「母さん、例え全てが敵になっても私は母さんの味方だよ? だって、私は・・・母さんの娘だから」
「フェイト・・・馬鹿な子。 この私が本当に貴女を愛していると思って?」
「そんな事は関係ないよ。 戒翔が気付かせてくれた・・・例え愛されていなくても愛せるって事を」
プレシアとの対面を果たしたフェイトであるが、プレシアは突き放すような言葉を放つが、フェイトの瞳には既に絶望は無くその瞳は揺るぎない言葉とプレシアを擁護する姿勢を崩さない。
「黒騎士は・・・あの魔導師はフェイトにも良い変化を与えたのね。」
「え・・・?」
「もううんざりなのよ! アリシアのいない時間なんて! 誰にも邪魔はさせない! 私は全てを取り戻すの・・・このジュエルシードを使って行くのよ。 アルハザードへ!」
プレシアは敢えて狂気に染まった演技を続ける。
「・・・今までその為に・・・生きてきたのだから」
彼女、プレシアは怖かったのだ。 フェイトを愛すれば己の中にあるアリシアとの記憶が薄れる事を・・・だから彼女を否定し、道具として扱った。
「そう、世界はいつだって・・・「こんなはず」じゃない事ばかりだ!」
プレシアの言葉に我慢できなかったクロノが叫ぶ。
「いつだって、誰だってそうなんだ!」
途中の魔導人形との戦闘で頭から血を流すクロノは体の底から声を上げる。
「こんなはずじゃない現実から逃げるか・・・正面から向き合い立ち向かうのは個人の自由だ!」
クロノは血を流し、痛みに耐えながらもプレシアになおも言葉を投げかける。
「だけど・・・自分勝手な悲しみに、無関係な人まで巻き込んでいい権利なんて・・・どこの誰にもありはしない!!!!」
クロノの言葉にプレシアは無言で見詰め、そんな中でフェイトとアルフは歩き出す。 よりその瞳に強い意志を宿して
「母さん、確かに私は・・・私は、アリシア・テスタロッサじゃありません。」
カイト、私は母さんが大好きなんだ。 たとえどんなに嫌われようともこの気持ちは変わらない。 だから・・・ここにはまだ来ていないみたいだけど見てて・・・私の決断を
「私はあなたの造りだしたただの人形なのかもしれません。」
口に出す度に胸の奥に痛みを感じ、辛い。 それは今までの私を否定する事だから。 でも、それでも・・・ここで止めたら私は私を始められないから
「だけど私はあなたに生んでもらって、育ててもらった・・・あなたの娘です。」
私は・・・やっぱり母さんの娘だから
「だから何? 今更あなたを娘とでも思えと言うの?」
私の言葉に母さんは鼻で笑う。 母さんにとってはもう私のことなんてどうでもいいんだろう。 けど
「あなたが・・・それを望むのなら」
これは私の心で決めた事。 決してカイトに言われただけの事じゃ無い。
「それを望むなら、世界中の誰からも・・・どんな出来事からも・・・」
私をいつも傍で励ましてくれてたアルフや、こんな私の心配をしてくれて、背中を押してくれたカイトの為にも・・・そして私の記憶の中にあるあの子の為にも
「・・・・あなたを守る」
私はもう決して迷わない
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「フェイトのやつ、言う様になったじゃないか。 少し前のアイツからじゃ考え付かない程の心境の変化だな。」
「フェイト、見ない間にあんなに強くなって・・・」
階段の陰からフェイト達の様子を窺っている戒翔と無事に再び使い魔として生を受けたリニスはプレシアとフェイト達のやり取りを敢えて邪魔をしない様に見守っていた。
「それにしてもクロノの奴は頭から血を流しているが出血多量で倒れないよな?」
「仮にも執務官をしている少年なのですからあの程度で倒れる事は無いと思いますよ?」
戒翔の言葉にリニスが淡々と答える。
「それはそうなんだが、絵的に危ないだろうと・・・」
「確かに見ていて良いものじゃない事は確かですけど今はそれどころじゃありません。 私は先に行かせてもらいますよ?」
「そうだな・・・そろそろ仕上げをしないといけないな。」
お互いに頷き戒翔はこの後にある仕事を終わらせるため、リニスは自身の契約を履行する為・・・そして家族であり、元主であるプレシアの凶行を止める為に動く。
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「下らない・・・そんな事どうでもいいわ」
「えっ・・・・?」
今の世界を否定するプレシアは、故に差し出された手を拒絶する。
「っ・・・」
フェイトの顔が哀しみに歪み、目尻に涙を浮かばせる。 そんな表情をさせている自分に嫌悪しながらもプレシアは己の心に蓋をする。
「そう・・・どうでもいいのよ・・・」
それはまるで自分に言い聞かせるように、そして呟きと共に壊れた笑みを浮かべる
「私の娘はアリシア一人で十分なのよ・・・二人も要らない!」
放たれようとした魔法は術式が展開された途端に掻き消される。
「プレシア、我儘なのも程々にしないといけませんよ」
「「リニス!?」」
突如現れた勝手知ったる人物の登場にプレシアは絶句し、アルフとフェイトは声を上げる。
「フェイト、よく頑張りましたね。 偉いですよ」
そう言って頭を撫でる。
「アルフもですよ? フェイトの事を傍でよく守ってくれましたね?」
次いでアルフを優しく抱きしめる。
「さて、話が長くなりそうですし先にプレシアの方を何とかしませんと」
「どうやって生きていたのか気になる所ね。」
「残存魔力で辛うじて生きながらえていましたが、新しく使い魔契約を結んだことでこうやって昔の様に・・・いえ、昔以上の魔力と体を貰いましたね。」
「もしかして・・・リニスを助けてくれたのって」
「えぇ、フェイトのよく知る人物で今回の騒動を最高の形で終わらせてくれますよ。」
「勝手な事を・・・私の邪魔をしないでちょうだい!」
消された術式をもう一度組み直して今度こそ魔法を放つ。 が
「悪いが、邪魔をさせて貰うぞ?」
そう言ったのは全身を黒い甲冑に身を包んだ戒翔が剣を片手にもう一方の手をプレシアの方に向けて障壁を展開した状態で立っていた。
「黒騎士・・・邪魔をすると言うの?」
「俺は俺の目的の為にアンタには死んでもらっては困るんだよ。」
そう言った戒翔は一息でプレシアに詰め寄るとその傍らに浮遊しているアリシアが入っている生体ポッドを触る。
「その子に・・・アリシアに触らないで!」
「アンタは・・・その感情を少なからずフェイトにも向けていた筈だ。」
「っ・・・なにを言い出すかと思えば私が・・・あのお人形に? バカも休み休み言いなさい。」
「すべてが嘘だと言うのにか? 今までフェイトに取って来た態度も、言動も・・・そして感情も」
戒翔のその一言一言にプレシアは僅かに体を強張らせる。
「ほんとうにそうかしら? 私の感情が、あのお人形への憎しみが嘘だとでも」
「あぁ、嘘だな。」
辛うじて虚勢を張ろうとしたプレシアの言葉に戒翔は即答し、プレシアの言葉を詰まらせる。
「な、なにを・・・」
蔑みと狂気の入り混じった狂気の仮面にひびが入る。
「お前だってフェイトの事を正面から愛したかった筈だ。」
プレシアの表情が僅かに変化する。
「本当はフェイトを愛してやりたかった。 ジュエルシードなんて危険な事をさせたくはなかったし、一個も取って来れなくても褒めてやりたかった。 だけどそれをしなかった。」
「黙れ・・・」
徐々に冷徹な表情から怒りと焦りが混じった表情のプレシアが押し籠ったような言葉を紡ぐが戒翔はなおも続ける。
「だが愛せなかった。 フェイトを愛してしまえば・・・自分の心から本当にアリシアが消えてしまう気がしたから」
「黙れぇ!!!!」
「・・・・だから俺は答えを聞こう。」
プレシアの叫びに動じずに戒翔は淡々と告げる。
「全てを失う最悪の結果か・・・または全てが叶う最良の結果か」
「どっちにしろもう遅い・・・全てが遅すぎたのよ」
そう言ったプレシアの足下の地面に亀裂が入る。
「チッ!・・・ナハト、空間固定術式解凍! 同時に座標固定・・・固定空間内の時間の停止!」
《オッケ~!》
戒翔の言葉にナハトが応え、先程までの振動が収まる。
「な、なにが・・・」
「崩壊が・・・止まった?」
「戒翔、君はいったい・・・」
その場の雰囲気が変わった事に気付いた面々は行ったであろう本人を見る。
「さて、これで時間は作った。 聞こうか・・・お前の答えを、遅い事等何処にも無い。 後悔するのなら後悔しない方を選べ・・・俺はその為にいる!」
戒翔はそう言ってアリシアの入った生体ポッドに触れる。
「何を 「黙って見てろ!」」
《蘇生術式の構築と展開開始》
動こうとするプレシアを戒翔は一喝し、その間にナハトが並行して術式を次々に起こして行く。
そしてその場を眩い閃光が満ちた。