Fate/lost memory   作:羽織単衣

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プロローグ

俺はゆったりと夢を見ていた。

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。血は我が大和の血。降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

ぼんやりとした視界の中で、男が何かを呟いている。

「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

彼の前には細長い、鞘に入っていない剥き身の日本刀が祭壇の上に置いてある。

「――Anfang」

祭壇の周りには何らしかの紋章が描かれていた。

「――告げる」

手を祭壇へとかかげ、彼は言い続ける。

「―――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

彼が喋るたびに紋章が明るく、赤く光り始めた。

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」

赤く光って紋章が激しく光り始め、眼を潰すようなとても明るい光が部屋を包んだ。その光は俺には明るすぎて、何が起きているかを直視することができず、そのまま目の前が真っ暗になった。

『お前はやらないといけないことがある』

 

「はッ! ……うッ」

夢の中の大声で驚いて、俺は跳ね起きた。思いっきり、頭を壁にぶつけて物凄く痛い。

「あの夢は一体なんだ?あと、一体ここはどこだ?」

見る限り廃屋の中で、目覚めた俺にはなんでこんなところにいるのかわからなかった。それだけではない。

「俺の名前は……思い出せない…… 年は……思い出せない」

記憶喪失に俺はなってしまっていた。何も思い出せない。

さっきの夢が一体、いつの俺の記憶だったか。いや、記憶じゃないかもしれない。と、ともかく状況確認をしなくちゃ

「誰か! 誰かいないのか!」

自分の周りを見渡していると……自分の眼を疑いたいのだが、隣に日本刀を抱え込みながら熟睡している10代後半の女性が居た。

居た。

「…………は?」

居た。俺の恋人か?

「ガガガガ」

漫画だったら鼻提灯が描かれてもおかしくないようないびきをかいている女性。いやぁ、恋人ならこれはきついかもしれない……ガサツ系? 恋人に俺は選んだのか? いや、待て。俺は自分の手の肌を見る限り20歳は過ぎている。まず、そんな選択はしてないよな…… じゃぁ……

「…………。俺は何か大変なことでもやらかしたのではないか?」

記憶を失っていても人間は道徳を失うことはないと感心する暇もなく

「俺は一体何者なんだ!!」

「五月蠅い! 儂の眠りを妨げるのか!」

俺がいきなり立ち上がり喚きたてると女性がすぐさま日本刀の鞘で俺の脛を思いっきり叩いた。

「痛ぇ! すごく……いてぇ……」

脛の思ったよりも激しい痛みに俺が唸っている間、男物の袴を着て、まるで日ノ本の武士のような恰好をしているその女性は涙ぐんだ眼で見ている俺を見つめた。

「うーむ…… 御主が何者であるか…… 知らんの!」 

じーと見られているといきなり、ニヤリと笑って女性は言い切った。

「は?」

「御主、記憶喪失ってやつかの」

間髪入れず、女性は尋ねてきた。相変わらず笑っている。

「そう……みたい……」

「なるほど。どうやら、同じ境遇のようじゃの。儂も名前を思い出せないのじゃ!」

「は?」

ニヤニヤしながら喋るその女性は、人差し指を立ててまぁまぁと言うとそのまま気前よく喋り始めた。

「ただこれだけは覚えておる。お主はマスターであり、儂のことをセイバーと呼んでおった。だから、お主は儂をセイバーと呼ぶのじゃ!」

「……は? ……はぁ?」

呆気に取られる俺の目の前でセイバーと名乗る女は、そのあと俺の名前を勝手に考え始め、慌てた俺が身に着けていた服のタグに書いてあった『神流(カンナ)』という名字を見つけるのは長くは無かった。

 ここから俺とセイバーの『失われた記憶』を取り戻すための聖杯戦争が始まるのであった。

 




始めまして。羽織単衣(はおりひとえ)と申します。
ブランク2年のためにリハビリとして、半年ぐらい前から楽しんでいるFGOの影響を受け、私もfateのストーリーを描こうと思い、執筆を始めました。記憶喪失のマスターとサーヴァントが共に聖杯戦争で戦い、そして、自分たちが何者で、願いは何かを思い出そうとする話を広げていこうと思います。良ければ、このまま読んでいただけば何よりです。
 何度か書き直しをして、なるべく読みやすく、グダグダにならないように編集をしていきますので、文章が時々変わると思いますが、そこのところはご容赦ください。
 では、よろしくお願いします

:追記
2017/8/11 編集
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