"貴方に永遠の愛を"   作:ワーテル

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Last episode

 

 

〜貴方に永遠の愛を〜

 

 

 

────── ────── ───────

 

 

 

 

 

スカイブルーの空

 

眩しい太陽

 

そして、校庭に咲く満開の桜

 

 

まるで今日新たな人生のスタートを切る新入生を祝福してるかのようだった

 

 

「新入生の方皆さん、入学おめでとうございます。

浦の星の一員として皆さんの活躍を期待しています。」

 

 

今日、あれから3度目の春を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

あれから3年

ここ、内浦の景観は特に変わった所はないけど、私の周りは劇的に変化した

3年生が卒業して、次は私達が卒業、そしてつい先日1年生も浦の星を卒業した

果南ちゃんは実家のダイビングショップを継いでるし、ダイヤさんは私でも知ってるくらいの有名な大学に進学したし、鞠莉ちゃんは留学していろんな未来の可能性を追求してる

曜ちゃんは高飛び込みの実力が評価されて、推薦をもらい、1年目から結果を残してる

梨子ちゃんはピアノを諦めたくないって想いで東京の音大に入学した

1年生のみんなもそれぞれ自分の目標を持って新たなスタートを切った

(1人自分探しの旅に出るとか言ってたけど、今は気にしない)

 

 

それにひきかえ私は…

 

 

「千歌ちゃん、まだ行かなくていいの?」

「もう行くよ」

 

 

特に何の目標もない、ごく普通の毎日を送っていた

 

 

 

 

「何してるんだろう…」

 

 

もう5年目になるバス通学

相変わらず人はほとんど乗っていない

そんな何も変わらないこの鉄の塊と私が似ているような気がして一層心を暗くする

 

 

ラブライブが終わって以来特に何の目標もなく、ただ曜ちゃんや梨子ちゃんが進学するから、私も。

そんな気持ちで入った、もちろんそれなりに勉強はしたけど。

 

 

こんな私を見たら、彼は何と言うだろう。

私が聞くべきことばをくれるのか

私らしくていいんじゃないかと励ましてくれるのか

それとも、怒るだろうか

 

私はいつも彼に救われていた

彼が旅立って以来、私はいろんな人に頼りきっていたことを改めて実感した

そんな自分を変えたくて、できる限り自分でやろうって思った

Aqoursのリーダーとしてしっかりするためにも。

 

でも、私は何も変わっていない

今だって結局、彼がいたら、彼だったら…

そんなことばかり考えて、私がどうしよう、どうしたいってことがまるでわからない

 

何してるんだろう…

 

気が付けば、そう呟いていた

 

 

 

 

“次は沼津、沼津”

 

 

ここで下車して、沼津駅から電車で数駅

そうすれば私の通っている大学に着く

 

バスを降りればすぐ目の前に駅がある

それにも関わらず、私は駅とは逆の方へ歩みを進める

沼津は私の住む地域では東京には及ばないにしろ栄えている方である

朝だからなのか人も一段と多い気がする

ただ、やはり土地が土地なだけあって、また駅から離れれば閑静な住宅街

が現れ、潮の香りが鼻をつくようになる

私はゆっくり、ゆっくりと何かを懐かしむように進む

 

そして…

 

「ここは…」

 

 

あてもなく歩いていると、ある公園にたどり着いた

人はおらず、ただ木々と風が擦れ合う音だけが響いていた

 

ブランコに腰かける

 

辺りを見渡せば、多少老朽化してはいるけど、あの頃と何も変わっていない

ここから見渡せる海も何も変わらない

ここは、私と彼が遊んだ場所…

 

 

曜ちゃんと遊びに来た時、海を見つめる彼を見つけた

 

「ねぇねぇ、何してるの?」

「見ればわかるだろ、海見てる」

「じゃあさ、私達と遊ぼうよ」

「え?いや、ちょっと!」

「ほら!はやくはやく〜!」

 

半ば強引に彼を連れ出し、海が好きだって言うから果南ちゃんの所にも連れてって、友達になって、4人で遊んだ

 

「懐かしいな…」

心の底からそう思った

 

柵の上に頬杖をついて、これが彼の海を見るスタイルだった

あれから10年以上経った今ではそんな態勢で眺めることは到底出来ない

そんな成長をしみじみと感じながら、桜の雨が降る中私は目の前に広がる海を眺めていた

 

 

「千歌ちゃん?」

 

私は何度も聞いたその声で名前を呼ばれた

 

「龍くんの…」

 

 

 

 

 

 

仏壇の前に正座し、リンとリン棒を触れ合わせると、独特の金属音が部屋中に鳴り響く

私は目を閉じ、手を合わせ、軽く一礼する

これが私がこの家に来ると行う決まり事のようになった

 

 

「いつもありがとね」

「いえ、私がやりたくてやってるだけなので」

 

 

もう一度仏壇に目を移すと、にこりと笑う彼の写真が目に入り、私は暫くそれを見つめていた

 

 

「今日大学はお休み?」

「あ、えっと…」

「ふーん、なるほど、サボっちゃったんだ」

「は、はい…」

「ふふっ、分かるわ〜私も学生時代はよくやったもの」

「え?お母さんも?」

「そうよ、でも結局何でサボったんだろうって後悔するんだけどね」

「実は私、学校に行かなかったのは初めてなんです。」

「あら、そうなの?なんでまた」

 

「いや、ずっと思ってたことではあるんです。Aqoursとしての活動が終わった後、果南ちゃん達3年生はちゃんと将来を見据えてそれぞれやるべきことをやってるし、同級生の曜ちゃんや梨子ちゃんも自分の特技を伸ばそう、生かそうとして頑張ってる。そして、今年から1年生の3人もしっかり目標をもって新たな一歩を踏み出した。

それに引きかえ私は、はっきりとした目標もなく、ただ漠然と毎日同じ町を同じ道を歩いて、気づいたら1日が終わってる。

ラブライブを経て少しは成長出来たかなと思えば、結局私は普通で誰かに助けてもらわないと何も出来ないんだなって。そう思ったらなんか行く気も失せちゃって」

 

「そっか、あ、ちょっと待っててね」

 

 

私は再び仏壇の写真に目を移す

私はあの笑顔に何度救われたことだろう。

不安な時、辛い時、悲しい時、あの笑顔を見れば何故か安心できた。

できる!そんな想いが溢れ出してきた

今日だって彼がいたら、なんて有り得ない想像ばかりがわたしの頭の中を占領している

いつまでもこうしているわけにはいかない。

自分ではわかっていても、今日もまた同じことの繰り返し、悪循環。

私はどうしたらいいんだろう…

 

 

「お待たせ」

 

 

考えている間に龍くんのお母さんがお茶とお菓子、そしてノート?大きさ的には日記なのだろうか、それらを持って帰ってきた

 

 

「どうぞ、こんなものしかないけど」

「いえ、ありがとうございます」

 

 

お茶を一口いただく、その瞬間どこか懐かしい味が口の中に広がった

 

 

「それから、これ」

 

 

私の目の前にそっと先ほどのノートを差し出す

案の定そこには

 

“Diary”

 

と書かれていた

 

 

「これは?」

「あの子が亡くなってから部屋の掃除してたら出てきたのよ、読んでみて」

 

 

私は手渡された彼の日記の表紙をめくる

 

 

俺はあと半年後にはこの世にはいないらしい

あくまで人間が下した判断ではあるが、それは事実。

ただ、その覚悟はもう出来ている

無論自分で決めた道である故に泣き言なんて言わない

残りの時間を充実したものにしよう

その為に今さらではあるが、1日1日を忘れないようにここに記そうと思う

 

 

 

日記の最初には前書きのようなものが書かれていた

そして次のページから日記は始まっていた

日付は4月3日だ

 

 

4月3日

 

内浦に越してきてもう1年が過ぎた

改めて思うが、時が経つのは早いものだ

ところで今日は千歌と曜が東京から帰って来た

しっかりバックトゥ・ザ・ピヨコ万十をお土産で買ってきてくれたのでありがたく頂いた

そして今日1番驚いたのは千歌が

「スクールアイドルやりたい!」

と言い出したことだ

俺としては応援してあげたいのだが、果南姉達のこともある

どうしたらいいだろうか

 

 

1日目はこれで終わっていた

私がスクールアイドルを始めるきっかけとなった日

あのは東京に行って、あの輝きを目にしなかったら私は普通の高校生活をおくっていただろう

 

 

 

4月×日

 

遂に俺の最後の高校生活が始まる

玄関で待つ曜、いつまでも起きてこない千歌

この当たり前だと思ってた日常を俺はあと何度過ごせるのか

残りを考えるより今を大切に生きるとしよう

 

それから、半ば強引に千歌達のサポート役をやることになった

嫌ではない。ただ、俺に務まるのか…

 

 

 

1日1日しっかりと書かれた彼の日記をひたすら読み進める

 

 

 

4月△日

 

今日はある意味充実した1日だった

 

海で1人の少女と出会った

彼女はどうやらピアノが弾けるらしい、ただ、その話をする度に悲しい眼をするのは何故だろう…

彼女のことが放っておけないのは、彼女が数年前の俺と同じ眼をしているからだろうか…

 

また、俺は自分の意志で千歌達のサポート、マネージャーをすることを決めた

2年前のこともあり、懸念はあるが、千歌に賭けてみようと思う。

 

そしてこの日、俺は初めて自覚した

 

俺は千歌のことが好きらしい

 

 

 

4月☆日

 

 

Aqours初ライブ

体育館を満員にできなければ解散、そして俺は東京へ

そんなことはどうでもよかった、ただ、彼女達がスクールアイドルを続けられればそれで…

しかし、俺が考えていたことは取り越し苦労だったようだ

ライブは途中アクシデントにも見舞われたが、無事成功に終わった

彼女達の輝き。それは眩しいほどにキラキラしていた

やり切った後の笑顔は最高だった。

そして何より、この町の人は温かい。

 

 

 

読みながら3年前の記憶を思い出しページをめくっていく

 

 

 

5月○日

 

 

Aqoursはついに6人になった

ルビィに丸ちゃん、善子、3人が勇気を出して一歩踏み出した

あともう少し。あとあの3人さえいれば…

 

 

 

 

5月●日

 

 

昨日書けなかった分多めに書こうと思う

果南姉の所へ行った、もう一度Aqoursに入って欲しくて。

案の定ダメだった。

昔はいや、ほんの数年前までは3人仲が良かったのに、今はなんでこうもバラバラなのか…

そう思っただけで涙が出てきた

果南姉にハグされた時、どこか懐かしい感じがしてさらに涙がこみ上げてきた

 

海開き。これも今年で最後かと思うと何だか寂しい気がする

その途中千歌がまた突拍子も無いことを言い出した。

学校の入学希望者を増やす為、ライブをやろうと。

でも、まさかスカイランタンなんてな、誰が思いつくんだよ。

相変わらず俺の幼馴染は凄すぎる

 

 

 

6月◆日

 

東京で開催されるライブに招待された

どうやらこの大会は会場のお客さんが投票するらしい

Aqoursは2番目、いわゆる前座だ

それでも彼女達は前を向いて精一杯演技しようとしている

そんな中トップバッターとして切り込んで行ったのは、SaintSnow

最近出てきたグループだか、その完成度は素晴らしいという他なかった。

千歌達も目の前の演技に圧倒されているようだった

その後の彼女達の演技がどうだったか、言うまでもない。

悪くない、だが、結局票数は、0

こんな時に言葉をかけるだけで何もできない自分がたまらなく情けなくなる

でも、とりあえず前だけ向いてやってくしかない

 

 

 

6月◇日

 

 

東京から帰った翌朝

千歌がAqours結成以来、初めて涙を見せた

メンバーが沈まないように、気を利かせて、リーダーとして、笑顔で振舞っていた

千歌も知らない間に成長してたんだ

 

そしてこの日俺にも初のことがあった

内浦に帰ってきて初めて倒れた

頼む。

夏が終わるまでとは言わないから、もう少し待ってくれ。

 

 

 

やっぱりあの時から龍くんの身体は悲鳴をあげていたんだ。

あの時無理矢理にでも話を聞いていたら、もしかしたら何か今とは違う結果になっていたのではないか

そんな後悔ばかりが募る

 

 

 

6月■日

 

 

 

この町の夏祭りは他の場所よりは早く開催される

今日はその日

梅雨が明け、いよいよ夏真っ盛りとなるこの時期にさらに熱く盛り上がるイベントが今年はある。

Aqoursのライブだ

ステージに立つのは、6人、ではなく、9人。

やっと揃った。

あの3人がまた踊っている、楽しそうに。

俺はそれを見ただけでこの上なく嬉しくなった

彼女達のより一層輝いていた

 

もういいかな。

この辺りで手を引いても。

1つ気がかりなことはあるけど、多分ここが退き際だろう。

 

俺はもうここにはいれない

 

 

 

6月▽日

 

 

今日は俺の人生の中でワースト1の日だろう

Aqoursを辞めた、千歌に罵声を浴びせ、侮辱した。

でも、こうしないとあいつは離れていかないから、こうする他ない

 

さて、俺はあれを完成させなければ

 

 

 

7月□日

 

 

 

1ヶ月ぶりの東京

まだ身体が動く内に色々やろうと思い、満生の家に来た

無駄話したり、ゲームしたり、こいつといる時は何もかも忘れてしまえるぐらい楽しかった。

あいつが俺の身体を気遣う言葉をかけてきた時は背筋がゾッとした笑

おそらくこれが最後の満生と過ごす時間なんだろうな

ありがとう、俺の親友。

 

 

 

そしてこの日記の次の日、私達が東京に1日遅れで来た日、彼は倒れたんだ。

 

 

 

7月☁︎日

 

 

7月ももう終わる

俺は今日意識を失い、運ばれた。

なんら不思議なことではない。

今こうして生きていること自体、奇跡に近いのだから。

生きている、という感覚はある。ただ、起き上がることができない。

俺の意識は深く深く海の奥深くに沈んでいくようだった

音も光も何も届かない。

俺はこの時初めて死に対して恐怖というものを得た

そんな時だ、何も聞こえないはずなのにどこからか俺の名を呼ぶ声が聞こえる。

俺の身体は水面へ引き寄せられるように上昇していく。

そして目を覚ますと、千歌達がいた。

正直気まずいものがあった、あれだけ嘲笑った挙句、俺は今こんな状態。

何を話せばいいのかわからない状態で俺が絞り出した言葉は、

「うるさいな」

久しぶりに会って発する第一声ではない

それでも彼女は反応してくれた、心配してくれた

そして、俺をAqoursの10人目だと。

それがすごく嬉しくて、それだけで十分だった。

ありがとう。

 

 

 

あの時のことを思い出すと涙が出てくる

彼は病室でもどこでも明るく、いつも通りに振る舞った。

でも、それは私達に心配をかけないようにだと知っている。

日に日に確かに弱っていく彼を私はただ見守る事しかできなかった。

 

 

 

8月※日

 

 

 

一日中病室にいると退屈で書くネタもない

ただ今日は千歌が見舞いに来てくれた

ライブも近いっていうのに、本当にありがたい

看護婦さんに「彼女」と言われた時の千歌の顔が真っ赤になってて面白かったな。

本当にそうだったら、あいつはどう思うかな…

まぁ、今となっては関係ないか

 

 

 

8月#日

 

 

 

2年生の3人が見舞いに来てくれた

練習の話やメンバーの話をしてくれる

でも、うまく笑えない

普段なら彼女達の話は面白くて楽しいはずなのに…

身体が重い

あと少しなのに、せめて次のライブだけでも…

 

 

 

この日を最後に日記は終わっていた

それもそのはず、この次の日彼はこの世を去って行ったのだから。

 

 

 

 

私はその日記を静かに閉じ、軽く深呼吸をする

涙が頬を伝う。

これを読んで彼の全てを知った

彼の喜び、苦しみ、悲しみ

あんなに近くに居たのに、私はそれを今やっと知った

もしもっと早く知っていれば、もっと早く気づいていれば。

たらればなんて考えても仕方のないことなんだけど、私は一生このことを悔いると思う

彼とは対照的な何もできなかった私に情けなさを感じる

 

 

「千歌ちゃん、最後のページがまだ残ってるよ」

「え?」

 

 

そう言われて裏表紙をめくる

そこには書かれていたのは日記なんかではなかった

 

 

 

いつこの世から消えるかわからないから前もって書いておこうと思う

 

 

この一言から始まり、最後のページだけではなくその前のページにも文章がかなりの量書いてある

お母さんに向けて、満生君に向けて、Aqoursに向けて、そして最後に私に向けた文章が綴ってあった

 

 

最後に、千歌へ

 

なるべく録音とは違う事書かないとな

 

まず俺は君に会えて本当よかった

あの時のことは今も鮮明に覚えてる

海を見てた俺に後ろから話しかけた

あの出会いがなければどうなっていたのかな

俺の人生はもっと薄っぺらいものだったかもしれない

君と出会ってから全てが楽しかった

それまでの俺は海を見ることしか興味がなかった

それが君と出会って、曜や果南姉とも出会って、気づけばいつも一緒に遊んでいた

小学生になっても4人で登下校したり、常に一緒にいた気がする

辛かったな東京に行くことが決まった時は。

あの時は千歌達がこのことを聞いたらどんな顔をするだろうと考えたらなかなか言い出せなかった

勝手にいなくなったことを今一度ここで謝っておくよ

 

でもさ、結局向こうにいても、暇さえあれば千歌達のことを考えるんだ

よっぽど言っていかなかったことが気がかりだったのかな

離れてても俺は君のことを忘れることはなかった、いや、できなかった

余命宣告をされた時もまず初めに君の顔が浮かんだんだ

普通は自分の余生について考えるはずなのに、その一瞬で俺は君の為に何かしたいと思っていた

 

内浦に帰ってきて初めて会う君は何も変わっていなかったね

そりゃあ外見はまあまあ変わってたけど、中身なんてそのまま!

最初に謝るつもりだったのに、思わず笑っちゃったよ

その後、君と曜にこっぴどく叱られて、果南姉に1週間ダイビングショップに幽閉されたのは今ではいい思い出

そんなことがあっても君はまた俺と一緒にいてくれた

何をされても俺を見捨てなかった

それがすごく嬉しかった

でも、帰ってきてから一年が経っても、あのことは言い出せなかった

理由は、君が悲しむ顔を見たくなかったから

俺がいなくなる所を見せたくなかったから

 

そして、俺も人生の終盤に差し掛かってきたところで君はスクールアイドルを始めたいと言い出した

これまた何を言い出すのかと、いつも君には驚かされる

でも、本気な君の姿を見て、力になりたいと思った

それからはかなり濃密な人生を送らせてもらった

おそらくこんなに壮絶な1年は17年目で初だろうよ

いろんな人と関わって、いろんな経験を重ねて、成長していく君達はマネージャーとしては誇りだったし、漆原 龍騎としては憧れだった

俺も本当なら君達のように一心不乱に「輝き」というものを追いかけてみたかった

その輝きをマネージャーという形ではあったけど、一緒に追いかけさせてくれたAqoursのみんなには本当に感謝してる

 

長くなったけど、最後に

俺はただ1つ後悔してる

それは君の、千歌の夢の果て、それを見れないこと

俺は信じてる、君達Aqoursが輝きを手にすることを

でも、それは多分通過点なんだと思う

それは他の8人にも言えることだけど、千歌はその輝きの果てに何を見るの?

何年かかってもいい。

見せてほしい、君の答えを。

俺はいつまでも君を見守っているから。

 

 

 

 

最後の言葉と共にピンク色に塗られたサザンカの花の絵が添えられていた

 

 

 

「こんなものをあの子が書いてたなんてね、あの子がいなくなってから私物はそのままにしてたから、最近触ってたら急に出てきて」

「お母さん」

「どうしたの?千歌ちゃん」

「お母さんの前で御門違いだとは思うんです、でも、私…」

「いいのよ、人間は素直なんだから、悲しい時は泣けばいい、楽しい時は笑えばいい。だから、ね?」

 

 

私はもう泣き続けた

目の前に龍くんのお母さんがいようと、気の済むまで泣いた

3年間、ひたすら忘れようと思った

面影を追いかけていた自分と決別しようと

でも、無理だった

忘れよう、忘れよう、そう思えば思うほど、彼のことが頭から離れなくなって叶わぬ願いばかりが募っていった

その結果、今日私はこうして泣き続けているのだろう

今までの想いがこうして雫として流れ続けている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、取り乱して」

「いいのよ、ところで千歌ちゃん。あなた何か夢とかってあるの?」

「夢、ですか?」

 

 

夢。私は今まで将来というものについて考えたこともなかった

唯一考えていたことといえば、ラブライブで優勝したいってことぐらいで、昔から夢とか目標とかは全くと言っていいほどなかった

だからこうしてみんなが行くからという理由で大学に通い、今日だって駅からここまで歩いていたわけで

 

 

「あまりそういうことを考えたことがなくて…」

「そう、あのね、私は千歌ちゃんの親ではないからこういうこと言うのも変なんだけど、何か千歌ちゃんのやりたいことを見つけて、それに向かって頑張ってほしいと思うの。龍騎もそう思ってると思うから。」

「龍くんも…」

 

 

彼の日記に記してあった、「私の夢の果て」

これが多分私の「やりたいこと」なんだと思う

今はもういない彼にもし感謝の想いを届けられるとしたら…

 

 

「正直、今私のやりたいことと言っても全くわかりません。でも、何年かかっても、何十年かかっても、私の答えをきっと彼に痩せようと思います。あの頃よりもずっと大きな輝きを目指して。

 

 

その時、窓から入ってきた日差しが仏壇の上の盾を照らす

 

「千歌ちゃん、ありがとう」

 

その盾の横にはあの時、10人で過ごした日の写真が

 

 

「ところでお母さん」

「どうしたの?」

「なんでサザンカなんでしょう、しかもピンク」

「あら?気になる?ふふ、調べてごらんなさい」

 

 

私はスマホを取り出し、検索エンジンにかける

 

サザンカの原産地や特徴まで細部にかけて記されている中で「花言葉」という所に目がいった

 

そして、その花言葉を読みと、私は思わず笑ってしまった

 

「もう、ばか」

 

 

太陽の光に照らされた盾には3年前、9人の、いや、Aqours 10名による輝きの功績が記されていた

 

 

第○回ラブライブ 優勝

 

浦の星女学院スクールアイドル 「Aqours」

 

曲 「MIRAI TICKET」

 

作詞・作曲 “漆原 龍騎”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから月日は経ち、辺りは蝉の鳴き声で埋め尽くされていた

 

「曜ちゃん!梨子ちゃん!早く〜!」

 

私は目的地へと続く階段を勢いよく駆け上がる

 

「千歌ちゃん待ってよ〜」

「もう、2人ともだらしないんだから」

「千歌ちゃんが速すぎるんだって」

「速くないよ、ほら、行こ!」

「もう、だから待ってって!」

「ははは、相変わらずだね」

「全くよ、20になって少し大人になったかなと思えばこれだもの」

「でも、私は嬉しいかな、千歌ちゃん元気なかったから」

「そうね、龍騎君がいなくなってからは本当に辛そうだった。私達も離れちゃったし」

「友達や家族って普段は身近にいるけど、いざ離れてみるとその人の大切さとか本当によくわかるんだよね」

「そうね、私もAqoursのみんなでいるのが当たり前だったから、それはすごく感じた」

「3年前のあの一件以来、千歌ちゃんがまた無理して私達に明るく見せようとしてるんじゃないかって、思ってたけど、今日の様子見てたらなんだか安心してきちゃった」

「なんか千歌ちゃんらしさが戻ってきた感じよね」

 

 

階段を上った先には膨れっ面で水の入ったバケツを持った千歌が立っていた

 

 

「もう!2人とも何話してるの!遅いよ!」

「ごめん、ごめん、千歌ちゃんが楽しそうにしてるからつい昔の話をね」

「なになに?何話してたの?」

「さ、早く龍騎君の所に行きましょ」

「了解!全速前進!ヨーソロー!」

「わぁ、2人とも結局何話してたのさ〜」

 

 

 

 

 

 

 

歩くこと数分

 

 

「ここだね」

「いつも思うけど、ここまで来るの結構疲れるよ」

「山の上だからしょうがないわよ」

 

 

今私たちの目の前には多いな石が建っている

 

 

漆原家之墓

 

 

そう、今日は3人で龍くんのお墓詣りをしに来た

 

 

「龍くん、起きろー!!」

 

そう言って上から勢いよく水をかける

 

「千歌ちゃん、何やってるの…」

「だって、龍くんずっと寝てるからこうでもしないと私達が来たこと気づいてくれないでしょ?」

「そういうことか!じゃあ私も、龍!起きろー!」

「曜ちゃんまで」

「ほら、梨子ちゃんも」

「え、私は…」

「ほら、龍が起きないから」

「わかったわよ、えいっ!」

 

 

掛け声と共に桶の中の水が全て放たれた

 

 

「おぉ…梨子ちゃん」

「大胆」

「このぐらいやらなきゃ気づいてくれないわよ」

 

 

このドヤ顔である

 

 

「でも、ちゃんと水は汲んできてね」

「あ、はい…」

 

 

その後、花を入れ替え、線香を炊き、墓石の前で手を合わせる

静かな空間に小鳥の囀りと樹々と風のこすれる音だけが鼓膜を揺らす

この間私は彼と会話をしていた、他愛の無い会話

私はこのほんと一瞬のひとときが妙に楽しかった

 

 

「じゃあ、行こっか」

「そうだね」

 

 

最後に彼に挨拶しなきゃ

 

 

「じゃあ、龍くん。また来るね」

「またね、龍」

「向こうでも元気で」

 

「よーし!下まで競争」

「あー!千歌ちゃんずるい!」

「2人とも待ってよー!」

 

 

 

龍くん、私ね正直まだ自分が何をしたいのか、何処を目指したらいいのかよくわからない。

でも、全力でやってみようと思う

君が生きられなかった分まで

あの頃みたいに、ううん、それ以上の輝きを見つけて、いつか天国にいる君に見せてあげる

だから、ずっと私のこと見守っててね

 

そういえば、君の想いばかり聞いて私のことは何も伝えてなかったね

私も君と同じ気持ち

だからね、私がいつか君と同じ世界に行ったら、その時は一緒に暮らそ

2人だけでずっと。

もう今度は勝手に何処かに行かないでよ、ちゃんと待っててね

 

 

彼女達が去ったその場所にはとても鮮やかな花束が添えられていた

 

 

 

 

それはとても綺麗なピンク色の山茶花が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まず初めに遅くなって本当に申し訳ありませんでした。
最後で手を抜くようなことだけはしたくなかったので、どうしても時間がかかってしまいました

何はともあれこれで「貴方に永遠の愛を」は完結となります
気づけば初投稿から半年にわたって書いてきましたが、本当にお付き合いありがとうございます。
文才の欠片もない作品でしたが、多くの方々に見てもらえて本当に感謝しています

今後しばらくは小説投稿からは身を引こうと思いますが、また思い付きで書くかもしれないのでその時はまた読んでもらえると嬉しいです。

また、最後にこの感想等ありましたら書いていただけると幸いです

最後になりますが、自分の自己満足で書いたものでしたが、本当に多くの読者の方々最後までお付き合いいただきありがとうございました。
それでは、また。

(よかったら山茶花の花言葉、調べてみてください。ベタなものですが、より内容が分かりやすくなると思います)











やっと2期観れるわ〜
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