少年の異世界戦記~リリカルなのは編~   作:クロイツヴァルト

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黒騎士と金と桃と ①

 

 

 「・・・此処は」

 

 「気が付いた様ね。」

 

 戒翔は気が付くと無菌室の様な病室に横になっていた。そしてそんな戒翔に声を掛けたのはアースラの艦長のリンディ・ハラオウンであった。

 

 「貴様は・・・リンディ・ハラオウン」

 

 「貴方が気絶して墜ちる所を高町さんに助けられたのよ?」

 

 「高町・・・あの白い魔導師の事か?」

 

 戒翔はそう言って体を起こそうとしてある違和感を覚える。

 

 「・・・」

 

 「貴方の持っていたデバイスは此方で預からせてもらっているわ。」

 

 「そうか・・・。」

 

 「直ぐに返せとは言わないのね?」

 

 「言った所で返すような事は無いのだろ?無駄な時間を浪費している暇は無い。」

 

 戒翔はそう告げてベッドに再び横になる。

 

 「現状は彼女達の決闘を認めて回収を行う予定です。高町さんの提案で決闘を行える様に調整中よ。」

 

 「・・・ッ!?なんだと!なら俺は気絶してどれほど眠っていたと言うのだ!」

 

 「え・・・?大体、2、3日程だけど」

 

 「2、3日も・・・これも世界の修正力だと言うのか・・・。事情が変わった。俺も彼女達の戦いを見届ける。」

 

 「ですが・・・」

 

 「俺がいつデバイスを使うと言った?モニターでも構わないし、あのフェレット擬きかあの執務官に頼んで転移させて貰えば事足りるだろう?」

 

 渋るリンディに対して戒翔は憮然とした態度でそう告げる。

 

 「・・・分かりました。ですが安全面の考慮として一時的に貴方にデバイスを返還しますが妙な事はしないで下さいね?」

 

 「分かっている。お前達が俺との契約を守っている間は大人しくしていてやる。だが、違えた場合は覚悟しておくんだな。」

 

 戒翔はそう言ってリンディが差し出した龍の刻印が彫られたペンダントを受取ると首に下げる。

 

 ―――――――――――――――

 

 「これが決闘用の結界か・・・。」

 

 「戦闘データを取る名目で展開しているけれど彼女達の魔力量では壊れる心配はないかと・・・。」

 

 「甘いな。彼女達の戦闘は意地の張り合い。ただの喧嘩に過ぎない。話が出来なければ拳を剣を魔法を交える。どこぞの熱血漫画かと思うような展開だな・・。」

 

 「君は・・・世界の危機があると言う事を忘れていないか?」

 

 「そんな代物が落ちて来たのに次元震が起きるまで反応しなかったお前達が言える義理か?」

 

 クロノの責める様な口調に戒翔は平然とそう返した。

 

 「クロノ、それに黒騎士さん話はそこまでよ。始まるわ。」

 

 リンディの言葉にクロノと戒翔は前面に展開されたホロウィンドウに視線を移す。

 

 桃色と金色の軌跡が何度も交差し、光弾が幾重にも射出されては相殺し、時には弾かれ戦闘は激化していく。彼女達が通り過ぎた場所は音速で飛行しているのか窓ガラスが弾け、海面を割りながら戦闘は続く。

 

 「ほぅ・・・。あの白い魔導師前よりも腕を上げたか。しかし、付け焼刃の訓練では」

 

 「少し黙って見ていてくれ。彼女もあの子に勝てる勝算があるからこそ、この提案をしてきたのだから。」

 

 「さて、それはどうかな?」

 

 「どういう事だ?」

 

 「あの高町と言う白い魔導師が勝算があると言う理由だけでこの決闘を始めたのか?違うのだろう?アイツの目的はフェイトと話をする事。ジュエルシードと言う餌を用意してフェイトはまんまと掛かった訳だが、フェイトの戦技は確かにまだ甘い所があるが白い魔導師と比べるまでも無い経験の差と言う物がある。」

 

 クロノの疑問に戒翔は淡々と語る。

 

 「確かにこの短期間で強くなっているのは認めよう。しかし、経験の差と言うのは簡単には埋めようのない物だ。」

 

 「それは・・・」

 

 「・・・まぁ、彼女に何かしら特化した部分があのなら話は別だがな」

 

 苦悶の表情をするクロノに対して戒翔は小さく呟きバイザーの下で微笑んでいた。

 

 二人の少女の戦闘は佳境を迎え、白い魔導師が金色の魔導師のバインドに捕縛される。

 

 「・・・それはやり過ぎじゃないのか?」

 

 「アレは・・・儀式魔法!?しかもあの量の魔力弾は・・・」

 

 呆れる戒翔に対して焦るクロノ。そして金色の魔導師は閃光の戦斧を振り下ろす。それを合図に無数の金色の魔力弾が白い魔導師に殺到する。余波を受けてなのか付近のビルの一部が倒壊を始める。

 

 『なのは!?』

 

 「流石と言う所だな。」

 

 モニターには叫ぶユーノと爆炎に包まれる白い魔導師の少女

 

 『いたた、撃ち終わると解ける仕組みなんだね。』

 

 「おいおい・・・頑丈にも程があるだろ?」

 

 煙が晴れるとBJの至る所が焦げている白い魔導師の少女が姿を現す。そのすがを見て戒翔はその防御力に呆れている。

 

 『今度はこっちの番!』

 

 そう言って白い魔導師は砲撃態勢に移行する。それに対して金色の少女は直ぐに回避行動に入ろうとするが、右手を残した四肢は桃色の輪っかに身動きを封じられる。

 

 『ディバイーン』

 

 《bastar》

 

 少女の言葉を引き継ぎデバイスが電子音声で発するのと同時に極太の桃色の砲撃が放たれる。

 

 「極悪砲撃だな・・・。」

 

 戒翔はそれを見てただその一言だけ呟く。

 

 『く、うおぉぉぉぉ!!!!』

 

 金色の少女は空いている右手を迫る砲撃に向けて幾重にも障壁を展開し、耐える。次々と破られる障壁。そして最後の一枚となる障壁が破られようとするが少女はその魔力を使いその最後の障壁で何とか耐える。

 

 『ハァ・・・ハァ・・・?』

 

 しかし、安心もつかの間・・・周囲に小さな桃色の光が上に登って行くのを見上げて少女は目を見開き驚愕する。

 

 『受けてみて!ディバインバスターのバリエーションの一つ!スターライトォ・・・!』

 

 《starlight break》

 

 巨大な桃色の円環の魔方陣が巨大な魔力球を囲む様に徐々に高速回転しつつ魔力を収束して行く。

 

 「しゅ、収束砲!?」

 

 「これが世に聞く魔砲か・・・。」

 

 「なんか字が違う気がするが気の所為か?」

 

 「・・・気の所為だ。」

 

 そんなやり取りがアースラで行われていた。

 

 『ブレイカァァァァ!!!!』

 

 そしてトリガーが引かれて円環に触れた魔力砲はその規模を大きく変化させて人を易々と吞み込む光となり金色の魔導師に迫る。

 

 『ウワァァァァァァ!!!!』

 

 少女は負けじと残り少ない魔力で最大まで固めた障壁を多重展開して防御に入るがその迫る砲撃には意味を成さず少女は桃色の光に吞み込まれていく。

 

 「・・・勝負ありだ。俺は彼女の回収に向かわせてもらう。」

 

 アースラのモニターで決着を見届けた戒翔はそう告げてその場から転移をする。

 

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