1話 序章
暑い夏も後半に差し掛かった。
最初のほうの暑さとは打って変わって、空気が変わった。
風の涼しさも心なしか……。
「達哉、暑いね、うえーーー」
下を出しながら、仰向けに寝そべる、利音に対して。
「これでも、気温は下がったんじゃにゃいか」
「なにその、喋り方、もしかして私を馬鹿にしてる?」
「いやいや、そんな事ないにゃ」
「ぷぅーーー」
馬鹿にしているわけではないけど、こうもいじってあげると、少し、いたずら心が芽生える。
「あ、そうだ!達哉、これみて!」
「ん?」
そう、莉音に言われ、パッと出されたスマホの画面を見てみると、電子メール型のアプリに表示された一文『新規追加:友達追加のお知らせ』と言う、一文だった。その、友達追加された、名前を見てみると。
「星海 結…」
「そう!!最近、一緒に、お出かけしたときに、追加してもらったの!!」
「……そうか、よかったな」
あの、結さんの話を聞いた後、話を持ち帰り家に帰った。
莉音には、結さんに聞いた話をそのまま話すのではなく、話に少し嘘を混ぜたり、少し極端な話し方をした。なるべく、結さんが悪くならないように。
莉音がどう捉えたかは分からないが、結さんの事は理解してくれたらしく、自分の誤解だと、間違っていた自分を責めていた。
正直なところ、自分の意見だけを言うなら、皆、『被害者』なのだろう、と若干、卑屈なっている部分もある。
そう、誰が『悪い』なんて、ないだろ、事の発端は、この病気のせいだろう
だから、俺が……。
「達哉ー?どうしたの?」
「あぁ、なんでもない…よ」
とりあえずこの話は、おしまい
「でね、でね!!結ちゃんと一緒に夏祭りにいくこになったの!」
「--え?」
◆◇
「そーいえば、莉音ちゃんと夏祭りに行くんだって?」
「なに? 羽織も行きたいの?」
「あぁ、いやそーいう訳じゃないんだけどさ」
いや、行きたいよ、凄く、何ならめちゃくちゃ、と言うかこういうのって第一優先、って僕なんじゃ…ー。
「そう、じゃぁ、達哉さんと結と三人で行ってくるね?」
「…え?達也君居るの?」
「? 居ちゃ駄目なの?現に、今、羽織行きたくないって」
「そそそそそそ、そうは言ってないじゃないかー、いや、僕も!勿論!行くよ!」
まままま、そうだよね、莉音ちゃんが来るのに、達也君が来ない分けないよね、ハハッッ
「でー、因みに、夏祭りはいつなんだい?」
◇◆
「今日!!?」
「そうだよ?今が午後3だから、あと、1時間後くらいには家出るかなー?」
「だいぶ、急だな」
「言ってたと思ってた」
多分、だけど羽織さんも、今日知らされて、俺と同じような反応しているのが、浮かぶな。
そもそも、今日、夏祭りなんてあったんだな、多分だけど準備とかもしてるから、近場だし、準備の音が聞こえてもいいと思ったんだ毛どんな。それとも。これからなのかな…。
そういえば、兄さんも夏祭り好きだったけな。
「じゃ、準備しよっか!」
「そうだな」
◇◆◇
日もだいぶ落ち、辺りは、祭りに行く人たちで溢れていた。俺たちも、その一部だろう。
一般的に違う、とは言いたくないけれど、変わった点としては、彼女の容姿くらいなのだろう、世間一般から見れば、あまり理解はしがたいものだろう、勿論、全員が全員そうでないと言うこ事も知っているが…。
「ほら、莉音、帽子曲がってるぞ」
「や、やっぱり、浴衣に帽子は似合わないよ……」
「で、でもな…」
「あっ! 結ちゃんたち来たよ!」
莉音が指を指す方向には、結さんと羽織さんが向かってきた。
服装も大体一緒で、結さんは浴衣を着ているが羽織さんに関しては、いつもの私服、まぁ、こんなもんよね。
「こんばんわ、達哉君」
「ど、どうも」
軽く、挨拶を済ませる、あの時以来、少し、気のせいかもしれないが壁を感じてたから、気のせいなのかとも思う。
「あ、結ちゃんの浴衣、凄く可愛いね!!」
「…そ、そうかな、ありがとう…莉音も似合ってるよ」
「えへへ、ありがとう」
こう見ると、莉音から結さんへの誤解が嘘だったんじゃないかという位、自然に見える。
「…達哉君、ありがとね」
「?なにがですか?」
「いや、結もさ、だいぶ、莉音ちゃんの事で悩んでいたからさ、解決っていうのかな?正してくれたさ」
「いや、それはこちらこそですよ、お互い様でいいんじゃないんですか?」
「それも。そうかもね、よし!今日はめちゃくちゃ楽しもう!!」
「そうですね」
実際、俺は、利音がなにに悩んでいて、何が怖くてなんて、一切知らなかった。
俺は、ただ知った気になっていたのかもしれない。
そんな自分を、俺はひどく責め立てる。
「俺が、歩いた道は、また間違いだったのかもな」