金属と金属のぶつかり合う音がした。
「・・・なんだテメェ? そいつの仲間か?」
少女とヴィータの間に立つ様にして黒衣のマントを靡かせ手に持った鎌の形状をしたデバイスでヴィータのアイゼンを受け止めていた。
「違う・・・私は彼女の・・・友達だ!」
そう言って黒衣の少女は鍔迫り合いの状態から傍らに魔力スフィアを精製し、ヴィータに向けて放つがヴィータは寸での所でビルの外に逃げる。
「メンドくせぇけど、獲物が増えた事はありがてぇ」
そう零しながらヴィータがビルの外に出て暫くすると黒衣の少女が飛んでくる。
「私は嘱託魔導師・・・フェイト・テスタロッサ。 君には管理外世界での無断魔法使用の容疑が掛けられている。 こちらに投降の意志があれば弁護の場も与えることが出来る。」
「ハッ! 管理局の狗の言う事を誰が聞くかよ!」
「なら仕方ない・・・逮捕します!」
ヴィータが吠えて動こうとした瞬間、ヴィータの四肢を黄の魔力光を発するリング状のバインドが縛る。
「くッ! このッ!?」
「さぁ、大人しく連行されて欲しい。」
「誰が「それは困るんだがな?」 ッ!?」
ヴィータに近づこうとしていた黒衣の少女と本人でもあるヴィータとの間に剣士の女性とすっぽりと頭まで覆うローブに身を包んだ人物が立っていた。
「シグナム! それにオメェは」
《管理局が出張って来たからな・・・この場からは臨時で闇の書の主として動く。 ヴィータもはやてに繋がる様な事をするなよ? だから俺の事は一応、マスターか主と呼んでおけ》
「マスター」
「主よ、どうする?」
「主・・・? あなたはいったい・・・」
「お初にお目に掛かる管理局の者よ。 自己紹介をしておこうか・・・俺は今代の闇の書の主だ」
ローブを纏った戒翔の言葉に黒衣の少女は訝しげな表情をする。
「・・・闇の書?」
「・・・そうか、キミは管理局員になって日が浅いから知らないのか。 数ある遺失物の中の一つにして至高の遺失物・・・666頁分の魔力を籠める事によって人智を超えた力を手に入れる事が可能になるという代物さ。 そしてそこの少女にはその為の礎の一つになって貰おうと言う訳さ。 なに、別に死ぬわけでは無く魔力を少し貰うだけだ」
そう言ってローブ越しにビルの奥で緑色のドーム状のフィールドに包まれた少女と傍らに膝を立てて座る金髪の少年を見る。
「なのはには手を出させない!」
「・・・だそうだが、その子の相手は任せるぞ。 シグナム」
「了解した。」
デバイスを構え、戒翔に飛び掛かるが寸での所で剣士の女性・・・シグナムに阻まられる。
「ここからは私が相手をしよう。」
――――――――――――――
「・・・さて、少女の方に向かって蒐集しなければ」
「それをさせるかーッ!」
「ッ! ・・・新手かと思ってびっくりしたが彼女の使い魔の様だね」
ビルに近寄ろうとした所にオレンジ色の長髪を靡かせて戒翔に拳を振るって遮る女性・・・アルフが現れる。
「アンタになのはの近くには近寄らせないよ!」
「まったく、
「え?」
『crystalcage』
戒翔の言葉を不審に思い動きが鈍ったアルフはその一瞬の隙を突かれて六面体の結晶の様な物に閉じ込められる。
「なッ!?」
「少しの間そこで大人しくしていろ。」
驚くアルフをその場に残し、戒翔はビルの所に到達する。 そして大穴から侵入すると目の前に少女を護るように少年が立塞がる。
「・・・お姫様を護る騎士のつもりか?」
「な、なのはには指一本触れさせない!」
そう言って少年は魔法陣を展開するが
「・・・遅いな」
「なッ?!」
それよりも早く戒翔は少年に対して半物質化した鎖で幾重にも雁字搦めにして地に転がす。
「さて、キミの魔力を頂こうか。」
「な、なのは・・・!」
「・・・闇の書、蒐集開始」
戒翔の掲げた手に現れた漆黒色の本が独りでに開くのと同時になのはの胸の辺りから球の様なもの・・・リンカーコアが現れる。 そして
「あぁあぁぁぁあぁぁぁぁッ!?」
「やめろぉぉッ!!!!」
苦痛による悲鳴がビルの中に木霊す中で闇の書はどんどんページを埋めていく。 その光景を見ながら自身が動けない状態でありながらも少年はローブに身を包んだ正体不明の襲撃者に吠える。
「・・・蒐集完了。 残り120・・・一気に30も埋まるとはな」
「ユー・・・ノ、くん・・・」
本を片手に倒れる少女を抱き止めてゆっくりと地に寝かせて戒翔は足下に魔法陣を展開する。
「・・・彼の者に癒しの力を」
『fastaid』
少女、なのはの体を淡い青色の燐光が包み体中についていた傷が瞬く間に塞がって行く。
「お前は・・・何が目的なんだ!」
「目的も何も・・・闇を夜天に戻す・・・ただそれだけだ。 蒐集は完了した・・・帰るぞ」
少年の言葉に簡潔に言葉を返し、足元にはさっきとは別の魔方陣を展開してその場から襲撃者は消える。 同時に黒衣の少女と戦っていたシグナムと観戦していたヴィータも同時に同じ魔法陣でその場から消えるのであった。