私は絶句していた。取材対象には私的な感情を持ちこまないことをモットーにしていた私であったが、耐えられなかった。私の心の中には怒りが渦巻く。
「許せない…私、許せないです…今まで、私のモットーは取材対象には私的感情を持ち込まず、公平な立場で取材することでした。しかし、もう我慢の限界です!あ…すみませんつい…大きな声を出してしまいました…みなさんの前で申し訳ありません…」
私は気がついた時には思わず手を机に打ち付けていた。隣にいた秋山優花里が突然の私の行動に驚いて目を丸くしている。私は我に返り、4人に謝罪した。すると4人は優しく微笑む。
「山田さん。優しいですね。心の美しい人です。良いんですよ。怒りたいときは怒っても。私たちのことは気にしないでください。貴女は私とは違います。私は、隊長のそばで散々人を傷つけ、貶め、この手で殺害してきました。私も心が綺麗なままでいたかったです。」
西住みほに散々使われ、ボロボロになった澤梓は自分の手を見つめながら寂しそうに笑う。
「澤さん…」
自然に涙こぼれてきた。いくら止めようとしても全く止まらない。この涙はきっと澤梓の悲惨な体験だけではなく、その友人など西住みほによる犠牲者全てに捧げるものだ。私はしばらく泣き続けた。自分たちも辛いはずなのに、秋山優花里たちは私を励ましてくれた。彼女たちは本当は心の優しい人たちなのだ。彼女たちは決して武器などとりたくなかったはずだ。虐殺や実験、処刑はなおのこと拒否したいものだっただろう。これらの行為を好き好んでする者は西住みほのような狂人しかいないだろう。多感な少女時代にそんな悲惨を体験した彼女たちの心理に大きな影響を及ぼしたのはまちがいないのである。
「山田さん。私たち、いえ西住殿のために犠牲になった全ての人たちのために泣いてくれてありがとうございます。きっと彼女たちもせめてもの慰めになるかと思いますよ。」
「そうそう。きっと河嶋や出撃して戦死した子たちも喜んでくれていると思うよ。山田さん。ありがとうね。」
彼女たちのどこか寂しげな微笑みは私の胸を強く締め付ける。
「もう。こんな時間になってしまいましたね。ここを借りている時間が切れそうです。今日のところは解散しましょうか。」
小山柚子が腕時計をちらりと見ながらそういった。私も腕時計を見てみるともう17時を回っていた。
「ああ!もうこんな時間に!皆さん長い間すみませんでした。」
「いえいえ、懐かしいメンバーとも会えたことですし良かったです。あ、そうだ。来週末皆さん予定は空いてますか?」
秋山優花里が皆に予定を尋ねたので私は鞄から手帳を取り出してそれをめくりながら予定を確認する。
「ええ、私は空いていますよ。」
「私も空いています。」
「空いてるよー」
「空いてます。」
全員空いているようだ。秋山優花里は満足げに頷く。
「わかりました。皆さん。来週は少し遠出しましょう。皆さんに見てもらいたいところがあります。澤殿は多分どこに行くか場所を聞けばわかると思います。ただし、覚悟はしておいてくださいね。かなり衝撃的ですから。」
「ちなみに、どこに行くんですか?」
「青木ヶ原の樹海です。」
青木ヶ原の樹海と聞いて私は不気味な印象を持った。自殺の名所として有名な樹海に一体何があるというのだろうか。するとやおら澤梓が焦り始めた。
「あ、あそこに連れて行くんですか!?私は、やめておいたほうがいいと思います。あそこは…危険すぎる…」
やはり何かがあるようだ。知られては困る何かが。私は澤梓に探りを入れてみることにした。
「澤さん。そんなに、まずいところなんですか?」
「まずいですよ…あの場所は…あの場所の空気は…呪われています…」
すると秋山優花里が真剣な口調になった。秋山優花里の意思は固いようだ。秋山優花里は毅然とした態度で澤梓を説得する。
「今だからこそ、そこの場所は伝えるべきです。私たちは洗いざらい罪を告白しなくてはいけない。なら、全部思い残すことなく吐いてしまいましょうよ。この4人が一堂に会する機会なんて滅多にないことですし…」
「うぅ…わかりました…そこまでいうなら…」
「澤殿、ご理解いただきありがとうございます。」
澤梓はしぶしぶ同意した。一体樹海に何があるというのだろうか。相当な覚悟がいるもの。全く見当がつかない。私は思い切って、秋山優花里に尋ねる。
「あの…樹海に一体何があるんですか?もし、よろしかったら教えていただけますか?」
「そうですね。覚悟を決めるためにも事前にお伝えしておきましょう。西住殿が自らに逆らう人たちを次々と処刑していったということは先ほど述べた通りです。そこからがまた狂気でした。西住殿は、処刑した犠牲者たちの骨を集めたのです。遺骨をコレクションしたのです。そして、その遺骨を弄ぶという奇行を始めました。西住殿の執務室の隣に私たちの間では骨の部屋と呼称していましたが集めた遺骨を保管する部屋がありました。しかし、西住殿が卒業し、学園艦を退艦するにあたってその遺骨をどうしようかということになり、西住殿の命令で富士の樹海の溶岩洞窟に遺骨を隠すことになったのです。それが今度行く富士の樹海にあるものです。ちなみに、骨の部屋に案内された者は西住殿の政権においてかなり重要なポストを占めていた者だということを示しています。だから骨の部屋の存在を知る者はそんなにいないと思います。私の記憶では、澤殿と冷泉殿の他に数人が確か骨の部屋に入ったことがあったような気がします。」
遺骨を集めた通称「骨の部屋」私は、学生時代に旅したカンボジアにあるトゥールスレン刑務所の光景を思い出していた。S21と呼ばれた歴史上でも有名な負の遺産トゥールスレン刑務所。クメール・ルージュ政権下のカンボジアにおいて政治犯や知識人らが収容され、過酷な拷問と悲惨な虐殺が行われていた。そこに収容されたら生きては戻らぬと言われていた。それにはこんな秘密があった。収容された囚人は有罪と決まっている。だから、拷問し嘘の供述をさせて処刑する。もし、生き残ったり無実が証明されたりしてS21の拷問と虐殺が外にばれないように、何が何でも有罪にして処刑しようとし、さらに拷問が激化するという悪循環によって犠牲者は膨れ上がっていったのだ。現在、S21は国立の博物館になっているが博物館の展示の最後におびただしい数の犠牲者たちの遺骨が展示されている。それは、筆舌に尽くしがたいものだった。それと似たような光景がこの現代の日本にあるとは思ってもみなかった。
「骨の部屋…ですか…思い出します…私は学生時代、カンボジアを旅したことがあるんです…そこで、S21トゥールスレン刑務所を訪れたことがあるんですが…あそこはまさに狂気の沙汰…それと同じような光景が現代日本にあったなんて…」
「S21に行ったことがあるんですか。でも、S21の犠牲者たちの方が不謹慎ですがまだマシかもしれません。S21ではポル・ポト政権の悪事が白日の下に晒された。でも、西住殿の悪事は未だに知られることなく…犠牲者たちの遺骨は暗い洞窟の中に入られているのですから…」
確かに秋山優花里の言う通りかもしれない。ポル・ポトの犠牲者たちはその事実が世間に公開されている。それがせめてもの供養になるだろう。しかし、西住みほに処刑された犠牲者は未だに暗い洞窟の中で闇に葬られているのである。誰にも知られることもなくひっそりとそこにいるのだ。それらの遺骨は一体誰の遺骨でどのくらいの数の遺骨が納められているのであろうか。私は恐る恐る秋山優花里に尋ねる。
「数千人規模の遺骨が納められています。色々な人の遺骨です。それこそ、最初にお話ししたサンダースの5人の遺骨もありますし、オレンジペコ殿たちと…河嶋殿の遺骨と…私の…父と…母も…」
秋山優花里は泣いた。私は何を言えばいいかわからなかった。秋山優花里の両親の遺骨まで納められているなんて思わなかった。澤梓は確かに言っていた。秋山優花里の両親を秋山優花里の手で処刑させるという計画を提案したと。秋山優花里の両親の遺骨があるということは秋山優花里は自身の手で両親を処刑したということを物語っている。元生徒会組は、河嶋桃の遺骨もあると聞いて目を剥き思わず呻く。
「河嶋…河嶋の骨もあるのか…」
「桃ちゃん…」
しかし、ここで1つ疑問が生まれた。なぜ遺骨の身元がわかったのだろうか。記者という職業をしているためか疑問があるとすぐに聞きたくなってしまう。秋山優花里には申し訳ないが、いつ両親の遺骨が納められているかわかったのか尋ねることにした。
「こんなこと聞いて申し訳ないのですが…なぜ、秋山さんは両親の遺骨だとわかったんですか?骨だけでは他人のものと判別できないはずですよね?」
「簡単なことです。遺骨には通し番号がつけられています。大抵は収容時につけられる番号がそのままつけられます。それに遺骨にはラベルが貼ってあって通し番号と名前が記載されていたので誰の遺骨なのかは見ればすぐにわかる状態でした。その中に両親の名前も…」
「なるほど。そういうことだったんですね。両親の遺骨だとわかった時は辛かったでしょう…骨の部屋には他に何かありましたか?」
「辛かったですよ…西住殿は私に両親の骸骨を笑いながら投げ渡してきました。私はそれを落とさないように…壊れないように…必死に受け止めました。私の必死な姿を西住殿は…おもしろそうに笑いながら…眺めていました…必死の私を両親の骸骨はこちらを恨めしそうに見つめているんです…抱きしめて必死に両親に謝りました。許されるはずもないのに…あの時の西住殿の目は脳裏に焼き付いて離れません。まるでゴミを見るかのような目をしていました…そして…西住殿は私から…両親の遺骨を…取り上げて…弄んで…うぅ…すみません…皆さん…辛いことたくさんあったはずなのに…話を元に戻しましょう…ごめんなさい…」
秋山優花里が語る記憶は強烈だった。西住みほに両親の処刑を命じられた挙句、両親の遺骨を取り上げられ弄ばれた。しかもその様子をおもしろそうに眺めていたという。西住みほは人間なのだろうか。私と同じ人間なのか。どうしてそんなことができるのか理解の範疇を大きく超えていた。私の拳は怒りで震える。秋山優花里は必死に泣き止もうとする。しかし、涙を流してなかなか話せそうにない。そんな秋山優花里を角谷杏は励ます。
「秋山ちゃん。良いんだよ。私たちのことは気にしないで。泣きたい時は泣いてよ。お母さんとお父さんを殺すように強制されて、それで遺骨まで弄ばれて何にも思わないなんていうのは心がない人だよ。」
他の皆も秋山優花里の身体をさすったりして励ます。秋山優花里は声を上げて思いっきり泣いた。
「うぅ…皆さん…ありがとうございます…骨の部屋には犠牲者に関するあらゆる大量の記録、例えば拷問の記録なども同時に納められました。それに骨の部屋の壁には収容するときに撮影された写真と処刑後の写真が壁一面に貼られていました。」
秋山優花里は泣きはらした目で遠くを見つめながら骨の部屋で見た光景を話す。数千単位の骸骨に恨めしそうに見つめられるというのはどんな感覚になるのだろうか。しかも、自分たちと全く関わりないのなら不謹慎だがまだマシかもしれない。しかし、骨の部屋に納められているのはただの骸骨ではなく、自分たちがその手で殺した骸骨たちである。秋山優花里に至っては両親をその手で処刑したのだ。秋山優花里の行為は許されるものではない。しかし、秋山優花里はそのせめてもの償いに自分たちが過去に犯した罪を正面から見つめようとしているのだ。私は、秋山優花里の勇気に尊敬の眼差しを向ける。私は秋山優花里の勇気をこの事実を取材し伝えることでしっかり答えなくてはいけない。私たちは、またもや話し込んでしまい結局ホテルから出たのは19:00だった。出てくるのが遅かったからなのかホテルの人に心配されてしまった。澤梓と生徒会組の大洗町に住んでいる3名と別れた。
「お世話になりました。お休みなさい。」
「じゃあ、また来週お会いしましょう。」
「はい。また来週ですね。」
「秋山ちゃん。記者さん。じゃあねー!」
「秋山さん。山田さん。またね。」
それぞれがそれぞれの挨拶をして再び私たちは車で東京に戻った。秋山優花里は相当疲れたのだろう。車内で眠ってしまった。しばらくして東京の秋山優花里のアパートの前に着いた。秋山優花里を起こす。
「秋山さん。着きましたよ。」
「う…うーん…あ…すみません…眠ってしまいました…次回は、私の車で行きますから。」
「また、よろしくお願いします。」
秋山優花里を下ろして、私も自分の家に帰る。風呂に入り、取材ノートを見る。いつもは、取材した後、風呂上がりにビールを飲むのが楽しみなのだが今日はとてもじゃないがそんな気分にはなれない。改めて見れば見るほど怒りと恐怖が込み上げてくる。私の姉も西住みほのそば近くにいたのだ。よくも殺されずに帰ってこれたものだ。それは不幸中の幸いと言えるだろう。そう思っていると私は睡魔に襲われ意識を失っていた。次の日から私は、とりあえず今のところの取材の成果をパソコンでまとめた。そんなことをしているとあっという間に一週間が経った。私たちは再び再開した。今度は大洗組の澤梓と元生徒会は負担をかけさせるわけにはいかないと向こうからわざわざ東京まで来てくれた。私たちが恐縮していると大洗組は気にすることはないと笑う。私たちは、車に乗り込みしばらく車での旅だ。秋山優花里の運転で山梨県の富士の樹海に向かう。その間はなるべく明るく過ごそうということで他愛もないことを話した。
「そういえば、うちの大学の人文学部に最近新しい教員が赴任して来たんです。その教員と冷泉殿がやけに仲が良くて。確か、ヨーロッパ近代史の研究者と日本中世政治史の若手のホープって言われている人なんですけど。誰でしょう?確か、日本中世史の方が杉山清美って人でヨーロッパ史が松本里子っていう人なんですけど。」
澤梓たちは耳を疑っていた。私も一瞬耳を疑った。その名前はまさしく大洗女子学園のカバさんチームのメンバーの名前だった。角谷杏が呆れたような口調で秋山優花里の疑問に答える。
「秋山ちゃん…チームメイトの名前を忘れるなんて…」
「え…?」
「秋山先輩…多分その2人はカバさんチームの2人ですよ。多分、左衛門佐先輩とエルヴィン先輩だと思います。冷泉先輩が親しいならなおのこと。ちょっと調べてみますね。」
澤梓はスマートフォンで名前を調べる。するとやはりそうだ。当然のことながら高校時代からは老けてはいるが相変わらずの格好で講演をする2人の画像が映し出されていた。
「も、もちろん。知ってましたよ。はい。」
秋山優花里はしどろもどろになりながら明らかな嘘をつく。角谷杏は腹を抱えて大笑いをしている。
「あっはははは!秋山ちゃん。誤魔化さなくてもいいよ。普段、エルヴィンとか愛称で呼んでたら本名わからなくなることもあるよね。あっはははは!」
そんな話をしていると樹海の近くに着いた。深く鬱蒼とした森は不気味さを醸し出している。近くの駐車場に車を止めて、外に出た。私はゴクリと唾を飲み込む。秋山優花里は皆に、ライトがついたヘルメットを配る。
「それじゃあ、行きますよ。」
とうとう森に足を踏み入れるのだ。未知の世界に心臓がドキドキと動機を起こす。しばらくは通常通りの遊歩道を歩くが奥に行ったところで秋山優花里は遊歩道から逸れる。
「ここからは道無き道を進みますからはぐれないようにしてください。」
脇道に逸れてしばらく歩くと大きな穴が見えて来た。溶岩洞窟だ。秋山優花里はそこで立ち止まり、点呼を取る。
「全員いますか?ここではありませんがこういう穴にあります。もう少し奥に進みます。ついて来てくださいね。ここではぐれたら死ぬものと思ってください。」
秋山優花里はさらに奥へ奥へと進んで行く。2時間くらい歩いただろうか。先ほどから木に囲まれ同じような景色が広がっているように見える。秋山優花里は木にカラーの紐をくくりつけて目印をつけながら道無き道を進む。すると、先ほどより少し小ぶりな溶岩洞窟が現れた。秋山優花里は立ち止まり翻ると少し間をおき静かに話し始めた。
「着きましたよ。ここです。皆さん。死者には敬意を払ってください。まあ、皆さんのことだから大丈夫だとは思いますが、よろしくお願いします。それでは、ヘルメットをつけて電気をつけてください。それでは行きましょう。」
秋山優花里は地球の中心まで続いていそうな洞窟に入って行く。穴から少し行ったところだった。秋山優花里は手持ちの懐中電灯で洞窟の中を照らす。そこにあったものそれはおびただしい数の遺骨だった。遺骨がケースに入った状態で整然と並べられていたのである。中には全身骨格もあったが、ほとんどが頭がい骨だった。壁一面には犠牲者のだろうかおびただしい数の写真が貼られている。また、遺骨にはラベルが貼られており、誰の遺骨なのかわかるようになっている。皆は自分の知り合いを探し始めた。するとあちこちから叫び声が聞こえてきた。
「うわぁぁぁぁ!!河嶋!河嶋!」
「桃ちゃん…寒かったでしょう…辛かったでしょう…こんなところに置き去りにされて…ごめんね…」
「うぅ…お父さん…お母さん…」
「オレンジペコさん…」
真っ暗な空間の中で皆が一斉に泣き始めた。私は何もできずにただ見ていることしかできなかった。何もできずに、ただ呆然と遺骨を見ていた。遺骨たちはこちらを恨めしそうに見ている。夢に出て来そうな光景だ。すると突然、誰かが袖を引っ張って来た。身体をビクンと震わせて振り向くと秋山優花里がゆらゆら揺れながら骨を差し出して来た。
「これが…これが…父と母の骨です…見てください…ほら…ここです…穴があるでしょう…?こんな大きな穴が…これが…西住殿に弄ばれた証拠…西住殿は両親の頭に…穴を開けたりサッカーボールみたいに蹴ったり…私の両親の尊厳を…!うわああああ!」
秋山優花里は錯乱状態に陥った。これはまずい状態だ。このままでは危険と判断し、私たちは一度外に出ることにした。
「秋山さん!一旦出ましょう!」
私は秋山優花里に促すが秋山優花里は必死に抵抗して外に出ることを拒否する。
「うわあああ!やめてください!私はここに住むんです!これ以上両親に寂しい思いをさせたくないのです!離してください!」
「何を言ってるんですか!?正気に戻ってください!さあ!行きますよ!!」
私たちは遺骨が安置されている棚にしがみつく秋山優花里を引き剥がした。すると秋山優花里は駄々をこねる子どものように手足をジタバタさせて抵抗する。私たちは、4人がかりでなんとか秋山優花里を洞窟の外に出すことに成功した。洞窟の中はまさに地獄よりも地獄だった。秋山優花里が錯乱するのも無理はない。
「秋山ちゃん!秋山ちゃん!大丈夫!?」
秋山優花里が気を失ってしまい、私たちは深く暗い森の中で私たちは途方に暮れてしまった。洞窟からは無実の罪で処刑された恨みと憎しみが溢れ出してくるように感じられた。錯乱した秋山優花里の目には涙が流れていた。両親を処刑した辛い夢を見ているのか、両親と過ごした楽しい日々の夢を見ているのか検討はつかないが私たちは確信していた。秋山優花里は両親のことが大好きだったのだ。秋山優花里の腕には抵抗する中で必死に確保していたのだろう。両親の遺骨が大事そうに抱かれていた。
つづく