感想が合計5、お気に入りが23と自分でも驚くほどの人気ぶりかは分かりませんが好評です。
それでは始めます……
「もうすぐだ!」
“ビルトシュバイン”のコクピットで操縦しているトウマはスラスターを全開にしてコロニーの内部に戻っていた。
「しかし、さっきの感触は何だったんだ?」
ふと、“ビルトシュバイン”の入っていた扉を右手で触れた時の感触を思い出していた。あれはまるで、何かが壊れるような──
「けど、何だこの機体? 機動力が“シグー”を超えているしこれも連合が開発したモビルスーツなのか?」
だが、それよりもこの機体の性能が異常な事に疑問を持った。自分が乗っていた“シグー”よりも機動力の高さに驚いていた。これもさきほど見たモビルスーツと同じかと考えて、コロニー内部の大地のある場所を突き破り、そのまま着地した。
「さてと……、ん?」
モニターを操作すると、自分が先ほど工場で見つけたモビルスーツの同種の集団を見つけたが──
「装甲の色が……違う?」
そう、先ほど灰色だった機体が1機は白、赤、青のトリコロール。もう1機は深紅の装甲、後の3機は青、緑、黒と色鮮やかだった。
何故かと考えていた時、
「っぅ! “ジン”か!?」
警告音がすると反対側にいた“ジン”が重突撃銃を自分の方に向けて撃ってきたためジャンプして回避したのだ。
「……撃ってきたな、“正当防衛”させてもらう!」
ジャンク屋は勝手に交戦してはいけない。相手が最初に撃ってきたら撃ち返してもいいと決まりごとになっているのだ。自分とこは好戦好きな問題児のためにそれが違法行為を犯しまくっていたのだ。まあ、そのおかげで色々と知り合いが出来ていたが。
「いいぜ──」
地面に降りた“猪”は獲物を見つめ──
「そのふざけた幻想を──」
左右にステップを踏みながら“ジン”に向かって接近して──
「ぶち壊す!!」
すでに振りかぶっていた右手を“ジン”の頭部をおもっきり殴った!
その威力は凄く、数mまでブッ飛ばされ、その間何回のもバウンドを繰り返して止まった時には、頭部は取れてあり、そのまま停止していたのだ。
「なんつう馬力だよ、この“ビルトシュバイン”は」
操縦していたトウマはまさかの成果に驚きを隠せなかった。先ほど回避した時のジャンプ力もそうだが、パワー、スピードともに今までのモビルスーツの性能をはるかに超えていたのだ。
もしかしたら自分はとんでもないものを拾ってきてしまったのかもしれないと少しだけ後悔した後、周りを見渡したが先ほどの新型モビルスーツの姿はなかった。おそらくあの新型モビルスーツはすでにザフトによって奪われたようである。だが、この機体も連合によって開発したのなら奪いに来る可能性がある。この機体を捨てるのも手なのだが、すでに関わってしまったのですんなりと行かないかもしれない。そう考えるとトウマはすぐに行動を起こした。
「おい、“ジン”のパイロット。聞こえるか?」
通信を開き、交渉を始めた。
「命までは取らない。だが、その機体の装備は置いて行け」
「これで何とかいけるか?」
そう言いながら、トウマは先ほどまで乗っていた“ビルトシュバイン”を見た。右手に重斬刀、左手に重突撃銃を持っていた。この“ビルトシュバイン”には携帯武器がない。その為“ジン”の装備だけでも装備しようと考え頭部を失った“ジン”のパイロットと交渉の結果、今現在の状況になった。ちなみにその“ジン”は先ほど飛び立った後である。
「だけど、この子は誰だ?」
ベンチで横になっている少女の方を向くトウマ。この“ビルトシュバイン”に乗っていたからパイロットのはずである。だが、体つきからパイロット向けではないという事は彼でも分かった。そもそもこの“ビルトシュバイン”は本当に連合が開発したモビルスーツなのか?
「う、うう……」
「うん、気がついた?」
考え事をしていると、うめき声がしたので見てみると、少女が起きようとしている。彼女が起きれば何か分かるかも知れなない。
「お……」
「お?」
その最初の言葉は──
「おなか減ったんだよ」
小さい体から腹の音が可愛くなった。
その頃、ヘリオポリスの周辺では“メビウスゼロ”と“シグー”との熾烈な戦いが繰り広げていた。がそれは“シグー”の方が有利であった。
「くそったれ!!」
“メビウスゼロ”に乗っているフラガは先ほど入ってきた最悪な報告に舌打ちを撃つしかなかった。
“新型モビルスーツ5機すべてが強奪”。それが轟沈した母艦の最後の報告だった。自分以外は全滅と言う事にこの報告は追い打ちをかけた。ただでさせ手ごわい相手であるというのに──
その“シグー”のパイロットはクルーゼであった。作戦は成功、目的は果たせたので引き上げるべきだと思った。だが、ある報告を聞いて考えが変わった。
「新型モビルスーツの原型となった機体が動いている……か」
報告によれば、その機体は“ジン”をたった一撃、それも右拳で戦闘不能にしたのだ。ならば──
「見せてもらおうか、連合が造った新型モビルスーツの原型。その性能やらを!!」
目の前にいる彼を倒すのは簡単だ。しかし、彼にはあのモビルスーツまで道案内するのも一興。そのまま“ヘリオポリス”へと戦いが移って行った。
「おいしいんだよ♪ ありがとうなんだよ♪」
「そりゃよかった」
そう言いながら急いで食材を調達(その方法は秘密である)してそれらを調理して作った料理をおいしそうに食べる少女にトウマは微笑んだ。
自分は幼い記憶はない。覚えていたのは自分の名前でそれが何の当て字か判らないのでカタカナにして名乗っている。仲間と出会う前に1人身だったためそのスキルが鍛えられ、今ではそれらが生かされて事務的な事や料理の担当を1人でこなしている。ちなみに自分所の仲間の名前も自分と同じで、自分が名付けた者、自身が名乗った者、そして自分と同じ境遇の者と──
「すっげぇ、モビルスーツだ……」
「ん?」
昔の事を思い返していたトウマは声のした方を向くと数人の学生が“ビルトシュバイン”の方に向かって歩いているのを見た。と
「ビ、“ビルトシュバイン”!? 起動したの!?」
そのモビルスーツの名前を見るや否や驚く女性をトウマは覚えがあった。
「あんた、確か換金の時の……」
「あ、あなたが起動したのですか!?」
声をかけてその女性、マリューはトウマの方へと歩き出していた。
「そう言えばあんたには聞きたい事があるんだよな。話してもらうぜ」
トウマは目を厳しくしマリューに対しての質問をしたのだ。その時──
「トウマ! 無事だったのか!?」
自分を呼ぶ声をした方を見るとトレーナーを操縦しているデュオの姿から自分の仲間が乗っているのが分かるが──
「いやな予感をするのは俺の気のせいでえか?」
「無茶苦茶ですよ! この人数で艦を発進させるなんて!!」
“ヘリオポリス”の港口では連合の新型戦艦“アークエンジェル”が発進の準備をしていた。新型なので被害は軽微であった、そう艦は──
「分かっている。私だって泣きたい気分だ。だが、やるしかない」
艦長席に座っているナタル・バジルールは先ほど意見したアーノルド・ノイマンに自身の心境をいいながらも今現状を妥協するために行動を起こす事を宣言した。
この艦のクルーは艦長を含む主な幹部は全滅、さらにザフトが“ガンダム”と呼ばれる新型モビルスーツのパイロットまで失っている。生き残っているのは主に主計課や整備班、警備兵で正しく壊滅状態であった。
「報告によれば“G兵器”はすべてザフトに奪われただけではなく、“ストライカーパック”まで奪われたそうです」
「奴らはこの事を知っていたとなると、ハッキングに長けた人材がいたとしか言えん。完敗だな……」
“G兵器”とは新型モビルスーツの事を指し、“ストライカーパック”は“ストライク”の専用装備である。この事からザフトには新たに脅威となる人物が出来たという事になる。その事からナタルはため息とともにこの戦いは連合にとっての大きな損失として苦しい戦いが待っているのだと考えた。
「だからこそ、“ヘリオポリス”から脱出してこの事を友軍に伝えなくてはならない。知っているのと知らない事では大きく違うからな」
「ええ……」
だが、このままでは終わる気ではない。なんとしてでもここから脱出しなければとナタルとノイマンは互いを見つめながらうなずいた。
「ザフトが襲ってきたから船を捨てて逃げたぁぁぁぁぁ!?」
「ごめん!!」
嫌な事はたて続けて起きるのだろうとトウマは手を合わせて謝るミコトを見ながら思った。
「まあ、脱出する算段は後で考えるとしてだ。ラミアスって言ったか? さっきの話は本当か?」
幸い、船に残っていた武器や売ったお金があるため脱出の手段は後で考える事にしたトウマはそれよりもマリューにもう一度聞きたかった。
「はい、“ビルトシュバイン”は私達が開発した機体ではないんです。宇宙に漂っていたコンテナを回収して中は開きませんでしたが、その端末を調べてその機体のスペックを参考に“G兵器”を」
「完成させたってわけか……、道理で何かが違っていたわけだ」
マリューの説明で頭が痛くなるトウマ。どうやら本当にとんでもない物を見つけてしまったようだ。と、
「あのぉ…、良い話と悪い話があるけど」
サテンが申し訳なさそうに当麻に話しかけていた。
「悪い話からな」
「あぁ、そっちからか…、あの子、記憶がないみたいなんだよ」
「はぁ、俺達と同じか……」
どうやら、彼女がなぜ“ビルトシュバイン”に乗っていたのかは遠回りになるが機体の方を調べるしかないと決めた。
「で、良い話は?」
「あの子の名前……インデックスって名前だそうよ」
「……はい?」
彼女の名前が変わった名前だという事にトウマはしばし言葉を失い──
「いやー、私も聴いた時は驚いたよー。あははは……」
サテンは話すが、そのトウマから不機嫌なオーラが出ていた。始めて見たインデックスと呼ばれる少女とマリューが何か得体のしれない何かに脅えてトウマから離れていた。サテンとインデックスとさっきまで話していたウイハルは慣れてしまってその場にとどまった。
「……ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
そのエネルギーが天に向かって放出した……ような幻と共にトウマは天に向かって吠えた。
「今日は散々だ! ザフトに襲われるわ、宇宙に漂っていたモビルスーツに似た機体を見つけるわ、船は恐らく破壊されているわ、おまけに“ビルトシュバイン”に乗っていたこの子の名前がインデックス!? お前は本の目次か!? 絶対宇宙から来たって! 不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして独り言を大声でしゃべるトウマにマリューは困った顔を、インデックスはポカーンとトウマを見ていた。サテンとウイハルは乾いた笑いを浮かべていたが。そしてトウマはその足でインデックスに近づきその頭を掴み顔を近づいた。その顔を見たときインデックスは涙目になっていた。
「おい、インデックス。お前は今日から俺達の所に居ろ。だが、働かないものは飯はねぇ。分かったな?」
「は、はい!!!」
脅迫も取れる勧誘だがきっちり面倒をみるのは彼の優しさなのだろう。インデックスはきっちり働くだろう……主に恐怖が原因だが。
「そして、あんた」
「は、はい!!」
掴んだまま目線をマリューの方へ向けて話すトウマだったが、その顔にマリューは恐怖に襲われた。
「例の件は俺達がもらう。それでいいな。後、あのおっさんには謝罪金を大量にもらうからな。覚悟しておけ」
「は、はい……」
この男を敵に回したらこうなるのかとマリューは心の中で思った。と、
「そう言えば俺達と同じって言いましたけど……」
「ああ、あれか……」
そう言い、インデックスを掴んだ手を離すトウマは──
「俺は気付いたら記憶がなくてな、覚えていたのは名前だけ。で、ウイハルやサテン、ミサカとシライは俺と同じ状態だったんだ。ちなみにヒイロは俺が名付けて、デュオは自分から名乗っていたんだ」
「………」
そう言いながらインデックスの頭をなでるトウマの姿に、マリューは波乱の人生を送っていたのだと、そしてそんな事があったから今の彼があるのだ思った。その時──
「おーい、一応運んで来たぜぇ」
デュオの声とともに4台ものトレーナーが現れた。“ビルトシュバイン”の他にも機体があると聞いたトウマはデュオ達に頼みそれらを回収する事なった。その時にこの機体はトウマ達がもらう事になっている。
「何で僕達までやるんだろう……?」
勿論、学生である彼らも手伝っているが、そんな愚痴をこぼすカズイ・バスカーフを見たトウマはミコトに目線を送り、ミコトは近くにあった自動販売機の方へ近づくと──
「せぃりゃあ!!」
その場で回転しながらジャンプ、着地と共に右足での回し蹴りを叩き込んだ。その衝撃で自動販売機から大量の缶ジュースやらが出て来た。ミコトはその1つを持ち、カズイに近づいて──
「なめんじゃないわよ」
「ひぃ!?」
耳元でドスのきいた一言をいうミコトにカズイは悲鳴を上げ──
「軍の機密、その原型となったモビルスーツを見た以上、下手をしたら銃殺刑よ銃殺刑。それをやらないのはうちのリーダーは顔が広いからそんな事をしてはいけないって上からの命令があるからよ。あなた達に残された道は1つ、黙って従いなさい」
そう言うと手に持った缶ジュースを地面に置いて、
「まあ、生き残るためにお互い協力しましょってわけよ」
振り向きいうミコトにカズイは思った。彼女に逆らったら命はないと。
「ちょっと、その言い方はよくないですか!?」
だが、それを聞いていたのだろう、吹寄 制理が抗議をしてきたのだ、だが、
「じゃあ、このまま野垂れ死にか?」
トウマが彼女に問いかけたが彼女は答えられなかった。シェルターはすべて閉ざされてしまい、近くのシェルターは満員だ。今から移動しても次にザフトの攻撃で死ぬかも知れない状況に彼女だけではなくカズイや、ミリアニア・ハウとトール・ケーニッヒ、サイ・アーガイルも頭で分かっているつもりでも納得いかない現状を感じていた。
「ほかに案があるなら言え、ないなら従う。シンプルで分かりやすい考えだ。平和ボケしたお前達でもわかるだろう?」
その言葉にもはや反論できない彼らだった。
「ま、まあまあまあ。ここらで休憩しないか?」
そんな空気にデュオが地面に散らばった缶ジュースを1つずつ1人ずつ渡して休憩の案を出した。
「そうだな。少し頭を冷やした方がいいな」
トウマもそれに同意して投げてそれをキャッチした缶ジュースを開けてその中身を飲みながら“ビルトシュバイン”の足に寄りかかった。
「あ、あの。カミジョウさん……?」
そう手を上げたのはトールだ、トウマは何だと聞いてきたのでトールは一瞬言葉を詰まらせるが、
「この後、どうするんですか?」
聞いてきたのか今後の予定だ。全員の視線が自分に集まる。
「ザフトが強奪したモビルスーツの母艦が無事ならそれに乗り込みたいんだが…」
「何か問題があるんですか?」
ミリアニアが頭を抱えているトウマに質問してきたが、
「母艦が無事でも、そのクルーが全滅していたら私達がそれを操って脱出しなくてはならないのですよ」
「そっか、それが原因でザフトに攻撃されたとしたら……」
クロコの説明を聞いてサイが続けていようとするが続かなかった。その後の言葉は誰でも分かった。撃沈だと──
「コンピューターの補助で少数での人数でも動かせるけど、この人数では……」
「カギを握るのはどれだけ生き残っているかですね」
「最悪の場合、あなた達も手伝うかもしれないからそのつもりで」
マリューの説明によれば“アークエンジェル”にはコンピューターによる補充で少数でも操れるシステムがあるのだがこの人数でというと無理がありウイハルとサテンも最悪の場合の時に学生の彼らにも手伝うと彼らに言った。その時!!
「な、何だ!?」
突然の頭上の爆発に全員が頭上を見上げると頭上に大きな穴が開いており、その中から2機が出て来た。
「“メビウスゼロ”と“シグー”!?」
「“メビウスゼロ”って激レアじゃないかよ!?」
ミコトは2機が“メビウスゼロ”と“シグー”だというとデュオが“メビウスゼロ”がいる事に驚いた。
“メビウスゼロ”は“メビウス”のプロトタイプであるが、特徴な武装がある。4つの樽状の武器、“ガンバレル“である。特殊な能力で操作して不意な場所から攻撃できるのだが、その分扱いが難しく、それに乗っている事はエースパイロットだろうと予想がついた。だが、その“ガンバレル“がすべて失っている“メビウスゼロ”を見たトウマは素早く“ビルトシュバイン”のコクピットの中に入って起動した。
「お前たちはトレーナーの下の方へ潜り込め!」
この機体の動力は分からないが、バッテリーでも動くことが分かったのですでにバッテリーは積んでいるため活動時間は90分とある程度の活動が可能となった。
トウマは飛び立つごろには“メビウスゼロ”の本体に残ったレールガンが切断されて墜落した所だった。
「ほう? 来て早々出会う事になるとはな…、その性能を試させてもらう!!」
乗っているクルーゼが“ビルトシュバイン”を見つけると左腕に装備されている盾に内蔵されているバルカンを“ビルトシュバイン”に撃ってきた。
「こなくそっ!!」
トウマはすぐに回避をし、反撃に重突撃銃を撃ってみるがそれも回避されてしまう。それならばと重斬刀で切り込みにかかるが、
「早いな、だが!」
自身も持っている重斬刀で鍔迫り合いをし、離れる両者。
「なるほど、接近戦では“シグー”より勝るか…、ならば!!」
重突撃銃に持ち帰るとバルカンと合わせて撃ってきたのだ。それを回避するトウマであったが、敵の狙いが銃撃戦で動きが鈍くなった所を落とすと読めたのですぐに機体に唯一装備されている武器を起動した。この武器は電力を大幅消費するために切り札的な武器なのだ。その名は──
「サークル・ザンバー、起動!!」
左腕に装備されている円状の装置を中心にリング状のビーム刃が展開、そのまま突撃したのだ。
「何!?」
クルーゼはそれを見て驚いたが、すぐに重突撃銃とバルカンで向かい撃とうした時、
「そんなもの!!」
トウマはなんと両手に持っていた重突撃銃と重斬刀を“シグー”に向けて投げたのだ。
「なんて破天荒な!」
すぐに回避をした“シグー”の前に“ビルトシュバイン”の姿が──
「斬り裂け! “ビルトシュバイン”!!」
その言葉と共に振り下ろしたサークル・ザンバーが“シグー”の右腕を切断した。それだけではない、振り下ろした勢いのまま、右足で“シグー”の頭をかかと落としを炸裂。地面にたたき落とそうとするが地面にたたき落とされる直前でそれを回避した。
「何というパワーだ……」
機体の性能もあるのだが、乗っているパイロットも規則外の行動を取るため予測が不可能に近い。厄介な組み合わせだとクルーゼが舌打ちをした時、
「何だ、あれ!?」
トウマはそれを見て驚いた、白い戦艦がコロニーの中に現れたのだ。これこそが“アークエンジェル”である。そのままゆっくりと回頭して後部のミサイル発射管から対空ミサイルが“シグー”に向かって飛んでくるが、それらをすべて回避する。
「潮時か……」
すぐに撤退をする“シグー”を追撃……しない“ビルトシュバイン”は地面に着地してトレーナーの下の方に退避したみんなの安否を確認した。
「私は納得できません」
そう切り出したのはナタルである。この場にいるのは彼女の他にフラガとマリュー、そしてトウマの4人である。なぜ、彼女が怒っている理由は──
「“ビルトシュバイン”と“ゲシュペンスト”、そして“シュッツバルト”をあなたに譲るのは」
そう、宇宙を漂っていたコンテナの中に入っていた3種の機体をトウマが貰い受けると言いだしたのだ。その代わり、自分達が“オーブ”までの進路を取ってくれたらザフトが襲いかかった時、それに乗って迎撃をすると保障をしたのだが──
「大尉、“ビルトシュバイン”の操縦は?」
だが、我々には軍人としてのプライドがある。起動を確認している“ビルトシュバイン”だけを彼以外に乗せられるかという幻想を持っていたが、
「すまん、ありゃ無理だわ」
フラガの言葉にそれがぶち壊れた。その理由は──
「あの機体、異常過ぎるんだよ。少なくとも“ナチュナル”が乗ったらまずその加速で失神する。下手したらその加速で死人が出るぞ。過剰な反応速度と大出力に振り回されて撃墜するのがオチだ。ザフトでもそれを乗りこなすのは少ないと思うし、まさに“猪突猛進”だよ」
搭乗していたトウマが代わりに説明した。説明している目は思い出したように遠い目をしていた。さらに──
「俺もそのデータを見たけど正直、乗りこなすには時間がかかり過ぎる。出撃して失神して撃墜て俺はやだよ」
「乗り手を選ぶ機体とも言うべきかしら? 今現在“ビルトシュバイン”を使いこなせるのは彼以外いないのよ」
フラガとマリューの説明にナタルは頭痛を覚えた。ピーキーで我が儘、自己中と問題ばかりの機体だと分かったからだ。
「けどよ、よくそんな機体に乗れたよな」
「まあ、要するに慣れですよ、慣れ」
フラガの言う通りそんな機体を操るトウマにナタルも凄いと思った、と──
「そう言えば、あのコンテナはロックがかかっていて開けれないって聞いたが、どうやって開けた?」
思い出したように質問するナタルにトウマは目を泳がして言った。
「実は……右手で触れたら開けれました」
実際に見て思った。科学で解明されない事があると、そう目の前にあるのだ。
「こうして実際に開けれるのを見たらねぇ」
隣でつぶやくフラガの目の前に“ビルトシュバイン”以外の4機がいた。そのうち3機は同じ種類に青い装甲の“ゲシュペンスト”、残りの1機は黄色の装甲の“シュッツバルト”であった。あの後証拠を突き止める為にトウマによる右手で開けれるかどうかの実験は“すべて右手で触れたら開けれた”という結果になった。
「もしかしたら、元々ロックが掛かっていなかったじゃないでしょうか?」
「どういう事?」
横で観測していたウイハルの仮説にマリューが訪ねた。
「恐らく、科学ではない何かが封印していて、トウマさんの右手がそれを無効化、もしくは破壊されて開いたンじゃないでしょうか?」
「確証がないが、それが一番信憑性の高い仮説だな」
ウイハルがたてた仮説にナタルは首を振りながら納得した。そんなオカルト的な仮説だがそれを実際見た自分は納得するしかない。
「謎の機体に謎の少女、連合のお偉いさんが喜びそうなネタだな」
「正直、凄い貧乏くじをひかされた気がするんでえか?」
フラガに言われトウマは頭を抱えながら、今後の事を考えていた。その時!
《艦長、副長! すぐにブリッチに戻ってください!!》
今の艦長はマリュー、副長はナタルになっている。彼女達は急いでブリッチに戻るのを見たトウマは急いで“ビルトシュバイン”のコクピットに入り、急いで起動した。
《トウマ・カミジョウ、さっそく働いてもらうぞ》
「へいへい、“働かないものは飯を食う資格はない”のが俺のチームのモットーなのでね」
ブリッチからの通信はナタルで、トウマはやる気のない回答をしたのだ。
《良い心がけではないか、今現在こちらに向かってきているのは5機。内2機は要塞攻撃用に武装した“ジン”だ》
「はあぁ!? 奴らこの“ヘリオポリス”を破壊する気満々かよ!?」
だが、ナタルの言葉に驚くトウマ。もしここでそれを撃ったとしたら待っているのは破滅である。
《さらに特殊装備の“ジン”が1機。そしてこの2機が問題だ。X303“イージス”、そして“ソードストライカー”を装備したX105“ストライク”だ》
「おいおいおい、何だよこの大盤振る舞いは。奪取した新型を2機投入するなんて気前のいい……」
おまけにナタルが言う事にまた頭を抱えるトウマはそれだけこの機体を破壊する気満々だという事を感じていた。
《“ソードストライカー”は近接戦の装備だ。距離を取って戦え。それと“G兵器”には“フェイズ・シフト装甲”があるから実弾の攻撃は無理だ》
「攻撃するにはサークル・ザンバーが有効だけどなぁ」
“フェイズ・シフト装甲”は連邦が開発した装甲で、インパクトの瞬間に電力を流すことで物理攻撃をほぼ無効化する事が出来る。色が変わったのはそのためである。それを突破するためにはビーム兵器が有効であるが“ビルトシュバイン”にはサークル・ザンバーしかビーム兵器がないのだ。
《幸い、“ビルトシュバイン”には“ハードポイント”が多い。“デュエル”用のビームライフルを用意した、それを装備した上で他の装備は自由に決めてくれ》
「ああ、とりあえず俺達が作ったマシンガンとショットガン、それに重斬刀を装備しておく」
そう言いながら“ビルトシュバイン”の右腰に重斬刀、左腰にショットガン、腰部の側面にマシンガン。そして右手に銃身下部にグレネードランチャーを装備したビームライフルを装備した。
兵器を搭載できる“ハードポイント”が多い事が分かった“ビルトシュバイン”は任務に応じて装備が変えられるのが強みである。また“G兵器”に搭載してある新型バッテリーを新たに搭載している。
そして“ビルトシュバイン”はデッキに運ばれて行き、リニアカタパルトに灯が入りその扉が開き、いよいよその時がきた。
「トウマ・カミジョウ、“ビルトシュバイン”、行くぜ!!」
打ち出された後、スラスターを全開にして出撃した。
「来たぞ、“ビルトシュバイン”だ!!」
通常の“ジン”に追加装甲、その装甲にスラスターが追加、肩はガトリング砲、腕にはグレネードランチャー、脚にはミサイルポットが装備されている。両手には2丁の重突撃銃と左腰に重斬刀をマウントしているこの機体の名は“アサルトジン”で追加装甲、“アサルトシュラウド”を装備した機体である。そのパイロットはミゲル・アイマン、“黄昏の魔弾”と呼ばれる彼は“ビルトシュバイン”に一撃でノックダウンさせられて武器を奪われた上に見逃されるという屈辱を味わった。
「オロールとマシューは戦艦を狙え、キラとアスランは俺と共に“ビルトシュバイン”の相手だ。さっきも言ったがあのパイロットはあのトウマ・カミジョウだ。奴の強さはあの“サーペントテール”と同格だ、油断するなよ!」
「“サーペントテール”ってあの傭兵で有名の奴ですよね。ミゲルが機体を半壊した相手の」
「機体と相まって手ごわい相手か……了解!」
だが、ミゲルはそのパイロットがトウマと分かった。彼とは何回か戦った相手でその声に聴き覚えがあったからだ。それをクルーゼに報告すると彼はすぐに第二攻撃をかけると宣言した。ミゲル本人も専用機があれば互角に戦えるのだが、数日前に宇宙ドックで襲撃に遭い、その相手のモビルスーツと相打ちになって修理に出していた。その相手は傭兵の“サーペントテール”で凄腕で有名な傭兵である。
そんな相手に通常の“ジン”では対抗できないとクルーゼに進言したミゲルは奪取した“イージス”と“ストライク”をぶつける事を提案、自身も“アサルトジン”で出撃したのだ。
オマール機とマシュー機の“ジン”は迂回して“アークエンジェル”に攻撃するために迂回し、ミゲルの“アサルトジン”、キラの“ストライク”、アスランの“イージス”の3機はまっすぐ“ビルトシュバイン”の方へ向かった。
「ちぃ、やっぱり重装備の“ジン”は“アークエンジェル”狙いかよ。させるか!」
迂回する“ジン”2機を見たトウマはビームライフルをその2機に向けるが──
「お前の相手はこっちだ!!」
そんなことはさせまいとミゲルは両手の重突撃銃とガトリング砲を“ビルトシュバイン”むけて放った。
「げぇ!?」
弾丸の雨がこちらに向かっている事に気がついたトウマは慌てて避けたが、“ジン”2機は“アークエンジェル”に攻撃を開始した。
「行くぞ、キラ!」
「分かった!」
“イージス”がビームライフルで“ビルトシュバイン”をけん制している間、“ストライク”は背中の“ソードストライカー”に背負っているメインウェポンの対艦刀“シュベルトゲベール”を抜刀、両手に持って肩を担ぎ“ビルトシュバイン”に突撃した。
「ちょお!?」
そんなものを叩き斬られたらシャレにならない、それを見たトウマはビームライフルを構え撃ったが、何とそれらをビーム刃で切り払いながら突撃してきたためすぐさま回避した。
「“フェイズ・シフト装甲”でも衝撃までは吸収できないだろ!!」
その後ろに回った後ショットガンを左手に持ち“ストライク”の背中に発砲した。
「ぐぅ!?」
その衝撃でふっ飛ばされる“ストライク”。予想通り衝撃までは防ぎきれなかったようだ。
「さっきのお返しだ!」
さらに“イージス”に急接近、その勢いのまま左足で飛び蹴りをくらわせた。
「俺を忘れては困るぜ!!」
だが、“アサルトジン”の脚に装備しているミサイルポットからミサイルが発射、“ビルトシュバイン”めがけて飛んでいくが、“ビルトシュバイン”は回避、追ってくるミサイルをショットガンからマシンガンに持ち替えて迎撃しながら回避した。
「なんて機動力だ、下手したら“ハイマニューバ”よりもあるぞ!!」
その機動力を見たミゲルは高機動型の“ジンハイマニューバ”並みかそれ以上だと驚愕した。と、“ビルトシュバイン”めがけて何かが迫ったが、それを回避してビールライフルを“アサルトジン”に向けたがとっさに右に回避するが左手に持っていたマシンガンが何かによって切断されてそれを投げ捨てると爆発した。
「何だ、今のは!?」
トウマはマシンガンを切断した何かの正体を見てるとそれは“ストライク”の左肩のアーマーにセットしているビームブーメラン“マイダスメッサー”だと判明した。
「おいおい、とんでもない装備だな、モビルスーツ戦じゃなくて対艦用の装備だろ……」
ビームブーメランを肩部に戻し対艦刀を構えなおす“ストライク”を見て冷や汗をかくトウマはそんでもない武装に驚きを隠せないでいた。そんな“ビルトシュバイン”に“イージス”が両手、両足にビームサーベルを展開、突撃してきたのだ。
「マジかよ!?」
とっさにサークル・ザンバーを起動しそれを防ぐが、まるで格闘をするが如く次々とくる斬撃を捌くだけで精一杯であり、咄嗟に重斬刀を投げてひるむも装甲が傷がつかないがそのまま蹴りを入れて距離を取った。
その後は、銃撃や斬撃が踊りに踊りまさに舞台で踊る役者の如く魅せる戦いが起こった。
だが、彼らとは別の所でそれが悪化していた。
重装備の攻撃と戦艦の攻撃が“ヘリオポリス”の内部を深刻なダメージとなってその時がきた。構造を維持できないと管理するコンピューターがシェルター内の人々の生命を優先するべく全隔壁を解放した時、外壁と内壁が同時に開いた。
「“ヘリオポリス”が……」
「オマールとマシューの反応は消えているか……2人ともすぐに離脱するぞ!」
「くっ、了解……」
崩壊する“ヘリオポリス”を見たキラの言葉にミゲルは“アークエンジェル”を攻撃していた“ジン”の反応がない事に気がつき、このまま戦艦の攻撃が受ければこちらもまずいと判断して開いた場所から離脱していき、キラとアスランもまたそれに続いた。
「不幸だよ。こんちきしょうが…」
崩壊していく“ヘリオポリス”を見ながら急減圧によって外界へ吸い出される“ビルトシュバイン”は抵抗もなくその身を預けて宇宙空間へと飛ばされた。
「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その叫びは自身の不幸か、それとも“ヘリオポリス”を攻撃したザフトか、はたまたその原因を作った連合か、それは誰でもわからずに暗黒の世界に飛ばされる“猪”であった──
この事件は“ヘリオポリス襲撃事件”や“ガンダム強奪作戦”と呼ばれることになり、この裏で赤きジャンク屋と青き傭兵が“王道を外れた機体”と出会い、また歴史の中で登場するトウマ・カミジョウが歴史の表舞台に出た事件でもある。だが、そんな事は知らないまま激闘の波は彼を呑み込んだ……
いかがだったでしょうか?
ミゲルが生き残った理由は後から彼の声の人がまた出るのでそれをかぶらせなかったのと、私個人として好きなキャラだったのが理由です。
“ジンアサルト”は漫画版でミゲルが乗った機体で、この他にもテレビで出なかった機体を登場したらいいなと思っています。
また、トウマの腕ですが、一対一なら勝てるですが、エース級が何人もいれば苦戦するくらいです。
色々とクロスオーバーするので楽しみにしてください。
それでは次回予告です。
次回予告!!
崩壊した“ヘリオポリス”から脱出した“アークエンジェル”。
その進路を“アルテミス”に向けるがクルーゼはそれを読み罠を仕掛けた。
迫りくる脅威に少年達は決意をする。
次回! 機動戦士ガンダムSEED WILD
第4話、勇気の証明
無限の宇宙を駆けろ、アークエンジェル!!