「…いま、なんて言った?」
「あのね…。すずかの家に遊びに行くから一緒に行かない?って誘ってるのよ。」
教室の一角で席に座る戒翔に対してアリサが戒翔の目の前で腕組みし軽く睨みを利かせた様な目つきで見ていた。
「そう言う時はあの馬鹿でも誘ってやればいいだろ?小躍りして飛び付くぞ?」
戒翔の言葉にアリサは一言
「イヤよ。アイツをすずかの家に連れて行くなんて。」
バッサリと両断する。哀れ竜崎
「で、集合場所はどうするんだ?」
「そうね、アンタの家は知らないしすずかは私の家には直で来るからなのはの家の前で集合ね。」
「高町の?」
「そうよ。喫茶翠屋って言えば分かるかしら?」
アリサが誇らしげに言う。
「翠屋…あの店か。」
「どうやら知ってるみたいだから場所は教えなくても良いわね。」
「まぁ、大丈夫だな。」
――――――――――――――
「此処が翠屋…オープンテラスを用いた人気の喫茶店でその店のスイーツは絶品で特にシュークリームが人気…か。」
「戒翔くん、おはよう!」
「高町さん、おはよう。」
戒翔が翠屋に到着すると既に店は開店しておりなのはと隣に同伴者と思われる青年がおり、なのはが挨拶をしてきたので戒翔がそれに対して挨拶を返す。
「むぅー!戒翔、いつもいつも高町って言うけど名前で呼んでって言ってるの!」
「しかし、そこまで親しくした事無いからなぁ。(記憶操作を受けてるのなら余計な事はしないに限るからな…。それに…)」
なのはが頬を膨らませて不満を露わにするがそれに対して肩を竦ませる戒翔。
「貴様、なのはとどういう関係だ?あの竜崎と一緒なら…」
「お兄ちゃん!戒翔くんはあの人とは関係ないの!」
「お兄さん?俺はアイツとは無関係だよ。それにあからさまな殺気は抑えてくれませんかね?」
「む…!」
「…お兄ちゃん?」
「待てなのは!俺は…「お兄ちゃんのバカァー!」ぐほぉぁ!?」
戒翔の指摘に呻く高町兄に対してなのはの取った行動はいつも見る様な運動音痴では無く綺麗なフォームからのアッパーカットで鳩尾に喰らった兄は苦悶の表情で地に伏せる。
「高町は運動音痴では無かったのか…?」
戒翔の呟きは誰も答える者はいなかった。
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「お待たせいたしました。京谷様、なのは様。そして貴方が戒翔様ですね?私はアリサ様の執事兼運転手をしております鮫島と申します。」
翠屋の前での一部始終が終わるころを見計らうかのような形で黒塗りのリムジンが横付けに止まると運転席から老紳士風の男性が出てきて一礼をする。
「すずか様達がお待ちですのでお乗りください。」
鮫島に施されて京谷が助手席へ、なのはと戒翔が後部座席へ座るとアクセルを踏んで翠屋から離れる。
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「此処か…。とてつもなくデカいな?」
「京谷様、なのはお嬢様。お待ちしておりました。貴方が戒翔様ですね?お話はすずかお嬢様から伺っております。私はメイド長のファリンと申します。以後お見知りおきを…。」
メイド服に身を包んだ女性は綺麗なお辞儀をした後に屋敷の中へと案内する。
「京谷!」
「忍、今日は招いてくれてありがとう。」
すずかを大人にした様な女性はなのはの兄の名前を呼びながら抱き着く。京谷はそんな女性、忍を抱きしめ返し柔らかく微笑む。
「あら、貴方が戒翔くんね?すずかから貴方の事を聞いてるけどいい男になりそうね?」
「は、はぁ?」
「おねえちゃん!?」
「あら、私達はお邪魔みたいだからお部屋に行きましょう。」
「そうだな。」
ずいっと近付きそんな事を言う忍に困惑する戒翔だがそこに迎えに来たのであろうすずかが忍に対して叫ぶと直ぐに忍は離れて京谷の腕を取り自身の部屋に向かう。
「か、戒翔くん!お、お姉ちゃんは何か余計な事言ってないよね!?」
「だ、大丈夫だって。何も言ってないよ。」
頬を朱く染めたすずかに問い詰められる戒翔はたじたじだったがなんとかそう答える。
「そう……よかった。」
「どうした?」
「な、なんでも無いよ!?さ、さぁ、アリサちゃんも待ってるから早く行こう?」
すずかは慌ててそう取り繕うと戒翔となのはを庭に案内する。
「今日はお天気が良いから外のテラスでお茶会にしたんだ。」
そう言うすずかの先には白いテーブルと同色の四つの椅子があり、その一つにはすでにアリサが座っていた。そして…。
「…猫?しかも10匹以上いるよな?」
「にゃはは、すずかちゃんは大の動物好きでああして動物と一緒にすごしているんだよ。」
戒翔の呟きになのはが苦笑しながらそう補足する。そして、この場であの様な事が起きるとはこの時、なのは、そして戒翔は予想出来ていなかったであろう…。