ここ数日、ママありすは赤れいむですらハッキリ認識出来るレベルで「いーらいーら」していた。原因は主に妹モドキに依るところが大きい。
おかざりに欠損があるゆっくりと双璧を成す差別対象。そんな厄介モノを居候としてmyゆっくりプレイスに置かねばならず、そのせいで肩身の狭い思いをしなくてはならない。
「はい、はっぽのおまるさんだよ?おちびちゃんはちゃんとできるかな?」
「まかしぇちぇにぇ!れいみゅにょ!! しゅーぴゃーうんぅんたいむぎゃ はっぢみゃるよぉ~♪」
そればかりか我が子が「おといれ」も覚え始めた中、足りないゆの途轍も無く臭いあなるさんを、文字通り味わわされる屈辱。
うんうんは勝手に食べるので片付けなくても済むが、番の手前ひっぷさんが汚いまま、おうちの中を這いずり回らせる訳にもいかなかったのだ。
「たっだいまぁ~~~♪」
『おかえりなさぁ――っ!? 』
そんなストレスから解放された彼女が、鼻?歌混じりの上機嫌で帰って来た。
元凶の足りゆ連れではなく、とてもゆっくりとした実まりさ付きの茎を生やして。
「みゃ、みゃみゃにくきしゃんがはえちぇるょ!もちかちてあのきょちじんじゃっちゃにょ?」
「ゆふふふっ、こんなにとかいはなまりさを、あんなごみくずといっしょにしちゃだめよぅ」
「あぁーりぃーずぅぅぅ!! おまえぇ、どこのうまのほねさんとぉ!うわきしやがっだぁぁぁ!? 」
突然の出来事に驚き、戸惑うばかりの赤れいむ。緩みっ放しのニコニコ笑顔を崩さないママありす。またしても裏切られたと怒り心頭の母れいむ。
三者三様。一触即発。婦々喧嘩の第2ラウンドが始まれば、おうちの壁や床にはたちまち小豆色やらクリーム色のインテリアが生まれるだろう。
「ゆぷぷっ、やーねぇれいむったら!このおちびちゃんはありすたちのい・も・う・と☆」
『ゆっ??? 』
理解が追い付かず、動きが止まってしまう れいむ親子。家庭崩壊の危機は華麗にスルーされたが、流石のゆっくり種と言えど妹が、叔母が突然生えて来る道理は無い。
「なぁ~んだ、れいむったらあわてんぼうさんっ <(ゝω・´)=★ 」
などと反応する方がおかしいだろう。
2ゆの硬直が解けるのを待たず、ママありすは実家で起こった騒動を欺瞞に満ち溢れた独自解釈で語り出した。
「‥‥‥じゃあ、そのおちびちゃんのおとーさんはれいむのおとーさんで、おかーさんはありすのおとーさんなの?」
「そうよ!ままのあとをおっておたべなさいをしようとしたぱぱを、れいむのぱぱがきずをぺーろぺーろしあいながらいきようってせっとくしたの!そしてふたゆはじょうねつてきにもえあがりすぎて、くきさんがたくさんはえちゃったから ありすがいっぽんだけあずかってきたのよ」
彼女の言葉を借りれば、養殖も都会派な愛へと摩り替わった。過剰生産分のお零れも、姉妹愛からの献身だと言ってのけた。妄想を垂れ流しているうちに、彼女の中では完っ璧!な既成事実と化していた。
「ゆゎぁぁ、おかーしゃにょおちょーしゃ、きゃっこいいにぇぇ~」
「そう、だね…」
赤れいむは韓流レベルのラブストーリーに心をときめかせているが、母れいむは俄かには信じ難かった。あの父が、何の利も無く他ゆんを救う?そんな訳無い!と。
まりさ似のおちびが欲しい番がタダまむさせてあげるから!おちびは自ゆんで育てるからっ!とゆー惑したなんて筋書きの方が、まだシックリ来る。
今からでもこの目で確かめに行きたいが、すっきりー!までしておきながら再っ婚!には至らず、表向きはママまりさとパパありすの間に出来た、最後のおちびちゃんとして産ませるらしい。
そんな2ゆに「とかいはなあい」を育む時間をあげて欲しいと言うのだ。
「じぁあ、おちついたらおねーちゃんといもーとをつれて、おいっわぃにいかなくちゃね!」
結論だけ言えば、母れいむは一先ず折れた。
疑念は晴れなくとも番の話に真実が含まれていたとしたら?特に額の実ゆが本当に妹であった場合、確固たる証拠も無く制っ裁!なんぞしでかした日には、父親がどう動くか予測出来ない。
計算通りとほくそ笑むかも知れないし、怒り狂って今度は自ゆんが制っ裁!される危険性も孕んでいる。口惜しいが、知恵も力も到底及ばない相手なのは間違い無い。
口を開けば「ゆっくり」だの「しあわせー」だのと鳴き声を発しても、所詮は強さこそ正義の世界なのだ。
「じゃあ、いってくるわねっ!」
「いってらっちゃい!ゆっきゅりしにゃいではやきゅかえっちぇきちぇね?」
今後についてしばらく母れいむと話し込むと、ママありすはお帰りなさいのすーりーすーりもソコソコにお水を汲みに出掛けてしまった。
「ほんちょ?ほんちょにあちたゎゆっきゅりのひーにゃの?」
「ゆん、ゆっくりできるかどうかはしらないけど、あしたはありすとおるすばんだよ!おかーさんがおちびちゃんにうそついたことなんかないでしょ?」
「しょ、しょーだにぇ おかーしゃわみゃみゃとちがっちぇ ほんちょしかいわにゃいね…」
心にグッサリ突き刺さるぐらいに、とは口が裂けても言えやしない。母れいむのスパルタ指導によって、彼女の薄皮は人間が食するのに最適なモチモチ感を完全に失っていた。
それだけでは無い。訓練中におかざりに傷が付いては一大事!との配慮から、おりぼんを外されても動揺しない強靭な精神力も、同時に練り上げられていた。
「さぁ、おかーさんはしばらくかりにせんっねん!するから、おちびちゃんはきょーこそかんぺっきにぴこぴげーむをくりあーしてねっ」
「ゆっ、れいみゅ ちょーぎゃんびゃるよ!」
れいむ親子のぴこぴこゲームとは、人間で言う旗挙げゲームに該当する。母れいむがおちびと呼ばれていた頃、父親まりさに叩き込まれた特訓の1つである。
旗の代わりに左右のもみあげを上下にピコピコさせ、間違えれば即・鞭打ちのペナルティが待っている。もう何度叩かれたか数え切れない。
お陰でチョットした痛みでは音を上げる事も無くなっており、心身共にタフに育っていた。
「――みぎあげて!みぎさっげないでっ ひだりあっげて!」
「ゆぅ!ゅ、ゆー」
「みぎまえむけて、ひだりよこっ――うぃんくも!」
最初のうちは上げ下げだけだったのが、クリアすると水平にしたり、前方への突出しも加わった。更に最近ではピコピコとは関係無い動作まで要求されるようになり、難易度がドンドン跳ね上がって行く。
どんな風にされるのが辛いのか、苦しいのか、乗り越えられるのか?正解は母れいむの餡にタップリ浸み込んでいる。受け継がせたトラウマを自ら穿り返しているのだから、熟達も早い。
「どっちもさげて、ぺーろぺろっ!」
「ぺ、ぺりょおぉっ」
「よろしいっ!ごほーびのじかんだよ」
「ごっちぁんでしゅ!」
母れいむは頬に貼り付けていた葉っぱを引っ剥がすと、おいでおいでと招き寄せた。
幼い頃、父親まりさから与えられていた特別な「あまあま」のご褒美。お帽子の中から取り出した餡子玉だったので全然気付かなかったが、彼女は頬から直接吸わせている。
その様は、人間が赤ん坊にお乳を与えるのと丸っきり同じだった。
「ごっきゅん、ちあゎちぇ~♪」
「ゆふふ、よくがんばったねおちびちゃん?あしたはおかーさんがしんっせん!なごはんさんをとってきてあげるから、きたいしてていいよっ」
初めての時はお口一杯に含んだ餡子を地面に撒き散らしたので、思わず引っ叩いてしまった。そのせいか、以降はクドクド教え込まずとも飲み込んでから「しあわせー」をする。
番はそんな食べ方は都会派じゃないと言うのだが、同じ立場になってみて父親の気持ちが良ぉ~くわかった。
ぽんぽんの底じゃ理不尽なクズ親だとさぞかし恨んでいるんだろうが、この子にもいずれ思い知る日が来る筈だ。さぁ、今夜は明日に備えて栄養を沢っ山!摂らなくては。
赤れいむが一定の成果を出せた事に満足しつつ、一段落したらお外デビューの約束と明日の明日から抜きっ打ち!ぴこぴこゲームの予告で釘を刺すと、いそいそと晩ご飯の支度に取り掛かった。
『にっこりのひー♪ おっとりのひー♪ ほっこりのひ~♪ 』
翌日。久々にママありすと一緒にお歌を唄い、赤れいむはとてもゆっくりしていた。茎さんに実っているのは妹ではないし、最近よく連れて帰って来たヨソの子でも無いと言う。
じゃあドコにいったんだろう?結局一緒に遊ぶどころか、お話しさんすら出来なかったのは少し残念だったが、それでも充分ゆっくり出来るので満足だった。
「みゃみゃ!ちゅぎわとりゃんぽりんしゃん!」
「ごめんね、ままはいまおちびちゃんよりちいさないもうとがいるからむりなの」
「ゆぇぇ、ちょんにゃあ…」
気が付いた時は、ホンの小さな綻びだった。
「ゆゅ!みゃみゃのいもむししゃんのにょほーがおっきぃよ!れいみゅにちょうだいね!」
「だぁ~めっ、ままはあったらしぃいのち!のためにたくさんむーしゃむ-しゃしなくちゃいけないの!ゆっくりりかいしてね?」
「ゆがーんっ」
相変わらずママは優しい。それなのに、何かが違う。
「みゃみゃ、ちゅーりちゅーり♪」
「みゃみゃじゃなくてま・ま・よ?いつまでもあかゆことばをつかうのはとかいはじゃないわ」
「ゆががーん!」
上手く説明出来ないが、ゆっくり出来ないモヤモヤが「そろーりそろーり」着実に赤れいむの餡内に溜まり始めていた。