ゾイドグラフィックス戦記   作:ロイ(ゾイダー)

6 / 10
ゾイドグラフィックス戦記 プテラス編 後編

タリオニス空軍基地のブリーフィングルームにプテラス飛行隊のパイロット全員が集められ、迎撃作戦のブリーフィングが行われ、各飛行小隊の配置や攻撃の順番等が決められた。

 

数時間のブリーフィングが終わった後、基地司令官は、格納庫の1つで、パイロット達と整備兵達に対して訓示を行った。

 

 

 

 

「明日にも、ゼネバス帝国軍は、この基地を破壊すべく空軍の大部隊を送り込んでくる。だが、私は、そのことについて全く恐れてはいない!なぜならこの基地には、真の空の戦士である君達と最新鋭機のプテラスによって守られているからだ。明日の戦いで、にわか仕込みの空軍しか持てぬゼネバス軍に本当の飛行ゾイドの戦い方という物を教えてやれ!」

 

 

鳥族の神官の家系の出身だというその長身の将校は、話し終えると目の前に立つ兵士達に向けて敬礼した。

 

パイロットと整備兵達も一斉に起立し、彼に敬礼を返す。

 

敬礼が終わると、格納庫に集められた集団は2つに分かれた。

 

 

パイロット達は、宿舎へと眠りに就くために、作業着の整備兵達は、明日の空戦に向けて基地の格納庫に並ぶプテラスの整備作業を開始した。

 

宿舎に向かう途中、最後尾にいたケイとレイモンドは、何度も後ろを振り返った。

パイロット達の中で、最も早く睡眠状態に突入したのは、指揮官であるグレンであった。

彼は、ベッドに入ると瞬く間に眠りに落ちた。次にバークレイとレイモンドが眠りに就く。

 

レイモンドは、緊張の余り疲労していたのである。対照的にケイは、中々眠ることが出来なかった。

 

「ケイ、眠れないのか?」

 

「はい。ビューフォート少尉。整備の人たちがまだ作業しているのに…」

 

「だからこそ寝るんだよ新米。整備の奴らは、夜が仕事の時間なのさ。寝ない方が整備班の皆に失礼だ」

 

今度は、後ろのベッドのマックスウェル中尉が言う。

 

「パイロットは、休むのも仕事の内だ。俺達に出来るのは、明日の空戦で敵を叩き落して整備の連中が昼間に枕を高くして寝れる様にすることだけだ。その為にも今は休息を取れよ」

 

「…わかりました」

 

ケイは、なるべく早く眠れる様に自分の頭の上まで毛布をかぶった。

 

 

 

 

 

 

朝、タリオニス基地は、昨日の夜の喧騒とは真逆の静かな状態となっていた。

 

徹夜でプテラス隊のチェックを行った整備兵達は、滑走路に並んだ機体を誇らしげに見つめていた。

 

疲れ果てた彼らの視線の先…滑走路には、敷き詰められた石畳の石の様にダークブルーの機影が所狭しと並んでいる。

 

このタリオニス空軍基地の保有するプテラス全機の内出撃可能だと判断された機体の全てがその場にいた。

その数28機、数では、事前偵察で確認されたシンカー部隊の56機に劣っている。

 

だが、プテラスにはサラマンダー・ブラックバードからの索敵情報と管制という頼もしい味方がある。

 

プテラスは次々と両翼のマグネッサーシステムを始動させ、青い翼を輝かせて浮かび上がる様に飛び立っていった。

 

 

プテラスの改良型マグネッサーシステムによるVTOL(垂直離着陸)能力がこの滑走路に依存しない離陸を可能としていた。

プテラス以前の空軍の主力であるペガサロスでは、この様な迅速な上空への展開は不可能だっただろう。

 

 

第1小隊と第4小隊、第5小隊は、敵の編隊の予測進路上に展開し、防衛線を張る。これらの部隊が、サラマンダー・ブラックバードの索敵情報を元に敵編隊に襲い掛かることになる。

 

早期警戒機のサラマンダー・ブラックバードからの情報を生かす作戦だ。第3小隊のプテラス6機は、第2小隊と共に滑走路上空の防衛の任務に就いた。第2小隊は、3日前の損害から回復しきっておらず、数は、4機である。

 

この2つの小隊は、それぞれ新米パイロット2名を抱えていることと数で劣っている為、基地上空の防空に回されたのである。

 

プテラス隊の約半数以上がシンカーの迎撃に飛び出して数分後、双方の戦端が開かれた。

突如、いくつもの火球が膨れ上がり、青空を照らした。

 

 

それはミサイルを食らったシンカーの断末魔の閃光であったが、それに気付く術は無かった。

 

次に細長い黒煙を出しながら黒い点の様な物体が地上に墜ちていく。

 

「爆発した!」

 

「俺達の担当空域にも来るのか…」

 

ケイとレイモンドは、戦闘の光と煙を不安げに見つめている。

 

「俺達で守り切れるのか……」

 

ケイの頭に渦巻き始めていた不安が思わず音声となってコックピットに響く。

 

「お前ら、気持ちは分かるが、基地を守るのが一番だ。俺達の出番がないのが一番いいんだからな」

 

プテラス4番機のロバート・ビューフォート少尉が2人の新米パイロットに言う。

 

「そうだぞ。落ち着いて待機するんだ。」

 

「ケイ、レイモンド、地上の目標をお前らは、潰してきた…空中の敵にも訓練通りにやればいける。お前ら1人で敵機と戦うわけじゃない」

 

「チームプレイってことだ」

 

「はい!」

 

「11時方向より敵機18機接近中、約3分で第4エリアに到着する模様、第2小隊 第3小隊は、迎撃に迎え」

 

 

遥か上空を飛ぶサラマンダー・ブラックバードから通信が入った。

 

今日は快晴の為、磁気嵐による電波障害の心配はなかった。

 

第4エリア…それは、基地上空の周辺の空域に与えられた名称である。

 

 

 

 

「18機!」

 

「俺達の倍近くも来るのか…」

 

空戦経験が無いケイとレイモンドは、その報告を聞いて思わず、心中の驚きを音声化した。

 

「的が多いと思えばいい!それに相手は爆装してるから動きが鈍い筈だ。」

2人の新米パイロットとは対照的に実戦経験が豊富な指揮官のグレン大尉は、冷静に敵機を分析する。

 

他の3人の部下もシンカーを相手にした空戦の経験を持っている為、冷静である。

 

「見えたぞ!」

 

約1分後、彼らの視界に空を飛ぶ銀色に光る物体が見えた。その数は、少なく見ても10機確認できた。機種は、ゼネバス帝国軍の現状唯一の量産飛行ゾイド エイ型飛行ゾイド シンカーである。

 

シンカーは、水中での運用も可能で、水中を航行することで純粋な飛行ゾイド以上の航続距離を手にしていた。

 

また敵地の寸前の海面から空中に発進しての奇襲攻撃は共和国軍を苦しめた。

 

 

素体である野生ゾイドが元々飛行ゾイドではない為、空戦性能では、速度では劣っていたが、重装甲と大火力で共和国軍のペガサロスを圧倒した。

 

このプテラスが開発されたのもこのシンカーの水中と空中の両面からの奇襲攻撃で本土の安全を脅かされたからである。

 

 

「こちら第2小隊!先に仕掛ける。第3小隊は、止めを頼む」

 

「了解した」

 

「第2小隊全機 ミサイル発射!」

 

第2小隊のプテラス4機が、シンカー部隊に向けて背部の対空ミサイルを発射する。

 

 

対空ミサイルの直撃を受けたシンカーが次々と上空で砕け散る。

胴体にミサイルを受けたシンカーは、空中で火球となって燃える破片を撒き散らし、翼の付け根に命中した機体は、片翼だけを残して墜ちていく。

 

直撃を受けず、至近距離での爆発を受けたシンカーも、無事ではいられず、無視できない損傷を受けた。中には、搭載していた爆弾が誘爆して粉々になったものもいる。

 

目標たるタリオニス空軍基地の姿を見る前にシンカー部隊は、3分の1の戦力を叩き落された。

 

シンカー部隊は、元の高度を維持する編隊と低高度の2つに分かれた。対するプテラス10機も二手に分かれる。

 

低高度の編隊は、第2小隊が、元の高度を飛ぶ編隊には、第3小隊が襲い掛かる。

 

2つのシンカー隊は、尚も進撃を継続する。

 

爆装したシンカーは、編隊を維持してプテラス隊の迎撃を避ける様に飛行する。逆に爆装したシンカーの護衛のシンカーはプテラスに向かって来る。

 

護衛機のシンカーは、爆装型と異なり、ロケットブースターの推力が強化されていた。

だがプテラスの飛行性能は、シンカーを遥かに上回っていた。

 

もとより空を飛びまわる翼竜型を素体としたプテラスと水上を滑空することしかできない程度の飛行能力しかないエイ型を素体とし、地球人から導入されたパワーアシスト、ロケットブースター等の技術で無理に飛行能力を与えられたシンカーとでは、飛行ゾイドとしての質が違った。

 

意気揚々とプテラスに立ち向かったシンカーは、プテラスに次々と返り討ちにされ、眼下に広がる中央山脈の岩肌へと真っ逆さまに墜落していった。

 

「当たるか!」

 

 

グレンのプテラスは、背後から襲い掛かるシンカーの加速ビーム砲を回避すると、機体の運動性を生かし、急旋回でシンカーの後ろを取った。

 

「逃げられるかよ!」

 

グレンのプテラスは、20mmバルカン砲を連射する。シンカーの背中に次々と機銃弾が突き刺さった。

 

回避運動に入ることも出来ずにシンカーは、背中の被弾箇所から黒煙と炎を上げながら、墜落して行った。

 

同じ頃、ケイのプテラスは、1機のシンカーを追い回していた。

 

「当たれ!当たれ!」

 

ケイは、20mmバルカン砲でシンカーに銃撃を浴びせる。

だが、シンカーは、機体を横滑りさせて機銃弾を回避する。既に数発がシンカーのボディに命中していたが、重装甲のシンカーに致命打を与えるには至らない。

 

「ミサイルで!近すぎるっ」

 

ケイは、20mmバルカン砲よりも威力の高い対空ミサイルを使用しようとする。

対空ミサイルならシンカーを一撃で撃墜することが可能である。

 

だが、ミサイルは発射されなかった。ミサイルを発射するには、余りにも距離を詰め過ぎていたのだ。

それに気付いたケイは、機体を減速させた。

 

シンカーとの距離が開き、ミサイルの目標への照準合わせが可能になったことを示す警報がコックピットに鳴り響くと同時に、ケイは、対空ミサイルの発射ボタンを押した。

 

プテラスの背部から勢いよく発射されたミサイルは、シンカーへと突っ込んでいく。

 

ケイの見ている眼の前で、彼の発射した対空ミサイルがシンカーの左のロケットブースターに命中した。

 

ロケットブースターが爆発し、シンカーの左翼が根元から吹き飛んだ。

 

左翼を失ったシンカーは、黒煙を吹き上げながら眼下の山岳地帯へと墜ちていく。

 

 

「やった!」

 

ケイは、コックピット内で大声で叫んだ。彼が実戦で空を飛ぶターゲットを撃墜したのは、これが初めてだったのだ。

 

次の瞬間、真後ろで爆発が起こった。何事かと彼が振り返ると火達磨になったシンカーが錐もみ状態で墜落していくのが見えた。

 

「ケイ、1機落したからって油断するな!」

 

バークレイが怒鳴る。

 

ケイは、即座に理解した。彼がシンカーを最初の空中戦での敵機撃墜を喜んだのと同時に低空からシンカーが彼の機体の背後に回り込んでいたのである。

 

それに気付いたバークレイが咄嗟にシンカーを撃墜したことで彼は難を逃れたのだと。

 

もし彼が、背後のシンカーを撃墜していなかったら、ケイは、最初の敵機撃墜を喜びながら、自身が撃墜されていただろう。

 

「すみません!」

 

自分の愚かさを認識した彼は、助けてくれた上官に感謝と謝罪を込めて言う。

 

 

「おう!次は自分の為にもこんなへまするなよ。この混戦じゃ、早期警戒機からの警報も当てにできねえ」

 

「はい!」

 

気を取り直し、ケイとプテラスは、次なる敵機を追い求めた。

 

「当たれ!」

 

レイモンドのプテラスが1機のシンカーを対空ミサイルで撃墜する。被弾箇所から真っ二つに切り裂かれたシンカーが空中で砕け散る。

 

ケイのプテラスは、自分の横を掠めたシンカーに狙いを絞る。

 

接近し、20mmバルカンをシンカーに撃ち込む。20mm弾を受け、シンカーの装甲板がはじけ飛ぶ。

 

シンカーは、機体を左右に揺らして回避を図るが、双方の運動性能の差は残酷過ぎた。

 

その時、ビューフォートのプテラスが、下から襲い掛かる。

 

彼のプテラスは、シンカーの下腹へと銃撃した。右のロケットブースターに被弾したシンカーは、燃料の白い煙を噴き上げて、降下していく。

 

「やったぞ!ケイありがとよ。」

 

彼らの見ている前で、シンカーは、燃料が引火したのか爆散した。

 

 

 

 

第3小隊と第2小隊のプテラスの猛攻を受けて、18機いたシンカー部隊は、2機まで減らされ、その2機はグレンのプテラスが追撃している。

 

 

彼と彼のプテラスが追跡する2機のシンカーは、他のプテラスの迎撃を掻い潜り、タリオニス空軍基地の滑走路に接近していた。

 

翼下には、ホーミング魚雷の代わりに地上攻撃用のクラスター爆弾を4発抱えている。

 

もし、滑走路や建設中のカタパルトが破壊されることになれば、今後の作戦にも支障を来すこととなる。

何としても撃墜する必要があった。

 

「行かせるかよ!」

 

後ろにいたシンカーにグレンのプテラスは、胴体のバルカン砲を叩き込む。

 

胴体に被弾したシンカーは、被弾箇所から火を吹き上げながら墜ちていく。

 

同時に、プテラスのコックピットに警報が鳴る。それは、プテラスの胴体部のバルカン砲が弾切れを起こしたことを教えていた。

 

「ちっ」

 

舌打ちするグレン。弾薬が残っている頭部の機関砲では、シンカーの重装甲を撃ち抜けない。

 

「あまりやりたくないが…」

 

グレンは、プテラスのスロットルを一気に引き上げる。

 

プテラスのゾイドコアから両翼のマグネッサーシステムにエネルギーが流れ、プテラスの速力を増大させる。

 

加速したプテラスは、シンカーと接触するのではないかと思う距離にまで迫った。

 

「食らえ!」

 

グレンのプテラスは、両脚をシンカーの背部装甲に叩き付けた。

 

プテラスの陸戦ゾイドに匹敵する強靭な脚は、格闘兵器としても使用可能である。

だが、それは、一歩間違えば敵機との衝突にもなりかねず、使用されることは希だった。

 

プテラスに蹴り飛ばされ、操縦不能に陥ったシンカーは、滑走路手前の鋭く尖った黒い岩肌に激突。

 

シンカーの残骸からオレンジ色の爆炎が吹き上がった。

 

1分後、各空域合わせて半数以上の機体を失ったシンカー隊は各空域から退却していった。

 

 

更に数分後、各空域を担当したプテラスが帰還した。基地の通信網を共和国兵達の歓声が満たした。

彼らは、自分達の巣を守り切ったのである。

 

 

ゼネバス帝国空軍は、中央山脈のタリオニス空軍基地を破壊し、本土防空の要である対空警戒部隊への脅威を排除すべく、シンカー56機で編成される爆撃部隊を送り込んだ。

 

だが、早期警戒機のサラマンダー・ブラックバードの支援を受けた半数以下のプテラス隊によって阻止された。

 

爆撃部隊の半数以上を喪失した帝国側に対して共和国側は、損傷機4機、プテラスを2機を喪失しただけで、戦術的にも圧倒的勝利といえた。

 

この勝利には、サラマンダー・ブラックバードにより、タリオニス空軍基地の航空隊が、敵航空部隊の針路、位置を把握していたこともあるが、飛行ゾイド プテラスの性能も大きかった。

 

従来のペガサロスでは、戦力的にシンカーを圧倒することは出来ず、更にVTOL性能を有するプテラスの様に短期間で迅速に出撃することも出来ない為、滑走路上で撃破されていた可能性もあったからだ。

 

空での勝利を得た青い翼竜達は次々と灰色の強化コンクリートの地面に降り立ち、パイロット達がそれに続く。

 

地に足を付けた彼らを滑走路に待機していた整備兵達が歓迎した。

 

整備兵達に囲まれ、歓待を受けるパイロット達の中には、1週間前新米パイロットだったケイとレイモンドの姿もいた。

 

 

………彼らはもう雛鳥ではなく、一人前の猛禽であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翼竜型飛行ゾイド プテラスは、ZAC2034年、共和国軍が、帝国軍の飛行、水中ゾイド シンカーに対抗する為に開発されたゾイドである。

 

プテラスは、サラマンダーの量産型として研究されていた飛行ゾイドの設計とゴドスのフレームを流用し、開発された飛行ゾイドで、サラマンダーのマグネッサーウィングを参考にした改良型マグネッサーウィングと陸戦小型ゾイドに匹敵する強度の脚部によって垂直離着陸を可能とした。

 

またパイロットの生残性を考慮し、同時期に開発されていた蛇型小型ゾイド スネークスにも採用された分離して単独飛行が可能な新型コックピットを採用した。

 

垂直離着陸能力と優れた速力、火力を有するプテラスは、シンカーを迅速に迎撃し、帝国軍のシンカーの内陸進攻を抑止すると共にシンカーの活動を海岸付近にまで抑え込むことに成功した。

 

プテラスは、長大な滑走路を必要とするペガサロスや完全に旧式化したグライドラー、高性能ながら量産が利かないサラマンダーに変わって共和国空軍の主力機として活躍し、第1次中央大陸戦争後半における共和国の制空権確保に大きく貢献した。

 

対するゼネバス帝国軍も制空権奪回の為、火山地帯の始祖鳥型飛行ゾイドを改造して開発された空戦ゾイド シュトルヒを投入した。

 

 

この機体は、優れた命中率と高い威力を持つSAMバードミサイルを装備していた。シュトルヒの性能は、運動性でプテラスを上回っていた。

 

だが、開発された頃には、ゼネバス帝国の工業力が低下していたことにより、配備数が少なかったことと機体の整備状況の悪化、パイロットの技量差、そしてプテラスの性能改良等の複合的な要素によってプテラスと共和国空軍にとっての深刻な危機にはなり得なかった。

 

第1次中央大陸戦争においてプテラスは、共和国軍の制空権確保に数的主力機として大きく貢献した。ZAC2041年 バレシア湾に上陸し、中央大陸への帰還を果たしたゼネバス帝国軍が上陸してきた際に迎撃した共和国軍部隊の中にもプテラスは配備されていた。

 

この時は、帝国軍の新型ゾイド ディメトロドンのジャミングによる陸軍との連携不足、帝国軍が飛行場を奇襲したこと等によって戦果を挙げることが出来ず、多くのプテラスが戦場である空で戦わずして、地上で破壊された。

 

 

それでも第二次中央大陸戦争が勃発した当初、プテラスは、引き続き帝国軍の主力機 シュトルヒやシンカーと互角以上に戦うことが出来た。だが、ZAC2042年にロールアウトされたゼネバス帝国空軍のドラゴン型飛行ゾイド レドラーの登場は、プテラスとサラマンダーによって守られてきた共和国の空を脅かすこととなる。

 

暗黒大陸に生息するドラゴン型飛行ゾイドをベースに開発されたこのゾイドは、通常の状態では、一切の射撃兵装を装備しておらず、着陸脚を兼ねる4本のストライククローと尾部の特殊金属製の切断翼による近接格闘戦を得意とし、その威力は、プテラスのみならず、大型のサラマンダーにさえも脅威となった。最高速度でも運動性能でもレドラーはプテラスを上回っていた。

 

レドラーは、数々の戦闘で共和国空軍のプテラス部隊を撃破し、帝国本土をかつてと同様に空爆しようと襲来してきたサラマンダー部隊に大損害を与えた。

 

プテラスの性能面での改良が行われたが、最後までレドラーから制空権を奪い返すには至らなかった。

 

戦闘機としては、かつてのペガサロス同様に性能が旧式化しつつあったプテラスであったが、戦闘爆撃機や攻撃機、偵察機としては、引き続き活躍した。

 

特にZAC2045年5月のリンデマン提督率いるウルトラザウルス艦隊とゼネバス帝国海軍南方艦隊が衝突したフロレシオ海海戦で、プテラスは、空母へと改装されたウルトラザウルスへと1隻辺り10機近くが搭載され、艦隊のエアカバーを務めると共に共和国艦隊の矢として帝国艦隊に打撃を与えた。

 

この時プテラス隊は、空戦部隊と対艦兵装を有する攻撃部隊の2つに分けられ、前者には、共和国空軍のエースパイロットが集められ、後者には、対艦ミサイルと帝国軍の魚型海戦ゾイド ウォディックが深海に潜っても追尾できる高性能誘導魚雷が、機体に装備された。

 

この二つの部隊は、この海戦での共和国艦隊の勝利に大きく貢献した。

 

この時攻撃部隊は、共和国海軍を提督から一水兵にいたるまで恐れさせたウォディックがウルトラザウルスを奇襲する前に悉く撃沈し、艦隊が帝国艦隊との砲撃戦に突入する前に被害を受けることを防ぎ、砲撃戦時には、ブラキオス艦隊をミサイル攻撃で撃沈した。

 

空戦部隊は、海戦の後半に沿岸の空軍基地より襲来した対艦ミサイル装備のレドラー部隊と空戦を繰り広げ、大損害を受けながらもウルトラザウルスを守り抜いた。

 

ZAC2051年にレドラーに対抗して開発されたテラノドン型飛行ゾイド レイノスの就役すると、制空戦闘機としてのプテラスはその役目を後継機であるレイノスに譲った。皮肉にもレイノスは、万能機として開発されたプテラスが、退役に追い込んだペガサロスと同じく、制空戦闘機として設計開発された飛行ゾイドだった。

 

 

プテラスはその後、練習機や対地攻撃機、弾着観測機として運用された。また民間に放出された機体は、輸送用や連絡用等の為に広く活用された。

 

当時共和国側からは暗黒軍と呼ばれたガイロス帝国との第1次大陸間戦争時、共和国空軍が、ギル・ベイダーを初めとする暗黒軍の強力なゾイドによって大損害を被りながらも、ZAC2056年の巨大彗星飛来による大異変による終戦までパイロットの技量の致命的な低下が起こらなかったのには、中央大陸戦争期に大量生産されたプテラスが練習機として転用されたことによる大量養成が可能だったのが大きく、これは、終戦まで暗黒空軍が、陸軍からの出向や吸収したゼネバス空軍に人材を依存していたこととは対照的だった。

 

大異変後、気候変動によって個体数が激減したレイノス、サラマンダーに替って比較的野生の個体数が存在し、また生き残りの機体が軍民両方に存在したプテラスは、再び再建された共和国空軍の主力ゾイドとなった。

 

ZAC2099年に勃発したかつての暗黒軍、ガイロス帝国との戦争 第二次大陸間戦争の前半期、西方大陸戦争時にプテラスは、共和国側の主力飛行ゾイドとして投入された。この戦争でも、ガイロス空軍のレドラーに空戦で圧倒された。

 

その後、プテラスは、かつての戦いと同様に新開発された飛行ゾイド ストームソーダに主力機としての座を譲ったが、戦闘爆撃機や偵察機としては引き続き使用された。またこの戦争では、プテラス・ボマーと呼ばれる戦闘爆撃機仕様も投入された。

 

このボマーユニットは、原形となった旧大戦期の改造型 プテラス・ヤーボと異なり、機動性、運動性の低下も最小限に抑えられ、その状態でのVTOLも可能、更に簡単に炸薬による排除が可能になっていた。

 

 




感想、評価お待ちしています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。