Muv-Luv ~岩国基地防衛戦群像劇~ 作:グノーレフリスク
1998年7月9日1355時国連軍岩国基地
「第513戦術機甲大隊より報告、臥龍橋跡よりBETA増援多数、上陸阻止不可能!」
「城山の海兵隊強襲歩行機中隊より報告、我残存弾薬30%」
「島根の斯衛軍第3大隊より報告です。我残存機7、これ以上のBETA誘導は困難」
......ああ、またこれだ。また俺は国を失うのか。
国連軍第512戦術機甲大隊「ヴラド・ツェペシュ」所属の国連軍小尉、ヨーゼフ=アントニスクは激震改-ランサーの管制ユニット中で待機しながらそう思っていた。
天候は大荒れだ。この様子では司令部が頼みの綱にしている航空支援は無理だろう。航空支援も戦艦の支援砲撃もなくこんなところを守り抜くなんて土台無理だったのだ。
「...チッ」
気持ちが沈み込み思わず舌打ちしてしまう。
「ランサー1からランサー12、聞こえてるぞ」
おっと、回線を切ってなかったのか
「そりゃあ舌打ちもしたくなりますよ、なんで上は俺たちをまだ前線に出そうとしないんですか」
「はっはっは、そりゃあ我らがヴラド・ツェペシュ大隊が出たらすぐこんな状況ひっくり返しちまうからだよ」
...ゲオルゲ、お前はどう育ったらそんな楽天的になれるんだい
「...ゲオルゲ、もといランサー10、そんなだからあなたは日本娘に逃げられるのよ」
よくいってくれたエレナよ
「いやいや大隊長殿、奴が逃げられてるのはなにも日本娘だけじゃないですよ。イギリスに居たときだって..」
「なっ、おっお前なんでンなことまで知ってんだよ!?」
「おや、図星だったかなあ~?鎌を掛けてみただけだったんだが。これは掘り下げないといけませんね大隊長?」
「そうだねえ~、どうやっていたぶってやろうk...っと司令部より伝達だ、『第512戦術機甲大隊は直ちに513戦術機甲大隊の援護に向かえ』だと、大隊各機機体起こせ、出るぞ!!」
第512戦術機甲大隊か、たしか東独人で固められた部隊だったな
「あんな共産主義の裏切り者、そのまま滅びればいいのに」
「...イングリッド中尉、政治将校としての立場はわかるがもうちょっと言葉を慎め」
「...了解」
あの顔、全然反省してないな。まったく、黙ってりゃかわいいのn
「イングリッド中尉、その美しい御顔が台無しですよー」
ゲオルゲの空気の読めなさはもはや才能だな、うん
「黙りなさい少尉、それとあなたにファーストネームで呼ばれる覚えはありません」
おっ、ちょっと傷ついてる。ナイス中尉だ
22機のランサーが嵐の空を駆ける。上空からだと人類とBETAの勢力の境界がはっきりわかる。こんな地獄のような戦場だが地形のおかげで光線級の射線が通らないのが唯一の救いだ。
「ランサー1より大隊各機、岩国小学校跡に着陸せよ!!狩りの時間だ、連中を一匹残らず串刺しにしてしまえっ!!」
「「「「「了解っ!」」」」」
513戦術機甲大隊の後ろに着陸、すぐさまガブリエラ機が120mmを撃ち砲撃支援を始める。
513大隊は既に20機程度まで目減りしてしまっていた。
「こちらスワロー2、今さら遅いわ古臭い共産主義者どもめ、大隊長は既に糞BETAの腹ン中だぞ!!」
あの人当たりの良さそうなオッサンか。...いずれ皆後を追うさ。
「黙りな資本主義に堕落した糞燕。グチグチ言ってるとお次はアンタが奴等のおやつになっちまうよ。」
...大隊長、アンタも大概自重してませんね。
「..チッ、こっちは推進材が平均して4割、弾薬が2割ってところだ。BETA共はおそらく700匹程度が上陸、こいつらを殲滅しないと防衛ラインは破綻するって寸法だ。」
「そうかい、2割も弾ありゃ十分だ。512と3中隊は近接戦用意。奴等を鏖殺してしまえっ!!」
「第二中隊了解!!」
「512大隊了解、大隊各機聞いてたな!?全機近接戦闘用意!!奴等を地獄に送り返してやれ!!」
31機の激震とランサーが前に出て長刀や短刀を展開しBETAに突撃していく。東独の部隊は長刀使いが多いようだ。俺たちも各々36mmや120mmをぶっ放しながら進む。
「はああああああああっ!」
「オラオラァ!!三中隊の奴等のカタキだあっ!!.」
エレナとゲオルゲが次々と要撃級を屠っていく。
...ゲオルゲめ、3中隊の事を思い出させやがって、あいつらは...
いや、よそう。昨日の事は思い出したくない。
「ランサー12!!精度が甘い、どうした?お得意の砲撃戦だぞ!?」
「...すいません」
「謝るくらいなら精度を上げろ!!」
「っ、了解っ」
忸怩たる思いでBETAを撃ち続ける。
小型種には36mmの掃射、
要撃級は脚を狙い、
突撃級は垂直噴射で後ろをとって120mmで素早く片付ける。
演習なら簡単に出来るはずのことを倍の手間をかけている気がする。
「はあッ、はあッ、クソッ」
「よおし、上出来だ。前期一旦後退しろっ、41cm砲の面制圧の後再度突入、残ったやつを叩く。ランサー2から順次上昇しろ」
「「「「「了解!!」」」」」
自機が上昇したすぐ後だった。聞き慣れた、いや聞き慣れたくもない嫌な高音が管制ユニット内に響き渡った。
「光線警報っ...!?」
「んなバカな!?もう光線級が浸透しているだと!?」
「全機乱数回避!!今ならまだっ....」
直後に俺の視界はいっそ暴力的な光に塗り潰された。
なぜこんな忙しい時期に始めたんや...勉強の合間にポチポチ書いていくんでよろしくお願いします。