「今の所フェイトは安静にしてるからあちらも行動を起こしていないみたいだな・・・。」
『管理局の相手はどうするの?』
「さぁな、向こうがどういう対応をするかによるな。できれば良好な関係が築ければ上々。だが、相手が強行な態度を取るならば此方もそれなりの対応を考えなければいけないがな・・・。」
自分の部屋でバハムートとそんな会話をしていた。
『それでどうするの?』
「取り敢えず【時の庭園】に侵入する。」
『大魔導師の根城に突入ってまた無茶な、場所の特定はできてるの?』
「世界の記録から読み取ってあるから心配無用。」
そう言って戒翔は移送方陣を使いその場から転移をする。
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「此処が・・・時の庭園・・・まるで巨大な研究所だな?」
『それには同意するかも・・・居住区画は無いに等しいからね。』
広大な通路に転移で出た戒翔とバハムートはそんな話をしながら巨大な扉の前に立つ。
「此処が玉座の間・・・か。この先に」
『プレシア・テスタロッサは・・・いるね。』
「さて、持ちうる手札での交渉を始める為に・・・御対面といこうか。」
そう言って戒翔は扉に手を掛けて開く。
「どうも、時の庭園の主、プレシア・テスタロッサ。」
「・・・何者かしら?」
訝しげに見るその女性は玉座に座り戒翔を興味ないとばかりに見ていたが、自身のアジトであり、家であり座標軸も分からない様にしてあるこの場所に唐突に現れた奇妙な侵入者に対して多少なりとも警戒をしていた。
「・・・アリシア・テスタロッサ、そしてフェイト・テスタロッサ。プロジェクトF。アルハザード・・・。これだけ言えば聡明なあなたならお分かりだろう?」
「・・・・・・。」
「だんまり・・・か。なら、アルハザードの様に不確定要素ではなく確実に蘇生出きるとしたらどうする?」
「・・・あなたにそんな事が出来るとでもいうのかしら?」
「その言葉は尤もだが、俺には可能とだけ言わせてもらう。」
「・・それを信用しろと?ふざけているのかしら?」
「さてね?で、俺からの要求・・・願いはフェイトを自身の娘として迎え入れる事だ。」
「あんな出来損ないを私の娘に?アリシアの記憶に体、教育もしたのにジュエルシードを満足に集められない子を?」
戒翔の言葉に明らかに侮蔑を含んだ声色と表情で彼女はそう告げる。
「・・・ほんとにそれだけか?」
「何が・・・言いたいのかしら?」
「貴女は既に分かっている筈だ。いくら似たような外見で生まれたとしても本人が生き返る訳では無いと・・。そして、そんなあなたはフェイトと過ごす内にアリシアとの思い出が消えるのではないのかと危惧した・・・。」
「止めなさい・・。」
「ならばいっそのこと突き放して痛めつければ実の娘との思い出は消えない。そして」
「止めなさい!!!!」
プレシアの叫びと共にミッド式の魔方陣が展開され、紫電の雷が戒翔に向けて放たれるが戒翔はそれを片手を振って
「なッ!?」
自身の魔法がこんな小さな子供に片手で消された事に驚愕し、動きが止まる。そんな彼女の行動を戒翔が見逃すはずもなく、一息で彼女の目の前まで迫る。
「さて、話をしていた筈なのだが・・・攻撃魔法を使うのは何故なんだ?」
「っく、この・・消えなさい!!!」
プレシアは瞬時に手に持っていた杖を鞭に形状を変化させて振るうがこれも片手で防がれるばかりか鞭を掴まれてしまう。
「離しなさい!」
「・・・少し落ち着け。でなければ話が出来ないではないか・・。」
「わたしはあなたと話す事なんゴホッゴホッ!?」
戒翔に叫んでいたプレシアは急に空いた手で口元を抑えて咳をする。そして、口の端から血が滴り落ちた。
「言わんこっちゃない・・。貴女の体は病魔に侵されているんだ・・俺から言わせてもらえば今直ぐにでも絶対安静でいてほしいのだがな・・。彼の者を蝕みし魔を退けよ【リカバー】!彼の者に癒しの力を【キュア】!」
戒翔はそんなプレシアを小さい身体ながらにして支えつつ、黒色のミッド式の魔方陣を展開して治療用の魔法をしようする。
「・・え?体の痛みが」
「今までなんで治療しないのか疑問だったが・・・体の治療は出来ても内部の治癒が出来ないのであれば合点が行くな・・。」
「あなた・・何をしたの?」
プレシアが戒翔を信じられないとばかりに見ているが戒翔は素知らぬ顔で
「俺の所では内臓の治療とかもしているから専門書と知識、経験があれば大体分かる。それにいくら魔法だからと言っても理解していない場所まで魔法での治癒は不可能・・。あなたの場合は呼吸器官に癌に近い物を患わせていたのでそれを取り除かさせてもらった。これで話を聞いてもらえるか?」
「・・・分かったわ。あなたの話を聞きましょう。」
かくして戒翔は大魔導師プレシア・テスタロッサとの交渉に漕ぎ着けたのであった。
「(絶対に死なせやしない!その為の準備と覚悟をしてきたのだから・・!)」