「ここは・・・」
「気が付いたか」
シグナムはソファから起き上がろうとするがそれを止める様に戒翔が声を掛ける。 シグナムが其方を見ると手にマグカップを持っておりシグナムの対面にあるテーブルに置きそのまま座る。
「そうか・・・わたし達は負けたのか」
「結果的にはそうなるな。 だが、並の魔導師なら一対一でもお前達に勝てる奴はそうはいないだろうな」
「それは慰めか?」
「違う、俺が言っているのは戦って感じた感想だ。」
自嘲気味に笑うシグナムに対して戒翔はそう言葉にしてマグカップに注いだコーヒーを飲む。
「そうか・・・それにしてもお前の力は凄まじいな。 我等の攻撃をしのぐだけでは無く一瞬で無力化するなんて」
「力だけでは無い。 それを扱うに足る器と技量、そして経験・・・それらが合わさって初めて力は力足り得る・・・そして俺はそれを得るだけの長い時間があった。 ただそれだけだ。」
「長い・・・時間? お前は主はやてと同じ歳に見えるが」
「確かに肉体年齢ははやてと同じだが、精神が、魂の記憶とでも言うべきか・・・まぁ転生という言葉を借りるなら俺は輪廻転生の理から外れた存在だと言う訳だ。 その世界でやる事が終われば少しの猶予を持って次の世界に転移して生活してきた。 もう記憶も薄れている世界もあるが、それでも忘れてはならない事は忘れてはいない。 そしてこれは俺の時の御子としての宿命でもある。」
「そんな事が・・・ありえるのか?」
「俺がいる事が証明としか言えない。」
漸く身を起こしたシグナムは対面に座る戒翔をまじまじと見つめる。
「まぁ、俺の身の上話はどうでもいい。 先ずはお前達のこれからについてだが・・・はやてが起きてから決めるとしよう。 だが、先ずは服の事だな」
「我等の服・・・?」
「一般常識で見ればお前達の格好は不信感を持たせるに十分だ。 薄着一枚で外を出歩いてみろ・・・はやてに迷惑が掛かる事になるのが想像できるだろう」
「うぐっ」
戒翔の言葉でそれを想像したのか苦い顔をするシグナム
「俺は一旦部屋に戻るがお前はどうする?」
「そうだな・・・主はやてがいつ気が付かれるか分からないのだから私はそのまま起きている事にする。」
「・・・お前がそれで良いのならいいが」
そう言って戒翔は立ち上がりリビングを抜けて自室に向かっていく。
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「戒翔、出かけるからおきてくれん?」
戒翔が自室で休んでいるとドアの向こうからはやての声が聞こえてきた為、目を覚ましベッドから起き上がる。
「分かった、今降りる」
そう言って戒翔は部屋を出ると目の前ではやてが後ろにシャマルを従えて待っていた。
「これから皆の服を見にいくから一緒について来てくれへん?」
「アイツ等の話は理解したのか?」
戒翔の言葉にはやてはうーんと唸りながら
「難しい事は分からんけど兎に角あの子達はウチが面倒みなアカンっちゅう事は理解したわ」
「そうか。」
「先ずはあの子達の衣食住をしっかり見る事やね。 で、これから服を見に行くけど戒翔君も来てくれへん?」
「分かった。 はやてだけに任せるわけには行かないだろうし、こいつ等に今の一般常識を教えるのもあるしな」
戒翔ははやてと話をしながら一階に降りるとシグナムが椅子に座りヴィータはソファに座ってテレビを見ていた。
「主はやて」
「ヴィータもシグナムも出かける準備はええか?」
「準備も何もそのまま出掛ければいいが、流石にシグナム達の格好は人目を引くだろうから・・・」
そう言って戒翔は魔法陣を展開しシグナム達を光が包み光が収まった時には黒で統一された衣服では無くカジュアルな服に身を包んでおり、それを目にしたはやては目を丸くしシグナム達は何が起きたのか分からずに呆然としていた。
「一応、応急処置としてBJの要領で衣服を作ったがちゃんとした物をこれから買いに行くからな?」
「・・・戒翔くんは何でもありなんやね」
「何を言う、俺は出来る事しか出来ん。」
そうして戒翔、はやてとヴォルケンリッターの計五人(ザフィーラは人間形態でも目立つ為に留守番である。)は海鳴デパートに向かった。