お父さんになりたいれいむ   作:兼久

8 / 10
はち、おめかけさん

「も゛‥‥‥たっ」

 

「まりさ?まりさぁぁぁっ!! 」

 

愛する妻の骸に駆け寄り、無意味なぺーろぺーろを繰り返すパパありす。彼女の中枢餡には、様々な思いが去来していた。

 

嫋やかに、本当にゆっくりとした姫まりさに一目惚れしたファーストコンタクト。

 

厭々と恥じらうツンデレっぷりに我慢出来ず、思わずヤッちまった初めてのすっきりー!

 

感涙にむせびながら「ゆっくりしていってね!」と交わした、新しい命とのご挨拶。

 

「どうして?どうしてこんなことに‥‥‥ぐすっ、しかたないわねぇ?もぉ、ばりさがゆっぐりでぎないどじんばいだがら ありずもいっじょにいぐわね?ざぁ、おだべなざぃ!」

 

プライドをかなぐり捨てて長や幹部、義姉に土下座してまで手に入れたオレンジジュースによる治療と、その結末。

 

元来ゆっくりは刹那的思考の持ち主である。

 

故に、彼女がこの先待ち受けている全然ゆっくり出来ないゆん生を儚んで後を追おうとするのは、極々自然な流れと言えた。

 

「さぁ!おたべなさいっ、おたべなさぁーい??? ぉ、をたべなちぃぃぃ!」

 

「ゆっぴー?まんま?‥‥‥あまーまっ!」

 

何か食べさせてくれるのかと勘違いした足りゆまりさが近寄るも、パパありすに何の変化も無い。

 

身内の2ゆがパパありすの自殺行為を止めようとはしなかったのは、多分こうなるだろうと察していたからだ。

 

諸説あるが「お食べなさい」は愛するモノへの献身であって、決して楽になる為の手段では無いのだろう。少なくとも、パパありすに我が身を捧げてでも命を繋ぎたい相手は、もう居ない。

 

「にゃんで?どぼぢでおだべなざいがでぎないのぉぉぉ!?――ちょ、なにしてるのぉぉぉ?! まりさをたべちゃだめでしょおぉぉ!! 」

 

「がっちゅ♪ がっちゅ♪」

 

何も貰えなかった代わりに足りゆまりさは自ら獲物を発見し、喜び勇んで喰らい付いた。

 

ゆっくりは苦しむと何故か餡の甘みが増すので、ママまりさの吐瀉物は格別の「あまあま」と化しているに違いない。

 

ちなみに普通の赤ゆなら毒としか思わない苦い草でも食べてしまう足りないゆだが、意外にも味覚は他ゆっくりと変わらないらしい。

 

学界では嗅覚の一部、健常なゆっくり種が持つ、同族の排泄物や死臭を感知する能力だけ欠損しているではないか?とする説が最も支持されている。

 

とは言っても、未だに人間の耳や鼻に該当する器官の発見には至っておらず(皮全体、との定義付けはあくま暫定的な仮説)存在自体がいい加減で謎に満ちたナマモノ。明日明後日急に生えたって別に可笑しくも無いのだが。

 

「こんのぉいなかもののどげすがぁぁ、ゆっくりしないでいますぐしねぇぇぇっ!!」

 

「ゆぴっ、ゆっぴょお~~っ!? 」

 

遺骸から忌み子を引き離し、怒りに任せて地面に叩き付けた。

 

驚きの声を上げつつ、痛みに悶える足りないゆ。限られた資源を如何に有効活用出来るかが肝要な野生のゆっくりには、要らない子でも使い道は充分有る。

 

少なくともこの群れでは冬篭り中に愚かな過ちを犯してしまう等、特殊な状況下を除けば安いプライドや嫌悪感で潰したりはしない。食料の足しにするにしても、余りに量が少な過ぎるからだ。

 

「ぱぱ…(い・ま・ご・ろぉ?かたぴこれいむにあげればぷりぷりいもむしさんをたくさんのたくさんくれたのに、もったいないわぁ)」

 

元よりコレを我が子だなんて認めちゃいない。卑しいハイエナさんには制裁を。

 

こんな事なら田舎者の幹部ぱちゅりーにくれてやるべきだったと後悔しつつ、一思いに踏み潰さんと狙いを定め、ジリジリ間合いを詰める。

 

「おおっと、そこまでだぜありす?」

 

「なんのつもり?そこをどきなさいっ!」

 

姉のママありすでさえ静観を決め込む中、足りゆまりさの窮地を救ったのは義姉まりさだった。

 

予想外の横槍に戸惑ったが、だからと言って舌鋒(物理)を収めるつもりは無い。

 

「ゆっちっちっ、このたりゆは ろーんさんのりしなのぜ!だからまりさのゆるしもなく、かってにころしちゃだめなんだぜ?」

 

「はぁぁ?ろーんさんはまいにちすこしずつかえしてくおやくそくでしょう?!」

 

パパありすはつい先程、自ゆんが何をしようとしていたのかも忘れたらしい。

 

長からオレンジジュースの対価として要求されたのは、野生の1ゆが必要とする約3年分の食料。つまり、一生分と形容しても差し支えない量を一括前払いする必要があった。

 

当然そんな物を用意出来る筈も無く、籠やベット作り、都会派なコーディネートを請負うから、と方々伝手を頼ったがけんもほろろに断られ、一縷の望みを賭して義姉まりさに助けを求めている。

 

「それはいもーとがぜんっかい!したらのおはなさしさんなのぜ?それにありすはじゅうっだい!なけーやくいはんをおかしてるんだから、こげっつき!さいけんのかいしゅーはとうっぜんなんだぜぇぇ!! 」

 

仲違いはしても、餡を分けた妹の命。

 

誠心誠意お願いしたら「お水さん臭いんだぜありす?まりさも一皮脱ぐんだぜ」と言ってくれまいかと幽かに期待はしていたが、義姉はあくまでビジネスライクに相談に乗ってくれた。

 

顔が広く交渉上手な彼女は、将来まりさ種が産まれた暁には出資額に応じて優先的に“お近付きに成れる”ゆん身売買スレスレの権利を餌に、瞬く間に必要量を集め、ソレを本ゆん名義で貸し付けている。

 

幾許かの葛藤は有ったが「おちびはまた作れる、それとも妹とすっきりー!したくないのか?」と問われれば「んほぉぉぉ!」としか答えられなかった。

 

「おたべなさいなんかして、のこったあまあまと いさんだけでろーんさんがかえせるとでもおもっているのかぜ?こっちはそーぞくゆんのおかざりまでさしおさえなきゃいけないんだぜ!? 」

 

「ぬゎんですってぇぇぇ?! 」

 

驚いたのはママありすだった。人間とは違い、相続放棄なんて概念はこのゆっくりプレイスには存在しない。子ゆは正負にかかわらず、親ゆの遺産を全て相続するのだ。

 

しかも債権ゆは相続ゆんの姉妹どちらから取り立てても構わないので、実質的に連帯保証ゆんと同じ状態に陥る。

 

可愛い妹を迎え入れられる可能性が完全消滅し、自ゆんの与り知らぬ所でおかざりまで取り上げられそうになっている現実を知った彼女は、父親に猛然と抗議した。

 

「はぁ?せいゆんになったこがおやのためにつくすのはとぉっぜんのことでしょ?だれのおかげでいままでゆっくりできたとおもってるのよ、このいなかもののおんしらずっ」

 

「ぎゃくぎれなんてとかいはれでぃーのすることじゃないわよっ!そもそもあんたたちがいままでげすをあまやかしてたからこーなったんでしょおが!」

 

ゲス姉夫婦の悪行から端を発した事とは言え、どうして親が作った負債まで背負わなければならぬのか?ママありすの主張は至極真っ当と思われるが、心身共に疲れ果てていたパパありすには正直どうでも良い話だった。

 

「だまれだまれだまれぇぇぇ、だいたいぞごのゆっぐりぢでないばりざっ!おまえばいっだいありずにどうじろっでゆうのよぉぉぉっ!」

 

「そりゃきまってるんだぜ?いもーとがおちびをつくれないいじょう、ここはまりささまがひとっかわぬいでやるのぜ!」

 

『ゆっ?』

 

一皮脱ぐ?ローンの返済を楯に追い詰めるような真似をしておいて、何をぬけぬけと?疑惑の目を他所に、義姉まりさは今後の方針を宣言し、即刻行動に移した。

 

「さいけんゆたちからさかうらみされちゃ、こわいこわいなのぜ?おいめいっこ、きょうりょくするならおまえにも1ゆぐらいまわしてやってもいいんだぜ?」

 

「ゆん、どくをむーしゃむーしゃするならおさらさんまでってやつね・・・・・・かくごはいいかしら?ありすはできてる」

 

「なっ、なにをいってるの?やめてっ、ちかよらないで!」

 

こんな奴とはもう親でも子でも無い。そう割り切った娘と義姉の2ゆ掛かりで押さえ付けられ、パパありすはあんよに枝を突き刺された。

 

あくまで動き封じる目的なので抜かない限り出餡は少ないが、逃げる事すらままならない。

 

「いだぃぃぃ!ごんなごどをぢでゆるざれるどおぼっでるのぉぉぉ!? だれがだづげでぇぇぇ!! 」

 

群れの外れに出来たばかりの評判ガタ落ち一家のおうちに訪ねるゆっくりなんぞ、精々関係者ぐらい。いくら泣き叫んだところでその声は誰にも届かなかった。

 

「おばさま?このおかざりはままのおぼーしにしまっとくわね」

 

何かの理由で他のゆっくりがその場に現れたしても、ご自慢の真っ赤なカチューシャも剥ぎ取られてしまったパパありすを救うどころか、義姉まりさ達に加担する可能性の方が高いだろう。

 

「ゆっくりできないゆっくりは、だまってひっぷさんをこっちにむけてりゃいいんだぜ!」

 

パパありすの背後を取った義姉まりさが圧し掛かると、へコヘコとピストン運動を開始する。暫く間、巣穴からはペチンペチンとリズミカルな音と下卑た鳴き声が漏れ続けていた。

 

「おらおらっ、おかーさんはたんっとえいようをつけなきゃだめなんだぜぇぇ、すっきりー!」

 

「いやぁぁぁ!たべたくなっ、ぶぼっ!あばあばじぁわぜぇ~~ずっぎりぃぃぃ!! 」

 

足りゆまりさの食べ残しを口の中に突っ込まれながら繰り返されるすっきりー!によって、パパありすの額からはニョキニョキ茎が生えて来る。

 

彼女達の「すっきりー!」は幾度と無く繰り返された。2ゆっきりなら栄養不足でどちらかが枯れ果てていたかも知れないが、ママありすのサポートで事無きを得ている。

 

「いちさん、にさん、まぁ!たっくさんよ♪ きゅ~とでとかいはないもうとがたくさんたくさんできて、おねぇさんうれしいわ!ぁ、いらないいもうとはゆんぽすといきね」

 

「あまーまがっちゅ、がっちゅ!」

 

不要な実ありすは芽生えた先から収穫され、即座に足りゆまりさのご飯になった。パパありすが今後垂れ流すうんしーも、ゆんぽすとが綺麗に片付けてくれだろう。

 

情事が終わるなりおうちの入り口は急勾配の階段にリフォームされ、ズリズリと這い回る事しか出来なくなったゆっくりには、脱出不能な牢獄と化している。

 

「うぅ、さいあいのまりささえうけいれたことのないありすのていそうが‥‥‥ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめん…」

 

「またくるわね、ぱ‥‥‥ありす?」

 

ヤモメである義姉ありすの名目上のお世話役になったパパありすは、妾ありすと蔑まれながらローンを返済すべく、まりさ種の苗床として第2のゆん生を歩み始めていた。

 

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