ゾイドグラフィックス戦記   作:ロイ(ゾイダー)

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ブロンズコングはバトルストーリー2巻の改造ゾイドで最も印象に残ったゾイドでした。


ゾイドグラフィックス戦記 ツインホーン編 後編

 

共和国軍が、ブロンズコング迎撃に部隊の戦力が取られた為、他の帝国軍部隊にも余裕が生まれた。

 

 

「この隙を逃すな!全部隊攻撃開始!」

 

割れ鐘の様な大声で、ツインホーン隊指揮官のヨーゼフ少佐は叫んだ。

 

「落ちろ!」

 

マインツのツインホーンが、背部の加速ビーム砲を発射する。狙い澄まされた一撃が、ゴドスの橙色のキャノピーを撃ち抜き、中のパイロットをビームが焼き尽くした。

 

操縦者を葬られたゴドスは、力なく崩れ落ちた。

 

「ちっ、逃がすか」

 

もう1機のゴドスは、距離を取ろうとしたが、それよりも早く突進したツインホーンのヒートが、ゴドスの胸部を抉った。

 

ゾイドコアを破壊されたその機体は力なく倒れた。

 

「蠍野郎が」

 

次にサソリ型小型ゾイド ガイサック3機が現れた。

 

ガイサック3機は、尾部のポイズンジェットスプレーを発射した。このポイズンジェットスプレーは、対ゾイドのみならず、対人兵器としても使用可能な兵器である。

 

ベルガーのツインホーンは、発射された霧状の毒液を回避すると火炎放射器で反撃する。

 

長い鼻の先端が火を噴き、炎がガイサックを呑み込んだ。数秒後、火達磨になったガイサックは、動きを止めた。

 

装甲キャノピー式コックピットを採用し、重装甲のプロテクターを全身に纏った帝国軍ゾイドに対し、共和国ゾイドは、装甲が薄く、コックピットも視界の良好さを優先した強化防弾ガラスのキャノピー式であった。その為、本来対ゾイド用ではない火炎放射器でも撃破可能であった。

 

もう1機のガイサックは、戦友の無残な最期を見て恐れたのか、廃墟の後ろに後退を図った。

 

「逃がすか」

 

ビームが、ガイサックの頭部コックピットを吹き飛ばした。

 

地面に転がるガイサックの残骸を踏みしめ、彼のツインホーンは、ビームを敵に向けて乱射する。

 

赤き重装兵達は迫りくる共和国軍を迎撃する。その時、ヨーゼフの指揮官機に通信が入った。

 

「…!!王宮から撤退し、第21地区の敵の砲兵部隊を撃破せよ…だと!?誤報ではないのか?」

 

友軍のゲーターを中継して伝達された通信を聞いた第1中隊指揮官はそれが誤報だと思った。

 

 

だが、繰り返し同じ命令が下された為、彼もその指示が誤報でないと理解した。

彼は知るすべはなかったが、この命令は、彼らが守るべき者によって出されたものであった。

 

 

「全機!王宮から第21地区に移動せよ…友軍部隊の支援に回る!」

 

「王宮の敵はどうするんですか?」

 

マインツが尋ねた。彼ら皇帝親衛隊にとって皇帝の居城が敵に攻撃されている状況を放置する事には抵抗があった。

 

 

「…王宮内にも友軍はいる…」

 

 

質問に答えるヨーゼフの声は、自分を納得させる様な口調だった。

 

彼を含め、第1中隊の隊員は、その命令に納得出来ていたわけではなかったが、上官の命令には従わざるを得ない。

 

皇帝親衛隊のツインホーンは、ブロンズコングが暴れまわっている内に王宮の広場から離脱した。

 

 

途中最後尾にいたツインホーンが2機被弾し、爆散する。

 

1機は、カノントータスの突撃砲を側面に受けて大破したもので、もう1機は、関節部にゴドスのロングレンジガンを受けた結果であった。

 

 

 

 

第21地区に向かう彼らは、ゴドス部隊と遭遇した。

 

 

「新型!」

 

 

見慣れない機体を見たゴドスに乗る共和国兵は、驚愕し乗機を後退させようとしたが、間に合わずビームによってコックピットごと焼き尽くされた。

 

第1中隊のツインホーンは、ゴドス部隊が体勢を立て直す前に強襲を仕掛けた。

 

 

ヒートでコックピットや胸部のゾイドコアを貫き、遠距離の敵はミサイルと加速ビーム砲で撃破する。

 

 

ゴドス部隊は、残り数機となった段階で撤退していった。

 

「他愛もない奴らだ」

 

壊走していく残存機をヨーゼフは、嘲笑った。

 

熟練した部隊ならば、各機が連携して撤退するか、友軍を呼ぶはずである。

 

だが、このゴドス部隊は、天敵の襲来を受けた草食動物の様にバラバラに退却したのであった。

 

 

 

「(生き残れるかもしれない…)」

 

何とかこの戦いで生き延びてきたエルンストは、その光景に自分が生き延びれるのではないかと希望を抱いた。次の脅威は、上空から現れた。

 

共和国空軍のプテラス12機が第1中隊に空襲を仕掛けてきたのである。

 

 

12機のプテラスが翼下の爆弾を投下した。

 

爆弾の直撃を受けたツインホーン2機が大破する。

 

間髪入れず、12機の翼竜は、低空に降りて機銃掃射を浴びせかける。

 

「対空防御!」

 

指揮官の命令一過、第1中隊のツインホーンは、加速ビーム砲を上空の敵機に向けて連射した。

丁度プテラス隊は、彼らにとっては不運なことに再び低空に降りてきていた。

 

その為、彼らは弾幕に突っ込む形となった。

 

 

2機のプテラスがビームの弾幕に突っ込んで爆発する。

 

更に後方にいた機体にもビームの雨が叩き込まれる。

 

1機が左のマグネッサーウィングを撃ち抜かれ、大理石の瓦礫に突っ込んだ。

 

もう1機は、コックピットを撃ち抜かれた。

 

プテラス隊も機銃弾で反撃するが、ツインホーンの分厚い装甲を撃ち抜くには至らない。

 

プテラス部隊は、半数以上の機体を喪失した時点で撤退していった。

 

 

 

 

プテラス隊の空爆を凌いだ第1中隊は、第21地区にいる敵部隊と戦闘に突入した。

 

 

そこにいた部隊は、カノントータスを主力とする部隊であった。

 

カノントータス部隊は、20機程で、その約半数が、王宮に攻め込んでいた共和国軍に対する支援砲撃を行っていた。

 

 

カノントータス部隊は、赤い敵機の姿を確認すると機体を回頭させ、ツインホーンの群れに突撃砲を向けた。

 

ツインホーンが射程に入ると同時に背部に搭載された突撃砲が一斉に火を噴いた。

 

 

カノントータスと共に戦場に投入されて以来、多くの帝国軍の砦を破壊し、ゾイドを葬ってきた砲がツインホーン部隊に向けて発射される。ツインホーンが数機、突撃砲の集中砲火を受けて爆散した。

 

「くっ…煙幕展張!」

 

ツインホーンは、スモークランチャーを発射した。

 

前方で、煙幕弾が炸裂し、前方に煙幕の白い壁が形成される。

 

煙幕によって視界を塞がれたカノントータス部隊の砲撃が止んだ。

 

彼らは、同士討ちを恐れたのである。

 

ツインホーンは、ミルクを溶かした様な視界の中でも問題なく進撃を継続する。

 

これは、ツインホーンの鼻に搭載された臭覚センサーの存在によるものである。

 

ツインホーン等、象型ゾイドは、鼻の感覚器官が優れていることで知られており、ゼネバス帝国軍は、ツインホーンを戦闘ゾイドに改造する際、この特性をセンサーに応用したのである。

 

 

そして、彼らは、カノントータス部隊に肉薄した。

 

 

第1中隊のツインホーンは、カノントータス部隊との接近戦に突入した。

 

ツインホーンは、突進力に優れ、接近戦で威力を発揮できる。対して、カノントータスの側は、格闘戦兵器を有していなかった。

 

「砲兵隊を守れ!」

 

護衛機のゴドスやガイサックがカノントータスを守るべくツインホーンの前に立ち塞がる。

 

ツインホーンの突進が前列にいたゴドスをなぎ倒した。だが、ツインホーン部隊も無傷ではなく、反撃を受けて撃破される機体も出た。

 

1機のゴドスがツインホーンを抑え込む。その隙にガイサックがレーザークローでツインホーンの左前足を切り裂いた。ツインホーンは、その場に倒れ込んだ。

 

ゴドスが至近距離から腰部のロングレンジガンを連射し、ツインホーンに止めを刺した。

 

そのゴドスもツインホーンのビームを胴体に受けて火達磨になった。

ベルガーのツインホーンにもゴドスが襲い掛かる。

 

「やられるか!」

 

 

ゴドスの攻撃を回避し、加速ビーム砲を至近距離で撃ち込んだ。マインツのツインホーンと数機が火炎放射器で足元から襲い掛かろうとするガイサックを焼き払った。

 

護衛機を葬ったヨーゼフの指揮官機型が至近距離から火炎放射を浴びせ、カノントータスを撃破する。

 

それを皮切りに他のツインホーンもカノントータスに攻撃を浴びせた。

 

「うおおおっ」

 

ベルガーのツインホーンは、側面から鼻とヒートを使ってカノントータスを横転させる。

そして剥き出しの胴体下部に加速ビーム砲を叩き込む。

 

搭載弾薬が誘爆し、カノントータスは爆発炎上する。

 

ヨーゼフの指揮官機は、鼻でゴドスを抑え込み、即席の盾にしつつ、カノントータスの頭部を腰部の加速ビーム砲で撃ち抜く。

 

ツインホーンは次々とカノントータスを葬って行った。

 

カノントータス部隊も唯やられたわけではなく、ツインホーンに対して応戦した。1機のカノントータスが機体を方向転換させ、突進してくるツインホーンに突撃砲の砲身を向けた。

 

そのカノントータスの突撃砲が火を噴くのとツインホーンのヒートがカノントータスのボディを突き刺したのは、殆ど同時であった。

 

カノントータスの発射したロケット砲弾がツインホーンのボディを撃ち抜き、ツインホーンの牙がカノントータスのコックピットを貫いた。ツインホーンの爆発がカノントータスを巻き込み、差し違える形で2機は火球と化した。

 

 

別のカノントータスは、胴体側面の対空砲を水平射撃することでツインホーンの突撃を阻止しようとする。

 

 

対空砲の銃撃をコックピットに受けたツインホーンが市街地に擱座する。

 

「クルツの敵だ!」

 

だが、撃破された機体の僚機が突進でそのカノントータスを撃破した。

 

一部の機体は奮戦したが、大勢変わらず、カノントータス部隊は、第1中隊に全て撃破された。ツインホーンに接近戦を挑まれた時点でカノントータス部隊の敗北は決まっていたと言えた。

 

「これで…最後か」

 

エルンストは、部隊の比較的後方で撃破された共和国ゾイド…その大半がカノントータス…の残骸を眺めていった。その声には、これまでの戦いに生き残れたことの安堵が多分に含まれていた。

 

ふと彼は、残骸と化した共和国ゾイドの中で動く影を見た。それは、半壊したカノントータスであった。

 

その機体は胴体装甲が半壊していたが、背中の砲身が動いていた。その砲身は、ヨーゼフ少佐のツインホーンに向けられていた。それを見た途端、彼は、反射的にツインホーンの操縦桿を動かしていた。

 

「隊長!危ない!」

 

エルンストの警告が指揮官機の通信機に届いた時には、カノントータスが背部の突撃砲が発射していた。

 

 

標的はヨーゼフ少佐の指揮官機。

 

 

 

その攻撃の目標となったヨーゼフを含め、誰もが間に合わないと思ったその時、エルンストのツインホーンがその間に割って入った。

 

「エルンスト少尉か!」

 

発射された突撃砲弾は、エルンストのツインホーンの胴体側面に大穴を開けた。次の瞬間、ツインホーンは爆発炎上した。

 

 

「何故…」

 

エルンストは、自分が何故こんな行動をとったのか、自分自身でも理解できなかった。

彼は、指揮官を上官として尊敬してはいたが、命をなげうつ程のものではなかった。

 

だが、不思議と後悔は無く、それどころか晴れがましい気持ちさえ抱いていた。

 

やがて彼の意識は、機体の内部機関から生じた業火に呑み込まれ、途絶えた。

 

「エルンスト!よくも!」

 

指揮官機を含むツインホーン数機が彼の敵を討った。半壊したカノントータスは、集中砲火を浴びて大破した。

 

「…エルンスト…すまん」

 

部下に命を救われた髭面の指揮官は、右手で彼の墓標と化した燃え盛る残骸に向けて敬礼した。

 

少なくない損害を受けながらも、第1中隊は、次に向かうべき場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

王宮に砲撃を浴びせていたカノントータス部隊を撃破した第1中隊は、そこで動きを止めた。彼らは、郊外にいる別の親衛隊所属部隊と合流する為の地点に到着した。

 

この大理石の都の外周に位置するこの場所は、帝都の大半と同様に連日の空爆と砲撃によって瓦礫の山へと変容を遂げていた。それらの白い瓦礫の周辺には、共和国軍のゴドスやガイサックの残骸が転がっていた。

 

 

「ゴジュラス…!」

 

一際大きい瓦礫の山の隣には、ヘリック共和国の誇る大型恐竜型ゾイド ゴジュラスが無残な姿をさらしていた。そのゴジュラスは、背部から黒煙をあげ、頭部が半壊していた。

 

敵の大型ゾイドの残骸を見たベルガーは、友軍がまだ生き残っているのだと勇気付けられるのを感じた。

 

他の親衛隊のパイロットも同様である。

中央には、親衛隊所属のゾイド部隊…ツインホーンとイグアンの混成部隊。

 

その数は、約30機。どの機体も損傷していた。部隊の中心には、赤いアイアンコング…アイアンコングmkⅡ限定型がいた。

 

 

「ヨーゼフか!」

 

アイアンコングmkⅡ限定型に乗る皇帝親衛隊の将校は、合流を果たした部隊の指揮官に通信を送った。

 

「大佐殿!何故王宮を放棄したのです?」

 

ヨーゼフは、それまで心中に秘めてきた疑問を口にした。

 

「皇帝陛下脱出の為に王宮への砲撃を阻止する必要があったのだ。」

 

「…皇帝陛下は御無事なのですか?」

 

「…皇帝陛下は、この都から脱出された……ゆえに我々がここで戦う意味も無くなった。」

 

「皇帝陛下が脱出されたのですか!」

 

 

帝国首都を守りきれなかった…だが、指導者である皇帝陛下が脱出されたことの意味は大きい。

 

自分達は、重要な使命をやり遂げたのだ…第1中隊指揮官であるヨーゼフ以下、親衛隊第1中隊の隊員は自分達の戦いが無駄ではなかったことを理解した。

 

「皇帝陛下が脱出された今、我々がここにいる意味はない。友軍部隊と共に帝都を脱出する。」

 

アイアンコングmkⅡ限定型に乗る大佐は、指揮下にある部隊に命令を下す。

 

その時、首都の外…荒野の向こうから、共和国軍部隊が姿を現した。

 

ゾイドの数は、少なく見ても100機以上いる様だった。

 

大半は、ゴドスやガイサックなどの小型ゾイドだが、多くの帝国兵とゾイドを葬ったヘリック共和国の誇る大型ゾイド ゴジュラスの姿も複数あった。

 

しかも部隊の中心にいた1機は、ゴジュラスmkⅡ限定型だった。

 

「…俺達を逃がしたくないみたいだな…」

 

ベルガーは、荒野に展開する敵の大部隊を睨んで言う。

 

ライバルであるアイアンコングmkⅡ限定型のパイロットがそうである様にゴジュラスmkⅡ限定型のパイロットも共和国軍の中でも優れたパイロットのみが搭乗を許される。

 

 

通常型のゴジュラスパイロットですら精鋭が選ばれる中で、更に操縦技量が要求されるゴジュラスmkⅡ限定型のパイロットに選ばれるということは、共和国軍で最高のパイロットであると認められるに等しかった。

 

そんなパイロットを含む部隊が送り込まれたという事は、共和国軍が何としても皇帝親衛隊を逃がしたくないと考えていることの証左と言える。

 

「どうした?怖いかベルガー少尉?」

 

「いえ、指揮官どの!望む所です!」

 

指揮官からの通信に大声でベルガー少尉は、返答する。

 

「全機突撃隊形」

 

司令機であるアイアンコングmkⅡ限定型を中心に第1中隊を含む残存のツインホーンが集結した。

 

更に合流した一般部隊のイグアンやモルガ、ハンマーロックといった小型ゾイド部隊も加わった。

 

中には、電子戦機のゲーターや兵員輸送機のザットン等明らかに正面からの突撃に不向きな機体もあった。

 

レッドホーン数機もその戦列に加わった。

 

戦いの始まりを告げるかの様にアイアンコングmkⅡ限定型の背部の大型ミサイルが発射された。本来のアイアンコングmkⅡ限定型では、背部のミサイルは4発の内2発が対サラマンダー用の対空ミサイルである。

 

だが、この機体は、数日前の対空戦闘で、対空ミサイルが払底した為、今は、全て対地攻撃用に換装していた。

 

ミサイルは、共和国軍部隊の中心で炸裂し、10機以上のゴドスやカノントータスを破壊した。更にアイアンコングmkⅡ限定型は、右肩にマウントされたビームランチャーを連射する。

 

ゴジュラスやウルトラザウルスの装甲にも打撃を与える威力を持つビームランチャーがゴドスやガイサックの集団を引き裂く。

 

レッドホーン、ツインホーン、モルガを先頭に帝国軍部隊が突撃する。

 

親衛隊司令機のアイアンコングmkⅡ限定型は、戦闘開始と同時に部隊から離れ、背部の高機動スラスターを全開にし、単機で共和国軍部隊に挑みかかる様な動きを見せた。

 

他の機体と異なり、単機で突入を図るその姿は、勇者の蛮勇にも、愚者の無謀にも思える。

 

だが、これには一定の合理性があった。この行動には、高機動スラスターを有する自機の機動性を活かす為だけでなく、他の友軍機への砲撃を減らす意図があったのである。

 

首都から敵を逃がしたくない共和国軍部隊も、向かって来る帝国軍部隊を迎撃する。

 

先頭にいたゴジュラスmkⅡ限定型の背部に装備された2門の長距離キャノン砲が発射された。

 

 

直後にカノントータスの突撃砲が一斉に火を噴き、砲弾の嵐が帝国軍部隊に降り注いだ。

 

部隊の最前列を形成するレッドホーンやモルガ、ツインホーンは、帝国ゾイドの中でも高い防御力を有している機種だったが、損害を受けた。

 

ゴジュラスmkⅡ限定型の長距離キャノンから発射された砲弾を受けたレッドホーンが大破し、突撃砲の砲弾に頭部装甲を打ち破られたモルガが擱座した。

 

それでも帝国軍は、歩みを止めず、共和国軍の大軍に向けて突撃した。

 

やがて戦闘は、接近戦に移行した。カノントータスがレッドホーンのクラッシャーホーンを食らって大破し、ゴドスのとび蹴りを頭部に受けたモルガが擱座する。

 

「来るな!」

 

ゴドスが腰部のロングレンジガンを乱射する。至近距離からロングレンジガンをコックピットに受けたツインホーンが擱座した。

 

「よくも!」

 

ベルガーのツインホーンは、長い鼻でゴドスを横倒しにする。皇帝親衛隊のツインホーン部隊は、接近戦で力を発揮した。ベルガーのツインホーンは、その中でも大立ち回りを演じていた。

 

接近戦を挑もうとするゴドスを火炎放射器で牽制し、頭部を加速ビーム砲で撃ち抜き、突撃砲を撃ち込んできたカノントータスを突撃砲を回避して体当たりを食らわせ、コックピットを前足で蹴り砕く。

 

両腕のレーザークローを振り回して突っ込んできたガイサックのコックピットを鼻を振り下ろして粉砕する。

 

「ゴジュラスか…」

 

彼のツインホーンの目の前に現れたのは、共和国軍の誇る大型ゾイド ゴジュラスの巨体であった。

 

次の瞬間、ゴジュラスの背中が爆発した。ゴジュラスが怒りの咆哮をあげる中、赤い機影が戦場の空を駆け抜けた。

 

「シュトルヒ!有難い!」

 

ベルガーは、上空を飛ぶ味方に感謝した。

シュトルヒがゴジュラスの背部にバードミサイルを撃ち込んだのである。

 

高い命中率で共和国空軍の兵士を恐れさせているバードミサイルは本来対空用だったが、地上目標に対しても使用可能だった。

 

「いくぞ相棒!大物を仕留めてやろう!」

 

ベルガーとツインホーンは、ゴジュラスへと向かっていった。

 

 

同じ頃、ヨーゼフのツインホーン指揮官機型も同じように戦っていた。

 

既に左の耳が脱落し、火炎放射器も使用不能になっていた。パイロットであるヨーゼフも疲労が蓄積していた。だが、パイロットもゾイドもその戦意は衰えていない。

 

「いくぞ!我々親衛隊が突破口を開くのだ!」

 

半ば、機能を失いつつある通信機に向けて声の限り、ヨーゼフは叫んだ。

1人でも多く友軍を脱出させる…彼の心中には固い決意があった。

 

指揮官機を先頭にツインホーン数機が、敵のカノントータス部隊に突進した。

 

彼の唯一の心残りは、地方に疎開した妻子の事であった。マインツのツインホーンは、遠距離から上空を飛ぶプテラスを迎撃していたが、やがて加速ビーム砲が射撃不能に陥った。

 

「…エルゼ」

 

唯一残された彼の肉親の名前を呟くと、彼は、敵陣に向けてツインホーンを進ませた。

 

ツインホーンを装備する唯一の部隊である皇帝親衛隊は、帝国首都の戦いで奮戦し、皇帝の脱出までの時間を稼いだ後、友軍部隊と共に撤退戦に参加した。

 

この戦いで、何機のツインホーンが離脱できたのかは不明である。

 

 

 

 

 

 

 

 

EMZ-28 ツインホーンは、帝国親衛隊の主力機として開発されたマンモス型小型ゾイドである。

 

ゼネバス帝国の小型ゾイド技術の粋を集めて開発されたこのゾイドの性能は、当時としては高水準であり、総合性能では、当時最強の小型ゾイドであったという分析も存在する。

 

その反面、万能機としての性能を引き出すには、高い技量が要求された。この機体は、当時ゼネバス帝国軍の兵士から選び抜かれた隊員で構成される皇帝親衛隊にのみ配備された。

 

数少ない最前線の戦いでは、親衛隊所属機のレッドホーンの随伴機として戦果を挙げた。

ツインホーンが、本格的な実戦に参加したのは、諸説(ZAC2038年の皇帝の右手攻勢にも参加していたという情報もある)あるが、最も有名なのは、帝国首都の戦いである。

 

この戦いにおいて皇帝親衛隊の隊員は、ツインホーンの機体性能を十分に引き出し、ゼネバス皇帝の帝国首都脱出までの貴重な時間を稼ぎ出した。

 

また帝国首都の戦闘以外では、バレシア基地での戦闘がツインホーンが活躍した戦闘として有名である。

この戦いでも、ゼネバス皇帝と帝国再建に必要な人材を暗黒大陸に送り出す為に、彼らは最後の一兵になるまで戦い、全滅した。

 

2年後、暗黒大陸から軍備再建を遂げて帰還したゼネバス皇帝の軍隊の中にもツインホーンの姿はあった。

 

再建された皇帝親衛隊と共に帝国首都奪還後の閲兵式にもツインホーンは参加した。

 

後にツインホーンは、皇帝親衛隊の再編成に伴い、一般部隊にも配備された。

だが、操縦の難しさからその性能を引き出すことのできたパイロットは殆どおらず芳しい戦果を挙げることはできなかった。

 

ゼネバス帝国崩壊後、ツインホーンは、多くのゼネバス帝国製ゾイドと同様、北方のニクス大陸の国家ガイロス帝国に鹵獲され、俗に暗黒軍仕様と呼ばれるタイプに改修された。

 

これらの黒と携行緑に塗装されたツインホーンは、多くの暗黒軍(ガイロス帝国軍)ゾイドと同様に蛍光金属 ディオハルコンを投与され、パワーと格闘性能を中心に強化されていた。

 

暗黒軍仕様のツインホーンは、レッドホーンの暗黒軍仕様 ダークホーンと共に暗黒軍突撃部隊に配備された。

 

 

大異変後、ツインホーン野生体の個体数は激減し、事実上再生産は不可能となった。

 

ただ、その高性能から生き残りのツインホーン数十機が改修され、小隊長機として、ガイロス帝国宰相 プロイツェンの私兵でもある精鋭部隊 PK(プロイツェンナイツ)師団機甲部隊に少数配備された。

 

 

また、中央大陸や西方大陸では、かつての親衛隊所属機の生き残りと思われる機体が民間で利用されていることが確認されている。

 

 

 




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