異世界で剣術修行してみた件   作:A i

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いつもお読みいただきありがとうございます。
今回で水神編第二話。
かなり、執筆苦労しております。
でも、楽しんで書くことができているので充実しております。
まあ、話は今まで通り、ゆったり、のほほんと楽しんでください。
感想、お気に入りお願いします。


水神来たる!⑵

エイラさんは一人犯人捜索のため家を出て行ってしまった。

家の中にはエマ、ペナ、ステラ、俺の四人だけだ。

エマちゃんが誰にというわけでなく言う。

 

「エイラさん行っちゃったね?」

 

短い沈黙の後さらに言葉を続ける。

 

「ねえ、晋介・・・。」

 

「ん?」

 

「何か知ってるんでしょ・・・?教えてよ。」

 

エマは潤んだ瞳を俺に向ける。

「ステラ、教えてやっても良いか?」

 

俺はステラを見る。

彼女はうつむきがちに首肯した。

 

「ええ。いいわよ。エマとペナには知っておいてもらいたいもの。」

 

「そうか・・・。」

 

これからする話はステラにとってもあまり気持ちの良い話ではないはずだ。

なのに、俺達に知っておいてもらいたいというのは本当に俺達のことを信頼している証なのだろう。

 

エマとペナの二人もこれから語られる事がどれだけ重いことなのか分かっているようで真剣なまなざしを俺に向けている。

 

俺は一つ息を吐き、語り出した。

 

「・・・エイラさんはおそらく犯人を知っている。そしてその犯人は彼女の夫でありステラの父だ。だから、彼女は俺達をできるだけ捜査には加えたくなかった。・・・おそらく、自分だけでけりを付ける気、なんだろうな」

 

「な・・・。そんなことって・・・。」

 

エマは目を見開いている。

ステラは悲痛な面持ちで俺の後を引き継いだ。

 

「ええ。そうよ。今回の一連の犯人はおそらく私のお父さん。名前はオルギエルド。まあ、お父さんって言っても私が生まれる直前にどこかへ行っちゃってたんだけど。なんでかエイラに聞いてみたことがあるけど旅に出たのよ、なんて言ってごまかされた。でも本当は私の父、オルギエルドはジャバウォックのスパイだったんだと思う。」

 

「・・・・なんでそうおもうんだ?」

 

俺は慎重にこの話を聞く。

 

「私、一度見たの、父をこの森で。写真で見た姿とほとんど変わっていなかったから分かる。間違いなく父だった。でもそのとき、私見ちゃったのよ。父の首元に契約呪印があるのを。」

 

契約呪印?

聞き慣れない単語に眉をひそめているとエマちゃんが解説してくれる。

 

「契約呪印。それは対象者を絶対服従させるジャバウォックの固有魔法『アブソリュートリーオベイ』の対象者に現れる刻印。この魔法にかかると命令に逆らえなくなり、主人の傀儡となってしまう。」

 

「なんだよ・・・それ。めちゃくちゃじゃねーか。」

 

「ええ、ジャバウォックは最低最悪のゲス野郎よ!」

 

エマちゃんの青い瞳が憎悪に燃える。

 

「私はあいつを絶対許さない。人の気持ちを平気で踏みにじるあいつを絶対に・・・!」

 

エマは小さな拳を爪が食い込むほどに強く握り、ギリギリと奥歯をかみしめている。

俺は彼女の気持ちが痛いほどに理解できたが、それよりも彼女がこのまま憎悪に囚われ、今の彼女でなくなってしまうんじゃないか、という根拠のない、だけど圧倒的な恐怖を感じ、とっさに彼女の手に自分の手を重ねた。

 

「エマちゃん・・・。」

 

「し、晋介・・・?どうしたのよ、急に。」

 

「あ、いや。なんというかエマちゃんが心配で・・・。」

 

「え・・・?私?今大変なのはステラの方でしょ?」

 

キョトンとした顔のエマちゃんの姿を見て、杞憂に過ぎなかった、と安堵する。

 

「おう・・・そうだな。」

 

「えへへ、なんか変なの。」

 

エマちゃんは照れたのか顔をほんのり赤く染めるが、俺の手を離さずニギニギしてくる。

俺もそれに答えるようにニギニギしてやるとうれしそうにほほえむエマちゃん。

やばい・・・幸せやあ。

 

「あのお、ちょっと良いですかね、お二人さん?」

 

ステラがこめかみをひくひくさせて言う。

 

俺達はバッと慌てて手を引っ込めた。

 

「もう!二人とも!今、ステラが大変なんだからイチャイチャ禁止!」

 

ペナちゃんがいつになく真剣に怒っている。

俺は自分が恥ずかしくなった。

 

「う・・・すまん。」

「うん・・・ごめんなさい。」

 

二人して謝るとステラが呆れる。

 

「もう・・・仕方ないわね。二人ともほんと仲良しなんだから・・・。妬いちゃうわ?」

 

「ごめん。」

 

「もう良いわよ。でも、これで分かったでしょ?私の父がジャバウォックのスパイだったって。」

 

「ああ。残念だが、そうだと考えるのが妥当だろうな・・・。」

 

「ええ。だから、今度こそ父は封印を解き、結界を解くでしょう・・・。」

 

やりきれない様子のステラ。

彼女にとってはたった一人の父親だ。

そんな簡単に割りきれやしないだろう。

だが、事態は一刻を争う。

今、彼女の話を聞いてその確信は更に深まった。

 

「ステラ。その話が本当なら俺達はすぐにエイラさんを助けに行くべきだ。」

 

「え・・・!なんでよ?エイラの気持ちを考えてくれていたんじゃないの?」

 

「考えていたさ。だが、今の話で事情が変わった。このままいくとエイラさんは死ぬ・・・!」

 

「・・・なにいってるのよ?エイラは私の何倍も強いのよ?そんな簡単に負けるわけないわ?それにピンチになれば私に連絡するようになってる。そうすれば私の転移を使ってすぐに助けに入れる。」

 

ステラが焦る。

俺は軽く首を振った。

 

「俺も最初はそう思っていた。だが、それは敵がオルギエルド一人だと思っていたからだ。オルギエルドただひとりなら彼女もそう簡単にやられるとは思えないし実際大丈夫なんだろうと思う。だけど、ジャバウォックが背後にいるとなれば話は別だ!あいつ本人が出しゃばってくることはないにせよ、必ずあいつに近しい存在で高位の存在が出てくる。そうなればいくらエイラさんといえど勝機はない!」

 

そう。この作戦では敵は一人である、というのが前提にあった。

だが、ステラの話で事情が一転した。

俺の考えでは必ず奴らは集団で攻めてくる。

ジャバウォックの力への執着は尋常ではないはずだ。

ならば、この千載一遇のチャンスをみすみす逃すなんて事がやつにできるはずはない。

最大戦力で攻め込んでくるだろう。

そうなれば、いくらエイラさんが強いと言え、もはや敵うはずがない。

 

俺は強い意志を持ってステラの目を見る。

 

「行こう、俺達も。手遅れになる前に。」

 

ステラはしばらく目を閉じて考えていたが、うん、と一つうなずいた。

 

「わかった。あなたを信じる。だって、私これ以上大切な人を失いたくないもの・・・。だから、皆。私に協力してくれる?」

 

ステラは控えめに俺達を見ながらそんなことを言う。

俺はニッと笑い

 

「当たり前だろ?何遠慮してんだ。お前はいつもみたいにドーンとふんぞり返っていたらいいんだよ。」と言う。

 

エマとペナもうんと大きく頷いている。

 

「もちろん、私も行くわよ!」

 

「私も!」

 

「みんな・・・。」

 

ステラは目に涙をいっぱいため込んで俺達を見る。

 

「ありがとう。本当に・・・ありがとう。」

 

俺も少しうるっときていたがなんとかこらえる。

しんみりとしたいが、なんといっても時間がない。

こうしている間にもエイラさんは危機に瀕しているかもしれない。

俺はなんとか涙腺をコントロールして声を出す。

 

「よし、そんじゃあ、行きますか?」

 

俺が聞くとステラは目尻にたまった涙を払い、うなずく。

 

「ええ、行くわ!今から太古の森に飛ぶ。皆、手を握って!」

 

俺達は皆手をつなぎ合い円になる。

皆手をつなぎ終えると一つうなずき合った。

 

「よし、行くわよ。皆!覚悟はいい?」

 

「おうともさ!」

 

「ええ!」

 

「うん!」

 

「それじゃあ、行くわよ!転移!」

 

ステラがそう叫ぶと俺達を光が包み出す。

 

「うお・・・!」

 

光はドンドンと増していき、視界を埋め尽くす。

俺はたまらず目を閉じた・・・。

 

 

「皆、ついたわよ。」

 

ステラのそんな声で俺は閉じていた目を開ける。

そこは先日訪れた湖の畔にある林の中だった。

あのときは夜だったので、昼に来るとまた違った印象を受ける。

だけど、特に異常事態が起こっているとは思えなかった。

すべて勘違いであってほしい、と願ってやまない。

 

だが、そんな希望は儚く散る。

 

エマちゃんが深刻な顔で言った。

 

「・・・皆、気を付けて。魔力の残滓を強く感じる。おそらく、かなり高位の魔女よ。」

 

それを聞き、俺達が警戒レベルを引き上げたその時だった。

ログハウスの方で爆発的な音が生じる。

 

「キャ!」「な、なに!何が起きてるの!?」

 

大地を震わすほどの爆発に俺達は足下をふらつかせたたらをふむ。

見上げるとログハウスの方の空が赤い。

何かが燃えているに違いない・・・。

 

「とりあえず、ログハウスだ!行くぞ!」

 

俺はログハウスへと駆け出そうと右足を一歩だした、そのときだった。

 

 

 

「いーえ、行かせないわよ?ふふふ。」

 

後ろから蠱惑的な声が響き、俺は慌てて振り返った。

 

そこには、腰ほどまである赤い髪の毛を指先で弄ぶ、大人の魅力あふれるお姉さんがいた。

 

大きな胸やむっちりとしたおしり、くびれた腰つきなんかは当然ながら魅力的なんだが、特に目を引くのは彼女のきわどい防具だろう。

普通、防具を身につける場合、できるだけ体が露出しないように多くの面積を防具によって覆い隠すと思うのだが、彼女は全く違い、ほとんど露出している。

むしろ、防具が隠している部分の方が圧倒的に少ない。

紫色を基調としたやたらと光沢のある防具は、彼女の大きな胸や、局部を気休め程度にかくすだけでなく、きっちり彼女の肉感的なボディに食い込み、彼女のことを更に妖艶なる存在へと押し上げ、いかにも官能的で悪の魔女、といった印象を受ける。

 

昔の俺だったらこんな悪魔的な魅力をはなつお姉さんに話しかけられた瞬間、「ごめんなさい!」と訳もなく謝り全力で逃走していたことだろう。

今はかろうじて力もつき、ある程度の美少女耐性を手に入れているため、わりかし平気でいられている。

 

彼女は細く美しい白い指を唇にあて、くねっとしなを作りながら俺達を大きな赤い目で見つめる。

 

 

「こんにちは、みなさん。私、フリュネ、と言います。どうぞよろしくね?」

 

パチンと片目を器用につむり、ウィンクするフリュネ。

俺達が警戒の色を緩めずにいると彼女は一つクスリと怪しげな笑みを溢した。

 

 

「そんなにおびえなくても取って食ったりしないのに。・・・でもそんな可愛い反応されるともっといじめたくなっちゃうのよね。」

 

ぺろりと唇をなめるフリュネ。

気取った彼女に対して俺達はあくまで沈黙を守る。

彼女は俺達の反応を待ったが、なんの反応も返さない俺達。

すると彼女はフッとあきらめたように笑ってから顔をうつむかせなにやらブツブツとつぶやき出す。

え・・・?なに?怖い!

あまりにも不気味な光景を目にして俺は内心で悲鳴を上げていると、突然彼女はガバッとすごい勢いで顔を上げ

 

「うがあ!なんでそんなに無視するのよー!これじゃあ、まるで私の独り言みたいじゃない!」と頭を抱えながら叫んだ。

 

あれ・・・?なんか今までの謎めいたお姉さんのイメージとは大分異なる発言なんだが・・・。

フリュネは地団駄を踏み心底悔しそうにしている。

 

俺達は彼女のあまりの変わりようにあっけにとられていると彼女は髪の毛を乱暴に振り払いこちらを睨んだ。

 

「もうやめた!あー、やめやめ。こんなことばからしいわ。なんでこの私が謎めいたお姉さん系魔女を演じなければならないのよ!やっぱり、私にはこんなの無理だったのよ。ねえ、マリー?」

 

誰もいないはずの空間に言葉を投げかけるフリュネ。

すると、

 

「そりゃあ、無理ですよ!フリュネさんには。」という明るい声がまたも背後で聞こえる。

 

どこから現れたのか・・・。

俺達は早くも敵に挟まれてしまったようだ。

 

マリーと呼ばれるその少女もかなりきわどい格好をしている。

彼女はフリュネとは異なり防具らしい防具を身につけておらず、きわめて軽装だ。

フリュネ以上に軽装だということはつまり端的に言うとほとんど裸だ。

ひものような黒衣を大事なところにだけ纏い、それ以外は惜しげもなく肌を露出している。

普通、そんなに肌を露出するとかえって魅力が減衰したり、滑稽に見えるのだがマリーは違った。

たわわに育った大きな胸にキュッと締まった腰、プリッと小ぶりなおしりやすらっと伸びた健康的な脚。

それらすべてがみずみずしくつややかに輝き、否応なく目を引きつけられる。

また、彼女の黄色い髪の毛はショートボブに切りそろえられており、快活な印象を与え、彼女の黄色い瞳とよく調和している。

 

だが、頬や肩、胸の谷間におへそ、おしりなど至る所に、術式なのか、ファッションなのか分からないデザイン性に富んだ文様が刻まれていてかなり背徳的だ。

 

マリーは体の後ろで手を組みながら楽しそうにフリュネと軽口をたたいている。

 

「フリュネさん、めちゃくちゃ適当ですからねえ。いつ、そのキャラが崩れるのか見物でしたよ!」

 

「うるさいわね。私にしては長く持った方でしょうが!それに、あんたにだけは言われたくないわ、適当なんて。」

 

「ええ、そうでしょうね。ふふふ。」

 

「なに笑ってんのよ?ぶっ飛ばすわよ?」

 

「あわわわ。ごめんなさいっ!」

 

実に楽しそうなやりとりだ。

普段なら俺も混ざりたいと思うだろうが、残念ながら俺達にそんな時間はない。

こいつらが邪魔するなら即刻排除してエイラさんのもとに向かわなくては・・・。

俺は焦りの色をにじませて

 

「おい。あんたら。俺達はあそこに行かなきゃならねえ。邪魔しないでくれないか?」といった。

 

それを聞いた彼女らは一瞬きょとんとしていたがすぐに大爆笑した。

 

「アハハ。なにいってんの?そんなんで通すわけないじゃない?」

「ホントだよ・・・。もう、笑わせないでよね?」

 

何がそんなにおかしいのか二人は目尻に涙を浮かべ、腹を抱えて笑い転げている。

俺は頭に血が上る。

 

「何がおかしい?」

 

「えー?おかしいよ。絶対通すわけないじゃない。ジャバさまのご命令ですもん。ねー?」

「ねー?」

 

二人は首を曲げて確認し合う。

 

「なら、しかたない・・・。」

 

俺は手首に仕込んだ収納術式の印に手をかざす。

すると、師匠からいただいた業物『レイソルディー』の柄を引き抜いた。

 

シャランという澄んだ金属音を奏でその全貌を現す。

この剣は柄も刃もすべて金属でできた珍しい剣だ。

華美な装飾こそないが、全体が透き通るような銀色で、何もかもをその刀身に吸い込んでしまいそうなほどの魅力を放ち、とても美しい・・・。

 

俺はその剣を抜刀すると半身でマリーに向けて構える。

その姿を見た彼女はニヤリと片頬を上げ嫌みに笑う。

 

「あれ?やる気ですか?この私と?良いですね。私を楽しませてください!」

 

彼女はそう言いながら胸の刻印から刃渡り一メートルほどもある大きな長剣を抜き取る。

その刃は薄く濡れたような深みのある輝きを放ち、それを見ただけでかなりの業物だと分かる。

峰の方にも逆刃がおびただしいほどについていてなんともおぞましい武器だ。

彼女はその凶悪きわまりない長剣をまるで棒きれでも振るかのように軽く横に数回振り払い感触を確かめてから、腰を落とし、半身になって剣を構えた。

 

「えへへ。どうですかね?私の剣。この剣『アシュバル』って言うんです。私のお気に入りなんですよ。・・・この剣で何人殺してきたか知りたくありません?」

 

恍惚とした表情でそんなことを聞いてくる彼女。

俺は嫌悪感を抱きながら言う。

 

「いや、興味もないそんなこと。とりあえず、ここは通らせてもらう。」

 

「えー、つれないなあ。まあ、どっちにしても通らせませんって。」

 

むくれたような表情の彼女。

俺はそんな余裕を崩さない彼女の態度に軽く舌打ちをして剣を握る手に力を込めた。

エイラさん・・・必ず助けに行きますから・・・。

俺は改めてそう決意し、脚に力を込め、地面を強く蹴りつけた。

 

「そこを・・・どけぇぇぇえええ!!!!」

 

そう叫びながら俺はマリーに打ちかかったのだった・・・。

 




いかがでしたか?
魔女と言えばエロい!
これ偏見ですかね?
まあ、次話からは戦闘シーンになるのでよろしくお願いします。
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