食事が終わり全員の入浴が済んで居間で寛いでいる時でした。
「フェイト、ちょっと腕を見せてみろ。」
「え、な、なんで?」
一瞬、私はドキリとした。彼にあの傷がばれたんじゃないのかなって。でも私の腕を手に取り訝し見ながら観察して・・・
「やっぱり自然治癒促進じゃ完治は遅い・・・か。」
「あ、あの・・」
「ちょっと待ってろ・・この辺りだった筈だが・・・」
カイトがそう言って近くにある箪笥の引き出しを漁って取り出してきたのは・・
「瓶・・?」
「体調を整えるのと・・副次効果だが魔力も回復してくれる。魔力欠乏症に近いフェイトには丁度いいかもしれないが回復するからと言って無茶されたら困るけどな?」
カイトはそう言って私の近くに座ると瓶のふたを開けてその中身をコップに注ぎます。
「通常は直飲みでいくがフェイトはお行儀が良いからコップに入れて飲むと良いかもな」
そう言って差し出してくれたコップの中身を伺うと透き通るような、そして淡い赤色をした液体が入っていました。
「・・・ちょいと、これって大丈夫な物なんだろね?」
「素体が狼のアルフなら毒物が入っていればすぐに気付くだろ?安心しろ、それは究極の薬だ。」
「どんな名前の薬なの?」
カイトの言い回しにわたしは思わずそう聞いてしまった。
「たしか・・エリクサーだったな。人が望んだ万能薬を体現したのがその薬だ。」
「・・・え?」
カイトの言った事の意味を理解できない私はただ呆然と自分の手の中にあるコップの中身に視線を落とします。
「(これが・・万能薬?でもそう言われてみれば僅かにこの液体に高濃度と言わないけど魔力が感じられる・・。)」
「ま、気にせずグイッと飲めそして寝ろ。と言いたいが、治すのは体力的な物と魔力のみだからな・・。手をそのままにしておけよ?」
わたしが黙っているとカイトは私の手に自身の手を重ねて何事か呟いていました。すると・・・
「凄い・・・痛みが引いてく。」
わたしの手にあったジュエルシードの魔力に当てられた裂傷が見る見るうちに塞がり消えて行く様は驚くほどでした。
「・・・これで問題ないだろう。アルフはそのままフェイトの事を見ておけよ?人知れずに無茶されたら困るし・・。飲み終わったコップはそこの机に置いておけよ。」
そう言ってカイトは立ち上がるとそのまま部屋を出て襖を閉めて行きました。
「フェイト、アイツに手伝って貰おう。悔しいけどフェイトよりも強いしこの辺の地理や常識もあるから・・・」
「アルフの言いたい事分かるけど・・・ダメだよ。関係ないって事は無いけど私達の事情にカイトは巻き込めないよ。」
わたしはそう言ってカイトに渡されたエリクサーの入ったコップをもう一度見てから一気に飲みフウッと一息吐く。
「彼は優しい。それは助けて貰った私達が一番分かる・・・分かるからこそ巻き込んじゃだめなんだ。たとえ間違っているとしても・・・」
「フェイト・・」
アルフが心配そうに私のことを見て来る。
「明日の朝にはここを出よう。カイトには悪いけどこれ以上迷惑を掛ける訳にはいかないから・・。」
わたしはアルフにそう言って布団に入る。そして、アルフもわたしを抱きしめる様にして入ってきます。
「ごめんね・・。でも、君にこれ以上迷惑を掛けたくないんだ・・。」