血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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第41話 第42話の生徒会陣営のエピーソードです。

ようやく。やっと、生徒会にも援軍が…!!


第43話 援軍到着

柚子は、杏から指示を受けサンダースに電話をかける

 

『HAY!サンダース大学附属高校です!』

 

『大洗女子学園の小山です。ケイさんはいらっしゃいますか?』

 

『ケイ隊長?ちょっと待ってね。』

 

そういうと電話の向こう側でケイを呼ぶ大声が聞こえた。

 

『HAY!ケイよ!柚子!どうしたの?』

 

『突然の電話、すみません。援軍の件で…』

 

『OH!もうすぐよ!もうすぐそっちに向かえるわ!レーダーでは大洗の学園艦はキャッチできてるの!輸送機の発進準備をしたらすぐに行けるわ!』

 

『ありがとうございます!』

 

『それで、戦局は?』

 

『それが…大変厳しいです…生徒会に味方してくれてる子はもう100名以上命を散らしています…行方不明者も10名、そして…桃ちゃんが…桃ちゃんが…西住さんに…処刑されました…』

 

『処…刑…?どういうこと…?』

 

『桃ちゃんは…西住さんたち反乱軍に捕らえられ、殺されました…そして、お腹を裂かれて…裸で…晒されました…そして…兵士の子に石を…』

 

『もういいわ…これ以上言わなくても。みほが…そんなことを…?あのみほが…?』

 

『すみません…つい…はい…あの西住さんです…信じられないですよね…ケイさんたちが見た西住さんはあんなに優しかったんですから…私も未だに信じられません…なぜ…こんなことに…』

 

『許せない…私は絶対にみほを許さない…わかった…あれを持って行くから…持ちこたえて…もう少し…あとおよそ20時間…』

 

『分かりました…お待ちしています…』

 

柚子は電話を静かにおいた。ケイが言っているあれとはなんだろうかと思いながら。

 

「サンダースのケイ、何だって?」

 

「はい。あと20時間で到着するそうです。」

 

「20時間…キツイな〜!」

 

「秘密兵器があるみたいです。期待しましょう!」

 

「え?!それは期待だな。あと20時間頑張ろう。」

 

「はい!」

 

その日は特に反乱軍は動かないようだ。何の発砲もないし、侵攻する様子もない。久々の平和だった。

そう思っていた時、突然船舶科から連絡が入った。

 

『会長!航空機が複数機こちらに近づいてきます!所属はサンダースと思われます!』

 

『え?そんなはずは…さっきケイから20時間はかかると言ってたのに…』

 

『しかし、あれはどうみてもサンダースです。』

 

『わかった。しばらく様子を見て。機種などわかったらまた連絡よろしく。』

 

『了解です!』

 

「小山!すぐにケイに確認の電話をして!」

 

「はい!」

 

『会長!機種分かりました!P51ムスタングです!P51ムスタングが10機こちらに近づいてきます!』

 

『なぜ戦闘機が…?ケイに何か考えがあるのかな…?まあ、サンダースには航空隊があるから戦闘機を何かに使っても不自然じゃないか。わかった!今回は特に何かアプローチはしない。好きなようにやらせてあげよう。』

 

P51ムスタングはすぐに大洗女子学園の上空に到達した。その時である。一気に低空飛行になり、機銃掃射を開始した。戦闘機がいるところ。そこは中地区の市街地跡、みほたち反乱軍の戦車が駐屯していた場所だった。発砲音が絶え間なく聞こえる。杏は目を剥いた。まさかこういう作戦をとってくるとは思っても見なかったのである。

 

『会長!またです。今度はF6Fヘルキャットです!F6Fヘルキャット12機接近中!』

 

『またか…』

 

F6Fヘルキャットも同じように機銃掃射をしていった。杏は嬉しいような、憤るような複雑な顔をして一部始終を見ていた。それもそのはずである。確かに戦争で、みほは残虐な行為を繰り返した。みほに非があるのは間違いない。しかし、これでは自分たちも戦車に航空戦力で攻撃など卑怯極まりないと叩かれる可能性があった。そして、これでもし人が死んでいたら、相手の憎悪は相当なものだろう。

 

「まずいことになった…」

 

杏は肩を落として呟く。

 

「会長!サンダースのケイさんと再び繋がりました!代わりますか?」

 

「うん。代わって。」

 

『もしもし、角谷だ。ケイ。なぜ航空部隊なんて出撃させたの?』

 

『What?何のこと?航空部隊なんて出撃を指示した覚えはないわ?』

 

『サンダースの校章を付けたP51ムスタングとF6Fヘルキャットが大洗女子学園で機銃掃射したんだけど…』

 

『え?そんなことが…とにかく私は指示は出してないわ…あ!もしかして…ちょっと待ってて!』

 

電話の向こう側でケイの怒鳴る声が聞こえてくる。どうやら犯人がわかったようだ。

 

『もしもし、アンジー。ごめんね…うちのアリサがまた勝手なことをしたみたい…この間の通信傍受の件で懲りたと思ってたのに…』

 

『いや…まあ、援軍は嬉しいんだけどさ…卑怯だって言われかねないかなって思って…』

 

『そうよね…戦車を飛行機で撃つなんて…とにかくキツく言っといたし、アリサをしばらく謹慎させておくから!準備もなるべく急ぐから待っててね!』

 

そういうと電話は切れた。

 

「謹慎までさせなくても…援軍は嬉しいんだけど。印象が悪いと…」

 

杏は心配そうに呟く。その日は嘘みたいに静かだった。発砲音一つ聞こえない。まるで戦争が終わったかのようだった。先ほどの機銃掃射に対する報復も覚悟していたがそれもなかった。その日は1日何事もなく過ぎていった。

 

「静かだね。互いに戦争してるなんて嘘みたいに静か。」

 

「はい。そうですね。こういう平和が続けばいいのに…」

 

「うん…早く平和が戻るといいな。」

 

杏は思わず泣いてしまった。平和のありがたさが身にしみてわかったのだ。銃声ではなく、今はいつも何気無く聞いていた小鳥のさえずりが聞こえることに幸せを感じるのだ。今まで気にしたこともない当たり前だったこと。失くして初めて気がついた。いつも通り、いつもの当たり前の生活がいかに幸せだったか。杏はそれをかみしめていた。その日の夜は静かに更けて言った。

次の日の朝、杏は電話の呼び出し音に叩き起こされた。

 

『大洗女子学園生徒会長。角谷だ。』

 

『アンジー!お待たせ!今、出発したわよ!到着時刻は10時ごろ、ナオミが指揮官としていくわ!」

 

「ケイはこないの?」

 

「ごめんね、私はサンダースに何かあった時のためにここを離れられないの。」

 

「わかった。ありがとう。」

 

「good luck!アンジー!必ず勝ってね!」

 

「ああ!」

 

しばらくすると巨大な輸送機スーパーギャラクシーが現れた。中からはファイアフライ1両と4分割された何かそしてナオミを先頭に兵士が何百人と現れた。上空か落下傘で飛び降りる。圧巻で杏たちは唖然としていた。

 

「来てあげたぞ。空から見たが、酷い有り様だな。あそこの地区なんて焼け野原じゃないか。」

 

「ありがとうね…不甲斐ない…私の力不足で…」

 

「でも、私たちが来たからにはもう安心だ。私たちにはこの秘密兵器があるから。」

 

ナオミは4分割された何かを指差す。

 

「これはカール自走臼砲を4分割に分解したものだ。これから組み上げる。今、戦車道連盟に使用許可申請中だが今回は試合ではなく戦争だから持って来た。威力も確かめたいことだしな。そしてファイアフライもある。兵士は3000人集めた。そして、銃も全く足りないということだったから、自動小銃を追加で3000丁持ってきた。使ってくれ。」

 

「ありがとう。本当にありがとう。これで勝算も見えてきた!西住ちゃんを食い止めることができるかもしれない!」

 

「ああ。必ず勝たせる。これ以上、みほの自由にはさせない。少なくとも黒森峰が援軍に来れる体制が整うまではこれで持ちこたえられるだろう。よし、みんな!まずはカールを組み上げるぞ!」

 

「はい!」

 

みんな一斉に返事をする。杏はそのサンダースの兵士たちを見て頼もしく感じていた。我が校のために秘密兵器まで持ってきてくれたサンダースには感謝の念に堪えない。改めて気が引き締まる思いだった。

 

「ああそうだ。隊長から聞いていると思うが、今回サンダースの総指揮官は私だ。何か問題があったら全て私が責任を負う。なんでも言ってくれ。」

 

「うん。わかった。頼んだよ!期待してる!」

 

「任せてくれ。」

 

ナオミはクールな笑顔を見せる。杏はようやく到着した強力な援軍を頼もしげに見つめ静かに笑っていた。

 

つづく




次回の更新は、日曜日です。土曜日はおそらくバタバタしてて書いてる暇ないので…
日曜日までお待ちください。
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