「なのはちゃん! クロノ! 皆!」
「観測班! メンバーの状態の確認急いで! それと闇の書の闇から出て来たものに関しても急いで!」
アースラの艦橋では男が放った攻撃と戒翔の張った障壁の衝突による余波により映像が乱れ確認作業に追われていた。
「・・・いったい、何が起きているの? 今までの闇の書の暴走記録からはあんなものが出て来た事は一度も無いのに・・・何故?」
「艦長! 先程の出現した際に魔力量の観測結果が出ました!」
「それで、結果は?」
「そ、それが・・・メーターが振り切れて測定不能でした!」
観測班からの報告にリンディは息を呑む。
「測定不能!? そんな事が」
「艦長、映像回復します!」
「正面モニターに回してください。」
オペレーターの人間の言葉にそう返してリンディは正面モニターに視線を移す。
「・・・これは」
回復して見える様になったモニターを見て絶句する。
―――――――――――――――――
「ほう、生意気にも我の戯れに耐えるとはな・・・雑種にしてはやる様だな。」
「か、カイト」
「フェイト、なのは達を連れてアースラに避難しろ。」
「「「ッ!?」」」
「戒翔、どういう事か説明してくれるか? アレはそこまでの存在なのか?」
「・・・英雄王、少し話をしたいんだが少々時間を貰えるか?」
「ふん、五分だ。 それ以上は待たんぞ!」
戒翔に英雄王と呼ばれた男は玉座の上で腕を組みそのまま目を閉じる。
「・・・さて、説明と言ってもあそこに座る男についてだが・・・なのは、はやての二人なら分かるかと思うがこの地球上に存在すると言われている英雄で最古の英雄と言えば分かるか?」
「・・・最古の英雄?」
「さっき、戒翔くんは英雄王って呼んどったけど・・・もしかして」
「はやてちゃん?」
「あの人は古代メソポタニア時代の最初期の王さまなん?」
「そうだ。奴の名前はギルガメッシュ・・・紀元前2600年位の時に生きていた男だ。 そして、最も古い英雄にして全ての英雄達の武器の原典を所持する者でもある。 その強さは計り知れない。 そして、闇の書の闇のコアを用いて現界している事から魔力量は無尽蔵だと見て良いだろう。」
はやての言葉に相槌を打ちながら戒翔は男の情報をなのは達に教える。
「待て、そもそもおかしいだろう。 何故、そんな大昔に生きていた男が今この場に現れるんだ?」
クロノの言葉に戒翔は考えながら
「俺の仮説になるが、以前に魔力蒐集している時に竜崎の魔力を蒐集した事に起因していると思う。」
「竜崎が・・・?」
「管理局の方では奴の能力は希少技能とされているが違うものだ。 アレはデバイスを使って非殺傷設定となっている様だが、元々は奴の宝具を模した物だ。」
戒翔の言葉に全員が驚きを露わにする。
「なんでそう言える? それに宝具とはいったいなんだ?」
「詳しい訳は後で話すが、宝具・・・それはその英雄を象徴とする物で英雄王であるアイツは全ての英雄の原初になり、その全ての原典を宝物庫と呼ばれる物に貯蔵し、全てを扱える。 それが竜崎の魔力を蒐集した事により、疑似的にとはいえ闇の書の闇の膨大な魔力が奴を召喚した様だ。」
「召喚って」
「死んだ者を一時的に肉体を与えて召喚する技法・・・英霊召喚。 過去に偉業を成した名のある英雄達を呼ぶ奇跡だ。 そして、特定の英霊を召喚をする為にはその本人に由来する物を用いる。 今回は竜崎の魔力を介して奴の技能が闇の書に取り込まれていた事が原因だと思う。」
戒翔の言葉に更なる疑問をぶつけようとしてクロノが口を開くその時
「五分経ったぞ。 相談事は終わったか?」
突如として再び降り掛かる威圧感に全員が身構える中、戒翔だけはいつもの自然体でギルガメッシュを見る。
「スマナイな。 相手をさせて貰うのは俺だけだ。」
「雑種風情が我の相手をするだと? ふははははは! 俺を笑い殺す気か?」
「戒翔くん! 一人でだなんて無茶だよ!」
「なら、なのは。 お前は殺し合いが出来るのか?」
「「「ッ!?」」」
振り向いた戒翔の冷徹な瞳に射抜かれたなのはと、それを見ていたはやて、フェイトは背筋が凍る思いで絶句する。
「殺し合いって僕達は管理局として」
「禁止か? なら、むざむざ殺されるか? 奴はこっちを殺す気で来ると言うのにか? 第一にだ。 俺がクロノ達の指示を聞く謂れはない。 バハムート、俺を除く全員を強制転移だ。 場所はアースラ艦橋区画だ」
《OK》
「かい」
なのはが手を伸ばした所、戒翔の肩に手が触れそうな所で光に包まれて魔導師組と夜天組は転移させられた。 しかし
「リィンフォース、何故お前がまだいる」
「主はやてから強制的にユニゾンアウトさせられ、お前の転送から外れた。 その折に主はやてからお前の事を頼まれた。」
「勝手な事を」
「あそこまで強引に事を進めると言う事はそれほどの相手なのか?」
「奴の真の宝具の威力は世界を割ったと言われる逸品だ。 アイツ等が束になったとしても英霊と戦闘すると言うのならまず確実に殺される。」
「・・・そうなのか?」
「我を無視して会話を続けるとはいい度胸をしているな、雑種?」
疑問を浮かべるリィンフォースが言葉を続けようとした所、ギルガメッシュが苛立ち交じりに言葉と同時に数十からなる剣群が戒翔とリィンフォースに殺到するが、戒翔が何気に振るった剣閃によりその事如くが撃ち落とされる。
「雑種風情が我の攻撃を一度ならず二度までも防ぐとは生意気な!」
「お生憎様、そう易々と攻撃を喰らってやる程お人好しじゃないんでね。」
《burst》
戒翔が皮肉気に言葉を吐くのと同時にギルガメッシュと戒翔の間に大規模な爆発が起きる。
「小賢しい! 王たる我に小細工を弄するか!」
再びギルガメッシュが背後から宝具の雨を降らせるが、戒翔のいた付近には既に誰もいなかった。
「何処に消えた!」
「背後がお留守だぞ英雄王?」
「ぐあッ!? この、我を足蹴にするなど万死に値するぞ雑種ぅッ!」
黄金の玉座から落ちたギルガメッシュは足下に黒色の魔方陣を展開して足場にするのと同時に激昂し、先程とは比にならない程の数多の剣群を背後に展開する。
「・・・あの魔力光は俺の物か。」
「飛行適性は無いのか。」
「英雄と言っても元は人間だが、アイツは半神半人だから普通の人間を基準にしていたら簡単に殺されるぞ?」
「戯れもここまで・・・死ね雑種ゥゥゥゥッ!」
「ちと数が多いな。」
「あの数をどうするんだ?」
「防ぐには数が多すぎるからな。 離れるなよ?」
「な、何をする!?」
戒翔はそう言ってリィンフォースを自身の腕の中に抱く。 それに慌ててリィンフォースが異論を唱えるが既にその視界には剣群が押し迫り、目の前に迫る死の気配に恐怖の余りに目を閉じるリィンフォースは戒翔の瞳の色が真紅から藍色に変わっている事に気付かなかった。
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