ゾイドグラフィックス戦記   作:ロイ(ゾイダー)

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ゾイドグラフィックス戦記 ゴドス編

ゴドス編

 

ZAC(ゾイド星暦) 2030年 中央山脈 国境地帯 

 

 

険しい山肌にへばり付く様にして岩だらけの地面を3機の小型ゾイドが歩んでいた……いずれも直立二足歩行恐竜型でそのシルエットは、共和国軍の誇る恐竜型大型ゾイド RBOZ-003 ゴジュラスに酷似していた。

 

そして3機ともそれぞれ異なる特徴を持っていた。先頭の機体は、頭部コックピットが他の2機と異なり、共和国軍共通規格のものではなく大型のものに換装され、背中からは指揮官機用のアンテナが騎士の馬上槍のように伸びていた。

 

その後ろの機体は共和国軍共通規格コックピットである以外は先頭の機体と相違点はなかった。

 

そして最後尾の機体は、頭部コックピットのキャノピーに他の2機に比べ両腕が大型化され、その先端のクローは月明かりを浴びて黒光りしていた。

 

「全機、機体のコンディションは完璧か?」

 

先頭の機体、ゴドス1番機に乗るダン・ロックウッド中尉は部下に尋ねた。

 

「こちら、グレイ 異常ありません。」

 

 

2番機のグレイ・ロンバーグ少尉が答える。

 

「同じく異常なしだ…しかし隊長さんよぉ…」

 

「どうした?」

 

「本当にこんな所に帝国の基地なんてあるのかよ?」

 

3番機のボブ・マクライト少尉が質問する。

部隊内で一番年上の彼は、隊長のダンよりも実戦経験豊富だった。彼の額の斜め傷は、見るものに凄みを与えていた。

 

「偵察隊の高性能センサー付きのグランチュラが確認しているんだ。確実な情報だ。」

 

クモ型小型ゾイド グランチュラは、8本の脚による高い安定性から複雑な地形の多い中央山脈では偵察用に重宝されていた。

 

彼ら…アンバー試験小隊は、次期主力小型歩兵ゾイド ゴドスの実戦テストの為に中央山脈での作戦に参加していた。

 

彼らの乗機 ゴドスは、ガリウスやエレファンタス等のフレームがむき出しになっている従来の共和国小型ゾイドとは異なり、脚部やゾイドコアの内蔵された胴体等バイタルパートが新開発の特殊合金製の装甲板で覆われている等防御力が強化されていた。

 

10分程、険しい山道を進軍していた3機であったが、先頭のダンのゴドス1番機が歩みを止めた。後方の2機もそれに続く。

 

「ついたぞ…あれが目標だ。」

そう言うと彼は、自機の左マニュピレーターで谷底を指差し、同時に自機のセンサーからの映像を部下の機体に転送する。

 

「…これは!」

「…!」

転送された映像をみたグレイとボブは、驚愕した。

 

映し出された谷底の映像には、不鮮明ながら明らかに人工物と思われる物体と幾つかの光が確認できた。

 

その正体は、谷底にゼネバス帝国軍が建設した基地であった…中央大陸を東西に二分する中央山脈の険しい地形は、両軍の大規模な進軍を困難にしていた。

 

それは双方が地球人の技術協力によって兵站を強化された今日においても変わることは無かった。

 

一部の大部隊による例外的な攻勢を除けば、戦闘の多くは小型ゾイド中心の中小部隊規模の小競り合いが中心であった。その為両軍ともに中小部隊用の補給基地を建設していたのである。

 

「…恐らく3日前、第5小隊とやりあった奴らの拠点だろう…」

「どうします隊長? あの規模だと最低でも10機は整備可能です。」

 

辛うじて見える基地施設の影からグレイは敵の基地の規模を推測する。

 

「…俺達の機体は、次期主力量産機候補の試作機だ。我々の成果次第で共和国の未来が変わるといっても過言ではない…各員の奮闘に期待する。」

 

「「了解!」」

 

「(きっとこの機体ならやれるはずだ!)」

 

グレイは、心の中で自分を奮い立たせた。

彼は、以前メガロサウルス型小型ゾイド ガリウスで帝国軍と交戦し、所属していた部隊が二度も壊滅の憂き目にあった経験を持っていた。

 

そして彼は、現状の共和国ゾイドの火器で特殊装甲で覆われた帝国軍のゾイドを倒すことは、ほぼ不可能であることを痛感していた。

 

だからこそ、彼は、このゴドスのテストパイロットに志願したのである。

 

「……まず、ロングレンジガンで弾薬庫を叩く!どんな強力なゾイドも弾薬が無ければ、半分無力化したも同じだ。」

 

3機のパイロットは、ゴドスの腰部に装備されたロングレンジガンのトリガーを引いた。

直後、発射された6条のビームは闇夜を切り裂いて基地の弾薬庫を直撃した。

 

その攻撃は、内部に溜め込まれた弾薬を誘爆させた。

 

本来ならヘリック共和国軍のゾイドや兵士を攻撃するはずだった弾薬が帝国軍の基地で炸裂し、鮮やかなオレンジの炎が吹き上がる。

 

 

 

「全機突撃!いくぞ!」

 

 

先頭に隊長機のダン機、右に2番機であるクレイ機、左に3番機のボブ機が並ぶ。

 

即座に鏃隊形を形成し、半ば前傾姿勢で3機のゴドスは、基地に向かって突撃した。

 

この時、基地のゼネバス帝国軍は、突然の攻撃に混乱しており、一部の兵士は単なる爆発事故だと思っていた者もいた。

 

混乱の中、難なく基地内に突入したゴドス3機は、腰部のロングレンジガンを乱射した。

狙いもでたらめな攻撃だが、敵基地の中で撃つのだから効果は覿面だった。

 

基地の施設の至る所で爆発や火災が起こり帝国兵が逃げ惑う。

 

帝国軍も敵が侵入したことに気付くと即座に迎撃部隊を出撃させた。次々と格納庫から兵士とゾイドが飛び出す。

 

最初に現れたのは、背中にミサイルポッドを載せた痩身の二足歩行恐竜型だった。

 

「マーダか!」

 

マーダは、中央大陸西部に生息するオルニトレステス型ゾイドを素体として開発された小型ゾイドでその健脚は450キロという陸戦ゾイド最高の速度を叩き出すことが出来、その高速性を活かして偵察機や連絡機としても運用されていた。

 

背中のミサイルポッドは威力こそ低いが、高い誘導性能を誇り、軽装甲の共和国小型ゾイドには脅威となっていた。半包囲したマーダ6機の頭部装甲式コックピットの細長いキャノピーから赤い光が漏れる。

 

一瞬ダンの目には、それが、敵兵士の敵意の具現の様に見えた。

 

「吹っ飛べ!」

 

マーダが攻撃を仕掛けるより早くボブのゴドスがロングレンジガンを放った。だが、その攻撃は、マーダではなくその後ろの燃料タンクを狙ったものだった。

 

直後、タンクは大爆発を起こし、誘爆した施設の破片が無数のナイフとなって周囲に存在する物体に襲い掛かった。

 

それは、軽装甲のマーダにとって致命的であった。無論ゴドスにも破片は襲い掛かったが、強化された装甲が弾いていた。

 

一方破片の驟雨を受けたマーダ6機は、いずれも速度性能が低下する程の損傷を負った。

 

中には、その細長い脚を叩き斬られて無残に横転している機体もいたほどであった。

 

いかに神速を誇るマーダも足を傷付けられてはその神速を発揮することは不可能である。

 

「落ちろ!」

 

クレイはすかさず真ん中のマーダにトリガーを引いた………ビームを受け、右脚が吹き飛んだマーダは崩れ落ちた。

 

「これで、4機目!」

 

ダンのゴドスがストライククローでマーダを撃破する。最後のマーダは、パイロットが機体を乗り捨てたことで無力化された。

 

「へっ臆病者が!」

 

それを見たボブが大声で嘲笑う。

 

「油断するな!次が来るぞ!」ダンのその言葉を肯定するかのように土埃を舞い上げ、3機の芋虫型ゾイドが現れる。

 

「モルガか!厄介だなっ」

 

土煙を上げて向かって来る敵機の姿にボブは、舌打ちする。

 

ゼネバス帝国の国民の多数を占める民族 地底族が使役している昆虫型ゾイドをベースに開発された小型ゾイド モルガは、大型ゾイドに匹敵する頭部装甲と低い全高と相まって高い生存性を誇っていた。

 

そしてこの機体は、戦闘だけでなく、作業用にも使用されていた。この3機は、この基地の設営用に配備されていた機体であった。

 

モルガ3機は、頭部側面に2門ずつ装備された20㎜ガトリング砲を連射しつつ、ゴドス3機に突撃する。

 

「こいつら!」

 

ゴドス3機は、ロングレンジガンで迎撃する。だがそれは大型ゾイドに匹敵する頭部装甲を持つモルガの前では、命中した部分を少し焦がしただけだった。

 

「グレイ!ボブ! 側面に回り込め!」

 

ダンは、部下に指示を出す。

モルガの側面部は頭部装甲程は厚くはなく、また駆動系が一部露出していた。

 

その為、共和国軍では、モルガの対処法として側面攻撃が推奨されていた。

 

「了解っ!」

 

「おう!」

 

クレイは、モルガの体当たりを寸前で横に飛んで回避し、モルガの無防備な側面に攻撃を浴びせた。

モルガの赤い車輪の付いた側面部に突き刺さる。

 

直後、其処から煙と青白い稲妻が走り、小爆発が起こった。

 

機関部を撃ち抜かれたモルガは、後方の倉庫に突っ込み動きを止めた。

その近くでは、ダンの指揮官機に突撃したモルガが、同様に側面に攻撃を受けて撃破されていた。

 

しかしボブは、回避せず、正面から大型化されたストライククロー…メガクローを叩き付けてモルガを撃破した。十分に加速が付いた特殊金属製の爪の直撃を受けたモルガの頭部は完全に粉砕されていた。

 

次に現れたのは、ブラキオサウルス型小型ゾイド ザットン1機とディメトロドン型小型ゾイド ゲーター2機であった。

 

前者は輸送・補給用、後者は、電子戦・強行偵察用、どちらも本格的な戦闘用の機体ではない。

 

「こんな機体でこのゴドスの相手になるかよ!」

 

 

ボブは大声で叫ぶとゴドスのスロットルを最大に引き上げて突進した。

 

ゴドスの最高時速は、150キロ。前世代機のガリウスの280キロには劣るものの、パワーアシストと強化された関節部、素体となったアロサウルス型ゾイドの持つ強靭な脚力と相まって持久力に優れていた。

 

 

「悪く思うなよ!」

 

敵機からすれば文字通り瞬く間に肉薄したゴドスは、3機に襲い掛かった。

 

他の2機の同型機よりも大型化されたクローが、後退しようとしたザットンの細い首を引っ掴み、千切り捨てた。

 

直後、鮮血の様にオイルがザットンの首筋から噴き出した。

 

ゲーター2機はビームガトリングを乱射した。だが、軽装甲の従来の共和国ゾイドや歩兵には有効なその火器も十分に装甲が施されたゴドスの前では全て弾き返された。

 

「落ちろ!」

 

即座にゲーター2機は、グレイとダンのゴドスにロングレンジガンを撃ち込まれて大破した。

 

「これで最後か?」

 

次の瞬間、廃墟と化した基地施設の陰から砲弾がボブのゴドスに命中した。

 

 

背部バックパックを吹き飛ばされた彼のゴドスはその場に崩れ落ちた。

 

「ボブ!」

 

ダンのゴドスが背後の倉庫に倒れ込んだ彼の機体に接近しようとした。

 

だが、砲弾が2機の間に着弾し、ダン機の目の前に爆炎が立ち上った。

 

クレイとダンは、即座に砲撃の来た方向を見た。

 

2人の視線の先……燃え盛る監視塔と格納庫の瓦礫を押しのけ、重火器を背負った鋼鉄の獣が姿を現した。

 

そのゾイドは、ゴドスやマーダと異なり、4足歩行で尾で短かった。

 

太い胴体は、特殊合金製の装甲で覆われ、その背中には、戦車のそれと酷似した長砲身の旋回砲塔が載っていた。

 

 

頭部は、帝国軍小型ゾイドの共通コックピット、更にそれを守る様に四角形の砲口を持つ砲が2門、角の様に伸びていた。そしてその前身は、砂漠の景色に同化しやすいデザートイエローに塗装されていた。

 

「ゲルダー…改造型!」

 

グレイは、突如現れた新手に驚いた。

 

「パイロットは、この基地の司令官だろうな…」

 

指揮官のダンが歯噛みしつつ呟く。

 

まだ地球人からの協力が両陣営共に技術中心であったこの時期、将軍や指揮官が前線で一般兵と共に戦うことも日常茶飯事であった。

 

また地球の中世ヨーロッパの王侯や貴族が戦場に赴く時に全身を鉄の鎧で固め、体格のいい馬に乗った様に、彼らは、大型機や新型機に優先的に搭乗していた。

 

その為、最も強力なゾイド、重武装のゾイドが指揮官機であるとダンが推測することは容易かった。

 

トリケラトプス型小型ゾイド ゲルダーは、レッドホーン、モルガと並んでゼネバス帝国軍の攻撃部隊の先頭を務め、その重装甲と火力で共和国軍の兵士を恐怖させていた。

 

更にこの機体は、ゲルダーの重武装改造機 ヘビーゲルダーであった。

 

ヘビーゲルダーは、追加装備の背部旋回砲塔を右に旋回させると、その方向にいるゴドス2機めがけて砲撃した。

液体爆薬によって加速された特殊合金の矢が高速で2機に迫る。

 

ゴドス2機は、何とかそれを回避した。

 

2機の間を高速で通過した砲弾が後方の半壊した施設に激突して爆発した。

 

背後で起ったオレンジの炎が2機のゴドスを赤く照らした。

 

「グレイ!こいつに火力で挑むのは自殺行為だ。基地施設内に向かうぞ!」

 

ダンは、基地施設を盾にすることでヘビーゲルダーの火力を封じようとしていた。

 

ヘビーゲルダーの大火力は、新型機であるゴドスをも破壊可能な威力を持っていたが、同時に味方の施設を破壊してしまう危険性もあった。

 

 

 

「隊長!ボブ少尉はどうするんですか?まだ彼は生きてますよ!」

 

ボブのゴドス3番機の頭部を赤外線センサーで確認したグレイが言う。

 

「今は、奴を撃破することが先決だ。俺達まで撃破されたら元も子もない!」

 

ヘビーゲルダーが再び砲撃した。

 

ゴドスの周囲に着弾、爆発が巻き起こり、コンクリートとその下の遥か昔に冷え固まった溶岩で出来た黒い硝子質の土が舞い上がる。

 

2機のゴドスは、脚部の跳躍力を全開にして後方にジャンプした。

 

2機の着地と同時にヘビーゲルダーの2本の角…電磁砲が火を噴いた。

 

2機のゴドスは溜らず、格納庫の陰に隠れた。ヘビーゲルダーは、マグネッサーシステムを作動させ、追撃する。

 

ヘビーゲルダー4本の脚が地面から離れ、重い機体が、地面より少し上に浮かんだ。

 

惑星Ziの地磁気との磁気反発を利用したこのシステムは、サラマンダー等の飛行ゾイドの推進システムやマーダ等の高速ゾイドにも備わっていた。

 

このヘビーゲルダーは、障害物突破用や不整地対策としてマグネッサーシステムを搭載していた。

 

大地を滑る様に移動するヘビーゲルダーは、基地施設を盾にする2機の敵機めがけてかまわず発砲する。

ゴドスの周囲に火柱が幾つも沸き立ち、攻撃の余波を受けて基地施設が次々と爆発した。

 

「狂ってやがる。」

 

友軍の施設をも巻き込む猛攻撃にダンが毒づく。

 

ヘビーゲルダーは、砲塔を旋回させ、グレイのゴドスを狙って砲撃する。レーザー照射警報と同時にヘビーゲルダーの背中でオレンジ色の爆発の華が咲いた。

 

「砲撃!」

 

その直後、グレイのゴドスを砲弾が掠めた。猛火の如き砲撃を浴びせてくるヘビーゲルダーの前にゴドス2機は、回避することしか出来ない。

 

時折、ゴドス2機がロングレンジガンで応射する。

 

だが、その攻撃は、ヘビーゲルダーの装甲に全て弾き返される。

 

「なんて火力だ。」

 

やがて回避を続けていた2機は、先程ボブのゴドスが撃破された格納庫付近に戻っていた。ボブのゴドスは、先程同様に原形をとどめた状態で倉庫にもたれ掛っていた。

 

「もう逃げ場は、無いぞ!共和国の手先め!」

 

ヘビーゲルダーのパイロットは、自らの勝利を確信していた。

 

ヘビーゲルダーの正面モニター…そこには、周辺の敵味方のゾイドの位置を表示する光点が映し出されていた。敵機を表す赤い光点は2つ。その時、モニターの光点が一つ増えた。

 

「何!」

 

驚愕するヘビーゲルダーのパイロット、機能停止した筈のボブのゴドスが立ち上がったのを見た。この時、ヘビーゲルダーは、ボブのゴドスに対して側面を曝す形となっていた。

 

「死に損ないが!」

 

ヘビーゲルダーのパイロットは、砲塔を旋回させ、損傷したボブのゴドスを迎撃しようとする。

 

「食らえ!」

 

それよりも早くボブのゴドスが腰部ロングレンジガンを発砲した。

 

1発は、ゲルダーの装甲板に弾かれたが、もう1発は、見事に側面の機関部……マグネッサーシステムの増幅装置を撃ち抜いていた。

 

「しまった!」

 

マグネッサーシステムを突如破壊されたヘビーゲルダーは、浮力を失って落下する。

ヘビーゲルダーは、地面に叩き付けられると、横転しそうなほど傾いた。だがゲルダーのパイロットは小規模とはいえ、基地を任され改造機を与えられているだけの技量はあった。

 

即座に傾きの反対側の地面に旋回砲塔を発砲し、反動を利用して横転を回避した。

体勢を立て直したヘビーゲルダーは、ボブのゴドスに旋回砲塔を向け、至近距離で発砲する。

 

細長い砲身の先端で炎が花開き、高速徹甲弾が飛び出す。

 

ボブのゴドスは、寸前で攻撃を回避すると、大型クローで砲塔の先端部を掴み、細長い砲身をへし折った。

 

「止めは任せたぞ!」

「わかった。グレイ、援護を!」

「了解」

 

グレイのゴドスがロングレンジガンで援護する。

 

ゲルダーは、角の電磁砲で迎撃する。だが、ボブのゴドスが横からヘビーゲルダーを抑え込み射撃を妨害した。

 

ゲルダーの電磁砲は、ゴドスの装甲に打撃を与える威力を持っていた。

だが射角が安定せず、その攻撃は、ダンのゴドスの周囲に着弾しただけだった。

 

「食らえ!」

 

接近したゴドスの強靭な脚から繰り出された一撃がヘビーゲルダーの頭部に炸裂した。

 

直撃を受けたゼネバス帝国小型ゾイド共通の装甲式コックピットは一瞬で拉げ、ゴドスのつま先が胴体にめり込み、内部機関を破壊していた。

 

頭部を粉砕されたヘビーゲルダーは、その場に崩れ落ちた。

直後、そのヘビーゲルダーは内部機関が誘爆し、爆発炎上した。

 

「大丈夫か?」

 

損傷したボブのゴドスに2機のゴドスが接近した。

 

「ああ、左肩が吹き飛んじまったが、こいつも俺もまだやれるぜ!」

 

被弾時に頭を打ったのか、額から血を流しながらもボブは、左腕を振り上げ、気丈そうに笑みを浮かべた。

 

「……まさか試作機までいたとは…観測隊によれば、二週間は、磁気嵐が吹き荒れるそうだから当分は連中も気づくことはないだろう」

 

「へへっそりゃ…ゼネバスの連中にこの景色を見せてやれないのが残念ですね」

 

彼らの眼の前で帝国軍基地は、戦闘の影響で物資が誘爆したのかまるで活火山の如く燃え盛っていた。

 

「全員!撤収するぞ!」

 

「「了解!!」」

 

基地機能が完全に失われたことを確認した隊長は、撤収命令を下した。

 

「やったのか…これでこの機体の有効性が証明出来た。」

 

燃え盛る炎を見つめ、グレイは自分に言い聞かせる様に呟いた。

 

奇襲とはいえ、3機で新型を含む15機の帝国ゾイド撃破を達成したことは、ゴドスがゼネバス帝国の主力量産機と互角以上に渡り合える性能を持った機体であることの何よりの証明となるはずだった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

その後、数回の実戦を経たのちにゴドスは、生産性と整備性から頭部コックピットを民間機にも広く出回っている共和国共通規格型に変更する等の仕様変更がなされたのち、正式にRMZ-11 ゴドスとして主力歩兵ゾイドとして採用された。

 

なお、格闘戦特化型、通称 メガクローカスタムは正式採用は見送られ、エースパイロット向けに少数生産されることとなった。

 

ゴドスはサソリ型小型ゾイド ガイサックと共に共和国軍の数的主力として各戦線に投入され、その基本性能の高さを如何なく発揮した。

 

前線では、味方の共和国軍の兵士には小型ゴジュラスと称えられ、対する帝国軍兵士からは恐竜の殺し屋と恐れられた。

 

その後、帝国軍が鹵獲したゴドスや戦場から回収した残骸を分析し、ゴドスに対抗してイグアノドン型歩兵ゾイド イグアンを投入、更にゴリラ型歩兵ゾイド ハンマーロックを投入すると小型ゾイドでのゴドス無敵神話は崩壊した。

 

 

それでもゴドスは、度重なる改良と共和国の国力に支えられた物量で主力歩兵ゾイドとして第一次中央大陸戦争を戦い抜いた。

 

2年後、ニクス大陸で戦力を回復したゼネバス軍のバレシア湾上陸によって第二次中央大陸戦争が勃発した際もゴドスは数的主力として前線に立ったが、ゾイド開発競争による性能の旧式化は否めなくなっていた。

 

そして2047年、後継機としてアロサウルス型歩兵ゾイド アロザウラーが就役したことから徐々に最前線を退いていった。

 

 

 




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