少年の異世界戦記~リリカルなのは編~   作:クロイツヴァルト

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強襲! 時の庭園 ⑤

 

 時は少し遡り、場所は次元航行艦アースラに移る。

 

 「庭園の崩壊と次元震が突如止まりました!」

 

 「それと同時にサーチャーの信号と映像の途絶!」

 

 「庭園内に膨大な魔力増大をを確認! これは・・・ジュエルシードの比ではありません!」

 

 「いったい、あの中で何が起こっていると言うの?」

 

 「クロノくん・・・なのはちゃん、それにフェイトちゃんにアルフは大丈夫かな?」

 

 「分かりません。 転送ポートが反応しない今は我々には彼等の無事を祈るしかありません。」

 

 アースラの艦橋にて庭園を外から見守るしかないリンディ以下アースラメンバーは不安の表情を隠せないまま時の庭園を見守るのであった。

 

 ――――――――――――――――

 

 「っく!? 流石に魂を呼び戻すのは難しい・・・が、ここにはすべての欠片が集まっている。 母親であるプレシアに飼い猫だったリニス。 そして彼女が望んでいた妹のフェイト! 呼び水としては十分! 魔力が足りないと言うのなら・・・ジュエルシードの魔力も追加だ!」

 

 《今の戒翔の体の魔力回路が過負荷に耐え切れないと思うよ!》

 

 「そんな事知るか! 今無茶しないでいつ無茶をする! 魔力回路形成・・・ジュエルシードから魔力供給開始! 供給先は蘇生用術式!」

 

 生体ポッドを中心に巨大な魔法陣が形成され、その傍らで両手を突き出したままの戒翔はBJの展開も閉じて少年の姿に戻って術式を操る。

 

 「ッく!」

 

 《神経断裂、心拍異常値・・・血圧上昇・・・戒翔、これ以上は本当に死ぬよ?》

 

 「戒翔くん!」

 

 「カイト!」

 

 「マスター!」

 

 体の至る所からから膨大な魔力に耐え切れなくなってきたのか血を噴き出し始めた光景になのは、フェイト、リニスが声を上げる

 

 「アンタ、無茶しすぎだよ!」

 

 「死者の蘇生が出来るわけがない! 自分の体を大事にしろ!」

 

 戒翔の周囲に渦巻く魔力風に誰も近づけずにいる中で皆それぞれが戒翔に声を掛ける。

 

 「こんな事・・・無茶の範疇にも入らない。 それに哀しむ子を・・・親子を救えずして何が時の御子か! ナハト!」

 

 《・・・あともう少しで魔法陣と魔力の波長が合うよ。 合図は任せて戒翔はそっちに集中してて》

 

 「頼むぜ、相棒!」

 

 そして、戒翔はタイミングの見計らいをナハトに任せて魔力が漏れないように魔法陣と魔力の波長を合わせる事に集中する。

 

 「カイトは・・・なんであんな自分の体を傷付ける様な事を」

 

 「フェイト、彼は・・・マスターは最高の結末を用意すると言ったのです。 誰もが笑顔でいられるために・・・だから信じて待ちましょう。」

 

 不安の表情のフェイトは胸の前で手を組んだまま戒翔の方を見ており、そんなフェイトの頭を撫でながらリニスは戒翔を見守る。

 

 (だけど、いくらマスターの魔力保有量が多いと言ってもまだまだ発育途上の体であの桁違いの魔力を操るのに体がどこまで持つのか分かりません。 どうか御無事で)

 

 リニスは内心で不安に思いながらもいまも血を流す戒翔の後姿を見守る。

 

 「・・・まだか・・・ナハト」

 

 《待って・・・後、もう少し・・・・・・今!》

 

 「彼の者を死の縁より呼び覚ましたまえ! 【レイズデッド】!」

 

 戒翔の紡いだ言葉と共にまばゆい光が空間を満たす。 そして

 

 《・・・肉体及び魂の定着を確認。 後は完全になるまでの楔が必要だね》

 

 ナハトの言葉に戒翔はアリシアを生体ポッドから出して自身が羽織っていたマントで包む。

 

 「・・・なら使い魔用の魔方陣を少し弄って契約の内容を決めて完全に定着するまでの楔に設定し、定着が出来次第自然と楔は消滅するように設定」

 

 その言葉と共に抱き抱えているアリシアの体を淡い燐光が一瞬包む。 すると

 

 「う・・・ううん」

 

 「アリシア!」

 

 身じろぎし、声を出すアリシアに真っ先に近寄るプレシア

 

 「ば、バカな・・・本当に死者を蘇らせたと言うのか・・・?」

 

 「クロノ・・・勘違いされては困るがこうやって肉体とその憑代となる欠片が揃っていなければ俺の扱う蘇生魔法は役に立たん。 ここが彼女の想いでの場所であり、この世に留まっていなければ無し得なかった事だ。 一因になっているのは単に母親であるプレシアの強い想いが彼女をこの世に留まらせていたおかげでもあるという事位だ。」

 

 驚くクロノを尻目に尚もアリシアに抱き着き涙を流すプレシアを見て戒翔は目を細める。

 

 「・・・あ、あの」

 

 「あれ・・・私?」

 

 「わ、私は・・・」

 

 「アリシア、この子の名前はフェイト。 アリシアの妹よ。」

 

 「え、・・・妹?」

 

 アリシアの言葉にフェイトは一歩、踏み出す。

 

 「そうだよ。 私はアリシアお姉ちゃんの妹だよ」

 

 「そうなんだ・・・よろしくねフェイト。」

 

 「・・・うん!」

 

 アリシアの言葉に瞳に涙を浮かべ頷くフェイトを後ろから見ていた戒翔は

 

 「・・・これで一件落着か」

 

 「そうとも言えないな。 この後はアリシアは除くとしてテスタロッサ親子の事情聴取をしなければ行けない」

 

 「先に言っておくが」

 

 「安心してくれと言っても信用が無いが、君が教えてくれた事を鑑みても情状酌量の余地は十分にある。」

 

 クロノの言葉に戒翔は頷き

 

 「じゃ、俺はここでお別れだ。」

 

 「え・・・?」

 

 「ど、どういう事だ! 君にも事情を聞かなければ」

 

 「時間切れだ。」

 

 戒翔の言葉に動揺するクロノとなのはの事を無視して戒翔が紡いだ瞬間、時の庭園を大きな揺れが襲う。

 

 「な、なんだ!? 庭園の崩壊が・・・止まった訳じゃないのか!?」

 

 「・・・そもそもジュエルシードの魔力放出で限界だったモノを俺の術式で止めていたものを戻しただけだ。」

 

 そう言って戒翔は一歩だけクロノ達から離れる。

 

 「戒翔君!」

 

 「ッ! カイト」

 

 「来るなッ!」

 

 近寄ろうとするなのはとフェイトを一喝し、足を止めさせる。 その時戒翔となのは達の間に大きな亀裂が走る。

 

 「リニス、お前は俺との契約の事を考えずに昔のようにプレシア達と暮らせ。」

 

 「マスター!」

 

 「 フェイト! お前はお前の信じる道を行け。」

 

 「カイトッ! こんな別れ方って無いよ!」

 

 戒翔の言葉にリニスは涙を堪えて頷くが対してフェイトは既に大粒の涙を流していた。 

 

 「 プレシア! お前は一度、過ちを犯した。 次に過ちを起こすような事があれば俺は容赦しないぞ。」

 

 「ええ!」

 

 「最後にアルフ! ・・・皆の事を頼んだぞ!」

 

 「ふんッ! アンタに言われなくてもアタシはフェイトの使い魔だ! 絶対に守ってやるよ」

 

 話をしている中で亀裂が更にひどくなる。

 

 「・・・さっさと避難しろ。 じきにここも崩れる。」

 

 「戒翔君も」

 

 「俺はもう飛ぶだけの魔力も残ってない。 」

 

 その言葉と共に戒翔のいる足場が崩れ落ちる。

 

 「ッ!? カイトォッ!!!!」

 

 「こんなの・・・こんなのって無いよぉーッ!」

 

 戒翔が崩落する地面と共に消えるのと同時に二人の少女は慟哭した。

 

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