異世界で剣術修行してみた件   作:A i

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今回は戦闘あり日常ありの回です。
これまであまり焦点の当たっていなかったペナとギルについても書いています。
二人のかわいさを感じてくれたらうれしいです。
私はペナ派です。
お気に入り、評価、感想お願いします。


鬼は外!

異世界生活が始まって早四ヶ月ほどが過ぎ去った。

冬将軍は大活躍で毎日雪が降りしきっている。

中庭はエマちゃんの魔法により雪が積もらないようにしてくれているのだが気温は変えられないらしく超寒い。

しかし、雪が降ろうが、槍がとんでこようが修行は毎日欠かさない。

今もペナとギルにお願いして素手での組み手をやってもらっている。

ペナは相変わらず戦闘が好きらしく目を輝かせながら俺と対峙している。

ペナが動く。

 

「は!」

 

ペナが右手で掌底を俺の心臓めがけてつきだしてくるが、体をひねり受け流す。

さらに左手の拳でついてこようとしているのが見えているがそれをよけようと左に跳躍すると左方向にいるギルの餌食になってしまう・・・。

なので、突き出されたままのペナの右手手首をとり、そこを軸にして体を一回転させる。

見事ペナの左手による突きは空を切った。

ペナの重心が少し左前に寄っていることが見えるのでペナの背後に滑り込み、足払いを掛けながら背中に肘突きをお見舞いする。

 

「うわ!」

 

そう言って前のめりに倒れ込むペナ。

ギルがそれを見て、少しむっとしたのか、猛烈な突進とともに右手による強烈な正拳突きを繰り出してくるが

甘い!

内心でそう思いつつ、繰り出される拳をかがみ込みながら躱し、突き出された腕を持つ。

そして一本背負いの要領でギルを投げ飛ばした。

 

「キャ!」

 

ギルが投げ飛ばされ悲鳴を上げる。

しかし、悲鳴を上げつつも受け身をとっているので大けがはなさそう。

よかった・・・。

ペナとギルは体術格闘のプロなので手合わせしてくれること自体はうれしいんだけど、如何せん美少女な二人で、しかも魔力を取り除いたらめちゃくちゃ良い子になっちゃったから攻撃することに罪悪感を覚えちゃうんだよな・・・。

二人とも「いたた・・・」などと言いながら立ち上がる。

すると、そばで見ていた師匠が椅子から立ち上がり

 

「よし!そこまでにしようか、三人とも。朝ご飯の時間だ!」

 

そう言って駆け足で朝食へと向かう師匠。

いや、どんだけ腹減ってんですか・・・。

そんなことを思いつつ手合わせしてくれた二人に礼を言う。

 

「二人とも毎日ありがとうね。けがしてないかい?」

 

ペナが俺のことを悔しげに見つめながらこんなことを言う。

 

「晋介、なんかめちゃくちゃ強くなっててムカツクー!私たちに気使ってけがしないような技しか出さないし。」

 

するとギルが軽く頷きながら

 

「そうですわね、でもそこに私は晋介様の優しさを感じましたよ?」

 

などと言ってほほえみかけてくるギル。

それを聞いてペナが少し怒りながら

 

「あー!ギルずるい!何一人で晋介から気に入られようとしてんだよ。私だって・・・その・・・晋介のそういう優しいトコ良いなって・・・思ってんだから・・・。」

 

モジモジしながら上目遣いにそんなうれしいことを言ってくれるギル。

いっつも強気な彼女だけに、こんな恥じらう様子を見せられるとグッときちゃうよね・・・!

それにしても、初めて会ったときから比べたら二人とも俺に好意を寄せてくれてるみたいでよかった。

少し感慨にふけっていると、なぜかペナとギルで口論が始まっている。

 

「私の方がスレンダーで大人のかっこよさを持ってるから晋介のタイプだもん!」

「いえ、晋介様は私のような優しくて上品で包容力のある女性がふさわしいですわ?」

 

うーむ、何を言合っているかと思えば・・・。

最近俺がモテ過ぎな気がする・・・は!これが人生に一度訪れるモテ期!?

俺がモテ期到来に胸を躍らせていると右側からペナが腕をとりしなだれかかってくる。

そして、紫紺の瞳をきらきらと輝かせて

 

「私の方が晋介すきだよね!」

 

と言ってくる。そして対抗するように左腕を抱きかかえて豊満な胸を押し当てながら

 

「私の方が晋介様はお好みですよね?」

 

と金色の美しい瞳でじっと俺を見つめてくるギル。

 

やばいやばいやばい!

どっちも柔らかくてすべすべでいい匂い!

ペナはスレンダーながらやっぱり女の子らしい柔らかさを、主張するべきところはしていて

ギルはペナに比べると豊満な体つきなので言わずもがな、柔らかで包み込まれるようだ。

ダメ・・・こんなの決めらんねーよ・・・。

 

「うむ。どちらもそれぞれに魅力があって決められないなー、あははー」

 

「「どっちかこたえて(なさい)!」」

 

ひえー、二人とも怖すぎだぜ・・・。

誰かこの修羅場から俺を助けてくれー!

 

「あー!晋介君!何浮気してんのよ!しかも、二人同時なんて信じらんない!」

 

エマちゃんまで激おこで登場してきた・・・終わった・・・。

その後さらなる修羅場が繰り広げられたことは言うまでも無い。

 

 

 

なんとか修羅場を収め、今は朝食を食べている最中である。

今日はなんと俺の隣にペナちゃんが座っている。

あの後、朝食で誰が俺の隣に座るかじゃんけん大会が開かれ見事ペナちゃんが優勝したためである。

あのときのエマ、ギルの二人は愕然とした顔で自分が出した手を後悔していたことだろう。

なので、今も向かいの席に座る二人はどことなく不機嫌である。

しかし、そんな二人とは対照的にご機嫌のペナちゃんはやたらと俺の方に席を近づけ楽しそうにウィンナーをあーん、といいながら差し出してきたりする。

すると、当然ながら其れを見た二人がすぐにかみついてきて、仕方なくペナちゃんがあきらめて其れを食べる、というやりとりが先ほどから何回も行われている。

はー、なんでこんなに朝ご飯から疲れているんだ・・・。

と思っていると横からペナちゃんが顔を伺ってきて

 

「どうした、晋介?食べないのか?」

 

と聞いてくる。

でもやっぱり近くで見るとホント綺麗だよなこの子は・・・ちょっとあほの子だけど・・・。

きめの細かい白い肌にぱっちりとした目。形の良い小さな鼻にぷっくりとした唇。

うん、どこからどう見ても美少女だ・・・。

なんでこんな子が俺に好意を抱いてるんだろ?

わからん・・・。

 

「ペナ、俺少しおなか一杯になっちゃったからこれ食べてくれる?」

 

そう言って一口だけ食べてしまったサンドウィッチを見せる。

食べかけだからいやがるかも・・・と思っていたのだが

 

「いいよ!晋介の頼みなら聞いてあげる!」

 

そう言ってサンドウィッチを受け取りぱくぱくと食べてしまう。

横でおいしそうにサンドウィッチを口いっぱいに頬張っているペナちゃんを見ていると、先ほどの心配は杞憂だったとわかり少しほっとする。

だがしかし、ペナ以外の女性陣二人は違う・・・。

 

「「なに間接キスさせてんのよー!」」

 

と不満爆発である。

もう勘弁してくれー・・・。

こうして騒がしくも楽しい朝食は過ぎ去っていくのであった・・・。

 

 

 

朝食を終え一同銘々に部屋に戻ろうとしたときだった。

師匠が慌ててこう言った。

 

「言い忘れてたんだが、最近“悪鬼”と呼ばれている剣豪が強い敵を求めてうろついているらしい。くれぐれも皆気をつけるように!それだけだ。呼び止めて悪かったな。」

 

そう言って飯を食べ始める師匠。

いや、だから食べ過ぎでしょ・・・。

でも、物騒だな。

そんな時代錯誤した人斬りがこの世界にいるなんて・・・。

強い敵と戦って剣の道を切り開いてきたんだろうな。

絶対強いよなそんなやつ・・・戦いたくねー・・・。

弱気になりつつも心の中では少し手合わせしてみたい、なんて思っている晋介なのであった・・・。

 

 

 

 

あれから数日がたち何事も無くいつも通りの平穏な日常を送っていたときだった。

 

 

やつは来た。

 

 

城の門を容易に開き入り込んできた。

 

 

城の門は師匠の認めたものにしか開けないような結界が張られているし、まず城にもたどり着けない。

なぜなら城の周りには人よけの結界が張られているので一般人には城があることすら認識できないのである。

 

 

中庭でいつものように修行をしていた俺にはそいつの入ってくる姿がはっきりと見えている。

長めの髪で覆い隠された左目。右目は意外にも澄んだ瞳をしている。

ひげで覆われた顔はいかにも“鬼”という感じを受ける。

後ろ髪は束にしてそのまま垂らしているようだ。

体つきは強靱きわまりない巨躯で、力が五体に充ち満ちている。

すごい、いかにも剣豪って感じだ。

ずんずんと俺たちがいる方へやってくる。

ペナとギルには俺の後ろに下がっていてもらう。

師匠もスッと俺の横に来て帯刀し、いつでも応戦できる様子だ。

剣豪は俺たちの前で立ち止まる。

大きい・・・なんて大きいんだこいつは。

たとえるなら巨木・・・いや、大地そのものとでも言おうか。

とんでもない威圧感で俺を包み込んでくる。

 

「ここには何用ですかな、剣豪様?」

 

師匠が丁寧に来訪の目的を聞く。

いきなり切り込んで来たりしないことを見ても道場破りとか暗殺とかではないようだ。

すると、剣豪は破顔して

 

「いえ、そんなに気を張らんでください。私の名前はムサシ。私はここに手合わせのお願いをしにきただけだ。ヴァン・エベレック・カーティス殿?」

 

すると師匠もほほえみながら

 

「嫌だと、言ったら?」

 

「斬り殺す」

 

とんでもない殺気だ・・・!

空気がびりびりと振動したぞ。

俺の頬を一筋の汗が伝う。

もう俺はこいつの間合に入っている・・・。

師匠もその殺気を浴びているがびくともせずむしろ喜んでいるようだ。

 

「なら、こいつに勝ったら相手をしよう。」

 

そう言って俺を敵の前に突き出す。

って俺ー!

めっちゃ嫌なんですけど、うへー。

という顔が気に入らなかったのか師匠は俺の背中を思いっきりたたきながら

 

「こいつは一見ひ弱そうに見えるがなめない方がいい。なんてったって私の弟子だからな。」

 

そう言ってにらみをきかす師匠。

いや、絶対俺にプレッシャー掛けてますやーん、と思わなくも無いが仕方ない・・・。

 

「ま、そういうことです。お手柔らかに。」

 

そう言って俺は剣豪に笑いかけると

 

「ああ、よろしく。」

 

と其れこそ鬼の形相で不気味な笑いを返してくる剣豪さん。

 

挨拶も済んだところで早速、中庭真ん中に俺と剣豪ムサシさんは対峙する。

どちらも手に持っているのは真剣だ。

手合わせとは真剣で行うものらしい・・・めっちゃ嫌だ。

しかし、こうなってしまったものは仕方ない、と覚悟を決め構える。

敵は二刀を扱うらしい、今も両手に剣を持っている。

敵は対峙し目を閉じると、全身から赤いオーラが漂い出す。

ゆっくりと右手は前、左手は後ろへと引いていき体重を落としていく。

そして右手に持った剣先が地面につくか、というところでカッと目を見開く。

・・・鬼だ。

赤い鬼と化した剣豪ムサシ。

これを見て手を抜いてやるほど俺はバカじゃ無い。

俺も魔装を両足に施す。

この前のギルペナ戦の後に気づいたんだがレベル2になっていたらしい、紫色が濃くなっている。

そして左目を押さえる。

すると青い炎が左目に灯った。

この青い炎は精霊の炎と言い精霊が認めたものに力をくれるというありがたいものである。

これを使うと相手の魔力の流れや動きの先読みができるようになり格段に戦いやすくなる。

よし、これでほぼ全開だ。

互いに戦う準備ができ、あたりには殺気が充満し出す。

ぴんと張った糸が切れるかのように突然二人は動き出した。

敵もとんでもない速さで斬りかかってきている。

左手の剣が振り出される。

これを右方向に避け、敵の背後から斬りかかろうとしたが敵の体が其れよりも早く回転してきて右手の剣が俺を襲ってくる。

急いで剣を引き戻しガードした。

なんて速さだ!これが二刀流。手数が違う。

俺が一撃かます間に二回三回と剣撃が来るみたいだ・・・。

そんなことを考えている最中にも剣が降りかかってくる。

右、今度は左か!

二刀流という未知の剣術に圧倒される晋介。

守りでやっと、という感じだ。

渾身の剣撃で敵の剣をはじき飛ばし、一度距離をとる。

すると剣豪が

 

「守ってばかりか小僧!」

 

と一喝。

ちょっとむかっとしたので言い返してやった。

 

「うるせー、まだウォーミングアップだっつーの。」

 

といいつつ全開も全開だ。

仕方ないあれを使おう。

そう思い剣に魔装を纏わせる。

剣豪ムサシもほう、とうなる。

右足を引き剣を構える。

 

「次はこっちの番だ!」

 

そう叫び左脚を踏み込みつつ剣をあらん限りの膂力で突き込む。

敵との距離は軽く二十メートルはある。

だが、俺の突風なら届く!

 

「シッ!」

 

敵の周りにある土が舞い上がり砂埃に覆われる。

しかし、どうやら敵は剣を交差してその突き技を防いでいる。

敵の口元には笑みが浮かび、そして俺をとらえようと先ほどまでいた場所に目をやる。

だが、そこに俺はいない・・・。

 

「なっ!どこに・・・?」

 

そうつぶやく声が聞こえる。

俺は突風を放ったと同時に防がれることも考えて稲妻のような速度で敵の横まで駆け抜けていた・・・。

 

「終わりだっ!」

 

そう叫びながら体をひねり一回転させその遠心力で敵を切りつける技。

 

「輪廻!」

 

敵は刀で防ごうとするがその刀をへし折りながら敵を彼方まで吹き飛ばす。

城壁にぶつかってようやく止まったようだ。

優に十メートルは吹き飛んでいる。

まあ、魔装を施した刀だとそうなるわな・・・。

だからできるだけ使いたくなかったんだよ・・・。

大丈夫か・・・おっさん。

と思いつつ吹き飛んだ方を見ると驚くことに未だ倒れずこちらを睨んでいる。

刀は折れ体中ぼろぼろなのにまだ立ち上がるとは・・・何ていうやつだ。

しかし、もう戦闘を続行できそうな状態では無いことは明々白々である。

 

「おっさん、降参してくれ。」

 

そう告げると剣豪ムサシはこちらを血走った目で見据える。

 

「ならん!・・・私は天下無双になる・・・天下無双になるんだああ!」

 

そう言ってこちらに飛びかかってくるが先ほどまでのスピードは無い。

突き出された拳を右斜め下方向に躱し、左手を引く。

 

「いや、終わりだよ・・・。」

 

そう言い放ち、左手の掌底を突き上げ、下あごを吹き飛ばした。

敵の体は浮き上がり、仰向けに地面へたたきつけられる。

これにはこの男でも立ち上がってこれない。

白目をむいて気絶してしまった。

死んでないよね・・・?

そう思い確認するが息はしている。

よかった・・・。

そう思い師匠の方に顔を向ける。

 

「すんません、師匠。こいつの治療してやってください。」

 

そうお願いするとすぐにエマちゃんを呼んできて治癒魔法を掛けてくれた。

けがの具合は軽かったみたいだ。

すぐに目を覚まし、起き上がってくる。

すると俺の方に目を向け、

 

「お前は強い・・・。このまま天下無双への道を進んでくれ。」

 

と言いながら門から出て行くのを俺は見送っていた。

しかし、内心はいや、目指さねーから!鬼は外!

と唱えていたのは言うまでも無かったのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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