Emilio   作:つな*

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エミーリオは思われる。

爆破の嵐に

切り裂く嵐に


Emilioへの信頼

獄寺side

 

俺にとってエミーリオは嫌いな大人連中の中で、数少ない頼れる大人の一人だった。

年が近そうに見えるのもあってか砕けた口調で話せるから、リボーンさんよりも距離が近かった。

最初は警戒したが、あいつの作る料理の腕前に警戒するのをやめた。

姉貴の料理の酷さを知っている俺からしたら人の作る飯は恐怖しかなかったが、エミーリオの料理はそれすらも黙らせるほどの腕前だった。

ただ意地で突っぱねるような態度を取っていたけれど、エミーリオが気にした様子はなかった。

俺は一人暮らしだったから、料理は作るか買うかだった。

だからスーパーやコンビニで弁当を買ったが、エミーリオの飯を食べた後じゃ不味く感じるようになった。

それからエミーリオの店に夕飯を食べに行くことがぐんと増えた。

エミーリオも独り暮らしだった俺の食生活を察してか、メニューにない料理も出すことがあった。

 

「おいこれメニューにあったか?」

「ああ、それはお前が栄養偏らないように作ったサラダだよ、余りもので作ったからメニューにはねぇぞ」

「そーかよ」

 

おい、あんた、てめぇでしか声を掛けなかったことにエミーリオから注意された。

いつもの俺ならば反抗的な態度を取っていたが、いつも作ってくれる飯の温かさに名前くらいならと、そのまま名前を呼び始めた。

決してあいつの拳骨が怖かったからじゃねぇ、絶対だ。

 

「なぁニョッキかポレンタが食いてえ」

「え?ポレンタ?あー、材料あったかなぁ…ニョッキは作れるぜ、客の邪魔にならねぇように隅っこの席座ってろ」

「あ、ああ…」

 

久々に食べたくなった母国の料理を口にすると、アッサリと作り出すエミーリオに少し間の抜けた声がでた。

懐かしい匂いと共に出てきた料理に少しだけ安堵した。

味も何もかも子供の頃食べたそれよりも美味しかった。

毎日10代目の護衛を務めることで張りつめていた警戒心が解かれていくようだった。

料理にそこまで頓着する性格ではなかったが、エミーリオの店に頻繁に来るのは心のどこかで安心を求めていたからなのかもしれない。

死んでもそれを奴には言わねぇが。

ヴァリアーが10代目の命を狙ってきた。

偽物のリングを持ち帰りイタリアに去っていったヴァリアーが再び日本に来るまでの間俺達は各自修行に励んだ。

俺はシャマルに頼んだがシャマルの野郎は首を横に振るだけだった。

俺は山籠もりで修行するつもりで、エミーリオに弁当を作って欲しいと言ってみると快く承諾してくれた。

 

「頑張れよ修行」

「…おう」

「焦ったって何にも身につかねーぞー」

 

シャマルに断られ続けることに焦っていた俺は、エミーリオの言葉で少し冷静になる。

漸くシャマルから技術を教わることが出来、俺はヴァリアーとの対決に向けてボムを開発し出した。

それからボンゴレリングを掛けて決闘が始まった。

嵐の守護者の対決の日が来て、俺は時間ギリギリまで技を完成させようとしていた。

そして開戦ギリギリで到着し、ヴァリアーの嵐の守護者であるベルフェゴールと対峙した。

 

 

 

「嵐のリングはベルフェゴールのものとなりましたので、勝者はベルフェゴールとなります」

 

チェルベッロの声が耳に届く。

結局俺は勝利を捨てて自身の命を優先した。

10代目の言葉に思い止まり、あの爆発から逃げた。

10代目は、重症ながらも意識のある俺に安堵していた。

 

「10代目、リング取られるってのに…花火見たさに戻ってきちまいました」

「獄寺君、良かった……本当に良かった…」

「俺負けたんですよ…」

 

10代目はただ安堵するばかりで、俺は複雑な思いで一杯だった。

次の日の雨のリングの対戦では、軋む体に鞭打って観戦しに行った。

野球バカの勝利に終わり、相手側は鮫に喰われて死んだ。

ヴァリアーの連中に仲間意識なんぞこれっぽっちもねぇことなんか分かっていたが、嫌悪感は募るばかりだった。

翌日になると、漸く誰の手も要らずに歩けるようになった。

シャマルにはまだ安静にしておけと言われたが、病室でずっと横になっていると俺は消化不良の感情にヤキモキしていた。

少しでも外に出て気持ちを切り替えようとした。

だけど中々切り替えられず、痛む体で並盛を歩いていた。

並盛中の近くを歩いていると、視界の端にエミーリオの店が入る。

どうせこのまま歩き続けても傷が悪化するだけだと思って中で休もうとした。

エミーリオのことだから金なくても居座るだけなら許してくれそうだしな。

軽い気持ちで入った俺にエミーリオは目を丸くして、そんなエミーリオに俺は今自分が包帯塗れであることに気付いた。

こっちこい、とエミーリオの言葉に反応して、俺はエミーリオの後ろをついて行った。

案内された場所はあいつの部屋だった。

そりゃそうか、こんな病人を客席に座らせられないよな…

ベッドの上に座らされたことで、漸く足の痛みから解放される。

 

「何かあったのか?」

「………」

 

エミーリオの言葉にどう言おうか迷ったけど、結局そのまま自分が負けてしまったことを話した。

 

「…俺は…自分の命惜しさに…負けたんだ…………」

「10代目は…良かった…って言ってたが………そんなハズねぇ…」

「リングが3つも取られた……後がもうねぇんだ……良かったハズがねぇ」

「今日…野球バカが勝ちやがって…初戦で芝生頭も勝ちやがるし…」

「唯一負けたアホ牛は戦力外だったんだ……俺が他よりも劣ってるってことじゃねぇか!」

「俺だけがフェアな戦いで負けちまった!実力で負けたんだっ」

「くそっ……何でだよ!くそ……」

「あんなに修行したのに……何でだよ……」

 

そんな時にふと頭に重さが加わった。

んな慰め必要ねぇと頭の上に乗っかった手を振り払おうとした。

 

「悔しいよな」

 

そう 悔しいんだ

この怒りの名を声に出されて改めて身に染みた。

悔しいんだっ……

10代目への申し訳なさもあった。

右腕の名に対する遣る瀬無さもあった。

野球バカや芝生頭に対する妬みが多からずもあった。

自分の力に対しての不甲斐なさもあった。

でも一番は悔しかった

ただ、ただ悔しかったんだ

 

「負けた奴には二つの可能性がある…」

「負けを次に活かして強くなる奴と、そのままずるずる引き摺って負け続ける奴だ」

 

エミーリオの手がゆっくりと動く。

頭部にも怪我があるはずなのに痛みはなく、ただ心地よさだけが残ってた。

 

「まぁ俺はお前が強くなる奴だって知ってるけどな」

 

俺の頭を軽く叩くように撫でると、エミーリオは店の方に戻っていく。

俺は力を込めてた手をゆっくりと開いていくと、同時に視界がぼやけていった。

包帯がどれだけ塗れようが構わず腕で顔を隠す。

 

悔しい

くそっ…くそ!

……悔しい……悔しすぎんだよクソが…

 

涙も鼻水も出てきて、サイドテーブルに置いてあったティッシュで鼻をかむ。

元々重症の体で出てたことで体力が限界だったこともあって、そのままベッドに気絶するかのように意識を手放した。

 

「……やと…」

「ん…」

「…い、隼人、起きろ」

「あ?」

「おい、起きろ…もう夜だぞ」

「は…?」

 

エミーリオの言葉に数秒してやっと意味を理解する。

勢いよく起きた拍子に、体が痛んだがそんなことはお構いなしにエミーリオに時刻を聞きだした。

 

「おい!今何時だ!」

「あ?今確か11時前…」

「マジかよ!」

 

今日は霧の守護者の対決だ!

エミーリオの店を焦って飛び出す。

 

「おーい、お前怪我してんだから走るなよ!」

 

エミーリオの声が後ろから聞こえ、俺は足を一旦止めて振り返る。

 

「……ありがとな」

 

目を丸くするエミーリオに恥ずかしくなり再び走りだす。

一歩踏み出す足は軽くなっていた。

俺をガキ扱いする大人は嫌いだ。

 

でも 

 

エミーリオの手はどうしても嫌いにはなれないと思った。

 

 

 

ベルフェゴールside

 

次期ボンゴレボス候補を殺す為に日本に来た。

直ぐに八つ裂きにしようとしたけど門外顧問が邪魔してきて、守護者同士の決闘になった。

一番最初は晴の守護者の対戦で、俺は早く自分の番が来ればいいのにと思った。

夜に対戦するから昼は暇になり、俺は街をぶらぶら歩いていた。

ッチ、マーモン連れてこれば良かった。

何にもない街に飽きてきてホテルに帰ろうとした時に他の店と雰囲気が違う店を見つけた。

店の外見はまるでイタリアのそれに似ていて、興味本位で中に入る。

店員が来て席に案内され、メニューを渡される。

 

「へぇ、酒場なの?ここ」

「夜から居酒屋にしていて、昼は普通の飲食店になってるんですよ」

「ふーん…あんたがマスター?」

「そうですよ」

 

随分と若い奴だなと思った。

そのあとオススメの酒を注文して、出されたのはオレンジ・ブロッサムだった。

俺カクテルそこまで好きじゃねーなーと思いながら一口飲むと、グラスを落としそうになった。

 

「なにこれ…」

「ネーブルオレンジ使ってるから甘くて若い人にとっても人気なんですよ、特に女性に」

「いや、甘いけど…」

 

甘いだけじゃない、確かにネーブルオレンジの甘さもあるけど、ベースのジンの味が今まで飲んできたものとは違う。

酒の原料なんて知らねーけど、このジンはヴァリアー本部で飲むものよりも断然に美味しかった。

ヴァリアー本部にある酒だっていいとこのものだ。

俺は舌が肥えてる自覚はあったが、酒で驚く日が来るとは思わなかった。

 

「これどこの?」

「それは自家製ですよ」

 

マジかよ……シシッ、こいつ欲しい。

ぜってーボスも気に入る。

 

「おいあんた気に入ったよ」

「ありがとうございます」

「敬語はいらねぇ」

「ん、分かった」

「なぁ俺んとこで働かねぇ?」

「ん?」

「つか来い、専属で雇ってやる」

「あ、ごめんそういうの断ってるんだ、俺はちまちまと自分のペースで働くのが性にあってるんでな」

 

即断られたが、知るか、俺が決めたからにはぜってー連れて行く。

何度も拒否するこいつに苛立つが、それを察したのか宥めてくる。

 

「あ、サード・レールもオススメだぜ、ほら飲んでみな…これは俺の奢りでいいよ」

「なにこれ」

「ベルモット、ラム、オレンジのカクテルだな…若干甘めに作ったものだ」

「ふーん」

 

認めたくないがすげぇ美味い。

途中でサイドも頼んだ。

酒がこれだけ美味しいとサイドメニューも期待してしまう。

サラダとクレープが出てきたがどれも美味しかった。

 

「やっぱあんたぜってーに雇う」

「えー…諦めてくれない?」

「王子の言うことは絶対なんだよ」

「王子………そういえば王子君の名前って何だい?」

「あー?ベル…ベルフェゴール…そういうあんたはー?」

「俺はエミーリオだ、日本に滞在中はいつでもおいで」

「ぜってぇーイタリアに連れて行くかんなーシシッ」

 

気付けば夜で、俺は全くリング戦のことを忘れていて、エミーリオの店で飲みまくってた。

んでいつの間にか眠ってたらしく、起きるとエミーリオの部屋で寝かされてた。

そこでリングのことを思い出して、時間を確認すると既に夜中。

あちゃー…隊長うるさそー…

どうせこのまま帰っても怒鳴られるだけだしーと思いエミーリオに酒頼もうとしたら帰された。

ホテルに戻ったら観戦さぼってんじゃねぇとスクアーロにくっそ怒られた。

どうやらオカマは負けたらしい、ダッサ。

次は雷ってことはレヴィか。

相手はガキだ、負けるわけねぇだろ。

その日はホテルで暇を潰して、夜に並盛中に行った。

結果レヴィの辛勝だった。

あんなガキ相手に手こずるとか意味わかんねー…

相手の大空の奴が乱入して大空のリングはヴァリアー側のものになってヴァリアーの勝利だったけど、ボスが相手を徹底的に潰したくてそのまま続行された。

目の前の会話を他所に明日の昼はどう潰そうか考えてた。

あーあーどのみち昼間は暇だからエミーリオんとこ行こう。

次の日にエミーリオの店に行って酒とつまみを頼んだ。

今日は嵐の対戦だったからアルコール度数低めの酒ばかり飲んでた。

 

「やっぱあんたイタリアに連れてく、絶対に、拒否権なし」

「まだ諦めてなかったかー…」

「シシッ、ボスに頼んでも連れてくし」

「えー…困る…」

「ま、抵抗したら腕斬り落としちゃうけどね」

「それは本末転倒なのでは」

 

俺はナイフを取り出してエミーリオに刃先を向けて揶揄いだす。

だけどエミーリオがそれを怖がる素振りは全くなかった。

むしろ呆れてるような様子すらあった。

へぇ、でもこんくらい肝据わってなきゃヴァリアーで働けないよな…。

ボスも絶対気に入るな。

 

「あー…王子君はいつイタリアに帰るの?」

「あ?一週間ぐらいじゃね?」

「そう……んーなら一週間限定でお試し期間でどうだい?」

「は?」

「君の職場の待遇とかも考慮したいからね、一週間で俺を納得させられるような条件出せたら就職考えたげるよ」

「何その上から目線、ムカつく」

「ごめんごめん、ほらこれ食べて機嫌直して」

 

その後11時前まで入り浸り、そこから並盛中まで歩く。

嵐の守護者対決では腹も満たされて、ほろ酔い状態でテンションがハイになってたこともあり、初っ端から全力で切り掛かっていった。

だけど途中で予想外にもしぶとい相手側の攻撃に怪我を負う。

最終的に血を見て興奮して、取っ組み合いになったところを制限時間が過ぎて爆発に巻き込まれて終わった。

俺の手には嵐のリングがあり、勝利したことに酔いしれていた。

あの後ホテルに戻り簡易的な治療が終わってそのまま眠った。

起きると朝になってて、足も歩く程度なら松場杖だけで十分になるほど回復してた。

だからまたエミーリオの店に行ってきた。

包帯塗れの俺に心底驚いてたけど、まぁいいや。

ノンアルコール出されたし、ふざけんな。

チーズリゾットも一緒に出たから仕方なく許してやった。

デザートも所望したらちゃんと出してくる。

くっそ美味かった。

やっぱりこいつヴァリアーの専属シェフにしてぇ…

帰り際に席から立ち上がろうとしたら松場杖が滑って俺は体勢が崩れ、テーブルの角に頭をぶつけた。

いってぇ…くそ…

苛立ちながら立ち上がろうとした時に、痛む額から液体の様なものが伝った。

そしてまつ毛にかかった赤を視界に捉える。

 

あ……王族の…血……

 

瞬間全身が沸騰するような錯覚に陥った。

急に何かを額に押し付けられたが、煮えたぎった興奮を抑えきれずに額を押さえつけられているそれを跳ねのけようとした。

 

「お、おい!暴れるな、コラ!」

「ぁぁぁぁああああ、王子の血がぁぁぁあ…」

 

ああ、邪魔だ、どけ、死ね

お前なんか死んじまえ、死んじまえ、死ね、死ね

憎いあいつを、早く、早く、この手で、殺して、殺して

俺が、俺の方が王に相応しいんだ、俺の方が優れてるんだ、お前なんて、早く、死んでしまえ

刺して、嬲って、斬って、裂いて、殺して

 

「ベル―――――ル!」

 

殺した?―――――――――殺した。

埋めた?―――――――――埋めた。

楽しかった?――――――楽しかった。

気持ちよかった?――気持ちよかった。

 

もうあの憎たらしいあいつはいない――――――…

俺が刺して、裂いて、埋めて……

殺した。

 

「ベルフェゴール」

「……は……ぁ…あ…血ぃ…」

「うん、ちょっと静かにしてろ」

「流しちゃったぁ……」

「ちょ、前髪邪魔」

 

ゆっくりと前髪があげられたのと同時に視界が晴れる。

あ……目の前にいる奴……あいつじゃない……

………エミーリオだ…

そうだ、あの憎たらしいあいつはもう死んだんだ…

それを自覚すると、まるで冷水を浴びせられたかのように急に体が冷めきった。

それからハンカチについた自分の血を見ても何も感じなくて、少し困惑していた。

 

「ベル、少し傷開いてるから後で病院行けよ」

「……」

「ベル」

「わ、分かった…」

 

あの後エミーリオに途中まで送ってもらい、ホテルに戻った。

自分の手を見るが先ほどの感覚が何だったのか分からなかった。

それから、スクアーロもマーモンもゴーラ・モスカも負けた。

でもモスカの中身が九代目で、ボスの狙いはこれだったのだと分かった。

なにこれ面白そう…あのガキ殺されたな。

明日が楽しみで、俺は明日の惨殺劇をエミーリオに見せたくなった。

これでボスの凄さも分かってもらえるし、それで専属シェフになってくれるで一石二鳥じゃん。

次の日の朝、早速エミーリオの店に行く。

今日の大空戦をどうしても見てほしくて、エミーリオに来るよう命令したが、ずっと断ってくる。

明日はボスの銃捌き見れるかもしれないんだから、見るべきでしょ、シシッ。

最後まで首を縦に振らなかったので、小部隊の奴等に夜時間になったらエミーリオをグランドに連れてくるよう命令してた。

大空戦が始まって、デスヒーターの毒で動けなくなった。

でも何とか解毒して色々あったけど、結局ヴァリアー側は負けた。

ボスが本当は九代目と血が繋がってなくて、ボンゴレリングがボスの血を拒んだ。

衝撃的だったけど、俺はボスについて行くことをやめようとは思わなかった。

だってあんな友情ごっこしてる奴等よりもボスの下の方が絶対に良いに決まってる。

でも何だろう…隠されてたことは正直面白くない。

あの後、ボスは病院に運ばれたしヴァリアーは解体されるだろうなぁと思った。

でもボスのことだしまた何らかの組織作りそうだから今は上の判断待ちしか出来ない。

どうやらヴァリアーはお咎めなしのようだ。

九代目がボスの心情を汲み取っただか何だか知らないし、興味もないけどまだヴァリアーは存続するらしい。

どこか安心した自分がいた。

そんな時にエミーリオのことを思い出した。

あいつ来なかったじゃん!いや別に今回は逆に来なくて良かったとすら思ったけど。

まさかボスが負けると思わなかったし。

んー、でもどうせヴァリアーが存続するならあいつ専属シェフに欲しい。

やっぱりボスにエミーリオ紹介しておかなきゃ。

そう思って、エミーリオの店に行った。

 

「おいエミーリオ!」

「げ、王子君…昨日は行けなかったよ」

「それは別にいいや、それよりボスが入院してるから飯作って」

「ん?病人食?」

「怪我なだけ、肉沢山入れろよ!」

 

エミーリオに全部丸投げして、先に病院へ行く。

エミーリオを絶対にヴァリアーに入れたいし。

一時間くらいボスの個室で暇潰してたら、窓からエミーリオが見えた。

お、きた!

ボスには事前に新しいシェフ雇いたいって教えている。

俺は病室を出て、エミーリオが来るのを待ち、エミーリオが病室の手前に来た時に後ろから驚かしてそのまま病室のドアを開けた。

 

「ちょ、そんな勢いよく開けるなよ…病院内だぞ」

「いいのいいの、それよりボス!こいつがさっき言った奴!」

「おいベル、うる…………は?」

「あ」

「え?」

 

三人同時に素っ頓狂な声をあげた。

 

「あれ?ザンザス?………待て、王子君の上司ってザンザス!?」

「え?」

「何でてめーがここにいんだ、エミーリオ」

「はぁ?ボス!こいつと知り合いなの!?」

「うわー…ザンザスが俺の名前覚えてる…」

「ッチ、おいベル外せ」

「え?……え、うん……」

 

正直混乱してたけど、ボスの言葉に従って病室を出る。

そしてルッスーリアとスクアーロのいる病室に駆け出す。

 

「おいオカマ!隊長!」

「ちょっと、オカマはやめてよん!」

「ぅ"お"ぉい!どうしたぁ!」

「エ、エミーリオって知ってる?」

「あら?懐かしい名前ね」

「あ"?んでそいつの名前が出てくんだ?」

「え、待って、ボスとそいつどういう関係なわけ!?」

 

二人が知ってるという事実に俺は心底驚いた。

 

「あー……そうね、ベルちゃんは彼と入れ違いだったものねぇ」

「は?あいつ元ヴァリアー隊員?」

「違うわよ、専属シェフだったのよ、ボスの」

「はぁぁぁあ!?」

「ザンザスが5歳の頃からいた世話人みたいな奴だぁ」

「嘘………」

「マジだぁ…あのザンザスを叱れる奴がいるとすればあいつだけじゃねぇのかぁ?」

「は⁉嘘でしょ!?」

「ボスの顔にケーキ投げつけてたことあったわねぇ」

「最終的に俺まで被害にあったけどなぁ!つか何でそいつの名前が出てくんだぁ」

「あ、そ、そいつ今ボスの病室にいる…っていうか……分からずに俺が呼んじゃった…」

「「え」」

「これってヤバイ?」

「「…………」」

「俺暫くボスの病室に近寄らない」

「それが賢明だろうなぁ"」

 

にしてもボスの世話係……ねぇ。

ナイフ向けてもそりゃ微動だにしないハズだ。

 

んー…でもやっぱり、エミーリオにはヴァリアーに来てほしいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 




エミーリオがアップを開始しました。
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