もう一つの【銀狼 銀魂版】   作:支倉貢

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もしも志乃の彼氏が時雪以外だったら、のお話。

相手によって志乃に悪影響を与える可能性大。


【if】時雪以外の男が彼氏だったらの話


〜坂田銀時の場合〜

 

「銀ー!」

 

銀時の営む万事屋にやってきた志乃は、ソファに寝転ぶ彼の上にダイブする。「ぐえっ」という苦しげな声に構わず、銀時に抱きついた。胸に顔を埋めると、大好きな匂い。銀時の死んだ魚のような目が、志乃を映した。

 

「んだよ……」

 

「んー?何でもなーい」

 

「じゃあいきなりダイブしてくるんじゃねーよ!すっげー痛えんだかんな!」

 

「てめー、俺の苦しみわかってねーだろ」と志乃を抱きしめて、頬を引っ張る。びにょーんと伸びる頬に銀時は口角が上がるのを抑えられない。

ソファで志乃を組み敷いて下にさせると、細い腕が銀時の首にまわる。素直に甘えてくる彼女が可愛らしくて、銀時は頬に軽く口付けた。

 

「ぎっ……!?」

 

途端に、ぶわっと赤くなる志乃の頬。それが面白くて、くつくつと笑いを堪え切れない。

 

「も、もうっ」

 

「ワリーワリー。……お前が可愛かったもんでな」

 

愛おしげに彼女の髪に触れる。その先に、再びキスを落とした。

 

 

 

(前半部分はもう普段でもやりそうじゃん。恋人らしいことキスしかしてねーし、シスコンブラコンの君らなら確実にしてるよねェ!?)

 

(してねーよ、するわけねーだろ!)

 

(大丈夫。もし銀がキスしようとしてきても唇刈り取るから)

 

(あれっ?もしかして俺の味方一人もいない?)

 

 

 

〜志村新八の場合〜

 

いつもの剣術の修行が終わったその日。

 

「師しょ……あ、違う。新八」

 

「わっ!……わざわざ言い直さないでよ」

 

新八、と名前で呼んだだけなのに、ここまで照れるとは。昔は普通に呼び捨てだったのに。真っ赤になる彼氏に、志乃のドS心がくすぐられる。

 

「えいっ」

 

「ぅわっ!?し、ししししっ、志乃ちゃんっ!?」

 

ぎゅう、と背中を抱きしめてやると、新八は志乃よりも大きな体を揺らして、激しく動揺する。小悪魔的な笑みを浮かべ、新八の耳元に唇を寄せて囁いた。

 

「新八、大好き」

 

「〜〜〜〜ッ!!」

 

ぼふっ!と音を立てていそうな程、新八の顔はさらに一段階赤くなった。くつくつと楽しげに反応を見ていると、震えていた新八の体が硬直する。

どうしたのか、と彼を見上げる。新八は鼻血を流して、床に崩れるように倒れた。

 

「しっ、新八っ!?」

 

(し……しし、し、志乃ちゃんのっ……や、柔らかすぎる胸、が……!!)

 

新八の邪な思考など知らず、志乃は首を傾げて倒れた新八を見下ろした。

 

 

 

(新八のチェリーな面がよくも悪くも出ましたね)

 

(そこに良し悪しなんかあるの!?ていうか志乃ちゃんの前で何て事言ってんだァァ!!)

 

(取り敢えずキモい消えろメガネ)

 

(もう心折れる……)

 

 

 

〜土方十四郎の場合〜

 

「とーうーしーろっ」

 

「オイ名前で呼ぶなっつったろ」

 

「いいじゃん、デートなんだし」

 

そう言って、志乃は土方の腕に抱きつく。楽しげな彼女に対し、土方は溜息を吐く。

いや、今二人が所謂恋人関係になっているのは、他でもない自分のせいなのだが。幼い頃から変わらず背伸びし続ける彼女を心配していたのが、いつの間にか恋愛感情に変わっていた。

気がついたら目が離せなくて、いつも側にいたいと思ってしまうようになった。……相手はまだ子供なのに。

もちろん、付き合っていることは内緒だ。これが隊士に、特に沖田にバレれば面倒だ。様々な誤解が生まれるし、何より志乃に近寄ろうとするアホもいるかもしれない。

土方はそれが気がかりだった。

 

「……志乃」

 

「?」

 

志乃の細い腰に手をまわし、抱き寄せる。どうしたのか、と赤い双眸が土方を捉えた。その純粋な瞳に見据えられ、土方はそのまま志乃を抱き上げた。

 

「わっ……!」

 

突然体が宙に浮かび、小さく悲鳴を上げる。志乃を抱っこすると、ちょうど土方の目には彼女の銀髪と白い首筋が映る。

 

「……ん」

 

「ひゃっ……ちょ、ちょっと……」

 

そこに顔を埋めると、ほんのり甘い匂いがする。背中に手をまわし、匂いを嗅ぐと、志乃はくすぐったいのか、身を捩る。

そのまましばらく匂いを嗅いでから、土方はようやく志乃を降ろした。

 

「……何、いきなり」

 

「お前もせいぜい男には気をつけるこった」

 

え?と首を傾げる志乃。土方はそんな彼女の髪を撫で、穏やかな笑顔を浮かべた。

 

 

 

(これだよ……!これが一番書きたかった……!!)

 

(最悪だった)

 

(ウゼェが俺も同意見だ)

 

 

 

 

〜沖田総悟の場合〜

 

※下ネタ入ります

 

「志乃」

 

「なぁに?」

 

昼休み中。大好きなチキン南蛮を口に運ぼうとしたその時、彼氏の沖田が前に座ってきた。

 

「今夜、俺と一発【ピー】しねェか」

 

「は?」

 

「「「「ブッ!!?」」」」

 

志乃と沖田以外の全員が、小説の存続すら左右しかねない爆弾発言に吹き出す。志乃だけはわけがわからず、首を傾げている。

 

「えっ、何?つまりどういうこと?」

 

「要するにおしべとめしべを……」

 

「何つー説明してんだァァァァ!!」

 

とんでもなく危ない説明を始めようとした沖田の頭に、土方の踵落としが決まる。沖田はそのまま顔面を机に叩きつけられた。

 

「お前白昼堂々何やってんだァ!!アホか!ガキに何つー事教えようとしてんだよ!」

 

「何でィ土方さん。俺と志乃は付き合ってんだからナニしようが勝手だろィ」

 

「カタカナ変換やめろ‼︎この小説が消されるだろーが!!」

 

「ねぇザキ兄ィ、【ピー】って何?」

 

「ギャアアアアアア!!何てこと言うの志乃ちゃん」

 

「嬢ちゃん、忘れるんだ!今のは全部忘れるんだァァァァ!!」

 

状況を一切呑み込めない志乃に、隊士達は何とか先程の沖田の発言を忘れさせようとした。団子をチラつかせれば、即座に忘れたが。

 

********

 

志乃が何故この男に惚れたのか、周囲は未だによくわからない。元々志乃に悪影響を与えるような存在なのに、何故かこの二人は付き合っている。

それは予てより全員の疑問だったのだが、ついに山崎が志乃に思い切って尋ねてみた。

 

「志乃ちゃんは何で沖田隊長と付き合ってるの?」

 

「えっ?」

 

志乃がキョトンとした顔で、山崎を見上げる。

 

「何でって……何で?」

 

「いや、その……あの、沖田隊長のどういう所を好きになったのかなって」

 

「どういうとこって言われても……」

 

うーん、と腕組みをして考える。しばらく首を傾げて唸っていたが、不意に腕を解いた。

 

「わかんない」

 

「えっ!?」

 

「特に理由はないよ。ただ、私が総悟を好きなだけ。総悟が私を好きでいてくれてるだけ。それ以上に何かいる?」

 

「…………」

 

ふふ、と優しく笑った彼女は、とても幸せそうに見えた。

そうか、彼女はただ、見つけただけなんだ。自分のことを想って、大切にしてくれる存在を。

現に沖田は志乃と付き合ってから、常にと言い切っていいほど彼女の傍にいた。

志乃が見廻りに行く時は必ず一緒に行っていたし、ご飯を食べる時も常に隣にいるし、志乃が誰かと話しているだけでも……。

 

「オイ山崎。てめェ、人の女と何喋ってんでィ」

 

ほら、やっぱり来た。

沖田は志乃が誰かと話していると、すぐに妨害しにやってくる。志乃は俺のものと言わんばかりの圧力に、山崎は萎縮する。

 

「お、沖田隊長……こ、これはその」

 

「おし、山崎。歯ァ食い縛れ」

 

「ちょっと志乃ちゃん助けてェェェ!!」

 

山崎は涙目で志乃に助けを求めるが。

 

「わっ……ちょ、総悟っ」

 

「ん、大人しくしとけ」

 

志乃は沖田に抱きしめられ、全く身動きの取れない状態。しかも抱きしめられた彼女は満更でもなさそうに頬を染めている。志乃はその手を、沖田の背にまわした。

 

「総悟、大好き」

 

「俺も」

 

ーーえっ、俺は一体何を見せられてるの?

 

二人のラブラブムードの中、三十路を越えた男は一人、悲しい気分に浸った。

 

 

 

(この話だと単に山崎が不憫なだけだね)

 

(ってことで俺ァ早速志乃と……)

 

(どこに志乃連れて行こうとしてんだコラァァァ!!)




個人的には新八が一番書きやすかったです。彼、ものすごい純情なんで。トッキーとはまた違った(と言ってもかなり微妙な)関係性になりました。

沖田はもう、腹括りました。多分こうなるだろうと。純粋なものを自分だけの色に染めたいって、ドSなら少なからずあると思うんですね、そういう願望が。まあでも普段の二人なら、「死ね」「お前が死ね」の応酬になると思います。
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