血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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30年後の世界のジャーナリストの視点です。


第12話 進展

冷泉麻子に話を聞いた私は、秋山優花里に電話をした。

 

『もしもし、秋山さん。お世話になっております。』

 

『ああ、記者さん。どうしましたか?』

 

『冷泉さんに電話をしたところ、取材は今は難しいとの回答でした。しかし、有力な情報を得ることができました。お二人とも、隊長に任じられた経緯を知らないと伺いました。西住さんが隊長に任じられた経緯を知っている方を紹介していただけないでしょうか。』

 

秋山優花里は少し、ためらいながら話す。

 

『え…ええ、もちろん構わないのですが…ただ、その人は話してくれるかどうか…』

 

『構いません。そういう方は慣れてますから。」

 

秋山優花里は安心したような口ぶりで言う。

 

『そうですか。なら良いのです。では、連絡しておきます。今度は、私もご一緒しますから。』

 

『お気遣いありがとうございます。では、お手数おかけしますがよろしくお願いします。失礼いたします。』

 

私は、また取材が進展する喜びに胸を高鳴らせていた。

 

数日後、秋山優花里から電話がかかってきた。

 

『記者さん!朗報です!なんと取材を受けてくれるみたいです。明日の午後15:00からなら会えるみたいです。彼女は、未だに大洗に住んでいますからそこまで行かなくてはいけませんが、大丈夫でしょうか?』

 

私は、即座に答えた。

 

『はい!もちろん大丈夫です!ご連絡、ありがとうございます!』

 

私は飛び上がりそうだった。その日は胸の高鳴りで夜も眠れなかった。

 

そして翌日、私はまず秋山優花里の自宅アパートへ向かった。

 

『こんにちは、秋山さん。本日はよろしくお願いします。』

 

『いえ、こんなことぐらいならなんて事ありません。また、いつでもいってください。』

 

協力してくれる人がいるのはいいものだ。私はつくづく思った。しばらく車を走らせると大洗町に入った。

その人は、大洗町のマンションに住んでいた。

 

秋山優花里がインターホンを鳴らす。

 

『はい。』

 

女性の声で応答があった。

 

『澤殿〜!昨日電話した秋山優花里です。お久しぶりです。』

 

『あ、秋山先輩!お久しぶりです!少し待っててください。すぐに開けますから。』

 

ドアはすぐに開いた。そして、中からは、肩ぐらいまで髪を伸ばした、黒髪の女性が出てきた。

そして、秋山優花里は彼女を私に紹介した。

 

『彼女は、澤梓ど…さんです。彼女は当時1年生で車長を担当していたため、西住さんが隊長に任じられた経緯を知っているはずです。それに…あっ、なんでもありません…』

 

秋山優花里は何かを言いかけて慌てて口を噤んだ。

 

「澤梓です。今日は遠いところから、ようこそ大洗に来てくれました。」

 

「私、フリージャーナリストの山田舞と申します。本日は、取材を受けていただきありがとうございます。よろしくお願いします。」

 

私は、名刺を取り出しながら自己紹介をした。

そう言うと、彼女は確認するように呟いた

 

「フリージャーナリストの…山田舞さんですか……」

 

「どうかしましたか?」

 

私は、何か粗相をしてしまったのだろうかと心配になり、少し不安げに尋ねると澤梓は慌てて答えた。

 

「いえいえ、なんでもありません。さあ、中に入ってください。」

 

「では、お邪魔いたします。」

 

「お邪魔します。澤殿。」

 

澤梓は可笑しそうに呟く。

 

「秋山先輩、全然変わってないですね。」

 

「ええ、癖になってしまって。」

 

秋山優花里は、恥ずかしそうに苦笑いをした。

中に入ってから一通りの改めてお礼と挨拶。そして、世間話をして本題に入った。

 

「澤梓さん。西住さんが隊長に任じられた日のことを伺っても構いませんか?」

 

「はい。その前に、山田さんに伝えておくことがあります。実は私も、諜報員の1人でした。ですから、そのこともお話ししたいと思います。」

 

秋山優花里は驚愕の表情を浮かべていた。

 

「さ、澤殿。いいのですか?あの苦しみをわざわざ思い返す必要は…」

 

「いいんです。秋山先輩。私は、この事件を伝える義務がありますから。それに、隠していてもいずれ分かることですから…」

 

私は心の中で澤梓は今回の事件で大きな役割を担っている可能性があると考えていた。そしてもしかして、事件の全貌が明らかになるのではないかと内心とても喜んでいた。

そして、澤梓は淡々と話し始めた。

 

「あれは、聖グロリアーナ女学院戦の作戦会議の日でした…」

 

つづく

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