世紀末戦記   作:溶けない氷

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Commonwealth Chainsaw Massacre

幼女、いい隣人になる

 

世紀末からこんにちは、ターニャ・デグレチャフです

私、ターニャはただいまグッドネイバーに来ております。

その理由とは…

 

『オイオイオイ、いつからここはガキの出入りする場所になったんだ?

ミルクが欲しいんなら場所を間違えてるぜ?』

町に入った途端、チンピラに絡まれる私。

ウゼェことこの上ないが、いきなり殺すわけにはいかない。

町に入った途端に殺し合いを始める人間をあなたは信用できるだろうか?

うーん、でもウェイストランドじゃよくある事だしなぁ…

すると

『おいおい、あんまり虐めてやんなよ。

ここはグッドネイバー、揉め事を起こさないんなら誰でも受け入れるってのがこの町の決まりだぜ』

狭い通りから奇天烈な格好をしたグールが顔を出す。

模範的サラリーマンとして、取引先の有力者の顔を事前にリサーチするのは当然。

あのグールこそが、今回の取引相手のハンコック市長だ。

『なんだって?そんなんだから周りの連中にもあんたは舐められるんだぞ

みんな、言ってるぜ。ハンコックはあの流れ者と組むようになってから軟弱になったってな』

 

『フゥン、そうかい。まぁ、そう怒るなよ。

ほら、ジェットでもどうだ?』

 

次の瞬間、市長が取り出したのは薬でなくナイフだった。

腹と首に2回、目にも留まらぬ早業でチンピラの喉と腹を割いて殺す。

えぇ…

 

『ああ、すまないな。ちょいとした身内のゴタゴタって奴だ

あんたが、”隊長”だな。あいつとガービーから話は聞いてるぜ

ここじゃなんだから、我が家にでもあがんな』

隊長、というのはあの口笛ガービーがありがたくも私につけてくれた二つ名である。

実際にはパシリ二号に近い扱いだ、お前も働け。

と、市長に家に招かれたのでお邪魔する。

中は市庁舎というよりはギャングのアジトといったところか。

市庁舎に入っていく途中で町のギャング映画に出てくるような守衛にじろじろと見られる。

うん、この外見はかなり浮いている。

 

招かれた家でソファーに腰をかけると、早速商談に入る事にした。

『ああ、話はついてるぜ。要するに投資話って奴だな。

俺はいいと思うぜ、あいつは信頼できる。だがな、あいつとお前は別だ、わかるな?』

 

実にわかりやすい、たとえ養女だろうと実力を示せないなら信用しない。

前世の頭の悪い連中もこれくらいわかりやすければ良かったのにと思う。

「承知しております。で、条件とは?」

この手のギャングのボスに回りくどい話は無用だ、何をするか?見返りに何を求めるか。

そういう要点だけを手早く言うのがこのビジネスで大成する条件なのは言うまでもない。

 

『まぁ、そう難しい話じゃない、メモリーデンにケントっていう奴がいる。

俺は今奴に借りがある、でお前さんは俺に貸しを作りたい。

そいつが丁度お前さんに頼みがあるらしいからそいつの話を聞いてやってくれればいい。

それで俺とお前の契約は成立だ、OK?』

なるほど、わかりやすい。

 

『いい子だ、ほらジェットやるよ』

ターニャはジェット3個を手にいれた!

いや子供に薬物勧めんなよ。

 

で、今私ターニャ・デグレチャフはというと

 

「な、なんじゃコリャァァァぁぁぁぁぁ!?」

 

ひらひらフリフリの可愛らしい魔法少女の衣装を着せられた!

ターニャ・デグレチャフはユニークアイテム”魔女っ子ターニャたん”に変身した!

 

『うん、いいよ。思った通りだ、大昔のJapanのComicAnimeの実写映画で使われるはずだった

”マジカルガール・リリカルアンネ”のイメージ通りだ!』

 

クソが!存在X、これもお前の仕業かぁ!

 

”わしゃ知らんもんね”

 

畜生!お前そんなキャラじゃねぇだろ!あと、人の思考を読むな!

 

「ハァ…それで?着替えましだけど、これで撮影会でもやればいいんですか?」

 

 

『OK、でもその衣装だけじゃダメなんだ。ほら、ここにある撮影所に行って小道具の魔法のチェーンソーを取ってきて欲しいんだ?』

 

うん!?魔法のチェーンソー!?嫌な予感がする…

 

『それで、ほらこの魔法の呪文を唱えながらそれで適当に悪人を10人程殺してきて欲しいんだ。

映画の脚本通りに顔の皮を剥いで、後には正義執行のメッセージカードを残してきてね』

お前!それ本気で言ってんのか!?それ魔法少女じゃねぇよ!悪魔の生贄みたいな事になってんじゃねぇか!

 

で、こうなった

『リリカル・マグナム・スプラッター!

魔法のチェーンソーでMassacre Them ALL!』

 

チェーンソーを振りかざしながらレイダーをぶっ殺しまくる不気味なゴスロリ幼女がボストン市内で目撃され、ラジオドラマ”マジカルガール・リリカルアンネ”から飛び出してきたと噂された。

幼い頃に両親を殺され、復讐のために悪魔と契約した魔法少女は悪党の魂を地獄に引き摺りこむために五体をバラバラに切り刻み顔の皮で呪われたマスクを作るという筋書きの血みどろスプラッターマジカルガールストーリーである。

 

『こんなの絶対おかしいよ!』

 


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