ハイスクールAMEN [リメイク] 作:雑魚グール
リメイク前とはかなり展開が変わります。 ご要望があればリメイク前も進めますが、基本的にはこちらを書いて行こうと思います。
50に到達する悪魔の死体の上で、ブロンド長髪の少女が嗤う。
黒い修道服に神を讃える言葉のあしらわれた白手袋をつけた少女は、明らかに正気ではなく。 その体は、美しいブロンドは美しい顔は美しい肌は、悪魔の返り血に塗れていた。
「ゲァハハハハハハハハ!! アァンデルセェン! 見てるかぁ!? ゲァハハハハハハハハ!!!!」
少女は、自らの師に向け笑う、嗤う。
自らを証明するかのように。
その瞬間、空から炎が舞い落ちる。
辺り一面の死体に火が移り、それはまるで盛大な火葬のようにも思えた。
「ほぉ… フェネクスかぁ?」
「その通りだ。 聖女アーシア・アルジェント!」
「ゲァハハ! 素晴らしい日だ! まさか、まさか悪魔の大群にとどまらず七十二柱まで…」
少女は、聖女アーシアは感極まったように大げさな手振りで神をたたえ、フェネクスに向き直る。
空から降りてきた、炎の翼を持つ悪魔に。
「我らは神の代理人 神罰の地上代行者 我らが使命は 我が神に逆らう愚者を その肉の最後の一片までも絶滅すること…
聖女アーシアは修道服の袖から取り出た二本の銃剣を両の手に一本ずつ握り、その二つを十字のように重ね合わせる。
戦いの火蓋が切って落とされた。
先に動いたのはフェネクス、大量の炎を聖女アーシアに向かわせる。
対する聖女アーシアはその炎に向け、真っ直ぐに走る。
「ルァァ!」
聖女アーシアの声と共に、辺りに紙が散る。
淡く輝くその紙は意志を持つかのように動き、聖女アーシアの前方に固まった。
それらが迫る炎を退け、聖女アーシアは止まることなく地をかける。
そして、フェネクスの前に行き着いた。
「デエアァ!!」
振るわれた銃剣がフェネクスの首を刈る。
胴体と泣き別れとなった首が宙を舞い、地面に落ち… フェネクスの頭部に炎が固まり、頭が再生する。
「フッ! フェネクスの特性を…」
蘇りと同時に叫ぶそのセリフを最後まで唱えることは叶わなかった。
なぜか? 前方の聖女から飛来する無数の銃剣がフェネクスを不死鳥からハリネズミへ生まれ変わらせたからだ。
体の前面に刺さった銃剣が、ガスを噴出する。 まるで沸騰したやかんの笛のような音だ。 そして銃剣が爆発した。
フェネクスはその爆発の衝撃に、からだを細切れにさせて弾け飛ぶ。
グチャリ、と臓物が地面に落ちる奇怪な音がパチパチと燃え盛る炎の音に混じった。
「くッ! やはりやるようだな!」
体を修復させたフェネクスが、炎の塊を放つ。
果てしなく圧縮された炎と魔力のエネルギーが、聖女アーシアの顔面の左半分を消し飛ばす。
しかし、その聖女は地面に倒れはしなかった。
そのまま、受けた衝撃で後ろへ仰け反りながらも、左足をつき、顔の半分ない状態でフェネクスの顔面を突きで貫いた。
そしてそのままフェネクスに馬乗りになり、幾度となく心臓を、脳を銃剣で刺し貫く。
不快な音が鳴り、鳴り、鳴り。 フェネクスの再生が遅くなる。
フェネクスの再生速度は、精神面に大きく作用される。 その点彼は現在、幾度となく体を包む痛みに、悪魔の天敵である法儀礼を施された銃剣を何度も食らっていた。
そして、フェネクスの再生が止まった。
「ククク… アッハハ! ゲァハハハハハハハハ!」
聖女アーシアはふらりと立ち上がり、笑い声を上げる。
炎の音を掻き消す笑い声が、天に高く木霊した。
♦︎♢♦︎
「ご苦労だったな、聖女アーシア。」
「…構いませんよ。 丁度手持ち無沙汰だったところです。」
孤児院の庭で、一人の少女と老人が話をしていた。
修道服をきた少女ーーーアーシアは木陰の中で木に背を預け、片目を閉じて一つため息をついた。 そして右目だけで木の葉越しに空を見て、呟く。
「この頃、悪魔の領土侵犯が増えていますね。 発情期でも迎えているのでしょうか?」
「発情期か… それはピンチだな。
「なるほど、それはいい案ですな。 …まあ、真面目に言っても繁殖期ですかね、奴ら、強力な転生悪魔を手に入れようと躍起になっているのでは?」
アーシアは両目を閉じて、悪魔の作った忌々しい道具を思い出す。
チェスの駒に習い、それぞれの駒の種類により特性が分かれている。
大戦によって絶滅寸前であった悪魔はその
「なるほど、人材発掘か。」
「その通りです。 全くもって嘆かわしい…」
この
実際にその
「それと、だ。 聖女アーシア、いきなりですまないがまた仕事が入っている。」
「…エクスカリバー関連の事ですね?」
「察しが良くて助かるよ。」
エクスカリバー、先程言った大戦の時に砕け、それぞれの破片を剣へと変えた結果7本の別々の特性を持つエクスカリバーが生まれた。
そして先日、
「して、私の仕事は?」
「言わずとも、聖剣の奪還だ。 今回の任務には二人、他の悪魔祓いをつける。」
「イスカリオテからですか?」
「いや、聖剣使いを二人だ。 ゼノヴィアと紫藤イリナ、どちらも優秀な戦士だよ。」
聖剣使いは珍しく、また天然物の聖剣使いであるゼノヴィアの名はアーシアも聞いていた。
「なるほど、確かに名は聞いたことがありますが… 使えますか?」
「中々にな。 二人に一本ずつエクスカリバーを持たせることになっているから、腕前が無くてもそれなりの戦力になるだろう。」
「そうですか。 日取りはいつに?」
「明朝に。」
「随分と人使いの荒い… いえ、しかし相手は堕天使ですか、喜んで行って参りましょう。」
「期待しているぞ… 毎度、すまないな。」
「構いませんよ。 神のためだ。」
アーシアは木から体を離し、孤児院の中に向かった。
「…君も、知っているだろうに。」
「神がご降臨なさることなどほとんどありませんからね。 それが真実であろうが幻想であろうが、信ずることを諦めは致しません。 それとこの孤児院でそういった話はやめて頂きたい。 ここには神を信ずる無垢な子達がいるのです。」
アーシアは老人に手を振り、孤児院に入っていった。
「全くもって、酔狂で信仰深い…」
老人はため息まじりに呟いたあと、孤児院を後にした。