【ゼロの使い魔】×【Bloodborne】助言者ゲールマンの転生記   作:古い底の王

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【姿なき上位者】オドン vs 【連盟の長】ヴァルトール

学園の玄関口。そこは華美になりすぎない程度に彫刻がされ、最高品質の建材が使われた貴族を迎えるための玄関口と、なっていた。

 

そこには巨大な校門、そこから続く舗装された道、壮麗な玄関が現れる。………普段ならば。

 

 

ここは悪夢に飲み込まれた学園。高き啓蒙を持つもの達にはここはどうしても美しく見ることはできない。

 

おぞましき、醜悪な毒虫が巣食っているようにしか見えないからだ。

 

「ククク、なんともはや素晴らしきかな我が同胞よ。このような虫のすみかに行かせようとは。」

 

コツン、コツンと革靴の音をならし、戦闘に向いているとは思えない片目の鉄兜を被った奇妙な男。

 

 

かれは歓喜していた。連盟とは虫を踏み潰すための集まりであり、虫を殺すことで、世の中から不条理を、理不尽を、暴虐を無くす。それを目標とした組織である。

 

常人が見れば、凝視などしようものならば発狂し、自らの耳、目を抉り出し逃げ出すような光景だが、彼等連盟員からすれば、これこそ天国である。

 

 

 

───汚らわしい虫を一掃できるかもしれないのだから。

 

 

回転ノコギリに動力をつけ、凄まじい金切り声のような駆動音を響かせながら彼は虫の群れに微笑みかける。

 

 

──しかし、その目はカインハーストのように凍てついたものであり、決して存在を許さぬという強い意思が見えるようなものであった。

 

「さぁ、害虫駆除の時間だぞ。」

 

そういって虫の群れに飛び込んでいくヴァルトールと、それを迎え撃つべく波のように押し寄せる虫の大群。

 

虫の羽音と、ノコギリの駆動音が鳴り響くこの戦場は、一般人からみても、聞くまでもなく冒涜的で、悪質で、されど美しさをもつヤーナムの狩場であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、服は擦りきれ穴があき、全身に虫の肉片と血を浴びたヴァルトールの姿があった。

 

その正面にはもう一般的な虫の巣程度に数を減らされたオドンの姿があった。

 

「……中々有意義な狩りだったな。さて、そろほろ終わりだな。」

 

そういって、ノコギリを構えた直後、虫の群れに変化が起きる。

 

波を描くようにうねり、揺れ、纏まり、遂に球状になる。

 

悪い予感がしたヴァルトールが襲いかかるも1歩遅く、虫は、一体の異形と化した。

 

その姿は醜悪きわまりない百足のような生物。滑る甲殻に、ミミズのような滑らかな足。その背には鋭い剣のような逆鱗が数多くあり、螺くれた角が1対生えている。

 

「……ほう?貴様の正体か、はたまた追い詰められた奥の手か……まぁいい。どうなろうと所詮は虫。踏み潰してやろう。」

 

そして一撃を見舞う。

 

──キンッ…キィィィィィ!

 

「何?」

 

しかしその殻は回転ノコギリを弾くばかりで、いっこうにきれない。その感覚と嫌な音から、攻撃をやめ、一旦引く。

 

─メリメリッ、ドンッ!

 

オドンが、その身体で突進する。逆鱗に切られてはなるまいと避けるが、後ろに生えていた木に直撃し、その木を倒す。

「……チッ、これでは利かんか。」

 

機構を切り替え、棍棒に変化させる。小さな瓶を取り出す。

 

もう一度突撃してきたオドンを避け、胴体に瓶を叩きつける。するとなかに入っていた茶色い液体がオドンに降りかかる。

 

その液体──【油】が滴り落ちる前に火炎瓶を取り出し、油を浴びた部位にぶつける。途端に発火、炎上する。

 

苦しみもがいているオドンにむけて次々に小さなナイフで切りかかる。

 

どうにか鎮火したものの、その胴体を黒く焦がし、一部の足も失ったオドンが突進し──

 

──ヴァルトールを大きく外れ外壁にぶつかった。

 

──キィィィィィッッ!

 

痛みにもがくオドン。切りつけたナイフは【祭祀者の骨の刃】。切りつけた対象を前後不覚に陥らせるこのナイフによって、オドンの三半規管は致命的に狂わされた。

 

「そのままもがけ、虫め!」

 

火炎瓶を取り出し次々に投げつける。胴体は黒く焦げる程度ですんでいるものの、その触手のような足にはかなり効いたようで、ほとんどの足を失い、地面をのたくっている。

 

そのオドンにむけて嗤いながらスローイングナイフを投げつける。

 

それは当たらない。しかし、当たらないことこそが狙いである。

 

オドンの周囲に次々刺さったスローイングナイフにより、オドンの既に残骸と化した足と地面を縫い付けられ、上半身を完全に固定される。

 

ヴァルトールは哀れなオドンにゆっくりと近づいていき、正面にたつ。

 

そして、回転ノコギリの機構を切り替え、動力を起動させる。

 

「……さぁ、死ね。」

 

上段に振りかぶり、最高速度で叩きつける。

 

速度、 回転、筋力によって地面に小さなクレーターが出来るほどの威力で叩きつけられたそれは、容易くオドンの頭を破壊する。

 

しかしまだ存分に暴れるその身体をみたヴァルトールは高笑いしながらどんどん体を切り裂いていく。

 

───数分後、完全に経ちきられたオドンはその動きを制止した。

 

同時にヴァルトールの体が透け始める。

 

「……む、終わりか、たあいない。」

 

そういい残し、ヴァルトールの姿が消える。次の瞬間、オドンの姿が爆散するように光になって弾ける。

 

こうして、玄関口での戦いは、終わったのであった。




オドンの姿はSUN値直葬クラスでグロいです。みたら啓蒙が10前後増えるレベルです。
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