仮面ライダー 鎧武&オーズfeat.ライダーズ ~暁の鎧~   作:裕ーKI

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第一話 鎧武の章:変身! 真っ赤なオレンジ!

 地方都市、沢芽市。

 そこはかつては大企業ユグドラシル・コーポレーションに支配された企業城下町だった。

 空間を繋ぐ裂け目――クラックの発生頻度の上昇に伴い、数々の災いが街を襲った。

 ヘルヘイムの森の侵食。オーバーロード・インベスの攻撃。機械生命体メガへクスの侵略。そして、黒の菩提樹と呼ばれるカルト集団の暗躍。

 災いの度に街は傷つき、市民は悲鳴を上げた。

 しかしそんな人々を守るために、脅威に立ち向かった者たちがいた。

 アーマードライダーと呼ばれる鎧の戦士である。

 彼らの活躍、そして犠牲により、森の侵食は消え去り、オーバーロードは全滅。メガへクスの本体である母星も破壊され、黒の菩提樹の企みも打ち砕かれた。

 ようやく平和が戻り、街の復興も少しずつだが進み始めている。

 だが、これで誰もが安心……している訳ではない。

 人類がヘルヘイムの森に干渉した結果生まれた産物が、世界中にばら撒かれてしまったのだ。

 ユグドラシル・コーポレーションが開発した戦極ドライバーとロックシードがそれである。

 組織が解体された時、数人の社員や研究員達がそれらの試作品や開発技術を持ち逃げし、兵器――もしくは商品として売買に利用した可能性がある。

 ロックシードの生成に必要なヘルヘイムの果実の栽培方法も含め、今やユグドラシル・コーポレーションの技術が他者の手により増殖を繰り返している。

 ユグドラシル・コーポレーションの重役だった呉島貴虎と弟の光実は、自らの過ちを償うため、そして、これ以上ユグドラシルの技術を悪用されないために日々奮闘を続けている。

 

 

 

 灰色の雲が空を覆っている。

 その日の沢芽市は曇っていた。

 雨が降るとまではいかないが、当分太陽を拝めそうにはない天気だった。

 しかしそれでも、街はいつものように賑やかだ。

 人々が自由気ままに街中を歩いている。

 ヘルヘイムの森に侵食され、オーバーロードの攻撃を受けた時は、多くの人間が街を離れた。

 一時はめっきり静かになってしまった沢芽市だったが、街をもう一度活性化させようとする者たちに感化され、少しずつまた人が戻ってきた。

 今では以前と変わらないほどに人並みで街が溢れている。

 そんな中、大学から自宅へ帰る道中、呉島光実はすれ違う人々を気にしながら歩道を歩いていた。

 ふと近くの建物の壁に目を向けると、写真付きのポスターが何枚も貼り付けられていることに気づいた。

 

“人気アイドルYUN! 沢芽市にてワンマンライブ!!”

 

 どうやら女性のアイドル歌手が、近いうちに沢芽市にやってくるらしい。

 光実自身はアイドルなんかに興味はなかったが、それでまた街の活性化に繋がるのであれば喜ばしいことである。

 そう思いながらも、光実の表情は晴れなかった。

 ここ最近、どうにも嫌な噂を耳にする。

「怪物を見た」「インベスが暴れている」「人騒がせなビートライダーズが復活した」「また街が滅びる」と。

 どれも光実にとっては耳が痛くなる噂ばかりだった。

 だけどそれだけに放っては置けない。

 インベスもインベスゲームに夢中だったかつてのビートライダーズも、この街にはもういないはずなのだ。

 ヘルヘイムの森の侵食と同時に溢れかえったインベスの大群は、黄金の果実を手に入れたアーマードライダー鎧武――葛葉紘汰が宇宙へ連れ去った。

 幾つものチームに分かれて競い合っていた以前のビートライダーズも随分前に解散し、現在は純粋にダンスを楽しむ者たちだけで再結成されている。

 巷で広まっているような噂が生まれるはずはないのだが。

 兄の貴虎は、真相を調査するべく既に行動を開始している。

 街の復興に同意し集ったユグドラシルの元社員たちと協力して、あらゆる手を駆使して情報を集めているらしい。

 光実も、少しでも兄の助けになろうと、帰り間際にこうして怪しい者がいないか目を凝らしているのだ。

 思わず疑心暗鬼になりそうな行動ではあるが、街の平和を守るためなら仕方ない。

 歩を進めながら、視界に入り込む人々の観察を繰り返す光実。

 暫くして、ズボンのポケットに入れておいたスマートフォンが唐突に鳴り出した。

 足を止めてスマートフォンを手に取ると、画面には“ザック”という名が表示されている。

 電話に出ると、ザックの元気な声が聞こえてきた。

 

「もしもし?」

『よおミッチ! 今暇か?』

「大学の帰りだけど、どうしたの?」

『今、皆で阪東さんのところに集まってんだけど、お前もこっちに来ないか?』

「ドルーパーズに?」

 

 電話の内容は単純な遊びの誘いだった。

 普段から溜り場に使っている店――フルーツパーラー・ドルーパーズにビートライダーズのメンバーが集まっているので一緒にどうか? とのことだ。

 すれ違う人達を疑心の目で見続けて疲れてきたところだし、仲間の元でリフレッシュするのも悪くないかもしれない。

 

「わかった。すぐに行くよ!」

 

 光実は二つ返事で答えた。

 通話が終わり、スマートフォンを再びポケットの中に押し込む。

 人間観察は一旦終了だ。

 光実はドルーパーズに向かって歩き始めた。

 

 

 

 光実がいた場所からドルーパーズまでの距離はそれほど離れてはいない。

 ゆっくり歩いて10分ほどで到着した。

 

「よお! いらっしゃい!」

 

 店の中に入ると、オーナーの阪東清治郎が笑顔で挨拶をしてくれた。

 

「いらっしゃいー……」

 

 ワンテンポ遅れてバイトの女の子――イヨの無愛想な声も聞こえてくる。

 ふと目を向けると、イヨはレジカウンターの中でスマホ操作に夢中だった。

 光実は阪東にフルーツティーを注文すると、既に集まっている仲間たちの元に歩み寄った。

 

「待ってたぜ! ミッチ!」

「ミッチ久しぶりぃ~!」

「ちょっと会わないうちにまた身長伸びたんじゃない?」

 

 店の奥へ進むと、仲間たちが笑顔で出迎えてくれた。

 電話をくれたザックは勿論のこと、チーム鎧武のメンバーであるチャッキーやリカやラット、そしてチームバロンのペコとペコの姉のアザミも。

 

「みんなも元気そうで良かった!」

 

 仲間たちの笑顔に、光実の表情も思わず綻びる。

 沢芽市を危機に陥れた黒の菩提樹の事件が解決した後も、仲間たちとは定期的に連絡を取り合ってはいたのだが、兄の貴虎の仕事の手伝いや大学での勉強で忙しく、ここ暫くはなかなか顔を合わせることができなかったのだ。

 

「最近、勉強の方はどう? 頑張ってる?」

 

 オレンジジュースが入ったグラスを片手に、チーム鎧武の女性メンバーであるチャッキーが聞いてきた。

 続けて隣に座っていたリカも。

 

「賢いミッチのことだもん。学園1位の成績だよ、きっと」

「いやいや、そんなこと全然ないよ。ついていくのが精一杯さ」

 

 リカの言葉に対し、両手を振りながら謙遜する光実。

 

「仕事の方はどうなんだ? その……今も手伝ってるんだろ? 兄貴の仕事」

 

 と、今度はチームバロンのリーダー、ザックが尋ねる。

 

「うん。時々ね。色々大変だから、少しでも力になるようには努力してるつもりなんだけど」

「シャルモンのおっさんも、最近はパティシエの仕事よりもミッチの兄貴のサポートがメインになってきてるらしいぜ」

 

 姉のアザミと肩を並べて座っているペコが、テーブルに並べられたドライフルーツに手を伸ばしながら、人伝に聴いた話を口にする。

 

「あの人、ああ見えて色々有能だもんね」

「でも、凰蓮さんが自由に動けるのも、城乃内のおかげじゃない?」

「アイツ、意外なところで才能を開花させたよな」

 

 顔を合わせて笑いあうチャッキーとリカの傍らで、チーム鎧武の男性メンバーであるラットが感心したように言う。

 

「ダンスよりも洋菓子作りの方が向いていたってことかしらね」

 

 話を聴いていたアザミが笑顔で頷いた。

 楽しそうに会話に花を咲かせるメンバーたち。

 その雰囲気がとても懐かしく心地が良い。

 今こうして仲間たちの輪に再び入ることができている喜びを、光実は心の底から噛み締めていた。

 

「ねえ?」

 

 集まったメンバーたちと楽しそうに談笑を続けていると、突然、バイトのイヨが声を掛けてきた。

 

「どうしました?」

 

 フルーツティーに舌鼓していた光実が不思議そうに応える。 

 

「これ……。あんたたちと関係あるんじゃないの?」

 

 無表情でそう言いながら、イヨは手に持っていたスマートフォンの画面を光実に向ける。

 そこには誰かがネットに投稿した30秒ほどの動画が再生されていた。

 その内容を目にした瞬間、光実の表情が強張る。

 

「これは……!?」

「どうしたミッチ?」

 

 光実の異変に気づいたザックが傍にやって来る。

 同じように画面に視線を向けると、

 

「おいっミッチ。こいつは……」

 

 動画を目の当たりにしたザックも思わず言葉を失う。

 スマホの画面には、ビル街で戦闘を繰り広げる怪物と鎧武者の姿が映し出されていた。

 怪物にも鎧武者にも、光実とザックは見覚えがあった。いや、恐らくこの店にいる者全員――ひょっとしたら沢芽市の人間全てがその存在を知っているかもしれない。

 怪物はかつてのヘルヘイムの森の侵食と同時に出没したモンスター――インベスで間違いない。

 鎧武者の方は、動画がぼやけているためはっきりと認識はできないが、この世界を去った大切な仲間――葛葉紘汰が変身していたアーマードライダー鎧武によく似ていた。

 

「これってどう見てもインベスと……鎧武だよな……」

「うん。微妙に色が違う気もするけど……フォルムは間違いなく紘汰さんが変身していた鎧武と同じだ」

「でもそれってどういうことなんだ? 紘汰もインベスも、もうこの地球にはいないはずだろ? それともあれか? 紘汰はこの前のメガへクスの時みたいに、一時的に帰ってきたとか?」

「う~ん……どうだろ……。この映像だけじゃ判断できないな。もっと詳しく調べてみないと……。イヨさん、この動画の投稿時間と撮影場所ってわかりますか?」

 

 動画に釘付けだった光実は、無言で待機していたイヨに尋ねた。

 スマホを手元に戻したイヨは、その細い指で画面をスライドしながら光実の質問に答えた。

 

「投稿時間はついさっき……15分ほど前。場所は……駅前近くの公園みたい……」

「ありがとう。とりあえず、僕はこれからそこへ行って真実を確かめてくるよ」

 

 イヨに礼を言った後、光実はザックに提案した。するとザックは、

 

「待った! 俺も行くぜ。もし本当にインベスがこの街にいるなら必ず戦闘になるはずだ。そうなったら、人数は1人でも多い方が良いだろ?」

 

 ザックの言葉に光実は一瞬迷った。

 ヘルヘイムの森の脅威が消え、メガへクスの侵略を打ち破り、黒の菩提樹の計画を阻止した今、ようやく戦いから離れつつあるというのに、彼を再び巻き込んで良いのかと。

 ザックは今、自分の夢を追いかけるのに必死だ。

 ダンスの実力を極めるために、もう一度渡米する機会を窺っていると聞いたことがある。

 そんな彼を、また戦いに駆り出して良いのか?

 光実が判断に困っていると、先にザックが行動を起こした。

 

「のんびりしている場合じゃないぜ、ミッチ。早く行かねぇとインベスも鎧武も見失っちまう」

 

 光実の腕を引っ張りながら席を立つザック。

 すると、仲間たちとの談笑を楽しんでいたアザミがそれに気づいた。

 

「どうしたのザック?」

 

 どうやら会話に夢中で他のメンバーたちは光実とザックの異変に気づいていないようだ。

 ザックはアザミの耳元に口を寄せると、

 

「悪ぃアザミさん。ちょっと用事ができたから、俺とミッチは席を外すわ。皆には適当に言ってごまかしといて」

 

 と、小さく呟いた。

 2人の様子を察したアザミは、同じようにザックに耳打ちをする。

 

「何かあったみたいね。危険なことなら無理はしないで」

 

 ザックは笑顔で頷くと、光実を連れてドルーパーズを出て行った。

 

 

 ☆

 

 

 光実とザックはイヨに教えられた公園を目指して走る。

 繁華街を抜け、歩道橋を渡り、路地裏を通っていく。

 

「ザック、一緒に来てくれてありがとう!」

 

 息を切らしながら、光実は改めてザックに礼を言った。

 

「何を畏まったことを言ってるんだよ、今更! 仲間だろ? 俺たち!」

 

 ニッと笑みを浮かべながら、ザックは当然のように答える。

 その言葉が、笑みが、光実にはたまらなく嬉しかった。

 かつて、ヘルヘイムの森の侵食とオーバーロードの攻撃により、人類が危機に陥った時、光実は自らの行いが正しいと信じて人類を裏切る行為に手を染めてしまった。

 その結果、多くの仲間を危険な目にあわせてしまい、そればかりか大切に想っていた少女の命までもが失われる状況を作り出してしまった。

 事件の後、仲間たちはこんな自分を許してくれたが、未だにそのことが尾を引いており、どうしても変な気を使って仲間たちから距離を取ってしまう時がある。

 最早これは癖のようなものだが、ザックはそんな自分が隔てた壁を、お構いなしに突破してくる。

 彼の言葉に、行動に、一体どれだけ救われてきただろう。

 いや、ザックだけじゃない。

 チャッキー、リカ、ラット、ペコ。凰蓮さんに城乃内。そして……兄さん。

 多くの仲間たちに光実は支えられてきた。きっと一生掛かっても返しきれないものを彼らから受け取っていることだろう。

 少しずつで良い。ゆっくりで良い。これからじっくり時間を掛けて彼らに恩返しをしていこう。

 

「うん……。ありがとう」

 

 光実はちょっとだけはにかみながらもう1度ザックに礼を言うのだった。

 

 

 

 走り続けて15分。

 近道しようと、普段ダンスに使っている東のステージの前を横切ったその時、1人の男が突然声を掛けてきた。

 

「よぉお! 誰かと思えばチーム鎧武とチームバロンの奴らじゃねえかぁ!」

 

 その言葉に、光実とザックは思わず足を止める。

 声がした方に振り返ると、そこにいたのは全員赤い服を身に纏った3人の男たち。

 光実もザックもその男たちの顔には見覚えがあった。

 

「お前は……曽野村。チームレッドホットの奴らか」

 

 ザックは声を掛けてきた男の名を口にする。

 2人の前に現れたのはビートライダーズのダンスチームの1つ、チームレッドホット。

 曽野村という男がリーダーを務める赤がイメージカラーの集団だ。

 

「“元”だけどな。ダンスなんてくだらねえモン、当の昔にやめちまったよ! 今の俺らは、沢芽市最強のギャングチームだぜ!」

「ギャング? 一体何のことだ?」

 

 得意げに喋る曽野村に、光実は問いかける。

 

「お前らには特別に見せてやるよ! 俺たちの最高にイカした力をな!」

 

 そう言うと、曽野村を筆頭にチームレッドホットのメンバー全員が、ポケットから何かを取り出した。

 それは掌サイズの小瓶のようなものだった。

 栓を開け、中の液体を一斉に飲み干すと、男たちの身体に異変が起き始める。

 全身が植物に覆われ、中から不気味な怪物が現れる。

 その姿は、ヘルヘイムの森に実る果実を口にした生物の成れの果てと同じ、インベスそのものだった。

 小瓶の液体を飲んだチームレッドホットのメンバー全員が、インベスに変貌したのだ。

 

「どうなってんだよこれ……」

「曽野村たちがインベスに……」

 

 ザックも光実も、あまりにも予想外の展開に呆然と立ち尽くしている。

 

「どうだ俺たちの姿! あのインベスの力を我が物にしてやったんだぜぇ!」

 

 真っ赤な獅子のような外見のライオンインベスの姿に変貌した曽野村は、鋭い爪を立てて光実とザックにアピールする。

 

「喋った!? インベスになっても理性を失ってないのか!?」

 

 インベスとなった生物は、一部の例外を除いて理性や知性を失うはず。なのに人格を維持したままでいる曽野村たちに、光実は驚きを隠せなかった。

 

「インベスの力を手に入れて、俺たちは最強になった! この力で、お前たちにいつぞやの仕返しをしてやるぜ!」

 

 そう言って、ライオンインベスは光実とザック目掛けて爪を振り下ろした。

 

「あぶね!」

 

 ザックの咄嗟の判断で、紙一重に攻撃を回避。

 2人は急いで後退して距離を取る。

 

「お前ら、やっちまえ!」

 

 曽野村――ライオンインベスの言葉を合図に、初級インベスと化した2人のチームメンバーも光実とザックに襲い掛かった。

 

「ミッチ! このままじゃまずい! やるしかねえ!」

 

 初級インベスの攻撃を避けながら、ザックが光実に叫ぶ。

 その手には既に変身ベルト――戦極ドライバーが握られていた。

 

「仕方ない! 戦おう!」

 

 そう言って、光実も懐から戦極ドライバーを取り出した。

 

「よっしゃ!」

 

 頷いたザックは戦極ドライバーを腰に装着。

 光実もほとんど同じタイミングでドライバーを腰に巻きつけた。

 

『ブドウ!』

『クルーミ!』

 

 手にした南京錠型のアイテム――ロックシードを開錠させると、頭上に生まれた裂け目――クラックから鋼の果実が降りてきた。

 

「「変身!!」」

 

 2人は同時に力強く叫ぶと、ロックシードを戦極ドライバーの中心にはめ込み、操作レバー――カッティングブレードを倒した。

 

『ハイ~! ブドウアームズ! 龍・砲! ハッハッハ!』

『クルミアームズ! ミスタァーナックルマン!』

 

 鎧に変形した鋼の果実を身に纏い、光実とザックはアーマードライダーに姿を変えた。

 光実は専用武器ブドウ龍砲を駆使した銃撃戦を得意とする中華風のライダー、龍玄。

 ザックは両手にグローブ型の武器クルミボンバーを装備したボクサータイプのライダー、ナックル。

 2人は武器を構えると、颯爽と駆け出し反撃を開始した。

 

「おらぁ!」

「はあっ!」

 

 ナックルが左右のパンチを交互に打ち込み、龍玄のブドウ龍砲から放たれた紫色の光弾が初級インベスたちを吹き飛ばす。

 

「ぐわぁー……」

「いってぇえええ~」

 

 曽野村の仲間の男たちが変身した初級インベスたちは、悲鳴を上げながら無様に地面を転がった。

 

「ちっ! アーマードライダーか。本当だったら俺も、アーマードライダーの1人になって、お前らみたいにでかい顔できるはずだったのによぉ!」

 

 怒りをぶつけるかのように、ライオンインベスは龍玄とナックルに襲い掛かった。

 

「くだらねえ! お前なんかにアーマードライダーが務まるかよ!」

 

 相手の爪を左の拳で受け止めたナックルが、すかさず右ストレートでライオンインベスの顔面を殴り飛ばした。

 

「うごぉ!?」

 

 よろめきながら後退りするライオンインベス。

 続けざまに龍玄がブドウ龍砲の引き金を引き、光弾の雨を浴びせていく。

 

「ぐがぁぁぁあ!」

 

 強力な連続攻撃を前に、ライオンインベスは堪らず背後に倒れこんだ。

 数々の激闘を乗り越えてきた龍玄とナックルにとって、戦闘においては素人同然の曽野村たちは敵ではなかった。

 

「ミッチ! 一気にとどめだ!」

「うん!」

『ブドウ・スカァーッシュ!』

 

 頷いた龍玄はカッティングブレードを1回倒し、エネルギーをブドウ龍砲にチャージさせる。

 引き金に指をかけ、ライオンインベスに照準を合わせるが、どうしても龍玄はその指を引くことができなかった。

 

「どうしたミッチ?」

 

 様子がおかしい龍玄に、ナックルは声を掛ける。

 

「……」

 

 龍玄は決断に迷っていた。

 敵はインベスだ。しかし、眼前にいる奴は自分たちがこれまで倒してきたインベスとは違う。

 人が自分の意志で変身し、理性も知性も人格も保っている。

 明らかにまだ人間と認識できる存在を、躊躇なく殺すことは今の龍玄――光実には決してできることではなかった。

 かつての――非情になりきっていた頃の光実ならば、躊躇いなく引き金を引いていたかもしれないが、自分を支えてくれる仲間に、何よりも親友である葛葉紘汰に「ヒーローになる」と誓った以上、2度と道を踏み外す訳にはいかなかった。

 

「! 隙ありっ!」

 

 龍玄が油断した瞬間、咄嗟にライオンインベスが爪を振り上げた。

 

「しまっ……うわぁあああああ……」

 

 刹那に三日月状の光の刃が炸裂し、龍玄の鎧を大きく傷つける。

 バランスを崩しながら変身が解除され、光実は苦痛の声を上げながら地べたを転がった。

 

「ミッチ!」

 

 慌てて光実の元に駆け寄るナックル。

 見ると、光実の戦極ドライバーからブドウロックシードが失われていた。

 

「おっと。こいつは思わぬ戦利品だな」

 

 いつの間にか、ブドウロックシードはライオンインベスの手の中に握られていた。

 攻撃のショックでドライバーから弾け飛んだブドウロックシードを、ライオンインベスが奪い取ったのだ。

 

「てめえ! そいつはミッチのモンだ! サッサと返しやがれぇ!」

 

 怒りのままに、ナックルがライオンインベスに殴りかかる。

 が、それを再び立ち上がった2体の初級インベスが妨害する。

 

「退け! 邪魔すんな!」

 

 拳を振るって退けようとするも、そのしつこさに苦戦するナックル。

 そうしている間に、ライオンインベスは横たわる光実の元にゆっくりと歩み寄る。

 

「ついでだ。このロックシードと一緒に、お前の持っている戦極ドライバーも頂こうか」

 

 爪で摘んだブドウロックシードを見せびらかしながら、ライオンインベスは光実を見下ろす。

 

「……奪おうとしても無駄なことだよ。僕のドライバーは僕にしか使えない……」

 

 光実もまた、気持ちでは負けぬとライオンインベスを睨みつける。

 

「ああそうかよ! だったらお前の命ごとぶっ壊すだけだ!」

 

 そう言い放つと、ライオンインベスは光実の戦極ドライバー目掛けて鋭い爪を振りかぶった。

 万事休すか。

 追い詰められた光実の表情が思わず硬くなる。

 と、その時、突然何処からか飛んできた数発の光弾が、ライオンインベスを後方に吹き飛ばした。

 

「だ、誰だぁ!?」

 

 すぐに立ち上がったライオンインベスは怒りの形相で辺りを見回す。

 すると、少し離れた先に新たなアーマードライダーの姿があった。

 左手に盾を、右手に刀を携えた白きアーマードライダー。

 その姿に、光実は思わず安堵の声を漏らした。

 

「兄さん!」

 

 光実やライオンインベスが見つめる先に佇むのは、光実の兄――呉島貴虎が変身した鎧武者、アーマードライダー斬月・メロンアームズだった。

 斬月は銃と刀が一体になった武器――無双セイバーの銃口を下ろすと、急いで光実の元に駆け寄った。

 

「無事か? 光実」

「うん。なんとか……。それより、兄さんこそどうしてここへ?」

「例の噂の件を調査していた部下から、「アーマードライダーとインベスが交戦している」と連絡があってな。今となっては沢芽市に存在するアーマードライダーも限られている。きっとお前たちだと思っていたら、案の定だったな」

 

 斬月はそう言うとフッと笑みを浮かべた。

 

「お前は休んでいろ。後のことは私が始末をつける!」

 

 光実に背を向け、斬月はライオンインベスに刃を向ける。

 

「待って兄さん! そいつらは僕達の知っている今までのインベスとは違う! 人間が自分の意志で変身して、人格も保ってるんだ!」

 

 歩み出そうとする斬月の背に、光実は咄嗟に言葉を浴びせる。

 

「なんだと!?」

 

 思わず足を止めて振り返る斬月。

 

「なんだてめえは! 見慣れねえアーマードライダーだな!」

 

 突然現れた新手のアーマードライダーを、ライオンインベスは獣のように牙をむいて威嚇すると、地面を蹴って跳躍し、斬月に向かって鋭い爪を振り下ろした。

 

「ちいぃ!」

 

 直感的に殺意を感じ取った斬月は、すかさずメロン模様の盾――メロンディフェンダーでライオンインベスの一撃を防御した。

 ガキィィン! という鈍い音が東のステージに響き渡る。

 

「コイツはインベスの姿をした人間だということか……。厄介だな……」

 

 メロンディフェンダーで敵を振り払いながら、斬月は思わず嘆く。

 

「貴虎さん! そいつはミッチのロックシードを持ってる! 取り返してくれ!」

 

 2体の初級インベスの相手をしながら、ナックルは叫んだ。

 

「了解だ! 返してもらうぞ、弟のロックシードを!」

 

 斬月は無双セイバーの持ち方を変えて峰の部分でライオンインベスを攻撃する。

 その攻撃は斬撃ではなく打撃だったが、ライオンインベスにダメージを与えるには十分の威力だった。

 ライオンインベスは斬月の猛攻に成す術なく追い詰められていくが、それでも怯むことなく何度も立ち向かっていく。

 まるで痛覚が麻痺しているかのように、肉体が傷つくのもお構いなしに斬月に襲い掛かる。

 

「この野郎! てめえのロックシードもよこしやがれぇ!」

「しつこい奴だ……」

 

 斬月は全アーマードライダーの中でもトップクラスの実力を持った戦士だ。

 システムを把握しきったその戦いぶりは、ランク上の敵とも互角に渡り合うことができる。

 本来ならば、斬月の手に掛かればこの場にいる全ての敵を殲滅するのに1分と掛からないはずなのだが、何しろ今回は相手が悪い。

 まだ人間と認識できる存在が相手だと、どうしても実力を出し切ることができない。手加減せざるを得ない。

 

 かつて――ユグドラシル・コーポレーションが沢芽市を支配していた頃、ビートライダーズがヘルヘイムの森を舞台にしたロックシード争奪ゲームを企画した。

 森の中に集結するアーマードライダーたち。事態を鎮圧するために斬月もまた現場に向かったが、その時、不慮の事故が起きてしまう。

 アーマードライダーの1人、初瀬亮二が変身するアーマードライダー黒影を相手にした時、焦っていた斬月は力の加減を間違えてしまい、黒影の戦極ドライバーを破壊してしまう。

 そのことがきっかけとなり、初瀬亮二は力を追い求めてヘルヘイムの果実を口にする。

 果実を食した初瀬は、自我を失ったヘキジャインベスに変貌し、アーマードライダーシグルドの手によって始末された。

 

 この出来事は多くの人間の心に“後悔”という形で今も残り続けている。

 斬月――呉島貴虎も勿論例外ではなく、この時の経験がどうしても脳裏にちらついてしまい、今の斬月の腕を鈍らせてしまっていた。

 もしまた力の加減を間違えれば、今度はインベスに化けたこいつらの命を奪いかねない、と。

 

「くっ! どうすれば……」

 

 なかなか決定打を与えることができず、歯痒い思いに悩む斬月。

 初級インベスを相手にするナックルもまた、同じ理由で手間取っていた。

 と、するとそこへ。

 

「なんてだらしない戦いなの!!」

 

 戦場に、唐突に女性の声が聞こえてきた。

 力強く、強気な女性の声。

 その場にいる誰もがが一斉に手を止め、声のした方に振り向くと、そこに立っていたのは1組の男女だった。

 まるで戦国時代からタイムスリップしてきたかのような、時代錯誤な服装を身に纏った少年少女。腰には2丁の拳銃や刀がぶら下がっている。

 

「何者だ!?」

 

 斬月が尋ねるが、少年少女は返答することなく歩み寄る。

 

「シグレ!」

「任せて、ラン姉!」

 

 少女に呼ばれると、少年は頷きながら懐から戦極ドライバーを取り出した。

 

「戦極ドライバー!? 何故彼らがそれを!?」

 

 光実は驚きのあまり声を上げる。

 少年は徐に足を止めると、戦極ドライバーを腰に装着し、赤いオレンジの絵が描かれたロックシードを開錠させた。

 

『ブラッドオレンジ!』

 

 電子音声が鳴り響き、少年の頭上に開いたクラックから赤いオレンジの形をした鋼の果実が現れる。

 少年はロックシードを戦極ドライバーに装填、次の瞬間、叫び声と共にカッティングブレードを倒した。

 

「変身!」

『ハッ! ブラッドオレンジアームズ! 茨道・オンステージ!』

 

 鋼の果実は少年の頭に覆い被さると和風の鎧に形を変え、少年の姿を鎧武者に変化させた。

 右手にはくし形切りのブラッドオレンジを模した刀――赤い大橙丸が握られ、左腰には斬月のものと同様の無双セイバーが携行されている。

 その姿はまさしく葛葉紘汰が変身するアーマードライダー鎧武と瓜二つであったが、ただ1つ大きく異なるのは鎧の色。

 葛葉紘汰の鎧武の鎧がオレンジ色であったのに対し、少年が変身した鎧武者の色は、文字通り真っ赤な血の色をしていた。

 血の色、もしくは薔薇の花びらのように深い紅色――真紅を纏った彼の名は、アーマードライダー鎧武・華。

 

「この戦、僕が終わらせる!」

 

 大橙丸を両手でしっかりと握り締めながら、鎧武・華 ブラッドオレンジアームズは宣言した。

 

「また別のアーマードライダーかよ! しかもあの鎧武と同じ格好とはな……。嫌なことを思い出させやがる!」

 

 ライオンインベス――曽野村は、かつて葛葉紘汰が変身した鎧武に命を救われたことがある。

 その時の経験は彼にとっては屈辱以外の何者でもなく、ついさっきまで忘却の彼方に葬られていた思い出だったが、鎧武によく似た赤い鎧武者を目の当たりにしたことで、当時の記憶がフッと蘇った。

 ライオンインベスは不快な表情を浮かべながら、狙いを斬月から鎧武・華に変更。

 斬月の肩を突き飛ばすと、鎧武・華に向かって一目散に駆け出し、その鋭い爪を振りかぶった。

 しかし、

 

「はっ!」

 

 次の瞬間、ライオンインベスの爪よりも速い鎧武・華の一太刀が、ライオンインベスの胸部を切り裂いた。

 

「ぐぅう!? な、なにぃ……」

 

 何が起こったかわからないまま、ライオンインベスは胸の傷を押さえながら後退りした。

 

「速い……」

「奴の太刀筋……相当のものだ……」

 

 光実と斬月は、鎧武・華の見事なまでの剣捌きに呆気にとられていた。

 無理もない。今の一振りは鎧武・華が全身全霊を込めた一撃。

 一切の迷いがなく、確実に相手を仕留めてやろうという気持ちだけで振り下ろされた一刀なのだ。

 

「この野郎……やりやがったなぁ!」

 

 激昂したライオンインベスは、テクニックの欠片もないデタラメな戦法で鎧武・華に襲い掛かる。

 

「今の一撃で倒れないなんて、タフな奴!」

 

 鎧武・華は巧みに距離を取りながら爪の攻撃を弾いていき、隙を突いて斬撃を浴びせていく。

 刀身で爪を受け止め斬。

 懐を掻い潜って斬。

 腰を低くして斬。

 刀を振り上げて斬。

 すれ違い様に斬斬。

 背後に回りこみ斬斬斬。

 攻撃を受け流して斬斬斬斬。

 斬斬斬斬斬。

 容赦のない鎧武・華の猛攻に、ライオンインベスは成す術なく押されていく。

 その一方的な戦いに、光実も斬月も思わず戦慄。相手の生命の危機すらも感じ始めていた。

 

「曽野村さん!」

「リーダー!」

「あ! コラ待て!」

 

 ナックルと戦っていた2体の初級インベスが、戦闘を放棄してチームリーダーのピンチに駆けつける。

 ライオンインベスに迫る鎧武・華の前に立ち塞がる初級インベス達であったが、一刀のもとに即座に切り捨てられた。

 その冷徹とも言える鎧武・華の戦いぶりに、我慢できなくなった斬月が異を唱える。

 

「もういい! もう十分だ! 勝負はついた!」

 

 鎧武・華とインベスたちの前に割って入り、戦闘の中止を求める斬月。

 すると、戦いを見守っていた少女が反論する。

 

「どうして? 敵はまだ生きてる。決着はついてないわよ?」

「命を奪う必要はない! 奴らはまだ人間だ!」

「人間だろうと何だろうと関係ないわ! 戦は生きるか死ぬか、そのどちらかしかない!」

 

 相対する少女と斬月。

 その様子を、光実やナックル、鎧武・華が心配そうに見ている。

 そんな中、

 

「てめえら……余所見してんじゃねえぞぉ!」

 

 鎧武・華の猛攻を受けて倒れても尚諦めようとしないライオンインベスが、再び立ち上がろうと足掻きだす。

 やはりこれまで見てきたインベスとは違うと、光実は思った。

 人格の維持だけじゃない。タフネスもヘルヘイムの森に生息していた野生のインベスとはレベルが違う。

 なんとか反撃を試みようとするライオンインベスだったが、ここにきて肉体に異変が起きる。

 再び全身が植物に覆われ、ライオンインベスの姿が人間のものに戻ったのだ。

 時間切れである。

 2体の初級インベスの身体にもほぼ同時に同様の異変が起き、人間の姿へと戻る。

 

「くそっ! 薬の効果が切れたか……」

「ど、どうします!? リーダー!」

「やべぇっすよ!」

 

 困惑の表情を見せる曽野村と慌てふためくチームメンバーたち。

 その光景に、斬月はとりあえず胸を撫で下ろす。

 

「人間の姿に戻った以上、我々は彼らに刃を向ける訳にはいかない。こいつらの身柄を拘束し、話を聞かせてもらおう」

 

 戦闘態勢を解いた斬月は、無双セイバーを腰に収めながら曽野村たちの元に歩み寄る。が、

 

「冗談じゃねえ! せっかく好き勝手に暴れ回れる力を手に入れたんだ……。こんな所で大人しく捕まってたまるかよ!」

 

 悪足掻きを見せる曽野村は、斬月の眼前であるモノを取り出した。

 それは先の戦いで光実――龍玄から奪い取ったブドウロックシードだった。

 ロックシードは戦極ドライバーを身につけた者が使用すれば変身に用いることができるが、そうではない者が使用すれば、空間に現実世界とヘルヘイムの森を繋ぐクラックが開き、そこから野生のインベスを呼び出すことができる。

 曽野村は躊躇することなくブドウロックシードを開錠させ、クラックを出現させる。

 すると、開いた裂け目から1匹の青いインベスが飛び出し、斬月に襲い掛かった。

 

「なにっ!?」

「あぶない!」

 

 現れたのは2本の長い触角を頭部に生やしたカミキリムシのインベス。

 カミキリインベスは斬月の身体に掴み掛かりその動きを封じる。

 すかさず駆け寄る鎧武・華。

 

「今のうちだ! 逃げるぞ!」

 

 その隙に曽野村とチームメンバーたちはこの場を立ち去ろうと走り出す。

 

「待て!」

 

 咄嗟に叫ぶ光実。

 

「あいつらは俺に任せろ! ミッチたちはここを頼む!」

 

 そう言って曽野村たちの追跡を買って出たのは変身を解除したザックだった。

 ザックはチームバロンの象徴でもある赤と黒のロングコートを靡かせながら曽野村たちの後を追いかける。

 

「このっ……離れろ!」

 

 鎧武・華は斬月に組み付くカミキリインベスの背後に回り込むと、その両肩を掴み、大きく手前に引っ張ってカミキリインベスを引き剥がした。

 すかさず斬月が左手のメロンディフェンダーを振るい、両端に付いた刃でカミキリインベスの身体を切り裂いた。

 

「キリキリキリキリ……」

 

 不気味な奇声を上げながら怯むカミキリインベス。

 

「こいつは理性のない歴とした怪物みたいだ! はあっ!」

 

 続けて鎧武・華の斬撃が、カミキリインベスを吹き飛ばす。

 地面の上に激しく叩きつけられたカミキリインベスは、すぐに立ち上がると頭部の2本の触角を鞭のように撓らせて鎧武・華と斬月目掛けて豪快に振り回した。

 素早くメロンディフェンダーを前面に構えて防御する斬月。

 一方の鎧武・華は身を低くして攻撃を回避すると、左腰から抜き取った無双セイバーと大橙丸をドッキングさせ、ナギナタモードへと変える。

 威力と攻撃範囲が向上した無双セイバー・ナギナタモードを振るい、鎧武・華は飛んでくるカミキリインベスの触角を瞬く間に切断した。

 

「僕が決めます!」

 

 肩を並べる斬月にそう言うと、鎧武・華は戦極ドライバーのカッティングブレードを1回倒した。

 

『ブラッドオレンジ・スカァーッシュ!』

 

 ドライバーから電子音声が鳴り響く。

 鎧武・華は両足に力を込めると、大地を蹴って大きくジャンプし、空中で右足を前に突き出す。

 

「はああああー!!」

 

 輪切りのブラッドオレンジの形をしたエネルギーを通過しながら一直線に急降下。次の瞬間、鎧武・華の右足がカミキリインベスの身体を貫いた。

 

「キィイイイイイイイー……」

 

 断末魔のような奇声を上げながら、カミキリインベスは爆散。

 黒煙と炎が、鎧武・華の背後でユラユラと揺らめいている。

 

 戦いは終結したものの、曽野村たちは逃走。光実のロックシードも奪われたままだ。

 人格を維持したまま人間をインベスに変える小瓶の正体についても結局分からず仕舞いだが、とりあえず今は、突如現れた少年少女についてだ。

 いろいろと話を聞く必要がありそうだ。

 光実と貴虎は、改めて少年少女と対峙する。

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