少年の異世界戦記~リリカルなのは編~   作:クロイツヴァルト

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急すぎる展開

 

 

 闇の書が起動してから一ヶ月経とうとする頃に事態は急激に加速し始めた。

 

 「戒翔、主はやてが倒れたとは本当か!?」

 

 「あぁ、今主治医の石田医師が診察している所だ・・・(十中八九だが闇の書の侵食が進んで症状が悪化したって所か)」

 

 「・・・そうか。 なぁ、お前から見て主はやては大丈夫と見えるか?」

 

 「・・・俺でなくともいつも近くにいるお前達守護騎士の方が良く知っている筈だろう」

 

 「それはそうなのだが」

 

 「・・・正直に言えばはやての病気の正体は知ってはいる・・・がお前達には少なくない衝撃的事実にはなると思うが聞くか?」

 

 「あぁ。 我等は主はやてが元気な姿でいられるようにしたい」

 

 「そうか(彼女達だけでは無理だが・・・アイツ等と協力すれば) はやては多分このまま病院に一泊するだろうから家に帰ってからの方が良いだろうな。 お前達は先に帰っておけ石田医師の話は俺が変身魔法で変身して聞いて置く。」

 

 そう言って戒翔は変身魔法を使い青年へと姿を変える髪の色は黒だがその容姿はDMCのダンテそのものである。

 

 「・・・俺が変身魔法を使うとなぜかこの姿になるが他の姿には変える事は出来ないのか?」

 

 『ん~、術式は弄ることが出来ない様にロックされているから無理だろうね。』

 

 「・・・そうか」

 

 シグナム達を帰した後で変身魔法について少々バハムートと話していた戒翔だが、最後には肩を落とすが直ぐに気を取り直して石田医師の下へと説明を受けに行く。

 

 ――――――――――――――――

 

 「さて、シグナム達は今から話す事を冷静に聞くことが出来るか? はやてに関わる事だからこそ最初に注意しておく。」

 

 「ああ、大丈夫だ。」

 

 「あたしはわかんねェな。 だけど、はやての事だからなるべく冷静さを失わねェ様に気を付けて聞く。」

 

 「我も問題ない。」

 

 「私も大丈夫です。」

 

 石田医師の説明を受けた戒翔は家に戻るのと同時にシグナム達をリビングに呼び向い合せで座る。

 

 「・・・石田医師は伏せてはいたがはやての足の病気は現代医学では治療不可能だ。 そしてその病気は徐々に体を蝕みつつあり数年の内に麻痺が心臓まで達して心停止を起こす恐れもある・・・という事だ。」

 

 「はやてが・・・死ぬ? そんなバカな事があるかよ! なんかの間違いだろ!?」

 

 「事実だ。 そして俺はその原因を既に知っている。」

 

 「それはなんだ!?」

 

 「冷静にって言ってんだろうが・・・原因はお前達・・・闇の書が原因だ。 疑うならお前達の中の魔力パスでも確認してみろ。」

 

 そう言った戒翔の言葉にシグナム達は自分達のリンカーコアを介して魔力を調べて愕然とした。

 

 「ば、馬鹿な!?」

 

 「わたし達の所為ではやてちゃんが」

 

 「我らの存在が主に害をなしていたとは・・・!?」

 

 「・・・それで、それが分かった事でお前達はどうする?」

 

 絶望し、後悔に暮れている守護騎士達に戒翔は聞く。

 

 「・・・どうするもこうするも闇の書が原因ならそれを完成させればいい」

 

 「ヴィータ!?」

 

 「はやての言う事に逆らうけれど、闇の書さえ完成すれば侵食だって起きねえしはやても元気になる。 それで静かに皆で暮らすんだ。」

 

 「確かにヴィータの言う通り完成さえすれば侵食は進まないし、蒐集をしていればある程度の侵食の速度は緩めることが出来る。 だが、俺から進言するとすればなるべく魔力を持った獣に留めてアフターケアをしておけ。 仮に管理局にばれたとしてもそうしておけば重い罪には問われはしないだろう。」

 

 「何故、管理局にバレる事が前提なのだ? 我らなら」

 

 「何事も最悪を想定しておけば対応策がすぐに出るからだが・・・納得できないか?」

 

 「いや、そうでは無いが」

 

 戒翔の言葉にシグナムが訝しみながらも言葉を収める

 

 「シャマル、闇の書は?」

 

 「ここにあるけど・・・どうするの?」

 

 シャマルがテーブルの上に黒色の表紙に剣十字を装飾された本を置き、戒翔はそれを手に取り

 

 「闇の書・・・俺の魔力を蒐集しろ」

 

 「「「なッ!?」」」

 

 「戒翔!?」

 

 戒翔の言葉に驚く守護騎士達を尻目に戒翔の手から離れ空中に浮いた闇の書はその頁を開くと戒翔の胸の辺りからリンカーコアが出現し蒐集を開始する。

 

 「ぐぅッ・・・これは中々に・・・キツイな」

 

 「馬鹿か! 何してるんだよ!!!!」

 

 「ふぅ・・・俺の魔力は膨大だからな・・・かなりの頁を埋められた筈だ。」

 

 「た、確かに・・・一度に100頁は埋まったが・・・信じられん」

 

 「しかし、リンカーコアは大丈夫なのか? 一時的とはいえ縮小して使い物には」

 

 「心配せずとも魔力が少なかろうとも俺に戦う術が全くない訳では無い。」

 

 そう言って戒翔は己の氣を目に見える様に高めて体に纏う。

 

 「・・・それはなんだ?」

 

 「コレは氣という物で分かり易く言えば魔法が自然エネルギーからくる物とするならばこれは生体エネルギー所謂、体の内にある物だ。 って言ってもその概念を知らないお前達に説明しても分からんだろうと思うが魔法とは違って己の体力や気力を燃料にして戦える術だという事だけ理解してくれればいい。」

 

 そう言って戒翔は席を立つ。

 

 「何処へ行く?」

 

 「・・・お前達ははやての下にいろ。 最初の間は俺が魔力を蒐集する。」

 

 「しかし!」

 

 「しかしもかかしも無い・・・俺はお前達と違って家族と言う訳でもない・・・ただの居候だ。」

 

 そして戒翔の足下に魔法陣が展開される。

 

 「ですけど、闇の書が手元に無いと蒐集が」

 

 「こっちには独自に溜め込む為だけに作った魔法具もあるから心配するな。」

 

 そう言って戒翔は懐から青い菱形の宝石(・・・・・・・)を取り出して見せる。

 

 「だが、一人では」

 

 「お前達を圧倒する俺がそう簡単にやられると?」

 

 なおも食い下がるシグナムに対して戒翔は以前に管理外世界での勝負の事を持ち込みシグナムを黙らせる。

 

 「一週間か二週間ほど蒐集にあたるからその間はシグナム達ははやてと日常を謳歌しておけ。」

 

 そう言って戒翔は魔法陣を起動してその場から姿を消す。

 

 「シグナム・・・」

 

 「我等は守護騎士だと言っておきながら主はやての恩人にして友人に頼らねばならぬとは・・・わたし達は無力だな」

 

 戒翔のいなくなった居間で心配そうにシグナムの名を呼ぶシャマルに対してシグナムはその表情を読ませまいと俯きながら言葉を紡ぐがその言葉に答えれる者は誰一人いなかった。

 

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