Emilioの軌跡
ちゃおっす、俺はエミーリオ。
突然で悪いんだが、俺にはいわゆる前世の記憶があるんだ。
前世は日本人だった。
まぁ残念なことに殆ど曖昧な記憶になってるんだがなーアッハッハ。
え?何でかって?実は俺もう500歳くらいなんだわ。
いや自分で驚いたんだけど、何か年取らないらしくてさぁ?
前世の記憶思い出すと同時にそれまでの記憶すっぽ抜けてたから本当の年齢はもっといってると思われ。
でもまぁそこまで悲観してないよ、だって500年も生きてたらもう、なんていうかね、ね?
あ、因みに俺今居酒屋を経営してんのよ。
結構繁盛しててさ、そこはまぁ薄れすぎてる前世の記憶を引き出してなんとか頑張りましたよ、ええ。
今でこそ政治やら経済やらが安定してきて、料理に需要が出てきた時代だったけど、この間までは戦争とかでそれどころじゃなかったってーの。
戦争とか徴兵令あったし、ほんと泣きながら戦争に行ったのは今でも懐かしい思い出だ。
まぁ今もスラム街とか孤児とか餓死する子供の死体とかよく見かけるけど、前よりは幾分もマシになったといえよう。
あ、でも何か最近友人が自警団作るって意気込んでたから、そのうち治安もよろしくなるのでは?と思ってる。
ていうか聞いてくれよ、俺の友人イケメンなんだけど。
なんていうかね、金髪で目の色がオレンジっていう人外みたいなイケメンなんだよ。
そいつがこの間紹介してくれた、赤毛の右頬に入れ墨いれてる青年もイケメンだったな。
なんだよ、イケメンにはイケメンが寄ってくるってか?
こいつら見てると何かを思い出せそうな気がするんだけど、最近は気のせいだと思い始めてる。
それとこいつらとは別に、プラチナブロンドのイケメンお兄さんがよく来るようになってる。
何か俺の店の酒が気に入ったとのこと、とても嬉しいこと言ってくれるのでとりま酒をいつも奢りで一瓶追加してあげてる。
たまに友人の金で祖国(?)日本に遊びに行く。
そこで烏帽と狩衣を着ていた公家の出の日本人!みたいな奴に会った。
語尾がござるなので、ござる丸と呼んでいる。
それでこのござる丸はとても温厚で音楽を嗜んでいるらしい。
すっげぇ笛吹くのうめぇ、思わず息を飲んだね。
その後めっちゃ仲良くなった、多分あと数百年後だったらLINE交換してたね。
最近の出来事はこれくらいかね、あ、違う、まだあった。
いやこれ最近じゃないんだけど、300年前くらいから何か手のひらから炎出るようになったんだよね。
普通の炎よりも熱いし、水で消せないわでひと悶着あったけど今じゃ使いこなせてるので大丈夫だと思う。
戦争の時もコイツあったお陰で頭に矢が刺さってもしななかったし。
でも戦争のなくなった今の時代でこれを使う機会はもうないだろうと思い、最近は全く使っていない。
よっす、俺エミーリオ。
なんか友人が自警団作ったらしい。
まさか本当に実現しちゃうとは、驚きの天元突破だよ。
何かめっちゃくちゃ自警団に来ないかとか言ってるけど、何で居酒屋の店主に自警団させようとしてんの?あんさん…
曰く、俺達の専属料理人になってくれだの。
曰く、お前の酒しか飲めない、いつも飲ませてくれだの。
曰く、お前の作る肉じゃがもどきに惚れた、毎日食べたいだの。
いやお前らそれ誰でも大丈夫だろ、嬉しいけど…嬉しいんだけど!
ぶっちゃけ俺不老だから一緒にい過ぎるとマジで疑われて実験室へ拉致られる未来しか思い浮かばない。
最近じゃ不老だけじゃなく、不死なのでは?とさえ疑っているというのに!
何度も断り、俺にはこの店に命掛けてんねん‼的なこと言えば渋々引いてくれた。
それでもよく来るけどね。
因みに自警団の名前を決める際に、俺の店で夜通しで考えていたらしく、その時徹夜してて疲れてそうな彼らに俺がアサリのスープを出して、それをいたく気に入ったことから、自警団の名前はアサリになったらしい。
おい待てや、それは早計ではなかろうか…入ってくる部下になんて言うんだよ。
知り合いの作ったアサリのスープが美味しかったから、だなんて言ってみろ?幻滅されんぞ⁉
あーあー、マジでアサリの名前にしやがった、俺しーらね。
しかも、何かプラチナの兄ちゃんといつ仲良くなったんだよ。
その後も友人は何人も知り合いを俺に紹介していった。
貴族でパイナップルヘアのイケメンや、大地主の御曹司なわがまま坊ちゃんや、元ボクサーの神父とか、侯爵の美人娘とか…
取り合えずお前の人脈は一体どこから?と思えるほどキャラの濃ゆい奴ばっかり気まくる。
私的にはパイナポーが結構気に入ってる。
だって髪の毛のこと弄るととってもいい反応が来るんだもん。
とまぁ結構皆でバカ騒ぎを俺の店でするのは、いいんだけどさ。
いいんだけどさぁ……毎回屋根やら壁を壊すのはやめようか。
いつも請求書を友人に送るのも心辛いのよ?察しろよ。
今日もまた平和です。
やっほー俺エミーリオ。
そういえば先日、友人が赤毛で短髪の子を紹介してきていた。
名前はすまん、少しお酒入った席で紹介されたから覚えてないんだけど、シナモンみたいな名前してた。
それを本人に言って、もう一度聞いてみると爆笑されて教えてくれた。
だが俺の中ではシナモンが定着してしまい、あだ名はシナモン君になっている。
あれから自警団はどうよ?と友人に聞いてみたところ、敵が多くて疲れるとだけ返って来た。
敵?ああ、テロ集団ね、最近過激派とかいるもんね、疲れちゃうよね。
自警団も大変だよね、仕方ない俺の秘蔵の酒を飲ませてやるよ。
おいおい涙ぐむなよ、頑張れよ!
そんなに参っていたのか…ふむ、俺に出来ることもないしなぁ…。
あ、でもこの間数名の男集団がひそひそと密会みたいなことしてたなぁ。
暴走族とか最近多いから、そういう密会は他所でやって欲しかったんだけどね。
取り合えず、その集団の会話から聞き取れた場所を友人に教えて、そこへは行っちゃダメだぞとだけ忠告する。
本当に暴走族だったら危ないし…
友人が帰った後で、気が付く。
そういえば友人が自警団してんじゃん、警察じゃん…いや行っちゃだめだぞ~よりは行ってはよ捕まえてこ~いって言った方が良かったわ。
あらら、にしても最近はここもガラの悪い奴等多くなってきたなぁ…
昔の農家の人達が集まる酒場は何処へ…
よく来るナッポー君に、試作の食べ物を与えることが最近の趣味とかしている。
彼は貴族だったから舌肥えててね、よく指摘してくれて助かるんだよね。
よく美人ちゃんと一緒にいるから、もしかしてホの字なのかな?と思って聞いてみると、めっちゃ顔を赤くしてたので取り合えず酒を奢ってやった。
チキショー俺も彼女ほすぃ…だけど不老不死の彼氏なんて欲しくないだろうよ。
………はぁ
やぁ、俺はエミーリオ。
何か最近テロが過激化しててさぁ凄く忙しかったんだ。
だって友人の顔とかいつもガーゼばかりだったし、入れ墨の赤毛君も怪我だらけで煙草をいつもの倍くらい吸ってるし、プラチナブロンドの兄ちゃんも目の下に隈あったし、神父さんは孤児が最近増えてるって嘆いてたし、わがまま坊ちゃんは………まぁいいとして、一番気になってるのはナッポー君だった。
凄くいい関係だった美人ちゃんが亡くなったらしい、なんていうか落ち込みようがパない。
酒を煽りにくる毎日にとても心配である。
いつの日か、胃に優しいものをと雑炊を作って食べさせる。
最近イタリアが日本と貿易を強化したお陰で、日本のものが流通しやすくなったお陰だね。
料理の幅が増えて万々歳ですな。
じゃなくて、ナッポー君だよ、今は。
毎日酒を飲み続けて最後は嘆くばかりで、見てられないっていうか…うん。
多分いつもは平静を装ってるから酒が入った時だけこんなになってんだろうなぁと思う。
背中を擦って泣き止むまで言葉を待ってあげるのがコツだ。
懺悔?の中で自警団をもっと強くして弱者を守れるようになりたい!って意気込んでたのでお前なら出来る!って背中を押してやった。
それから漸くナッポー君は持ち直したみたいで、いつもみたいに皮肉交じりで酒を交わすようになった。
よかったぁ、静かなナッポーなんてただのナッポーだって言ったら殴られた。解せぬ。
因みに南国から取り寄せたパイナップルを見せたらもっと殴られた。解せぬ。
よ!俺エミーリオ。
何だか友人がとっても深刻そうな顔で相談しに来た。
え?何々、仲間が裏切ったというか謀反起こしそう、どうしよう…と?
そりゃおま、お前…叱れよ。
ふむふむそいつは結構実力あって、友人の親友を殺そうと企てていると。
なんということだ!それアカンって。
俺に相談する前に阻止する算段を立てろよおま……え、何算段は立ってる?
もうそこまでいってんならお前の心行くままに行動した方がいいのでは?
投げやりに助言をすると、友人はお前に相談してよかったとか言って晴れた顔で店を出て行った。
ええ…、もうちょっと真剣に聞いてあげるべきだったな。
にしても相談だけして何も頼まないってお前…まぁいいけどさぁ。
数日立った頃に、再び来た。
今度も重たい顔をして入店するもんだから、酒を取り出した。
取り合えず飲め!と命令口調で飲ませて、酔っぱらった頃に色々と吐き出してくれましたよええ。
やっぱり沈んでる奴には酒飲ませて胸の内を吐かせるのが一番だと思うの。
ええと何々?
うん、親友は守れたと、よかったジャマイカ。
だけどこのまま親友は死んだことにして?ほほう、それで離れた無人島で過ごしてもらうことにしたと。
ええー、いやまぁ残党とか残ってまた狙われても困るし、だけど無人島っておまえ…
島流しじゃないんだからさぁ、え?二度と会えないの?一生?
何そこまでの覚悟だったの?マジかーその思い重すぎるわー
秘密裏に会うくらいならいいと思うけどなぁ…あ、バレる恐れがあると。
ていうかその謀反おこした奴はどうなったん?え、そのまま?
このままにしておくのが一番ベターだと…ふむふむ、何か複雑ね、お宅の組織。
そんな疲れた時は酒飲んで一時だけ忘れとけ。
うんうん、はいはい、愚痴なら何でも聞いてやるって。
待て、泣くのは待て、蒸しタオル持ってきてやるからって、あーイケメンが台無しだよおま。
一体どこからこうなってしまったか分からないって言われても、人間関係の不和なんて誰もが未然に防げるもんじゃないしね。
そこはもう潔く諦めた方がいいのでは?
まぁ頑張ったって出来ないこともあるもんだろ、お前は頑張り過ぎなんだって。
今回のことは気に病むなよ、組織となればいつかは衝突が起こるもんなんだから。
え?結局何が言いたいかって?あれだよ、おま……過去ばっか見てないで、前見ろ前。
おーおーやっといつものお前に戻ったかぁ、よかったなー。
また酒飲みに来いよー、今度は他の奴等連れてだぞ
頑張れよー
うぃ、俺エミーリオ。
友人が急に日本に帰化するって言いだした。
マジかよー寂しくなるなー。
余生を日本で過ごしたいとか言ってるけどお前十分に若いからな?マジで。
え?俺も一緒に日本行かないかって?
あー悪いけど、無理無理、いや凄く魅力的な話なんだけどね、うん。
でもやっぱり俺の不老不死はちょっと知られたくないな、うん。
ゴメンネー、俺イタリア好きだからさー。
まぁあと数年したら出ていく気満々だけどな、ちょっとここに留まり過ぎたと思ってる。
全然老いない俺が怪しまれそうなのであと数年でどっかの国に違法入国する予定であります。
日本で奥さん作って大往生しなよー!ってすっごい笑顔で送り出した。
友人も満面な笑みで手を振ってくれた。
その後、ナッポー君が良く来るようになった。
最近お前機嫌いいなーと思って髪の房を弄り出すと殴られた、解せぬ。
どうやら内輪もめしてたけど、邪魔者がいなくなって清々したようで。
うん、まぁお前最近悪人面になってるけど、お前がそれでいいならよかったなー。
入れ墨の青年もたまに酒を飲みに来る。
上司が変わって、疲れてるって言っていたので秘蔵の酒を奢ってやった。
今の自警団は少し方向性が変わりつつあるらしい、マジか。
こんなことの為に俺は強くなったじゃねぇのに…って遠い目をしてる入れ墨君の頭を撫でてあげる。
お前は頑張ったよ、だからさ、少し休めって。
大丈夫俺は誰にも言わねぇし、今日はもう店仕舞いしてやるから。
すると入れ墨君が小さな声でお礼を呟いたので、思わず吹き出したら殴られた、解せぬ。
いやだってお前がしょげてるのって珍しくて、あー拗ねるなって悪かったよ。
ほら愚痴って重たい肩軽くしとけ?な?
んで明日からまたがんばりゃいいさ。
日本のサラリーマンなんてブラック企業をそうやって生き抜いていくんだからさ。
どうやら入れ墨君は頭を撫でられることが好きなようだ。
素面の時にやったらぶん殴られた、解せぬ。
ハロー、俺エミーリオ。
最近、揉み上げとしっぽ髪が特徴的なあだ名二代目君が最近よくお酒やおつまみを食べに来てくれる。
何か初対面ですごく威圧してくる人だったけど、こちとら伊達に500年も生きてないんだよ。
普通に接しているとすごく慣れ慣れしくなったので、やっぱり最初は委縮しとけばよかったと思うこの頃。
それと、友人が日本へ帰化してから数年経ってんだけど、ちょっと最近物騒なマフィア集団が出来あがったらしい。
てなわけで、ちょっとイタリアとはおさらばしようと思う。
どのみち長く居続けられないし、元々出る気ではあったんだけどね。
本当に贔屓のお客さんには悪いんだけどね、これからは弟子をここに置いて俺は自分探しの旅()に行くことにするよ。
ナッポー君とか入れ墨君や神父さんにプラチナブロンドのお兄さん、あとわがまま坊ちゃんに挨拶しに行く。
凄く惜しまれた。
嬉しい、正直嬉しいんだけど、すまんこれ以上いるわけにはいかなんだー。
取り合えず、ハグだけして皆とはお別れした。
ナッポー君が最後まで渋っていたけど、弱者を守れるような組織が出来あがったら呼んでくれ!とだけ言い残して彼を振り切ってイタリアを出た。
出来れば今過激的になってるマフィア集団を潰してから呼んでほしい。
お前一応自警団なんだし…。
ってなわけでイタリアを出た俺は世界を転々としていった。
あーあいつら元気でやってるかなぁ…
衝動的に書いた。
後悔も反省もしていない。
続くか分からない。