Emilio   作:つな*

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エミーリオは理解することはない。


Emilio 番外編 12

「ねぇ、聞いた?今ニュースで地球に隕石が近づいてきてるんだって」

「ああ、聞いた聞いた、確か一週間後だっけ?」

「今度の隕石はいつもより大きいんでしょ?」

「そうだっけ?チラっと見たくらいだからそこまで分かんないや」

「あはは、それより今日の宿題でさー」

 

昨夜、惑星防衛調整局が地球に接近している隕石を観測した。

時速4万㎞で接近している隕石は非常に巨大で、現時点での観測結果では、6日後に地球に衝突する予測が立てられている。

この情報をニュースで報じている今、現状の深刻さを理解している者がこの地球上に幾人いるのだろうか。

専門家は次のように言った。

『この隕石が衝突した際、国が何十と消滅し、星に多大な被害をもたらすだろう』

各国の最先端技術を駆使したミサイル兵器ですら、接近中の隕石を破壊することは不可能だった。

未だ現状を理解せず楽観視している者達は今日も平凡な日々を送ろうとしていた。

その中に彼も含まれていたのだ。

 

「いらっしゃいませー」

 

並盛のとある住宅街のご真ん中で洋風の店を営んでいるその男の名はエミーリオ。

人気が段々と出てきているその店ではピークであるお昼時に席が満席になることが当たり前だ。

 

「ちょっとエミーリオさん、知ってます?今ニュースで隕石が近づいてるんだって!」

「ああ、テレビでよく報道されてますよね…」

「怖いですよねー、これが日本に当たっちゃうと思うと…」

「いつもみたいにどっかの海に落ちるんじゃないですかね?」

「そうですよね」

 

地球に接近してくる隕石を楽観視しているエミーリオだが、

 

 

「政府がなんとか頑張ってくれますよ」

「そうだといいんですけど」

 

彼の本業は自営業ではなく

 

「きっと報道が過剰なんですよ」

「それは少し思います、だって普通国の危機レベルだったら避難勧告みたいなの出しますよもんね」

「ですよ」

 

星の守護者である。

 

「エミーリオさんは隕石衝突の日とか何か予定あるんですか?…確か6日後でしたっけ?」

「え、そりゃぁ勿論」

 

そう

 

 

「店で働くだけですよ」

 

 

 

❝星の守護者❞である。

 

 

 

 

 

 

 

「エミーリオ」

 

隕石衝突まで5日、彼の店に顔馴染みの客が現れる。

 

「バミューダ、おはよう」

「ああ、おはよう…最近はどうだ?」

「普通だよ、何か飲む?」

「じゃあカシスオレンジを」

「了解」

 

黒いハットを被り、顔面には黒い包帯を巻いている背丈が子供の彼の名はバミューダ。

頻繁にエミーリオの店に訪れては近況を聞いてくる人物である。

彼がエミーリオの店に仕込んだ監視カメラは数知れず、監視されているエミーリオに至っては全く気付いていないという鈍感っぷりを発揮しており、バミューダの奇行に歯止めがかかることはあるのだろうか。

最近の彼の悩みは、エミーリオが携帯を置いてどこかに出かけてしまうという点だけである。

決して彼とコンタクトを取りたい時に取れなくてもどかしいという理由ではないことをここで明記しておこう。

 

「そういえば昨日からどこもかしこも隕石の話で持ち切りなんだよなー」

「そういえばそうだな、君の本領発揮どころではないか」

「えー…俺の出る幕なんかないんじゃねーか?」

 

依然としてエミーリオには星の守護者としての自覚がない模様で、隕石に対してもあまり関心がない様子だ。

バミューダはそんなエミーリオを見ていて呆れる、なんてことはなくむしろ余裕のある様に関心すらしている。

流石エミーリオ、と彼へのフィルターが故障しているバミューダがエミーリオの本心を知る機会など一生()はしないのだ。

 

「では、また来るぞ、エミーリオ」

「ああ、いつでも来いよー」

 

小一時間程エミーリオと喋ったバミューダは満足げに帰っていく。

そんな彼を見送ったエミーリオは店に戻り、開店時間までの準備を始める。

 

 

 

 

隕石衝突まで4日、彼の店に顔馴染みの客が現れた。

 

「よぉ、エミーリオ」

「エミーリオさん」

「久しぶり、エミーリオ」

「久しぶりだな、トリオ達」

「ト、トリオって…」

「だっていつもお前ら三人一緒だろ」

「そうですけど…」

 

上から獄寺隼人、沢田綱吉、山本武で、彼らは並盛中学の生徒である。

また沢田綱吉はボンゴレマフィアの時期ボスであり、山本武と獄寺隼人はその側近だ。

そんな将来物騒な職につくであろう彼らが手にしているのは筆記用具とノートである。

 

「また宿題か?」

「は、はは…」

「毎回定休日狙ってくるあたり、ここお前らの自習室だと思ってんだろ」

「ご、ごめんなさい!家のクーラーが直ったらちゃんとそっちで勉強します!」

「ならいいけど、あっちのテーブル使ってくれ」

「はい!」

「ありがとなエミーリオ!」

「サンキュー」

「はいはい」

 

木曜日の定休日は必ずといっていい程誰かがエミーリオの店に来る。

その中でもこの三人がよく入り浸ることが多いのだ。

宿題を持ってきては店の中で勉強をする彼らの隣で新メニューを開発しているエミーリオ。

穏やかな時間が過ぎていく中、勉強をしていた三人が休憩がてら喋り出す。

そんな中、獄寺隼人がエミーリオに声を掛けた。

 

「おいエミーリオ、お前地球に接近してる隕石知ってるよな?」

「ああ、お客さんもずっとその話ばかりだからな」

「お前どうすんだよ」

「どうするたって…何が?」

「いや隕石破壊しに行かなくて大丈夫なのかよ」

「あんなちゃっちい隕石でこの星が死ぬわけねーだろ」

「ちっせーたってお前、それでも数か国の国が消滅するかもしんねー規模だぞ?」

「まぁ当たり所悪けりゃそうなるよなー、でも各国対策ぐらいは立ててんだろ」

「対策って、人間頼みか?」

「?……今のところは…?」

 

首を傾げるエミーリオには隕石への関心は微塵もなかった。

 

「エミーリオも何か隕石に関してあんま乗り気じゃねーし、そこまで大したことないんじゃねーか?」

「そう、かなぁ…」

「きっとメディアの過剰報道ッスよ」

 

三人はそう思い込むことで、エミーリオへの違和感を消し去った。

君たちはエミーリオの側にいる為危機感が麻痺しているのだと、指摘する者は誰もいなかった。

当のエミーリオは新メニューのことで頭がいっぱいであったのだ。

三人は宿題を終えると、エミーリオにお礼を言い店を出ていく。

エミーリオは窓を見て既に夕方だと気付き、カーテンを閉める。

 

 

 

 

隕石衝突まであと3日、顔馴染みが店を訪れた。

 

 

「久しぶりですね、エミーリオ」

「骸君に凪ちゃん、久しぶりだね」

「クフフ、あなたから新作のチョコケーキが出来たとのメールを頂き参った次第です」

「私も…食べたい…」

「うん、そこのカウンター席に座って、今持ってくるから」

 

そこには特徴的な髪形をしている男女が二人、男の名は六道骸、女の名はクローム髑髏。

クロームの本名は凪であり、エミーリオは彼女を本名でしか呼んでいない。

その理由はクローム髑髏だとあまりにも不良っぽい、センスなさすぎ、だそうな。

チョコが大好物な骸はカウンター席に座り、エミーリオの出すチョコレートケーキを待ちわびていていた。

 

「はいコレ、新作」

「クフフ、見た目はいいですね」

「美味しそう…」

 

二人が仲良くケーキを食べる様をエミーリオが眺めていると、骸がその視線に気付き何か話題はないものかと考える。

 

「そういえば最近の話題と言えば隕石ですよね」

「あー確かに、どこもかしかも隕石隕石だよなー」

「あなたはどう考えているのです?」

「んー……別に…」

「?」

「なんか皆が怖がる程、今回の隕石ってヤバくないと思うんだよね」

「そうなのですか?大規模であると聞きましたが」

「んー?大丈夫な気がするんだけどなぁ…」

「あなたがそう思うのならそうなのでしょう、何せ何万年もこの星と共に歩んでいるのですから」

「そらそーだ」

 

チョコレートケーキを頬張る六道骸が眉間に皺を寄せているエミーリオにそう言うと、エミーリオは考えるのをやめて再び楽観視する。

クローム髑髏はエミーリオの言葉に疑問を持った。

 

「エミーリオ」

「ん?どした?」

「今向かってくる隕石、エミーリオは何もしないの?」

「え?まぁ俺が手を出す程じゃないかなぁ…」

「そうなんだ」

 

エミーリオに問いかけ、返って来た答えにクローム髑髏の疑問は解消される。

しかし、何かが引っ掛かるのかクローム髑髏は骸と喋っているエミーリオを眺めていた。

引込み思案であまり思ったことを言わないクローム髑髏はこれ以上何かを言うこともなく、ケーキにフォークを差し込んだ。

彼らが帰っていった後、エミーリオは自室に行きテレビを付ける。

するとどのチャンネルも隕石のニュースばかりだった。

エミーリオはそのニュースに飽きて地上波からCSにチャンネルを変える。

するとアニメ映画が放送されていて、エミーリオはチャンネルをそこで固定し見始めた。

全てのチャンネルが見れるが、そのための料金が発生することをエミーリオは知らない。

まずテレビが自室にあることに気付いたのはつい最近である。

当初はあれ?いつからあったんだろうと首を傾げていたものの捨てるのも憚られ、そのまま使用しているのだ。

誰が、何の為に、テレビを置いたかは分かっていない。

だが部屋の至る所に設置されているであろう監視カメラを確認すればすぐ判明するだろう。

まぁエミーリオが監視カメラの存在に自力で気付くことはこれからもありはしないだろうが。

エミーリオに隕石への関心は見られない。

 

 

 

 

隕石衝突まであと2日、顔馴染みが現れた。

 

「エミーリオ」

「シェリック、おはよう」

 

彼の名前シェリック、エミーリオ以外からはチェッカーフェイスと呼ばれているこの男だが、エミーリオの古くからの同種である。

彼もバミューダ同様エミーリオへ過度の監視をしているが、基本エミーリオの行動に関しては傍観主義である。

エミーリオの意思を第一に尊重する彼は密かに人類滅べとすら思っていたりするが、それが言葉になることはない。

隕石衝突まで2日とあり、公共機関は全て休みになり、市民も出来るだけ外出は控えるよう通達された。

ここで漸くことの深刻さに気付いた市民は焦り始めるが、未だエミーリオに隕石への関心はない。

どの家庭も引き籠る中、一応エミーリオの店は開いていた。

だが一般人の客は一人もいなく、シェリックが来るまでエミーリオは一人でテレビを見ていたのだ。

 

「隕石騒動でお客さん来ないし暇だったんだよなー」

「お前は星を守るのが使命だろう…今回は何も手を出さないのか?」

「…?いやだってあんな小さな隕石で星は死なないし…当たり所悪くて軽傷だろ」

「ふむ、そういうものか…如何せん今回の様な大規模な隕石は私も初めてでな」

「大規模…かぁ?」

 

カウンター席で向き合いながら座り、喋り始める二人。

エミーリオはふと思い出したかのようにシェリックに問う。

 

「なぁ、何で皆あんなに焦ってるんだ?」

「隕石が落ちるからだろう、現在の技術だと今回の隕石を完全に破壊するのは不可能だからな」

「でも隕石が落ちてくるのは日本じゃねぇだろ」

「まぁ、そうだが色々影響でもあるんじゃないか?数か国消えるのだから」

「んー…?何で皆俺が隕石破壊担当だと思ってんだろーな…」

「それはお前が星の守護者だからだろう」

「いや、うん……?確かに星は守らなきゃいけないけどさ…」

「ふむ………」

 

エミーリオの疑問にシェリックは考え込む。

そして理解した。

何故エミーリオがここまで不思議がっているのかを。

 

「エミーリオ、恐らくそれはお前と人間との捉え方の差だ」

「ん?」

「お前は()を見ているだろう」

「んん?」

「お前の使命はあくまで星の延命と滅びから守ること…だから今回の隕石が星を傷つけるに値しないものだと判断した」

「そうだな、うん」

「人間からしたらそうではないのだ…星の表面は削れ数億人という人口が一気に消滅する…あらゆる生命体もな」

「あー……なるほど?」

「分かっていない顔だな、お前から見れば今回の隕石は星にとって小粒のようなものだろう?だが人間からすれば自身の生命と生活を脅かす脅威なのだ…いわば人類は銃弾を突きつけられているようなものだ、お前からすれば銃弾は脅威でもないが人間からすれば命を脅かす脅威だろうな」

「そういうことか、なるほどね」

「お前にとって人口が減ることが星の危機と結びつかなかっただけだろう」

「まぁ確かに、人類が滅ぶのと星が死ぬのは無関係だからな…」

「なんとなく理解するもよい、理解せずともよい…私たちは人間ではないのだから」

「それもそうだな、何かスッキリした」

 

エミーリオは人類に関心があるものの庇護対象とは見なしていない。

あくまでホモサピエンスという数千年前から誕生した知能のある個体と認識し、地球上の生命体という括りである。

星を存続するにあたってこれといって必要な生命体であるとは思っていない。

それゆえに、今回の隕石に対して興味や関心が人間とは大きく異なっていたのだ。

漸く他の者達の言葉が理解できたエミーリオは考える。

 

「これは…助けた方がいいのか?」

「それはお前が決めることだ…私はどちらでも構わない」

「えー」

 

シェリックはその後少し喋ると帰っていった。

エミーリオは風呂に入ってその日はテレビを付けずに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

隕石衝突まで1日、顔馴染みが訪れた。

 

「エミーリオ、会いに来たよ」

「今日は白蘭か、久しぶり」

 

真っ白な外見をしているその人物は白蘭。

人の好さそうな外見をしているが騙されること勿れ。

彼は一度は世界を手に入れようとあらゆる並行世界を破壊し尽くした男である。

現在は興味も関心も全てがエミーリオに集中し、危険性が鳴りを潜めているがエミーリオへの依存性が極めて高い人物である。

バミューダ、チェッカーフェイス同様彼もエミーリオを監視している上盗聴も積極的にしている。

彼の奇行に巻き込まれている部下には合掌してもしたりないほどだが、彼ら自身敬愛する上司である白蘭が幸せならばと彼の奇行を黙認している。

白蘭はエミーリオの店、自室あるゆる場所に監視カメラと盗聴器を設置している。

また自室にいつの間にか置いてあったテレビは白蘭が置いたのだ。

テレビとは暇潰しの為の娯楽品だが、はてさて誰の為の娯楽品になるかは誰にも分からない。

いつの日か白蘭がエミーリオに映画を見ようとDVDを持ってくるのは遠くない未来である。

そんな白蘭だが当たり前のように昨日のシェリックとエミーリオの会話を聞いている。

 

「ねぇエミーリオ」

「ん?」

「エミーリオにとって僕って何?」

「俺にとって白蘭?」

「うん」

 

白蘭の言葉にエミーリオは指を口下へ滑らせる。

 

「手のかかる……だけど本当は素直な、気の置けない子…だな」

「友人…ではないの?」

「友人っつーよりも親戚の子みたいな感覚かなぁ、構いたくなる」

「ふぅん…」

 

白蘭はエミーリオに出されたグラスの中の氷を眺める。

 

「ねぇエミーリオ…隕石が落ちて僕が死んじゃいそうだったらどうする?」

「そりゃ助けるけど」

「うん、きっと君ならそうするよね……ただ君の考えが時々分からなくなる時があったんだ」

「白蘭…?」

「エミーリオにとって星が一番大切なことくらい知ってるさ…何を置いても星を最優先で動いていることくらい」

「お、おい…?どうした…?」

「僕にとってエミーリオは一番なのに…」

 

白蘭は不貞腐れた様子で、カウンターに両肘を付けて腕組みしながら、腕の上に頭を乗せる。

そんな白蘭に困惑していたエミーリオは反射的に白蘭の頭を撫でる。

白蘭の髪の毛は思っているよりも柔らかく、それは彼が撫でがいのある髪質を求めたが故の努力の結晶だろう。

 

「エミーリオは…ずるい………」

 

エミーリオの手のひらの温度が心地よく白蘭の瞼は段々と重たくなっていく。

 

 

 

「嫉妬するには…星は大きすぎるよ………」

 

 

 

嫉妬だってさせてくれないくらいエミーリオは平等に皆を愛している、と白蘭は理解していた。

ただそれは星とはまた別の愛情であることも、彼は理解している。

だからこそ彼は行き場のない感情を、エミーリオに吐き出すのだ。

白蘭の執着心は、エミーリオに見捨てられたとしてもあり続けるだろう。

それほどの価値がエミーリオにあるかなど誰にも分からないのだ。

そもそも価値という言葉では表せないのかもしれない。

それでも、一度でもエミーリオにとっての一番でありたいと、彼は心の底で呟きながら静かで心地よさげな寝息を立てた。

エミーリオはいきなり寝始めた彼に嘆息しながらも毛布を彼の背中に掛けて、厨房に籠り始めた。

夕飯を食べた白蘭は手を振って、また明日と告げて帰っていった。

エミーリオの隕石への関心はない。

 

 

 

 

 

隕石衝突まで1時間を切った頃だった。

隕石が原因で電波が妨害されテレビが使用出来ない中、エミーリオは隕石ってどこに落ちるのだろうとふと思ったのだ。

だが携帯も使えず、仕方なく誰かに聞くために店を出た。

 

「おーい、ザンザース!」

「あ"?何でてめぇいやがんだ」

「ちょっと聞きたいことあってさー」

「?」

「隕石っていつ、どこに落ちんの?」

 

エミーリオの言葉に呆れかえった人物はザンザス、ボンゴレマフィア独立暗殺部隊のボスである。

強面で暴力的な性格だが、エミーリオの前だと若干抑えている。

エミーリオの鉄拳制裁を恐れているわけではないと、彼のプライドを考慮して、ここで明記しておく。

そこに銀髪の片腕に剣を括りつけた男性が入って来た。

彼の名前はスクアーロ、ザンザスの右腕だ。

ザンザスからはカス鮫と呼ばれていて、幼少期エミーリオがどれだけ注意してもその呼び名が変わることはなかった。

 

「カス鮫に聞け」

「ってなわけで、教えてくれスクアーロ」

「俺かよ!つーか隕石ならスイスに落ちるって話だぁ"!」

「スイス?めっちゃ隣じゃん、イタリア大丈夫なの?」

「あ"あ"!?隕石なんぞにビビるくれーなら死んだほうがマシだぁ"!」

「いやいやいやいや、逃げようや普通に考えて」

「ボスが動かねぇんだ、俺らが逃げるわけねぇだろ!」

「えー………」

 

エミーリオは暫し考え、シェリックとの会話を思い出す。

 

『これは…助けた方がいいのか?』

『それはお前が決めることだ』

 

 

「んー……でもなぁ………気が進まないというか…うーん……」

「あ"?何のことだあ"?」

「…………ちょっと隕石ぶっ壊してくる」

「「は?」」

「じゃあな」

 

エミーリオはそれだけ言うとその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

隕石衝突まであと15分、エミーリオはスイスの山の頂上にいたのだ。

片手には湯気の出ているホットコーヒーを持っていて、服装は普段着だ。

どう考えてもホットコーヒーだけで温まる気温の標高にいないのだが、エミーリオにはあまり気にすることではないらしい。

既にエミーリオの視界の中に隕石が視認出来ている。

 

 

「俺……人類の守護者にまでなった覚えはないんだけどなぁ……」

 

 

ボソリと呟いた言葉を聞き取ってくれる者はいなく、雪がエミーリオのまつ毛に付着する。

吐き出した息は白く、エミーリオは目を瞑る。

 

 

エミーリオの片手から溢れ出る炎の美しさを誰も知ることはなく

 

誰も垣間見ることはない

 

幾色(いくしょく)の炎がゆらゆらと溢れ出て空へと広がっていく

 

それはまさに神秘だった

 

 

炎は隕石を飲み込み、跡形もなく消し去ってしまう

 

呆気なかった

 

なんと呆気ないものなのか

 

エミーリオは僅かに残されていたコーヒーを飲み干し、隕石が消えた跡を暫く眺めていた

 

 

 

 

 

 

その後、世界は混沌に陥った。

突如として隕石が消えた事実に、専門学者も、政治家も、誰もが唖然としていた。

何故、とその文字のみが脳内を支配する。

暫く世界はこの隕石の消失で騒がしかった。

 

それと同時に、自然災害が各地で多発したのだ。

今までに類見ない災害規模に政府もお手上げで、ただ自宅待機という名ばかりの対策のみを勧告する。

誰もが隕石のせいだと、根拠のない理由を叫ぶばかりだ。

 

並盛も一昨日から嵐、雷、豪雨が続いていて店もろくに開けられない状況だ。

エミーリオは店の窓からずっと降り続ける雷に苦笑する。

 

 

 

 

 

「あーあー、これぜってー怒ってるなぁ……怖ぇー」

 

 

瞬間、店の窓のすぐ目の前に轟音と共に雷が落ちる。

エミーリオは目を見開いたまま顔を引き攣らせた。

 

 

ごめんって……」

 

 

 

エミーリオは降り続ける雨の音を聞きながら窓に凭れ掛かる。

そして右手で小さく、僅かな炎を灯した。

 

 

 

「ヒトを守るための炎じゃ……ないもんな……コレは…」

 

 

 

 

 

 

エミーリオは、星の守護者である。

 

 

 

 

 

 

 

 




隕石:うっしゃぁ!ぶつかっ……(チーン

星:星ではなく人類の為に隕石破壊した守護者におこ、ある意味ヤンデレ。

エミーリオ:星>>超えられない壁>原作キャラの優先順位、星の意図を本能で理解していた為隕石を破壊するのを無意識で忌避してた、でも皆助けないとなぁと渋々助けたら案の定星に怒られた。

白蘭:何に嫉妬していいかも分からず拗ね始める、多分エミーリオが人類を助けることはないんだろうなと理解するが納得はしていない、だって僕のこと大事だと思ってるなら守ってくれたっていいじゃん!?

チェッカーフェイス:唯一エミーリオの疑問を理解した人物、チェッカーフェイスは人間嫌いだけどトゥリニテッセを考えると自主的に滅ぼしたいとは思わない様子。


一発書きだったので本当に内容が途中途中で変更しまくって最終的にこれに落ち着いた。


うさぎもち様の「エミーリオの地球人らしい一面」と、
魔トマト ブラキオ様の「巨大隕石衝突」のリクエストです。


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