世紀末戦記   作:溶けない氷

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居住地

T-60 model95

白銀のパワーアーマー

本土決戦が避けられないという事態を想定し国民突撃隊の子供兵のために(建前では小柄な兵士)作られた子供用パワーアーマーの試作品

しかし結局、改造に費用がかかる上に子供兵が投入されるほどの事態には至らず量産されなかった

人間のスペースを削ったぶん性能は高いが、使いにくい。

ターニャしか使えない、原作のエレニウム95式ポジション

 

「うおっ!このくそ野郎!」

ターニャは渾身の力でスワッターを振りかぶり、家の中に現れたゴキブリを倒した!

XP+2

たかがゴキブリ、されどゴキブリ。

噛まれでもしたら感染症や病気を移される可能性とて無きにしも非ず。

みんなも家の中にラッドローチが現れたらすぐに処理しようね!

スワッター!スワッター!スワッターでぇBooom!

スワッターなら害虫退治も楽々!弾切れの心配もなぁーい!

確かに野球はこのいかれた世界では実用的なスポーツだ。

「あーくそ!ゴキブリホイホイでも売ってないかな・・・・」

ゴキブリは20cmから大きなものは1mくらいまでであり、巨大化し多分ターニャが前世で知っているものより鈍いが性質はあまり変わっていないようだ。

「って、こんだけでかいと家くらいデカくないとダメそうだな」

くたばったゴキブリをバットの先でつついてちゃんと死んだか調べる。

赤貧時代ならクッソ不味くとも食べたろうが、今はそんな気分じゃない。

『オソウジシマス』

ありがたいことにロボットがつまみあげて焼却炉にポイしてくれた。

・・・・・・あとでマニュピレーターを洗浄させよう。

我ながらよくあんなもん食えてたよな・・・・ウゲェ・・・

八百屋の店員として働き、定職についたターニャちゃんはもはやゴキブリを食べる気にはならない程度にはリッチになった。

・・・・というか肉類を受け付けず野菜と卵をメインにする贅沢児童になった。

それもこれも例の缶詰肉の中身を知ってしまったせいで・・・いえ、私は遠慮しておきます

(原型の知れない物は食べない・・・特に肉類は)

そう思いながらターニャは改めて殺したレイダーから剥ぎ取った武器や金目のものを売り払って貯めた自分の貯キャップ箱をニヤニヤ眺める。

だが、これでいいのだろうか?

前世か、あるいは中世以降だったならば投資として株式や国債を購入できたろう。

テンプレ転生先でも中世以降レベルなら国債があるはずだが、この世紀末世界では株式も債権もない。

というか銀行すらない、あるのは銀行の残骸だけだ。

誰もが個人経営レベルで経済が回っている。

いろんな意味で預けた金が返ってくるかわからない時代。

持ち逃げ、預けた奴が死ぬ、預けた所が襲撃されて焼け野原になるなど当たり前。

人々から信用が失われた結果、経済の再建もできずにいるのだ。

(いかん!このままでは、私の理想の安全・快適ライフが送れそうにない!)

自分の理想は投資から毎年安定したリターンを得て悠々自適ライフなのだ。

どう考えてもガトリング砲を担いで毎日のようにヒャッハーする現状は理想とは程遠い。

現状、不安定なその日暮らしとさして変わらないしね。

と、現状を考えながら拾ってきたセントリーボットを調整しガトリング砲の照準を調整する。

行商人に売ればかなりの金になるはずだが現状ではパーツが足りないので起動しない。

 

(うーむ、しかし投資といっても投資先が存在しないのが辛い所だな・・・)

と、思っているとVaultの男がまた帰ってきたのか軒先から重々しい鋼鉄の足音が響いてきた。

「お帰りなさい、パパー」

『ただいま、ターニャ』

なんだこの父と娘の会話は・・・娘役って疲れる・・・

この男の娘役を演じてわかったことがある。

200年前の人間、アンカレッジに従軍経験あり、極めて良心的人物、今は息子を探している。

「お兄ちゃん、まだ見つからなかったの?」

『ああ、後一歩だとは思うんだが・・・マサチューセッツも広いからなぁ』

お兄ちゃん、ショーン。彼を兄と呼ぶことでさりげなくたとえ彼が見つかっても娘というポジションを失わずに済むよう刷り込む。

ミニッツメンの将軍の地位にある彼の信頼と後見は後々に政界に打って出る時に大いに役に立つだろう。

いつの世もコネと金ほど信頼できるものはない、うむ。

『そういえば、また悪い奴らをやっつけたんだって?プレストンが褒めてたぞ。

お前はみんなの隊長だって。ターニャ隊長だな』

夕食の野菜スープとオムレツを囲んで二人で食事をとりながら他愛ない話に興じる。

レイダーの効率的な殲滅、それぞれの武器に装備する効率的なオプションパーツの選定。

遺跡から発掘したロストテクノロジーの有効な活用方法など、話のタネは尽きない。

学校で学べる技術をこうやって実地で検証し、そして新しい技術を発掘してきてくれる知的人材というのは今のご時世では希少だけに実に有意義だ。

『ターニャはそんなところまで気付くなんて本当に賢いな』

話が居住地の建設のところまでに来ると彼の話も実に有意義なものとなる。

この前はすぐそこまで迫っていたレイダーの巣を一掃してミニッツメンの要塞とし多おかげで作物の輸送効率が40%以上上がったと報告すると彼も嬉しそうだ。

私も自分の経営する商店の売り上げが上昇し、生活に潤いが出るのは実に喜ばしい。

『うん、だけど肝心なところで居住地に必要な資源が不足しがちでね

例をあげれば防備に必要なオイルや、電気製品にはなんでも必要な銅とかそういったものがどうしても不足しがちなんだ』

・・・あれ?これもしかして投資先になるんじゃね?

そう思った私はそれとなく前々から思っていたことを子供らしく話してみた。

「えーとね、それだったらターニャはこう思うんだけどぉ・・・」

 

・・・・・・・・・・

 

後年、再建なったアメリカ共和国において初期の収入の大元となったのは再建債と呼ばれる一種の国債である。

始まりには諸説あるが、有力なのは2287年に後の2代目大統領のターニャ・デグレチャフが八百屋で始めた居住地の建設に必要な資金の共同出資が元になっているという説である。

だがこれはまだまだ後のお話。

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