「ここは・・・戻って来たのか?」
「戒翔くん!」
「カイト!」
空に魔法陣を展開したままの戒翔は周囲を見渡し、状況確認をしているとなのはが、フェイトが戒翔の近くまで飛んでくる。
「なのは、フェイト・・・俺は」
「その先は言わなくてもいいよ。」
「うん。 カイトはカイトの思う事があったからわたし達に何も言わずに動いてはやてを助けようとしていた。 でも、少しはわたし達を頼って欲しかったのが本音だけどね。」
申し訳ないと言う気持ちを言葉にしようとするが、なのはとフェイトに遮られ、逆に戒翔の行いを肯定するのと同時に悲しげな表情をする。 そんな二人に戒翔は頭に手を置いてバツの悪い表情をする。
「・・・心配を掛けて悪かった。 これからはなるべく心配を掛けない様に心がける。」
「うん、そうしてくれると嬉しいかな?」
「・・・そう言えばはやてちゃんは?」
「はやてなら・・・あそこだ」
戒翔の指差す先を見た二人は白い球体状の物を見つける。
―――――――――――――――――
「リンカーコア召喚・・・守護騎士システム破損修復」
白の世界の中、はやては管理者として彼女達のマスターとして家族として元に戻す作業をする。
「おいで・・・私の騎士達」
――――――――――――――――――
戒翔達が見守る中で球体が爆ぜ幾分か小さくなった球体とその下にはベルカ式の魔方陣が展開され、四基の守護騎士が目を閉じて佇んでいた。
「ヴィータちゃん!」
「シグナム!」
「漸く・・・この時が来たか。」
驚く二人を尻目に戒翔は感慨深げに呟きはやてがいる球体に目を向ける。
「我等夜天の主に集いし騎士」
「主ある限り我等の魂尽きる事無し」
「この命ある限り我等は御身の下にあり」
「我らが主夜天の主・・・八神はやての名の下に」
そして次の瞬間、四人を中心とした球体が爆ぜ、騎士甲冑を身に纏ったはやてが杖と夜天の書を手に現れる。
「はやてちゃん!」
その姿を見てなのはは喜びの声を上げる。
「さて・・・俺は俺の仕事をするとしよう。」
戒翔ははやて達を囲むフェイトとなのはを見ながら闇の淀みに向き合う。
「いくら君でもアレをどうにかできるのか?」
「・・・クロノか。 どうにか出来なくもないが・・・かなり無茶をしなくちゃならん」
「そうか。 先程なのは達にも説明したが凍結魔法による封印か、アルカンシェル・・・アースラに搭載されている主砲と呼ぶべき反応消滅魔法を用いた殲滅の二つのプラン・・・だったんだが」
「・・・他の方法があるのか?」
「かなりギャンブル性の高い方法だが、闇の書の闇の多重障壁を破り本体に攻撃し、コアを露出させそれを捕らえ長距離転送をし、アルカンシェルにて殲滅するプランだ。」
戒翔の言葉にクロノが言った事に対して戒翔は
「・・・確かにギャンブル性が高いと言えるが、この場にいるメンツで出来ない事じゃ無い。 アイツ等と一緒にいた俺だから断言できる。 絶対に成功する。」
「キミが言うと何故か不思議と納得させられるな。 そろそろ臨界時間だ」
「戒翔くん!」
クロノとの話に区切りがつくとなのはが戒翔に近付き
「なのは・・・向こうの打ち合わせは済んだのか?」
「その様子だと先にクロノから説明を聞いたの?」
「そんな所だ。 さて、もうひと踏ん張りだ。 無事に終わらせて帰ろう」
「うん!」
「戒翔くん、迷惑かけてゴメンな?」
「何を言うかと思えば・・・はやて、俺は俺の意志で動いている。 だから謝る必要はないし、謝るな」
「でも・・・」
なのは達の後に続いてはやて達八神家も近づいて来る。
「戒翔・・・我等は」
「俺に何か言う前にやる事をやるぞ。 闇の書の闇を倒して暴走を止める・・・話はそれからだ。」
「・・・そうだな。」
『みんな! 暴走開始まで後二分だよ!』
戒翔とシグナムが話している所へエイミィの通信が入る。
「無駄話はここまでだな。 采配はどうなっている?」
「魔力と物理の複合バリアになっているから物理、魔力が交互に配置されているから先陣はヴィータちゃん、なのはさんで次にシグナムにフェイトさんになるわ。 動きを阻害するのはユーノ君、アルフさんにザフィーラの三人。 後はクロノ君のデュランダルの凍結魔法にはやてちゃんが使う石化魔法で更に動きを止めるわ。」
「そうか・・・なら俺は攻撃陣の最後に入るまでサポートに徹していよう。」
シャマルの言葉を聞いて戒翔はユーノ達の所まで飛翔する。
「久しぶりって言うのは違うが、頼むぞユーノ。」
「うん。 カイトの事をボクがどうこう言うのは筋違いだから止めとくけど、ちゃんとなのは達の事も考えてくれないとね。」
「善処する。」
「無駄話をしている暇は無い・・・来るぞ!」
「闇の書と呼ばれるようになった存在・・・闇の書の闇・・・あんたも一緒になれたらよかったんやけど・・・ごめんな」
「チェーンバインド!」
「ケージングサークル!」
ユーノとアルフが拘束魔法を用いて闇の書の闇の動きを封じに掛かる。
「縛れ、鋼の軛! テヤァアァアァ!!!!」
ザフィーラが闇の書の闇の体に無数の魔力刃からなる拘束魔法を用いて砲撃を撃つ為の器官を潰しにかかる。
「さて、俺も行くか・・・重力の網に押し潰されろ! 【グラビティ】」
《bind》
上から覆い被さるように網目状の黒い魔法が闇の書の闇に接触するのと同時に大きく鎮められ身動きが取れなくなる。
「シャマル、今の内だ!」
「はい! 第一陣、ヴィータちゃんになのはさん!」
「遅れるなよ、高町なのは!」
「・・・うん! ヴィータちゃんもね!」
シャマルの声に応え、ヴィータはそっぽを向きながらなのはの名を呼び、それに対してなのはは喜びの笑みを浮かべながらも真剣な表情で前を見据える。
「鉄槌の騎士ヴィータと、鉄の伯爵グラーフアイゼン!」
《giganntoform》
ヴィータの声に応え、愛機グラーフアイゼンはヘッド部分を可動させ弾丸を排出し、その形状を変えていく。 小振りなハンマーから全てを圧砕せしめる巨大な槌へとその姿を変えていく。
「行くぞ、豪天・・・爆砕! ギガント」
所定の位置に移動したヴィータはその場で足場にする為の魔方陣を展開し、変形したアイゼンを振り被る。
「シュラァァァァクッ!!!!」
ヴィータの一撃を受けて更に沈み込みながら物理障壁が破壊されるのを見ていたなんはも構えを取る。
「高町なのはとレイジングハート・エクセリオン!」
魔法陣を展開し魔力収束を開始する。
「エクセリオン・・・バスター!」
《shortbarrel》
再生を終えた砲台が鎌首を擡げるが、レイジングハートのサポートによる速射魔法により再び沈黙する。
「ブレイク」
そして、レイジングハートから四方に延びる様にして闇の書の闇直撃する。 しかしこれで終わりでは無い。
「シュゥゥゥゥトッ!!!!」
照射している中心点から本命の砲撃が四条の桃色の砲撃を沿う様にして闇の書の闇にぶち当たり、魔力障壁を粉砕する。
「烈火の将シグナムとその魂、魔剣レヴァンティン! 剣と連結刃に続くもう一つの姿!」
ベルカ式の魔方陣を展開し、その上に立つシグナムは鞘の口とレヴァンティンの柄頭を接触させながら柄の部分にあるスライドから薬莢を排出させ、その姿を弓へと変える。
「駆けよ隼!」
《SyutorumuFalcon》
シグナムの足下から炎が徐々にせり上がり、シグナムの魔力が上昇していく中、魔力で出来た弓の弦を引き絞り、それを放つ。 放たれた矢は火に包まれたかと思えばその炎は鳥の姿を形取り闇の書の闇の障壁を撃ち抜く。
「フェイト・テスタロッサとバルディッシュ・ザンバー、行きます!」
ミッド式の魔方陣の上に立つフェイトは大剣状のバルディッシュに紫電を纏わせる。 その最中に再び触手砲台が出て来る。
「ハァァァァッ!」
先ずは小手調べとばかりに大剣から放たれる衝撃波を乗せた刃により上下に分断され沈黙する。
「行くよ、バルディッシュ! 撃ち抜け、雷神!」
《Jet Zanber》
「ハァッ!!!!」
裂吼の気合い一閃の下、フェイトの放った極大の魔力刃の斬撃は闇の書の闇を両断する事に成功する。
「彼方より来たれ、宿木の枝!銀月の槍となりて、撃ち貫け! 石化の槍・・・ミストルティン!」
上空で待機していたはやては呪文を唱えるのと同時に自身の上に展開したベルカ式魔法陣から六発の白銀の槍を闇の書の闇に突き立てる。
『駄目だ! ダメージは入ってるけど、入れた所からすぐに再生しちゃってるよ!』
「再生されても攻撃が通用してダメージが通っているならプランは続行だ! 行くぞ、戒翔! デュランダル!」
《OK、BOSS》
「凍結系のダブルパンチはどうかな?」
「悠久の凍土、凍てつく棺の中にて永遠の眠りを与えよ!」
「ギルガル・ギルディ・ギルディアス! 契約に従い、我に従え、氷の女王。 来れ、とこしえのやみ、えいえんのひょうが!」
クロノが魔方陣を展開するのと同時に自身の近くに浮遊する機械式のユニットが三基現れ、独特の動きをしながら闇の書の闇の付近に配置される。 隣に立つ戒翔もクロノと同じく氷結系の魔法を行使する為に魔方陣を展開し、呪文を唱え始める。
「全ての命ある者に等しき死を。 其は、安らぎ也」
「凍てつけ!」
《Eternal Kofinn》
戒翔の足下に展開している魔法陣の光が強くなるのと同時にクロノがデュランダルを振り抜き、闇の書の闇の付近を浮遊するユニットを使い砲撃の乱反射を用いて闇の書の闇を氷漬けにする。 が、直後に凍った所を食い破るようにして生体ユニットを増設して徐々に自身を覆う氷を砕いて行く。
「無駄な足掻きを・・・するな! 【こおるせかい】」
身じろぎする闇の書の闇に対して行われた戒翔の凍結魔法は瞬時に闇の書の闇の周囲を凍らすが、その余波だけで海辺の辺りの街まで凍りついて行く。
「町が・・・結界内だから良かったものの、少しは加減と言うものを」
「してられるタイプか? チマチマしてやった所ですぐに回復されるならデカいので動き封じてアイツ等にトドメを刺させてやればいい話だ。」
「確かにそうだが・・・」
「ほら三人娘! 締めにキツイの食らわして来い!」
「「「うん!」」」
辺り一面が白銀の世界に変わったものの、結界内で幸いだとクロノは嘆息しながら戒翔に非難の声を浴びせるが、戒翔は間を置かずにクロノに反論し、渋るクロノを振り払うかのようにして、戒翔はなのは、フェイト、はやての三人に声を掛けて自身も新たに魔法陣を展開し直す。
「スターライトォ・・・」
なのはは自身の最大魔法を放つ為の準備をする。 足下のミッド式の他に、収束加速の術式、圧縮の為の術式、環状線が巨大なまでの魔力スフィアの周りを回転しながらリングも回って行く。
「雷光一閃! プラズマザンバー」
フェイトもなのはと同じくして魔法陣を展開する。 彼女の魔力光である金色は光り輝く。 そして彼女の愛機
であるバルディッシュを掲げるのと同時に暗雲から雷を呼び魔力刃に紫電を纏わせ、振りかぶる為に肩越しに剣を構える。
「ごめんな、おやすみな? (あんたもアタシの家族や・・・だから、皆に迷惑かける前に、うち等の手で休ませたる。 もうこんな事をせんでえぇように)」
はやては眼下で氷の氷像と化した闇の書の闇を見下ろし、悲しげな表情で呟いて一度だけ瞳を閉じてほんの数瞬の間だけ想いを心の中で呟く。
「響け終焉の笛! ラクナロク」
魔導書を片手にシュベルトクロイツを天に掲げ眼前に巨大なベルカ式魔法陣を展開し、三点に白銀の魔力光を灯らせてチャージをする。 そして
「「「ブレイカー!!!!!」」」
なのは、フェイト、はやての三人による同時攻撃を闇の書の闇に撃ち込む。 その威力は言葉にし辛い程に苛烈で熾烈であった。 核なんか目では無い威力と光を放ちながら闇の書の闇を吞み込む。
「・・・闇の書のコア捕まえ・・・た!」
「長距離転送!」
「目標軌道上!」
シャマルが、旅の鏡でコアを捕らえ、ユーノとアルフが座標固定、座標指定をし三人同時に転送をするその時
「なにこれッ!? 闇の書のコアが」
シャマルが悲鳴を上げるのと同時に余波が止まずにいた砲撃直後の光が闇の書の闇がいる所を起点とし、徐々に収束して行く様が見える。
「いったい、何が起きているんだ?」
「・・・イレギュラーが起きているのか?」
収束し終えた所には金色の甲冑を着た男がこれまた金色の空を浮く乗り物か玉座の様な物に座っていた。
「アレは誰だ?」
「・・・まさか、アイツは」
「戒翔、どうした?」
闇の書の闇のいた場所に現れた正体不明の男に対して訝しむクロノだが、戒翔の驚きの表情を見て更に困惑する。 が、男が戒翔達のいる所まで浮上してくる。 その容貌は金の髪をオールバックにし、深紅の瞳が戒翔達を射抜き、その体から発せられる威圧感に歴戦の猛者である夜天の守護騎士達も冷や汗が止まらず悪寒もしていた。 それでない少し前まで普通の子供だったなのはとはやては顔色を青くし、恐怖に寄る物なのか体を震わせていた。
「・・・雑種如きが、この我の目の前にいる事がどれだけ不敬なのかその命で贖え。」
「ッ不味い! バハムート、アンチマジック及びアンチマテリアルバリアを出力最大で展開!」
《OK》
男が手を天に翳すのと同時に男の背後に血の様な波紋が広がるのと同時にそこから幾千幾万もの剣、槍、斧、鎌等のありとあらゆる刃がその姿を現す。 それを見て戒翔はすぐさまなのは達の前に躍り出て即興の防御魔方陣を構築し展開する。
「遅い! 疾く消えよ! 【ゲートオブ・バビロン】」
男の言葉と同時に手が振り下ろされ、顔を見せていた刀剣類が驟雨の如く戒翔達に殺到する。