博麗の(やる気の無い)神主   作:執筆使い

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生き死にだと? 面倒くせぇ

 

 

 

 

 

 

「(そろそろ飽きてきたな〜、うん)」

 

 

 飛ぶ斬撃をギリギリで躱しつつ、駄神主はそんな呑気な事を考えていた。

 

 

「ふーっ、ふーっ...これだけやってまともに当たらないとは」

 

 

 流石に上半身の捻りだけで振るった斬撃は肉体に堪えるのか、妖夢は肩で息をするどころか深呼吸をし始める。

 

 

「どうする? テメェもずっと()()やるのは面倒くせぇだろ? だったらもうやめにしようぜ。俺はこの先に用があるわけだし」

 

 

 それを見た神主はそんな提案を投げ掛ける。別に相手の事を考えているとか平和主義者だからとかそんなものは一切なく、ただ単に戦うのが面倒くさくなったからこそのセリフ。

 

 初対面で、短い間しか戦闘はしなかったが彼女は目の前の男がそう言う魂胆で提案を持ちかけているんだとわかっていた。

 

 

「不意打ち...滑らせる足場の作成...女性の顔を容赦なく殴る...そんなことをしておいて随分虫が良いですね。あなた」

 

 

 うん、私もそう思う。

 

 

「あん? 知るかそんなもん。小さいことを一々気にしてたら長生きできないぜ、バーカ」

 

 

 最早神主ではない。今回の異変の実行犯である自分が言うのもあれだが、こいつとんでもない極悪人だ。つーか何で博麗の神主やってんのこいつ?

 

 そんな思考と共に無性に腹が立って来た半霊剣士。彼女は更に殺気を強めながら剣を振りかぶる。

 

 

「もう良いです。先程まで真面目にやってた自分がバカみたいでした」

 

 

 故に、彼女がとった方法は

 

 

「もうプッツンしました」

 

 

 滅多斬り(ヤケクソ)である。先程までの正確な狙いでの一太刀ではない。大雑把でいて数の多い数太刀で駄神主を斬り伏せようと斬撃を飛ばして来たのだ。

 

 

「ちょ、おま、なんでじゃぁぁぁぁぁ!? 俺が何したってんだよ! なんでこんなにキレられなきゃいけないんだよ?!」

 

 

「あなたがッ! 死ぬまで! 斬るのをやめないッ!!」

 

 

 最早やけになりすぎて先程まで余裕を見せていた駄神主が恐怖に近い感情を抱いく。真面目な者程、一旦吹っ切れると何しでかすかわからない。それを身を持って体験する光景は...無様そのものであった。

 

 

「ちょちょちょ、一旦落ち着こう。俺も悪かった、本当悪かった!! だから()()やめてくださいまじでキツいんですぅぅぅぅ!?」

 

 

 そう言いながら神主は右手から冷気とも、熱気とも違うものを発生させた。何かが入った氷の球体。それを勢い良く剣士の方へと投げ飛ばした。

 

 だが、当然無数の斬撃を全て避ける事など出来るはずも無くある程度進んだところで斬撃の一つにぶつかる。

 

 

「なんちゃって」

 

 

「なっ!?」

 

 

 それが駄神主の狙いだった。その物体が割れた瞬間、そこを中心に衝撃波が発生する。攻撃に専念していた妖夢が当然防げるわけがなく吹き飛ばされて、後ろの石段にぶつかった。

 

 神主がやった事は至極単純、周囲の気流を無理矢理圧縮して瞬間冷凍で作り出した氷の球に入れて破裂させる。所謂空気ボンベの爆発事故等といったものと同じ原理を小型で作り出したのである。そのためには飛ぶ斬撃が必要であった。

 

 

「がふっ、げほっ、げほっ!?」

 

 

「テメェが周囲の気流を乱してくれたお陰で、俺は楽して空気を集める事が出来た。流石に何の乱れもない所から集めんのは面倒くせぇからな。敢えてこうした」

 

 

 神主は予め展開した熱気の壁で衝撃波を殆ど防いだ為にほぼ無傷。そのまま、一歩、二歩と半霊剣士の方向へと歩き出す。

 

 

「殺すんですか...?」

 

 

 武士である故、これから起こる事を訪ねつつ彼女は覚悟を決める。

 

 

「いんや。ただテメェの刀を没収...つーか使えないように冷凍させてから道案内させるだけだっつーの。もしかしたら罠なり何なり仕掛けられているかも知れないし、殺すの面倒だし」

 

 

 だがしかし、神主はそれを否定して手を差し伸べるのだった。真剣な戦いを臨む妖夢にとって、情けをかけられ生き恥を晒すのは侮辱に近いことだと思っているので、決して少なくない程の憤りを覚えて差し伸べた手を彼女は握ろうとしない。

 

 

「...私は真剣勝負で負けたんです。あんな無様な戦い方までしてでも得られなかった勝利...最早私には未練なんてありません」

 

 

「知るか。テメェの言う真剣勝負やら、未練やらなんざ唯の自分に言い聞かせるだけの言い訳にしか聞こえねぇんだよ」

 

 

 そう言って、無理矢理二つの刀を奪い取った神主。自害でもしようとしていたのを察していた為に、彼はこういった行動に移った。

 

 

「...あなたにはわからないでしょうね。私の悔しさが」

 

 

 最早彼女にとっての恥を晒すことしか出来なかった為、そんなことを口走った。それでも神主は差し伸べる手を引っ込めることをせずに口を開く。

 

 

「ああ。忘れちまったよ、そんなくだらねぇ拘りなんざ」

 

 

「忘れた...? それh「やっと追い付いたぞ...零治ぃ」

 

 

 妖夢が言い終えるより早く、後ろからそんな声が聞こえてきた。その言葉を聞いて駄神主はギョッとして振り返る。

 

 

「...え、えーと...やけに早かったっすね〜」

 

 

 全身という全身から尋常じゃない汗を流し出す駄神主。それもそのはず、振り返ってみればそれだけあれば普通の人など殺せるだろうという程の殺気と共に鬼の形相をしていた少女が3人いたのだ。赤の他人である筈の妖夢でさえ死よりも恐ろしい恐怖を体感している。

 

 

「私達を置いてって、自分だけ先に行く...それだけならまだ良いぜ?」

 

 

「階段を登る途中、()()()凍った石段があってそれに気付かなかった私達が思わず転んでしまい大分下まで落ちてしまわなければ、ですが」

 

 

「...............コロス」

 

 

 最早、勝てるとか戦うとかそんな次元ではない。選択を誤れば殺されるに等しいものである。それ故に駄神主は今まで以上にその思考を働かせる。

 

 

「(さて、先ずは『素数』を数えよう。『素数』は1と自分の数でしか割れない孤独な数字...俺に勇気を与えてくれる....訳ねぇだろうがァァァァ!? 俺は神父じゃなくて神主だボケェ?! 似てるけど全然違ぇよ!!)」

 

 

 ...一応思考を働かせている。

 

 

「(嫌そんなツッコミをいれてる場合じゃねぇ、兎に角...)」

 

 

 駄神主は3人の足元を見た。決して変態的なそれではなく、彼が着目したのは足に多い傷である。

 

 

「(奴らは階段を転げ落ちたって言った...つまりは足がボロボロ! 対して俺は一切の無傷!! つまり俺に有利な点はこれだという事...だったら早い話だ!!)」

 

 

 結論を出した駄神主は足に力を入れ始め

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3人がいる方とは真逆の方角へと走り出した。

 

 

「逃げるんだよォォォーーーーーッ!!」

 

 

「みょん!?」

 

 

 ついでに妖夢を引き連れて...というか手を差し伸べた状態でこの一連の行動をしたので思わず手を繋いでしまったというのが正しいが。

 

 因みに補足として言っておくと、霊夢の殺意が倍以上高まった。

 

 

「ハッハッハー、いくらテメェらでも階段を走って駆け上がる事は出来ねぇだろ! それに床は凍ったままだk」

 

 

『幻世 ザ・ワールド』

 

 

 神主はすっかり忘れていた。

 

 足の速さなんて関係ない(時を止めることが出来る)能力者がいるという事を。

 

 

「時は動き出す」

 

 

 次に動いた時には鬼巫女の目の前に駄神主がいた。

 

 

「わかっていると思うけど、逃げようなんて考えない事ね」

 

 

 駄神主と妖夢が最後に見た光景は逆に清々しい程の黒い笑顔で待ち構えていた霊夢の姿であった。

 

 

「」

 

 

 これから起こることは恐らく地獄以上の体験ではあるのだろう。駄神主はすっかり青ざめてしまった。

 

 

 そして、逃げたいと思っても逃げられないので

 

 

『未完 博麗ドライバー』

 

 

 そのうち2人は考えるのをやめた。

 

 

 

 To be continued...

 

 

 

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