って今と変わらないな…」

「昔の莉音ちゃんは、無鉄砲にも程があったよ、達哉君のおかげで今の利音ちゃんがあるのかもしれないね」

 

 と、結さんはオレンジジュースを飲み、羽織さんの方を向く。

 

「ま、まぁ。私も、羽織がいなければ、多分ここまで明るくなかったけどねっ!」

「それは、ありがとう…?なのかな…ははっ…」

 

 にしても、ここまでの話を聞けば結さんと莉音は仲のいい友達に思えるけども、何が原因、いや、問題でいじめなんという結果に至ってしまったんだ。

それに、冒頭に言ってた、もう一人の子というのも気になる。

 俺の顔を見て察したのか、結さんが再びこちらを見て話し始める。

 

「達也、いや、達哉さん、私は一つ謝らなくちゃいけないことがある」

「なん…ですか?」

 

 不穏な空気が漂い始める、まさかここまできていじめてました、なんてことは無いだろうし、緊張で体が強張る、手汗が手を握ってる越しに分かる。

 

「これは、達也さんが多分知らないこと、今まで黙ってた事は謝る」

「な、なんですか…?」

 

 結さんは顔を俯かせ、俺から目を逸らし一言だけ。

 

「莉音ちゃんは…一回だけ記憶喪失になってるの…」

 

 

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