Fate/lost memory   作:羽織単衣

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第九話「新たな手掛かり」

「図書館? 図書館なら新都のほうに冬木市立図書館っていうのがあるが…… 就活の勉強でもするのかい?」

探し始めること2時間、結局、通りすがりの人に俺たちは尋ねていた。

「ちょっと歴史について調べようと思っていまして。場所を教えていただきありがとうございます」

通りすがりの人が離れていった後、セイバーは口を拗ねた。

「新都なら、行ったじゃろう…… 二度手間じゃ」

「仕方ないだろ。記憶にないんだから」

「すぐ向かうぞ。書物庫で問題ごとがなければいいのじゃが……」

教えられた方向へテクテクと急いで歩いた。

 

「なぁ! この漫画、気に入ったぞ! 持って帰りたい!」

日本史の本をなるべく多く抱え、セイバーのもとへ向かうと、そこで彼女は漫画を読んで笑い転げている。ここでサボられるとたまったもんじゃない。

「いいか…… まず、これは図書館のものだ。次に、俺らはお前の真名を探しに来たんだ。遊んでいる暇はない」

「そう、焦るのではない。儂はこの前バーサーカー相手に一本取った者。この一冊ぐらい読んでも大丈夫であろう?」

再び、漫画を読もうとするセイバーから本を取り上げると、顔を覗き込んだ。

「この前は上手くいったかもしれないが、次は駄目かもしれない。ともかく、その剣技だけじゃなくて、宝具も解放しよう」

「……わかった」

 

 

――――2時間後

「儂はこの鈴鹿御前ではないのかの?」

「神通力があるそうだが、使えるか?」

「ぐぬぬぬぬ」

両手を俺の目の前にかざしながらセイバーは唸り始めた。

「なんも起きないぞ」

「ならば、違うのじゃ」

チッと吐き捨てるように言うと持っていた本を積み重なった本たちの上に置き、別の本を取った。

「お市の方というのもあるぞ。織田信長……うーむ、なにか引っかかったのじゃが。これはどうだ?」

「お市の方か。あまり武闘派ではなかったようだが……セイバー、お前に可憐さーとか麗しさ―とかあると思うか?」

「ますたぁ」

「…………今更、そんな声を上げてもな。一応、聞いておくが、神通力で何をしようとした?」

「ん? 両手からスイカでも潰すぐらいの念動力でも出そうかのと思ったのじゃが」

「それって俺の頭、潰れるよね」

 

 

――――それからまた数時間後

「結局……なんも分からなかったな…… おい、セイバー」

「待つのじゃ。もう少しで、もう少しで、この漫画が読み終わるのじゃ。この感動のラスト、久しいのう」

こめかみを手で押しながらセイバーを見ると、積み重なったたくさんの漫画の前で泣きながら、最終巻を読んでいた。もう3時間ぐらい前から少女漫画を読み続けている。

「わかったことはな。お前が織田信長って言葉に引っかかったことぐらいだな。つまり、お前はたぶん、戦国時代の英雄だ」

「おー! さすが、我がマスター」

「誉めるなら、まず、本を読むのを、辞めろよ……」

 

結局、司書が閉館だと言われるまで、セイバーは漫画を読み続けていた。そういえば、なんの漫画か聞いてなかったな。もしかしたら真名のためのヒントになるかと思ったんだけどな。

 

外にでると、高校生が仲良く、わいわいはしゃぎながら歩いていた。

「学生の下校か…… もう、こんな夕方になったとは……」

「綺麗な夕方じゃの。じゃが、すぐに夜になる。教会へ帰るかの」

「あぁ、そうだな」

教会へ向かって歩いていると、たくさんの高校生たちとすれ違った。血も、死も見たことがないような無垢な子供。もし、バーサーカーが密かに子供を惨殺してたらどうしようか……今の俺たちには、すぐに仕留められる力はない。早く、真名を発見して……

 ぶつぶつと俺はつぶやき、セイバーは夕陽を見ながら、共に歩きつづけ、子供たちとたくさんすれ違った。

 

「あ! 神流君!」

ん?

呼ばれて、振り向いてみると女子高校生が俺を指でさして、口をポカーンと開いていた。

「神流君! 3日間も、学校に来てないなんてどうしたの!? なに、その服。ボロボロじゃない!」

え? え?

「ちょっと家に来なさい! ()()()の私も恥ずかしいでしょ!」

いきなり女子は俺に詰め寄り、襟をつかんだと思うと、引っ張り始めた。

()()()? 俺に()()()?

「ま、待て。は、話を聞け。お、おい!」

混乱している中、女子は俺を引っ張り続けた。俺にはなにもできなかった。周りにはたくさんの学生がいて、手を上げるわけにはいかない。警官に目を付けられるのは、今は、不味い。セイバーが俺を助けるために詰め寄ろうとしたのを、やめるようにジェスチャーをした。

 ただ、俺は一体、何者だったかを知りたい。その一心で引きずられていった。

 




お久しぶりです。ようやく、私の執筆魂が帰ってきたかもしれません。グダグダにならないように気を付けようと思っています。最近はFGOのイベがまた始まり、大変な時期だと思います。素材集め頑張っていきましょう。
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