血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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みほ陣営のお話です。


第63話 最高の供物

デスゲームは第2ステージに差しかかろうとしていた。

 

「それでは第2ステージスタートです!」

 

みほの宣言で第2ステージは始まった。皆、慎重に自分の命と同じ仮想通貨「アンコウ」を賭ける。

 

「皆さん、賭け終わりましたね。えっと、賢治さんが300万アンコウ、雅子さんが200万アンコウ真央さん!またすごい!全額の3000万アンコウ!空さんと美幸さんは同額の100万アンコウ。さて、金額は出揃いました。それじゃあ次は雅子さん。ルーレットを回してください。」

 

「はい…それじゃあ、いくわよ…」

 

みほに指名された雅子はルーレットを回す。緊張で手が震えてルーレットは少ししか回らなかった。

 

「あははは。緊張しすぎですよ。さて、出ました!黒の6!それでは、告白宣言タイムです。皆さん、どこに賭けましたか?」

 

「色でかけなくてよかったよ…僕は偶数にかけた。」

 

「私は黒に賭けたわ。当たってよかった!」

 

「私はもちろん黒よ!」

 

「私は…黒に。」

 

「私も同じ。」

 

「それじゃあ、追及する人はいますか?」

 

「はい!」

 

手を挙げたのは美幸だった。誰も予想がつかない展開だ。ゲームマスターのみほと真央以外は苦い生唾をゴクリと飲んだ。みほはニヤリと黒い笑顔を浮かべる。

 

「空お姉ちゃん。嘘ついてるよね?」

 

「え!?私!?」

 

「わかりました。美幸さんから空さんへの追求を認めます!さあ、おもしろくなってきましたね!空さん!貴女が賭けた本当の目を告白してください!」

 

「私が…賭けた本当の目は…」

 

長い沈黙が続いた。指摘された姉の空は汗をダラダラ流し躊躇っている。誰もが空の負けだと思った。しかし、現実は意外な結果をもたらした。

 

「黒です。嘘はついてません。」

 

「え…?」

 

「美幸…ごめんね…でも…私を疑うなんて…」

 

「ごめんね。私も生き残らなくちゃいけないから。でも、まさか負けるなんて…」

 

美幸はぎりぎりと歯ぎしりをした。そして、拳を自身の脚に打ち付ける。美幸の顔は明らかに姉の空を憎んでいた。空も苦虫を噛み潰したような顔をした。空は美幸に対して疑心暗鬼になっていた。まさにみほの狙い通り、家族同士が憎み合う構図が誕生しつつあった。みほは2人の様子を見てニヤリと笑う。

 

「美幸さん!敗北!美幸さんは空さんに200万アンコウの支払い!空さんはボーナスとしてこちらから200万アンコウ獲得!更に黒に賭けたことにより200万アンコウ獲得!合計600万アンコウ獲得!現在の金額1800万アンコウ!そして賢治さんは600万アンコウ獲得!合計2100万アンコウ!雅子さんは400万アンコウを獲得!合計1600万アンコウ!真央さんは6000万アンコウ獲得!合計9000万アンコウ!おもしろい展開になってきましたね。それにしても真央さんは強い!このまま、真央さんの独走を許すのか、それとも…ふふ…さあ、他の皆さんも頑張ってください!それでは第3ステージのスタートです!」

 

ゲームは第3ステージに移行した。この時、ゲームは大きく動こうとしていた。誰もが予想しない展開になろうとしていたのだ。皆、次々と賭けていく。

 

「さて、全員出揃いましたね。真央さん。また、全額ですか?さすがですね。どこからそんなに自信が生まれてくるんですか?他の皆さんは無難に勝負を続けていますね。それじゃあ、今回は真央さんがルーレットを回してください。」

 

みほに促されて長女の真央がルーレットを回そうと席を立つ。真央はニヤリと笑いながら皆に宣言した。

 

「このゲーム今回で終わらせてあげるわ。もちろん私の勝ちでね。」

 

真央はそういうとルーレットを回した。みほは特に何も反応を示さなかったがそれ以外は真央の言う意味がわからず戸惑っていた。真央は不敵な笑みを浮かべている。そして、ルーレットの結果が出た。ルーレットは赤の1を示していた。皆次々と赤、または奇数だと宣言する。そして、真央の番になる。真央は高らかに宣言した。

 

「私が賭けたのは赤の1よ!」

 

「お姉ちゃん…嘘でしょ…?」

 

次女の空が思わず声をあげた。真央は更に嬉しそうに笑いその言葉を待っていたと言わんばかりに空の行動をみほに問うた。

 

「みほさん。妹のこの行動は追及っていうことでいいのよね?」

 

「ふえ?うーん。そうですね。まあ、いいでしょう。はい。認めます。」

 

「お姉ちゃん…まさか…」

 

「私の賭けた目は…」

 

「お姉ちゃん…待って…私は独り言のつもりで…」

 

「今さら遅いよ。覚悟はいいわね?私が賭けた目は嘘偽りなく赤の1よ!」

 

真央はとんでもない強運の持ち主だった。そして、嘘の天才でもあった。

 

「うわあ!勝負がついちゃった!空さんは真央さんへの32億4000万アンコウの支払い義務、でも空さんと金額は1800万アンコウということは今、金額は0だね…ふふ…」

 

「嫌だ…死にたくない…みほさん…お願い…助けて…私を殺さないで…」

 

「空。あんたはゲームに負けたんだからもう諦めなよ。悪いけど、私たちのために死んでよ。」

 

空は必死に嘆願するが真央が死ぬようにと追い討ちをかける。空はとうとう泣き出してしまった。みほは2人の様子を見てゾクゾクとした性的興奮にも似た感覚に陥っていた。息を切らしながら赤い顔をして興奮しながら2人の様子を愉悦感に浸りながら眺めていた。みほはこのままゲームを終わらせるのもいいと考えていたがもっとこの憎み合いと殺しあいを楽しみたいと思っていた。みほは優しく微笑み空の肩を抱きながらみほは囁く。

 

「資金、追加できるけどどうする?」

 

「本当ですか!?」

 

「えへへ。本当だよ。追加する?」

 

「そ…そんな!それじゃあいつまで経ってもこのゲーム終わらないじゃない!」

 

真央が必死に抗議する。しかしみほは楽しそうに笑いながらどこ吹く風といった様子だ。

 

「えへへ。このまま終わらせるのもつまらないからね。私はみんなが殺しあう姿を眺めるのが大好きなの。悪いけど、もっと楽しませてもらうね。」

 

「あの…みほさん!お願いします!追加してください!」

 

空は生まれて初めて土下座した。屈辱的だったが生きるためなら仕方がない。みほは満足そうに微笑むと一つ質問をした。

 

「わかった。それじゃあ、一つ質問するね?空さんの利き手はどっちかな?」

 

「え?右手ですけど…それが何か?」

 

「そっか。右手かわかった。それじゃあその椅子に座ってくれるかな?」

 

みほは空を椅子に座らせると腕と足を鎖で縛った。そして、みほはペンチとナタ、ノコギリを手にすると笑顔で空に迫った。

 

「あ…あの…みほさん何を…?」

 

 

「うふふふ…資金の追加は一人一回そして、追加資金は5000万アンコウ。今度こそ大切に使ってね。だけど、タダで資金を与えるというわけにはいかないの。そんな都合のいいことこの世の中には存在しない。資金をあげるために代わりに私を楽しませてね。今から、空さんの利き手の指を全部私が捥いであげる。つまり、指1本につき1000万アンコウ。痛みと苦しみそして恐怖の供物で私を楽しませてくれたら資金をしっかり追加してあげる。それじゃあいくよ!」

 

「え…嘘…指を全部…?」

 

「あははは。本当だよ。それじゃあ、どの指から捥ごうかな。」

 

みほは品定めをするかのように空の細くて白いきめ細かな綺麗な指を手に取りながら呟く。

 

「嫌だ…お願い…やめて…お願い…」

 

みほはますます嬉しそうな表情になり意地悪く笑うとペンチを構える。

 

「あはは。可愛い指だね。それじゃあ人差し指からいこうかな。それじゃあいくよ。」

 

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてええ!うぎいいいいいいいやあああ!」

 

みほは悪辣だった。わざと苦痛が長く続くように人差し指の切断を長くしたのだ。つまり、切断し終わる手前で止めたのだ。みほは身をよじりながら顔を赤らめる。まるで自慰をしているような感覚が身体中に走る。

 

「うーん。可愛い叫び声。とってもいい。極上だよ。最高の供物だよ。楽しいね。あはは。ごめんね。あまりにも可愛い叫び声だったからついつい途中で止めちゃった。はい。1本目!次は一気にいくからね。」

 

そういうとみほはナタを取り出し中指を一気に切断した。

 

「うぎゃあ!」

 

「2本目!」

 

皆は空が指を全て切断される様子を震えながら見ていた。父親と母親は耳を塞ぎ目を瞑る。そして妹は胃の内容物を全て吐き出した。そんな中、真央だけはその様子を嘲笑いながら眺めていた。みほは真央と目があった。すると真央はさらに笑顔で嘲笑う。みほは真央に微笑み返す。この時みほは確信した。真央は自分と同じような心であると。冷たい心。非情で残虐な心の持ち主であると。みほはさらに指を切断する。

 

「はい。3本目!」

 

「お願い…もうやめて…許して…もう指を切らないで…もう何も求めないから…お願い…」

 

「えへへ。いいの?それだと死ぬだけだよ?」

 

みほは空に迫り、頰にキスをして痛みで流れる涙を舐めた。

 

「空ちゃんの苦痛の涙。美味しい。ねえ、空ちゃん。もう少しだから頑張ろう?よし、次は面倒くさいから2本一緒にいこうか。」

 

「いだいいいいい!!」

 

「えへへ。ああ!楽しかった!楽しませてくれてありがとうね。さあ、さっさと席についてゲームを再開するよ!手当は自分でやってね。」

 

みほは今さっき切断したばかりの空の小指の切断面を艶めかしく舐めながら痛みで倒れ込む空に冷たく言い放った。

 

「うう…痛い…痛いよ…」

 

美幸は目の前の姉の様子を見てハッとした。そして、目の前の悪魔に憑かれた美しい少女の思うままに自分が操られつつあることに気がついた。そう思った途端、震えが止まらなくなっていた。美幸はゴクリと生唾を飲み込んで口を開いた。

 

「みほさん…もうやめてください…みほさんはもう罪を重ねるべきじゃない…貴女はもっと優しかったはずです。私は昔から人を見る目があると言われたので貴女の特性はわかります。はっきりと確信を持ていえます。貴女はこんな人じゃなかったはずと…貴女にも家族がいるのでしょう?こんなことはやめるべきです…貴女は悪魔。いや、悪神に憑かれているだけです。本当の貴女に戻ってください。」

 

美幸は勇気を振り絞ってみほに想いを伝えた。みほは少したじろいだ。ここまで的確に本当の自分を言い当てた人物は今までいなかったからだ。そしてみほは頷きながらクスクスと笑う。

 

「あはは。そうです。私は、確かに他人に優しくしてきました。確かに私はもともとこんなに残虐な人間ではなかったと自覚しています。優しさ。これは素敵なものだと思います。でもね、私は裏切られたんです。優しくしてたら私を裏切って家族にまで裏切られて。私の信じたやり方は全て間違いだと否定されたんです。だから優しさも何もかも捨てました。そこから私は非情で冷酷な悪魔に生まれ変わったんです。そう。今の私が今、現在の本当の私です。そして、そうですね。私にも家族と呼ばれる人はいました。今は家族でもなんでもない。ただの敵であり蛆虫ですけどね。私はやめません。絶対に。全てを支配するまで。私の望みは2つです。まずは裏切り者たちへの復讐。そして2つ目が全てを支配して私の意のままに動かす、私の帝国を作り上げること。それが私の望みです。えへへ。さあ、せっかく壊しかけたのにまた家族同士の絆が復活しちゃいましたか。せっかく、美幸さんを私の思うままに家族を憎み殺しあってくれると思っていたのに残念です。でもまたすぐにズタズタに切り裂いてあげますよ。うふふ…私と同じような人間。第2の私がこの家族にもいるみたいですし。」

 

みほは真央の方を見つめて微笑んでいた。

 

つづく




オリジナルキャラクターの紹介

川谷賢治
年齢 48歳
川谷家の家長。少し気弱で慎重な面がある。優しい父親
川谷雅子
年齢 48歳
賢治の夫。賢治と似ており気弱である。優しい母親。
川谷真央
年齢 18歳
川谷家の長女。生き残るためならどんな手段でも使う非情な性格?指を切断された次女の空の様子を見て嘲笑うなど少しみほと似ている一面を持つ?強運の持ち主でみほが開催したゲームを有利に進める。
川谷空
年齢 16歳
川谷家の次女みほが開催したゲームにおいて真央にはめられて窮地に陥り、資金が0になってしまうが利き手の指を全て捥がれ、その苦痛をみほに供物として捧げることと引き換えに追加資金を得る。
川谷美幸
年齢 15歳
川谷家の三女。みほが開催したゲームでみほに操られそうになるが指をもがれ苦痛を味わう空の様子を見て自分を取り戻す。そして、みほの本来の性格を見破り、これ以上の罪を重ねないように諭す。
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