凄くメタい話、原作本来であれば大分先の異変で初登場するであろうキャラが出現します。
わかさぎ姫は困惑していた。霧の湖に住んではや数百年以上...なんか空が赤く染まったり、春が来ないので湖ごと凍ってしまったりと色々な目に遭ってきて慣れた筈の彼女がだ。
「(あわわわわ!? 何であの人血塗れな上に上半身裸何ですか?!)」
その原因は博麗の神主である。先程の戦闘で汚れた神主装束を湖で洗っている神主...ゴシゴシと音を立てる度に血が湖へと滲み出ている。
「(ま、まさか殺人現場!? という事はあの人は血も涙も無い殺人鬼?!)」
故に、彼女は視界に写っている神主をそう判断してしまう。まぁ、彼の場合強ち間違いでもないが。
「ふー、さてと。次は...」
そう言って、洗い終えた上着を熱で乾かして着る神主。辺りをキョロキョロしているのを見て、自分を殺す為に探しているんだと勘違いしたわかさぎ姫は物凄いスピードで潜った。
「(...私は何も見ていない何も見ていない何も見ていない何も見ていない何も見ていない何も見ていない)」
そして現実逃避。さっきの事は白昼夢だと自己完結したのだった。
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辿り着いた先は紅魔館の門前。どうやら予め神主が来る事を予期してたのか、いつも寝ている筈の門番が臨戦体勢で起きている。
此処で下手な事や失礼な事を言えばかなりまずい事になるだろう。
「ちわーす。博麗の神主でーす。今日はあんたんところの...セシリア・オルコットさんに用があって来ました」
だがこの駄神主、やらかした。下手な事? 失礼な事? んなもん関係ねぇと言わんばかりのセリフを宣う駄目人間。基本穏やかな彼女も彼相手だと少なからず苛つきを見せる。
「前回といい...ふざけているのですか?」
「...あ、レミリア・スカーレットだっけ? 名前長いから覚え辛ぇんだよな...まじで」
彼は言うが、そもそも人の名前を忘れるどころか間違えて覚えるのは失礼だし、彼女の名前は幻想郷で覚えやすい名前の部類に入る(と思う)。
「あ、何だあれ?」
「え?」
余所見をした瞬間、瞬時に門番の後ろに回って首筋に手刀を当てる。そして門の横に横たわらせつつ手慣れた動作で顔に落書きをする。その一連の動作はまさしく卑怯な事を厭わないクズ野郎...博麗の駄神主そのものだった。
「肉はシンプルすぎるし、中国でいいか」
哀れ紅美鈴。職務を全うする時に限って彼女はこんな目にあってしまうのだ。見るも無残な姿にされた彼女を尻目に、駄神主は紅魔館へ堂々と入っていく。
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『幻世 ザ・ワールド』
一瞬の間に周囲を覆ったナイフ。
『氷刻 ドライマジック』
ほぼ至近距離で放たれたそれらは全て凍らされていた。
「入るなり不意打ちたぁ...随分と危ねぇことすんな、駄メイド。予め演算しとかなかったら刺さるところだったじゃねぇかよ」
「不意打ちが服を着て歩いている様な男が何を言っているんですか? 駄神主」
開口一番の憎まれ口。この2人は会う度にこうやって殺気を放ちながら会話を続ける。マジで前世に何かあったんじゃないかというぐらい険悪な仲なのだ。
「あ! 霊治ー!!」
故に最近地下室から出る事を許されたフランドールの声が聞こえてくるまで、彼らはお互いの出方や間合いを伺っていたのだった。
「あ、咲夜も一緒だ!! 2人で仲良く遊んでいるの?」
最近館内の図書館で読んだ本の知識を元に結論を出そうとするフラン。しかしその瞬間、2人は即座に否定の言葉を喋る体勢に入る。
「「違う! 誰がこんな駄神主/メイドなんかと!!」」
「ふーん...ま、いっか。それよりも零治! あーそーぼ!!」
そんな否定に少しばかり疑問を浮かべた彼女はしかしながらその事を頭の隅に追いやって、すぐさま博麗の神主に遊びをせがむ。だがこの神主、例え100人のロリコンであれば100人は喜んで引き受けるであろうこの提案を受ける程の人間ではない。つまりは今の彼には遊びをするつもりなど毛頭無いというわけだ。
「残念だったな、今日は気分じゃねぇ」
瞬間、フランは涙目になり神主の首元にメイドがナイフを押し当てる。あと数センチ引けば出血多量で死ぬ距離であるが、神主は汗一つ垂らさず話を続けた。
「まぁ落ち着け。こんな事も在ろうかとさっき人形野郎の所からお土産をパク...貰って来たから」
そう言いながら、神主は胸元の衿からあるものを取り出す。それは拳ぐらいの大きさで、車輪が付いたドクロのラジコンの様な姿をしている。まるで今にも襲いかかろうとするぐらい不気味なそいつの名は...そう!!
「さぁさぁ、本日の商品はこちらのCHAとなっております!! 最近おもちゃがすぐ壊れちゃう、運動不足気味で困っちゃう、そんな事って結構ありますよね?」
なんかどこぞの通販ショッピングのBGMが何処からともなく流れると共に、神主の口調がどこぞのセールスマンみたく変わる。
駄神主の取り出したそれを食い入る様に見つめるフラン。因みに咲夜は無表情である。
「そんな時はこちらの出番です! 一度押したら使用者の熱を探知して半永久的に追いかける自動操縦機能。3ページ半に渡るオラオララッシュにも耐える事の出来る耐久性。この二つを兼ね備えたこれを使って鬼ごっこをしたり、スパーリングをしたり、動く爆弾として投げ遊んだりもできます!! そして次に言うセリフはこうでしょう。でも、お高いんでしょ?」
「でも、お高いんでしょ...ハッ!」
駄神主のネタに敢えてのるフラン。495年もの間地下室にて暮らしていた彼女がなんでそのネタ知ってるんだとか、そういうツッコミはなしだ。
「でも大丈夫! 通常100000円の所をなんと...!!」
¥100000
↓
¥60000
「たったの60000円! たったの60000円でございます!!」
「凄い! これがあれば毎日楽しく遊べるね!!」
生憎この雰囲気でツッコミを入れたり、一緒にボケたり、傍観者として笑いながら見過ごすという行動を十六夜咲夜という人間は出来なかった。出来るはずもなかった。
「さぁさぁ今すぐお電話を! ダイヤルは090-29」
『メイド秘技 殺人ドール』
「Nooooooo!?」
電話番号を言い切る前に大量のナイフで八つ裂きにするメイド。最早通算何度目かわからないナイフ串刺しを味わいながら、神主は紅魔館にて一際大きい悲鳴を上げる羽目となったのだ。
ザマァ駄神主。悪い行いをすれば例え主人公であろうと天罰が下るのは子供でも知っている事実である。それはここ幻想郷でも例外ではなかったのだった。
To be continued...