大変遅くなりまして申し訳ございません。
詳しいことは後書きで申し上げます。
それでは本編スタート
「ん〜」
「ねぇ、まだ?」
「いつまで待たせるのですの?!」
ラブライブ予備予選、翌日
「私こういうの苦手」
「ちょっと落ち着いて」
予選決勝出場をかけ繰り広げられた先日の結果が今日発表される
スマホの画面には『しばらくお待ちください』
ただでさえ気持ちがはやっているのに、周りでなく蝉の声が私達のそれに拍車をかける
と、その時
「きた!」
その声がした途端、7人が曜ちゃんの周りを取り囲む
その視線は曜ちゃんの持つスマホの画面へ
「ラブライブ予備予選、合格者…」
私の心臓の鼓動はピークに達し、只々aqoursの名前があることだけを信じて祈る
「aqoursのアですわよ、ア!」
「イーズーエクスプレス」
「そんな…」
1番上に出てきたのは、「ア」ではなく「イ」
終わった、そんな私達を悟ったのか、蝉の声までしなくなった
そんな、私達あれだけ頑張ったのに…
「あっ、エントリーナンバー順だった」
「えー!」
「もう!曜ちゃん!」
「ごめんごめん」
出たよ、この曜ちゃんの天然ボケ。
心臓に悪いからやめて欲しいよ〜
「で、aqoursの名前はあるんですの?」
「ちょっと待って」
画面をスクロールしていく…
「ミーナーナ、aqours…」
「aqours!」
『aqours』確かにしっかりの画面に映されていた
私達は予備予選を通過したんだ
あとひとつでラブライブに出られるんだ
◆
「良かったな」
「何が」
「何がって、ほらaqours予備予選突破したってさ」
「そうか」
「冷めてんな〜、嬉しくないのかよ」
「そりゃ嬉しいさ、でも、あいつらと一緒に喜びたかったな」
「龍騎…」
自分で選んだ道
俺がaqoursとして行動していれば、必ず足を引っ張る
だから、あの環境から身を引いた
俺だって、本当は…
「ゴホッ、ゴホッ」
「おい、龍騎!」
「はぁはぁ、大丈夫、たいしたことないよ」
何を恨めばいい
己自身か、己の運命か、それとも他の何かか
「満生…」
「ん?」
「俺明日、向こうに帰るわ。そうした方がいい気がする」
「…わかった。」
◆
「もしもし?梨子ちゃん?」
「あっ、千歌ちゃん!結果見たよ。予選突破おめでとう」
「ありがとう、梨子ちゃんの方は?」
「ちゃんと弾けたよ、探してた曲が弾けた気がする」
「よかったね」
「次は、決勝は必ず9人と
「…」
「千歌ちゃん?」
「実はね、そのことで話しておかないといけないことがあるの…」
「何?」
「あのね・・・・・・・」
〜数分前〜
「予選は突破した、これで決勝のステージには立てる」
私達はその後部室に一度集まり、今後について話し合った
今後?いや、話し合うことなんて1つ…
「龍は…」
「今家に電話したけど、まだ帰って来てないって」
「本人にも連絡取れないし、いつ帰ってくるかもわからない」
りゅうくんは東京に行った
私達が彼のことで知る事実はそれのだけ
今どこにいるのか、本当に東京なのか、いつ帰ってくるのか。
そんなことわからない。
そもそも本当に帰ってくるのだろうか…
「行こう…」
「千歌、ちゃん…?」
「行こう、東京に」
『え〜!!』
「本気なの?」
「どう考えても正気の沙汰ではございませんわ!」
「でも!」
私だってわからないよ、りゅうくんのことなんて。
でも…
「でも、このままじっとしてたら何もわからないままだよ。私はそんなの嫌だよ!」
「千歌ちゃん…」
「もうしょうがないな。こうなった千歌はもうお手上げだよ」
「果南ちゃん?」
「行こう!東京に、龍騎を連れ戻しに」
「はぁ、仕方ありませんわね」
「Let's looking for Ryu!!」
「ルビィも賛成です!」
「まるもずら!」
「クックック、またあの悪魔集いし都にこのヨハネが堕天するのね」
「龍が見つかったら懲らしめてやらないとね」
「曜ちゃん、みんな…!」
やっぱり1人も欠けちゃダメだよ
私にはもったいないくらい温かい人達がこんなにいるんだから
─────────────
「ってことなんだけど…」
「龍騎君が…わかった。私は帰りを1日伸ばすだけだから」
「ありがとう、梨子ちゃん」
「千歌ちゃん」
「ん?」
「絶対龍騎君をもう一度aqoursに」
「うん」
通話はそこで終わった
「決まりね」
「じゃあ、今日は解散にしよっか」
「皆さんいいですわね、ちゃんと両親の許可をもらってくること。それから明日は8時沼津駅集合としますのでくれぐれも遅れないように」
「ヨーソロー!了解であります!」
そのまま私達は各々の岐路に立った
◆
〜その日の夜〜
守りたいものがある この場所で強くなるから
にぎりしめたこぶしをまた にぎりしめた
昔母親がよく歌ってた唄
車の中でも、家の中でも母さんといればいつでも耳に入ってきたこの歌
俺は母さんに訊いた
「何でいつもこの曲聴いてるの?」
「んー、なんでかな。龍騎にもこの曲を知ってほしい、忘れて欲しくない。からかな」
「僕に?」
「そうよ、この曲のことずっと覚えててほしい」
そう言われた
あれだけ聴かされたら嫌でも忘れるはずがない
でも、何故母さんはこの唄を俺に覚えていてほしいなんて言ったのだろうか。
これまで何かあれば俺はこの唄を聴いていた
壁にぶつかった時、生きる意味を見出せなくなった時
そんな時はいつもこの唄から勇気とか自信とかそんな類のものを貰ってきた
勝つことや負けることは 何の意味もないんだよ
大切な人を守るとき 戦えばいいんだ
この唄の中でこのフレーズが好きだ
ここを聴くといつも千歌や曜の顔が浮かぶ
5年前、何も言わずあいつらから消えたあの日から毎日毎日後悔の念に晒された
だからこそ、戻ってきて泣きながら抱きついてくる2人を見て思った、守りたいって、たとえ俺が命落とすことがあってもあの2人さえ守れればそれでいいとさえ思えた。
やっべ、自分に酔ってるわ…
どう生きるかは自分で 決めることだとわかった
本当の勇気はきっと 優しさだったんだね
でも、今になって思うと母さんはこの言葉を俺に伝えたかったのかもしれない。
何度も言われた、強いってことは力が強いとか、足が速いとかじゃないんだよ。どれだけ人に優しく出来たかなのよ。
幼い自分に何度も言い聞かせていた
俺は母さんの言うような強い人間になれたのだろうか…
「おい龍騎、何したんだ?」
「あ、わりぃ満生、ギターの音だけでもうるさかったか」
「なに言ってんだ、お前歌ってたぞ」
「え」
「いつものお決まりの唄、ほんとその曲好きだよな」
「まぁな、この唄に出会ってから聴かなかった日は1日もねぇよ、2年前のあの時も」
「そっか、まぁなんだ、明日早いんだろ?もう寝ろよ」
「あぁ」
「と言いたいところだけど…」
「おいおい、何したんだ?」
「弾いてくれよ、しばらく会えないんだ、耳に残しとく、お前の歌声」
「一曲だけな」
「あぁ、頼むよ」
真夜中に響く歌声
しかし、その歌声はどこか弱々しささえ感じられた
▼
カーテンから差す日の光に頬くすぐられ、小鳥のさえずりで目を覚ます
ベランダに出て伸びをする
昨日の夜、ギターを弾いてそのままなにもせず寝てしまったため急いで身支度を済ませる
その後朝食を済ませ時間は午前9時
「本当にここでいいのか?」
「あぁ、駅までは遠いからな」
「
「何だよそれ」
「絶対またここに来い、そしたらまた2人で語り合おうぜ、お前のギターも聴きたいしな」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
「それと、これ」
差し出されたのは俺がここに来た初日に満生に渡した封筒だった
「いや、だからこれは…」
「お前が渡せよ、これ読ませてもらったよ。お前の想いがすごくつまってる。彼女達への想いが。だから、お前が渡せ。そうじゃないと意味がない」
「満生…わかった。」
俺はそれを受け取り後ろポケットへ突っ込んだ
「じゃあ、世話になったな」
「気にすんな」
俺はその時初めて気づいた。
そして初めて見た。
「なんで泣いてんだよ…」
満生は泣いていた
「何でもねーよ」
「笑える」
「笑うな!」
「なぁ、満生」
「あ?」
「ありがとう」
「なんだよ、気持ち悪りぃな」
「いや、お前には出会ってから何度も救われた。正直、お前がいなかったら俺はここにいないかもしれない。」
「龍騎…」
「だから…ありがとな!これからもお前は俺の親友だ」
「あぁ!もちろんだ!」
握手を交わし、俺は踵を返し駅へと歩み始める
後ろは振り返らなかった。
振り返ったら、涙が見えてしまうから
◆
朝8時
沼津駅には8人の女子高生が集合していた
「でも、千歌さん。東京に行って龍騎さんを見つける手立てはありますの?」
「一応ある人に電話をかけているんですけど、昨日から繋がらなくて…」
「それって、満生君のこと?」
「そう、満生君りゅうくんとは仲良いし、仮にそこに居なくても満生君から何か知ってるんじゃないかって。」
「龍騎さんの東京のお友達ですか。確かにその方なら何か知ってるかもしれませんわね」
「よし、じゃあとりあえず東京に向かおっか、梨子も待ってるだろうし」
果南ちゃんの言葉を合図に私達aqoursは東京へと向かった
〜東京〜
ライブ以来の東京
そこは相変わらずの人の多さで人一人を見つけるのにも苦労する
やっとの思いで合流した梨子ちゃんと共にUTX前の広場へ向かう
それは数分前…
──────────────
〜〜〜♪ピッ
「もしもし」
「あっ、満生君!?」
「千歌さん、お久しぶりです。どうしたんですか?」
「あのね、今私達東京に向かってるんだけど、りゅうくんって満生君と一緒にいたりしない?」
「龍騎ですか…いえ、あいつとは会ってないです」
「そっか…あの、今から会えないかな」
「えっ?」
「訊きたいことがあって…」
──────────────
満生君と会って話を訊くため待ち合わせ場所のUTXまで歩く9人
しばらくして着いた頃にはもう彼は待っていた
「ごめんね、遅くなっちゃって」
「いえいえ、僕も今来たところですから。というか、aqoursの皆さん勢揃い…感動です」
「久しぶり!満生君」
「曜さん、お久しぶりです。皆さん予選突破おめでとうございます!それから梨子さんもピアノコンクールおめでとうございます」
「ありがとう、満生君」
最初は3年生の自己紹介だったり、先日の予選の話が続いた
「満生君、本題に入ってもいいかな?」
「はい、大体察しはつきますが、龍騎のことですよね?」
「うん」
「わかりました、ここでは人目も多いですし、僕の家に行きましょう」
満生君に案内され彼の家に上がらせてもらい、そこで話を聞くことになった
それぞれが腰を下ろし、満生君が用意してくれたお茶を一口すすってから私は満生君に問いかける
「りゅうくんが東京に行くって聞いてここまで来たんだけど、りゅうくんのこと知らないかな?知ってることを全部教えてほしい」
その時の満生君の顔はどこかバツの悪そうな表情をしていた
「まず皆さんに謝らないといけないことがあって、電話ではここに龍騎は来ていないと千歌さんに行ったんですけど、今日の9時までここにあいつはいました」
「え?」
「それ本当なの?」
「はい、数日前からこちらに来て今日の朝まであいつと僕は一緒にいました」
「そんな…」
「もう少し早ければ…」
9人全員が下を向く
そんな時満生君が口を開く
「千歌さん、さっきあなたは龍騎のことを全部教えてほしいと言いましたよね?」
「はい。」
「僕がお話しできることは全て話します。ただし、それで龍騎への態度を変えたり、見捨てるということは絶対にしないと約束してください」
「そんなの当たり前だよ!私達はただ、龍のことが知りたくて、どうして彼が私達の前から消えたのかが知りたくて。
それで龍を見捨てるなんて絶対ないよ」
「そうですか、わかりました、ではお話しします」
私達全員に衝撃が走った
誰も信じられなかった、いや、信じたくなかった
誰もその現実を受け入れるのを拒んだ
彼女達にとってあまりに残酷な真実だった
「膵臓癌…」
「はい。」
「そんな…」
「どうしてそんなことが」
「事の始まりは三年前…」
3年前の冬、僕等が中学二年生の時
授業を受けていた時だった
急に龍騎が体調不良を訴えた
最初は保健室で様子を見ていたけど、容態は悪化。急いで救急車が呼ばれ、龍騎は近くの病院へと運ばれ検査を受けた。
その時、初めて癌を宣告された
幸い発見が非常に早く、容易に取り除くことが出来た上に他への転移も見られなかった。
その後数週間して退院、定期的に検診を受けたが異常は見られなかった。
筈だった。
中学3年生の夏
この頃になればもう部活も引退し、受験勉強に勤しんでいるところ
この日も図書館で龍騎と勉強をしていた。
事件は突然起きた
ちょうど正午、そのくらいだったと思う。
昼ご飯を食べようと二人でコンビニに行こうとした時、彼がまた苦しみ始めた。
中学生の俺の頭は真っ白だった。
目の前でさっきまで一緒に勉強していた友達が倒れ込んでしまい俺はどうしたらいいかわからなくなった。
そしてよぎった、半年前のことが。
もしかしてまた…。俺はそこでふと我に帰り、急いで救急車の手配と龍騎の母親にことの事情を知らせた。
ものの数分で救急車は到着し、龍騎の母親と俺も同伴させてもらい一緒に乗り込んだ。
だが、俺はその苦しむ親友の顔を見ているだけで何もしてやれなかった。
救急車が病院に到着し、すぐに龍騎は集中治療室に運び込まれた。
そして赤ランプが消える
龍騎は一命をとりとめた。
医師が龍騎の母親を呼び出した。
医師に連れられ診察室に入っていく龍騎の母親
俺は思わず、"自分も聞かせてください"
今思えばなにを言ってるのだろうかと思う
幼さからなのか、恐怖からなのか、俺の口から自然と言葉が漏れていた。
もちろん、普通は断られるだろう。
そりゃあそうだ、世間話や雑談じゃあるまいし、そんな他人のお願いを受けるはずもない。
ただ、彼女はこっちに手招きをしてくれた。
俺はそれを見て病院であるにも関わらず、走ってしまった。
龍騎は俺の親友。親友だからこそどんな状況にあろうと、それを目で耳で確認し、現実を受け止めなければならないと思った。
設けられた椅子に腰かけると医師から非常なまでの申告をされた
膵臓癌
それが検査でも確認が難しかった、つまりいろんな臓器の影となるところに出来ているため、手術をするのにも危険が伴い、実際始めてみないとわからないが手術困難という可能性もあるということ。
多くの場合で死を伴う可能性が高いということ。
そして、もし手術をしなかった場合、どこにも転移が起こらなかった場合で2年。
その時思った、本当に神様なんてあるのだろうか。
こんなに残酷なことはあるのだろうか。
隣に座っていた龍騎の母親は泣き崩れ、俺もただただ泣いていた、声をあげて泣いた。
場所なんてどうでもよかった、ただ、自分が無力である悔しさと大切な人を失う悲しみでいっぱいだった。
一日中彼は眠り続け、目を覚ましたのは翌日の夕方だった。
そして、自らの母親から真実を聞かされた彼の顔は忘れる事ができない。
歳わずか15歳にして死の瀬戸際に立たされた彼の顔を。
死の危険を伴う手術をするか、最長で2年、ただ死を待つか。
そんな究極の2択を迫られた親友に俺は何と声をかけていいか分からず、ただ苦しむ彼を見ていることしかできなかった。
彼は定期的に検査を受けることを条件に退院した。
しかし、夏休みが終わっても学校に来ることはなかった。
俺は学校が終われば毎日彼の家へ行った。
毎日のように訪れては会いたくないと言われ、ドアが開くことはなかった。
それでも毎日毎日彼の家のインターホンを鳴らし続けた。
どうしても話がしたかった、俺なんかが大した言葉をかけられる保証なかったが、少しでも力になりたかった。
そんなことを1ヶ月以上続け、10月になり突然スマホの画面に俺の待ち望む名前が映し出される。
龍騎
「お前に会いたい…」
俺はすぐに返事をし、そして翌日の帰り真っ直ぐ彼の家に向かった。
とても中途半端なところで切りましたが、長くなりすぎそうなので許してください。
そして更新が遅れた理由ですが、
ここ数日ずっと帰りが遅くなること多く、とてもこちらに手をつける暇がなかったのでこのようなことになったしまいました。
申し訳ございません。
次の(下巻)の方は早めに投稿できると思いますが、その先は遅くなると思います、ご了承ください。
それから、リアルの方ではTVアニメ第2期が放送されました。
ただ、この話は完全に1期のみを題材にしておりますので、既に2期をご覧になられた方はそれを考慮してこれから読んでもらえると助かります。
ちなみに私はまだ2期の方は見ていません、この小説が無事終了しましたらゆっくり見ようと思ってます。
長くなりましたが、これからもよろしくお願いします。
それではまた何かありましたら報告お願いします。