博麗の(やる気の無い)神主   作:執筆使い

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雑談だと? 面倒くせぇ

 時間は少しばかり戻り、紅魔館と呼ばれる館の玉座の間に1人の人間がやって来た。

 

 

「...成る程、博麗の...巫女の方ね」

 

 

 それを見て、玉座に座っている吸血鬼は驚き狼狽える事など全くせず、寧ろ残酷で冷たい笑みを浮かべていた。

 

 巫女は気怠そうに館の主人であろう吸血鬼に答える。

 

 

「此処から出て行ってくれない? あんたが居るせいで洗濯物が乾かないのよ」

 

 

 まだ引き摺っていたのか、とでも言わんばかりに洗濯物の件を言いながら提案をする巫女。というか、何方かと言うと侵入者は彼女の方なので、この場合寧ろ出て行くのはこちらの方である。

 

 

「此処は私の城よ? 出ていくのは貴方だわ」

 

 

 館の主人もその言葉が少しばかり気に食わなかったのか、殺気を放ちながら目の前の巫女を睨みつけた。

 

 普通の人間であれば震えが止まらず指一本動かせない程のそれ。しかし、博麗霊夢という人間は駄神主と同じようなタイプである。

 

 

「言い方が悪かったみたいね。私が言ってるのは...この世から出て行って欲しいの」

 

 

 殺気? そんなもん知ったこっちゃねぇと言わんばかりに彼女は目の前の吸血鬼を見ながら言い放った。しかも内容が割と酷い。流石は悪い意味で万人平等の博麗の巫女である。

 

 

「私に臆するどころか、そんな言葉を放つなんて...しょうがないわね。今、お腹がいっぱいだけど...」

 

 

 吸血鬼は立ち上がり背中に生えている翼を広げた。更に、魔力を解放したことにより周囲の大気が震え上がる。

 

 

「やっと戦う気になった様ね。ところで、あなたは強いの?」

 

 

 それに合わせて博麗の巫女も霊力を解放する。同様に周囲の大気を震わせるそれは、吸血鬼が放った魔力とぶつかり合う事により巨大なうねりを形成している。

 

 

「さあ、余り外に出てないの。私が日光に弱いから。だけど...今はこんなにも月が紅いから本気で殺すわよ」

 

 

 両者は戦闘体勢に入る。

 

 

「今ならあいつの気持ちがわかる気がするわ。こんなにも月が紅いのに...」

 

 

「「永い/楽しい夜になりそうね」」

 

 

 言うが早いか、2人は天井を突き破り戦いの場を赤い空に移して、戦闘を始めるのだった。

 

 

 ..................................

 

 ....................

 

 ...........

 

 

「ちぃ〜す。ベジータ・へターレットさんは御在宅でしょうか? 居なかったらこの館は俺のものになりまーす」

 

 

 数十分後、玉座の間に遅れて入って来た4人の人物。それは先程図書館にて激闘を繰り広げていた者達であった。因みに重傷人のフランは駄神主が懐から取り出した空飛ぶ陰陽玉に跨っている。

 

 早速色々と失礼な事を宣っている駄神主。もうそういったのに慣れたのか、誰1人としてその事にツッコミを入れようとしない。

 

 

「...誰もいねぇじゃねぇか。どうしてくれんだよもやし、ぶっ殺されてぇのかエノキダケ」

 

 

「おかしいわね...何時もならこの玉座でアホみたいに踏ん反り返っている筈なんだけど。あと私はパチュリー・ノーレッジよ」

 

 

 紫の魔女...パチュリーが割と大概な事を言う。長年の親友故のちょっとした悪口を言いながら、自分の名前の訂正を駄神主に求めようとするが面倒くさがりの外道である彼には恐らく無理な話だろう。

 

 

「...ひょっとしたらあれじゃね? お前らがいうヘタリアとかいう野郎は想像上の産物...つまり幻覚だったんじゃねぇの? 良かったなフラン。これでお前は自由だ。誰もお前に文句言ったりしないんだ」

 

 

「そんなわけないでしょうが...咲夜」

 

 

 パチュリーがそう言うと、まるで最初からいたかの如く銀髪のメイドと思わしき人物が現れた。少しばかり服装がボロボロな事から、恐らく博麗の巫女と戦ったのだろう。

 

 

「はい。パチュリー様...どういった「おい駄メイド、お客様命令だ。菓子折りの一つでも持て成しやがれこの野郎」この神経を逆撫でするウザい男の首を切り落とすのですか?」

 

 

 流石駄神主、初対面でもブレない。彼の100人が見れば100人がイラつくであろう表情で言われた言葉に、会って間もないメイドはすぐさま目の前の駄目人間に軽い殺意を抱いてナイフを構えた。

 

 

「いいえ咲夜。それは後にして頂戴「おいこら紫もやし」それで、レミィは一体どうしたの?」

 

 

「お嬢様でしたら...」

 

 

 メイドは人差し指を伸ばして天井を指差す。そこには巨大な穴が2つ空いていた。

 

 

「...成る程、空中戦か。だったら霊夢の勝ちだぜ」

 

 

 その情景を見て、恐らく上空で戦っているだろう巫女の(自称)ライバルである魔理沙がそう言ってのける。それは、長年の付き合い故の言葉であった。

 

 

「それは聞き捨てなりませんね。お嬢様が人間如きに負けるなど、有ろう筈がございませんから」

 

 

 それを聞いたメイド...十六夜咲夜はすぐさま否定して、自分の主が絶対に勝つと信じて疑わない。何故なら、彼女は自分が幼き頃からずっと仕えてきた恩人であるから。

 

 

「...おいメイド。テメェには悪いが、今回ばっかりは魔理沙の野郎の言ってる事が正しいだろうな」

 

 

 そう、駄神主は言った。それは長年の信頼とか、友情とか、ライバルとしての応援とかではない。

 

 

「ありのまま...話そう。アレは俺が行き着けの団子屋に行ってた時だった...ある事がきっかけで霊夢を怒らせちまってな、俺は出口へ向かおうとしたが出れなかった。此処までならまだ良い。問題は...」

 

 

 彼は神妙な声で話し出す。それはプロローグで甘味処に赴いた時、彼女に博麗ドライバー(本人曰くまだまだ未完成)を喰らった時の事である。

 

 

「何時の間にか、世界が逆転して真っ暗になっちまったんだよ...何言ってるかわからねーと思うが、俺も何されたかわからなかった。(物理的な意味で)頭がどうにかなりそうだった...人間とか、鬼とか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいナニカだ、アイツは」

 

 

 実際、殆ど自業自得ではあるのだがその件は駄神主に少なからず影響を与えた。今となっては割と数あるうちのトラウマの1つに数えられている程だ。

 

 

「へ〜、人間って凄いんだね!」

 

 

 フヨフヨと浮かびながらフランが興味津々に答える。駄神主のトラウマ話も、無邪気な少女にとっては面白くて楽しい話なのである。

 

 

「妹様、違います。この馬鹿の言葉に惑わされないでください。そもそも何故そんな大怪我していて、しかも地下牢から出ているのですか」

 

 

「魔理沙が出して、俺と戦い、レ、ミ、リアに説得という訳だ。文句あっか」

 

 

 咲夜がフランに対して思っていた疑問に、某有名な◯タヤのCMみたいなリズムで答える駄神主。それが余りにもふざけ過ぎているのか、とうとうシリアスな雰囲気が何処かへと向かってしまい

 

 

 

 

 

「「「大有りだよ!?」」」

 

 

 

 

 ツッコミと共に、いつの間にか余りに退屈となってきたので少し雑談を始める5人だった。

 

 先程まで殺しあった者たちの会話とはとても思えない他愛のない会話。

 

 けれども外の世界を何も知らない少女にとっては新鮮で、興味が湧き立つものばかり。

 

 楽しい楽しい雑談は、上空の2人の戦いが終わるまで続いたのだった。

 

 

 

 To be continued...

 

 

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